図解
※記事などの内容は2019年2月22日掲載時のものです
セブン-イレブン・ジャパンの加盟店が深夜営業を中止して本部と対立している問題を受け、「原則24時間営業」というコンビニエンスストア大手の店舗運営方針に注目が集まっている。背景には人手不足で深夜の人繰りが厳しい店が増えているという事情があるが、本部側は原則を崩さない構えで、溝は埋まりそうにない。
コンビニ大手ではセブンが1975年に福島県郡山市の店舗で24時間営業を開始。ローソンやファミリーマートなども追随し、今では深夜に閉鎖される駅、オフィスビルの中などを除く9割以上の店が24時間営業となっている。
24時間化の狙いは夜に買い物をしたい顧客の需要を取り込むためだが、本部側は深夜の犯罪防止や災害時の物資供給などの役割を担う「社会インフラ」としての意義も強調。客が少ない深夜は手間がかかる検品、清掃などの作業がしやすく、効率が良いことも理由に挙げる。
ただ、最近は人手不足でアルバイトを確保しにくくなっている上、オーナーの高齢化や病気、配偶者の死去などで深夜営業が難しくなった店も増えている。一部のオーナーが組織するコンビニ加盟店ユニオンは「3、4年前から、売り上げよりも人が足りないという理由で廃業する店が増えている」(幹部)と指摘。本部側に対し、営業時間の自由裁量化を求めている。
本部も事情によって「例外」を認めていないわけではない。ローソンは一部の店の深夜営業中止を容認。ファミマも京都市内で短縮営業の「実験」を行っている。セブンでも「過去に加盟店と合意の上で深夜営業を中止したことがある」(広報)。ただ、柔軟に対応すれば他店からも要求され、際限がなくなるとの懸念があるようだ。
5万5000超まで店舗数を広げ、日本の流通業の代表格として君臨するコンビニ。時代の変化の中で悲鳴を上げる加盟店を放置すれば、アルバイトばかりかオーナーの成り手も減り、店舗網と収益力の維持が難しくなる恐れがある。
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