図解
※記事などの内容は2017年9月6日掲載時のものです
企業などが、株式の代わりに独自の仮想通貨を発行して資金調達する「新規仮想通貨公開(ICO)」の取引金額が国内外で急増している。国境を越え、インターネット上で機動的に資金を集められるためだ。ただ、発行主体が示した事業計画の実現性が不透明だったり、詐欺が疑われたりする事例も多く、各国の金融当局が警戒を強めている。
ICOによる世界全体の資金調達額は、2017年1月から9月初旬までの累計で約2000億円。革新的な事業への期待などから、既に16年の20倍に達した。通貨や共通ポイントなどさまざまな資産を交換できるサービスを提供する事業計画を公表したOmiseホールディングス(長谷川潤・最高経営責任者)は、ICOで2500万ドル(約27億円)を調達した。
一方、ICOは新規株式公開(IPO)のように事業内容や将来の業績見通しに関する厳しい審査を受けていない。投資家が資金調達に応じるかどうかの主な判断材料は発行主体がネット上で示した事業計画だが、計画倒れに終わっているケースが目立つ。
「多くが詐欺的と言われている」(ICO支援事業者)との指摘もある。今月4日には、金融秩序の混乱を懸念した中国人民銀行がICOを全面禁止すると発表した。
日本の金融当局も警戒している。ただ、国内の規制強化については、「イノベーションを阻害する可能性もある」(金融庁幹部)として、慎重に判断する考えだ。
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