図解
※記事などの内容は2019年12月25日掲載時のものです
日産自動車の副最高執行責任者(COO)を務める関潤氏の退社が決まり、同社の立て直しを担うはずだった「3頭体制」が発足からわずか1カ月で瓦解(がかい)した。フランス自動車大手ルノーとの連合をめぐり、内田誠社長と意見が対立した可能性がある。日産では昨年11月に前会長カルロス・ゴーン被告が報酬不正問題で失脚して以降、経営の混乱が収束しておらず、再建の前途には暗雲が垂れ込めている。
関氏は今月2日の記者会見で、「(製造・販売の)現場と経営層の間に大きな隔たりをつくってしまった」と日産の問題点を指摘。「少しでも埋めるため、内田社長らと協力し、改善に努力していく」と抱負を語っていた。関氏の退社発表を受け、日産社員の間には「これからという時なのに、勘弁してほしい」などと動揺が広がった。
防衛大学校出身という異色の経歴を持つ関氏は、生産部門の経験が長く、中国合弁会社のトップなど要職を歴任。生え抜き組を代表し、9月に辞任した西川広人前社長の後任として有力視されていた。
最終的に内田氏が社長に選ばれたのは、連合を組むルノーが支持したためだ。日産は事業規模や技術力でルノーをしのぐ一方、同社に約43%の株式を握られ、資本面では支配されている。生え抜き社員らの間では対等な関係を望む声が強い。しかし、内田氏は「連合に憧れて日産に入社した」と公言するなど、ルノーとの関係を重視する姿勢が鮮明で、関氏とは温度差があったとみられる。
3頭体制の一角であるCOOのアシュワニ・グプタ氏は、ルノー出身で同社寄りとの見方が多い。関氏が抜けることで、ルノーと日産の力関係にも影響が及びそうだ。
新着
オリジナル記事
(旬の話題や読み物)