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【作家・江上剛コラム】
2024年の金融マンの犯罪について考えてみようと思う。
私が一番、驚いたのは三菱UFJ銀行における40代の女性管理職行員が貸金庫から金品、宝石などを盗んだという事件である。
事件は2支店にわたり、期間は4年半だという。被害者は約60人、被害金額は約17億円にも上るようだ。
最初にこの事件の報道を聞いた時、「あり得ない」と驚愕(きょうがく)した。
ノーベル経済学賞を受賞したアセモグル&ロビンソンは著書「国家はなぜ衰退するのか(上下)」(ハヤカワノンフィクション文庫)において、豊かになる国と貧困に苦しむ国との違いは、政治、経済の制度にあると提言した。自由に自分の才能を伸ばすことが可能な包括的な国家は豊かになり、特定の集団が利益を独占する収奪的国家は貧困になるという。
石川県能登地方が記録的な豪雨に襲われ、甚大な被害と犠牲者を出してしまった。年初の大地震に次ぐ被害である。政府には、一日も早く住民の皆さんが安心して暮らせるように対処してもらいたい。
「会社」とは「社」に「人」が集まって目的を達成しようとするもので主体はあくまで「人」である。ところがアクティビストという投資家たちの登場で近時、会社は安く買って高く売るだけの「商品」になってしまった。そこに「人」は不在である。経営者たちは彼らに脅されているのか、それとも彼らを利用しているのか分からないが、「選択と集中」の御旗を振りかざし、「会社」を売り払ってしまう。そこに「人」に対する愛情は微塵もない。
最近、TBSのドラマで「不適切にもほどがある!」という宮藤官九郎さんの作品が人気だと聞いた。阿部サダヲさんが演じる主人公のパワハラ体育教師がタイムスリップして1986年と現在を行ったり来たりして、騒動を起こす内容だ。ご覧になりましたか?
ザ・昭和的主人公が、令和時代のコンプライアンスで人々が萎縮し、冷え切った人間関係などを批判、非難し、かき回す。このドラマの舞台は、38年前。私は30代だった。確かにコンプライアンスなどという言葉もなかったし、執務中に平気でたばこを吸っていたし、男らしく、女らしく、24時間働けますか?って時代だった。
自民党の裏金問題は派閥解消へと発展した。しかし、今回の問題は派閥解消で解決するのだろうか。私たちは、この大騒ぎに目をくらまされてはならない。企業不祥事の観点から今回の問題を捉えると、いかに政治の世界が世間からずれた非常識な世界であるかが、分かるかもしれない。五つの疑問点から読み解いた。
国連環境計画(UNEP)が昨年11月に公表した報告書がある。「各国が設定した現行の温室効果ガス削減目標を達成できたとしても、今世紀中に世界の平均気温が産業革命前に比べ最大2.9度上昇する」という内容だ。これを阻止し、「上昇幅を1.5度に抑える国際目標を実現するには、気候変動対策を『早急に強化する必要がある』と訴えた。環境用語にティッピングポイント、「転換点」と訳される言葉がある。世界は既にティッピングポイントを越えてしまったのではないか、手遅れではないかとさえ思えてくる。人類滅亡のシナリオを実現させないために何をすればいいのか。
現代のリーダーは大変だ。特に岸田文雄首相は「増税メガネ」などと、決して好ましくないあだ名をつけられ、支持率もさえない。真面目に、一生懸命、失敗しないように職務に精励されているのになぜ人気が出ないのだろう。経営者も大変だ。世界情勢は見通せず、技術革新はどんどん進む。そして円安に人手不足…。ありとあらゆる課題を背負い、現代のリーダーたちは過大なストレスを抱えているに違いない。そんなストレスフルな彼らのために古典などから気の利いた言葉がないか探してみることにした。
中古車販売大手ビッグモーターが保険金を不正に請求していた事件は、同社の経営を脅かしている。それは顧客が修理に持ち込んだ車をわざと傷つけ、保険金を過大に請求するという考えられないほど最悪の不正だった。そして事件は同社と取引関係にあった損保各社の信用を失墜させる事態にも発展し、特に深い関係にあった損保ジャパンの白川儀一社長が引責辞任する事態となった。なぜ、損保ジャパンは経営判断を間違えたのか。その背景にあるものは何なのか-。作家の江上剛氏が読み解きます。
新型コロナウイルスが感染症の「5類」に移行し、人々の活動が活発になっています。景気が上昇し始めると、倒産が増えるといわれます。特に、コロナの支援融資であるゼロゼロ融資(無担保無保証、実質金利ゼロ)が終了し、返済が本格化し始めると、それに耐えられない中小企業が破綻に追い込まれることが予測されます。作家・江上剛氏は今こそ、地方企業の声に耳を訴えるべきだと指摘しています。
2023年7月14日付の日本経済新聞に「JPモルガン、支店再拡大」との興味深い記事が掲載された。趣旨は、米銀最大手のJPモルガン・チェースが支店網を再拡大するというもの。理由は、急ピッチな金利上昇で利回りの高い金融商品へ預金が流失するため、個人や中小企業とも取引接点を拡大し、「粘着性の高い預金」の重要性が再認識されたためだ…。
今年6月8、9日の2日間にわたって米国のウィスコンシン州レイク・ジェネバにおいて、キッコーマンの米国生産拠点キッコーマン・フーズ社の50周年を祝う「日米食品流通シンポジウム」と「日米経済カンファレンス」が華々しく開催された。
江戸の方が、現在よりずっとリサイクルしていたのだ。これは大変なことだ。循環型経済を目指すと言いながら、300年前の江戸の水準に到達していないのだから。そこで特に問題になっているプラスチックの再資源化などを規制する法律が制定された。
どの会社も後継者には苦労しているようだ。中小企業は、後継者不足で廃業に追い込まれるという未来の無い状態で、大企業は、後継者に人を得ない場合は経営に混乱を来している。以前、カリスマ経営者の後継者選びが難しいということをこのコラムに書かせてもらったが、どの企業も難しさには変わりがないようだ。
野田佳彦元首相は追悼演説の中で「安倍晋三とはいったい、何者であったのか。あなたがこの国に遺したものは何だったのか。そうした『問い』だけが、いまだ宙ぶらりんの状態のまま、日本中をこだましています」と語った。私の心の中にも「問い」が残ったままである。その「問い」の答えを見つけたいと考え「安倍晋三 回顧録」(中央公論新社刊)を読んだ。
人類はエジソンのような、世の中のシステムの真相を追究する「ハイパー・システマイザー」が新発見、新発明をしたおかげで今日の発展があるというのだ。ビル・ゲイツ、イーロン・マスクなど、私たちに馴染みのある経営者たちも自閉症的傾向を持つ「ハイパー・システマイザー」なのだ。
思い起こせば、私がかつて勤務していた銀行業界も談合の巣窟だった。今ではあり得ないことだが、預金金利、各種手数料、新商品開発、果ては行員の給料までありとあらゆることを談合、すなわち仲間内で決めていた。かつて銀行は「護送船団方式」といわれ、大蔵省銀行局の下部組織のようなものだった。公定歩合はもちろん、ありとあらゆることを銀行局にお伺いを立て、その指示に従っていた。
今、私たちはインフレにおびえている。特に日本は、給料が増えないから、他国より深刻かもしれない。給料を増やせと政府は、大きな声で経済界に叫んでいるが、給料が上がるということは人件費、コストが上がるということだから、もっとインフレになるに違いない。人々の不満はどこに行くのだろうか。
個人的に残念に思うのは、稲盛さんの評価が想像していたほど高くないのではないかということだ。確かに経済紙や経済雑誌などでは特集も組まれているが、私的な基準で言えば日本を救ったくらいの偉大な経営者であるから、もう少し政府から弔意を示されてもいいような気がする。もちろん、これは私の誤解かもしれない。
乗客数減少により、各地で廃線が進んでいたところに2020年に最悪の事態が発生した。新型コロナウイルスのパンデミックである。新型コロナは人々から移動の自由を奪ってしまった。国内外を問わず人々は移動を制限され、海外旅行や国内旅行は激減してしまった。
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