図解
※記事などの内容は2018年9月4日掲載時のものです
経団連の中西宏明会長が会員企業向けの就職・採用活動のルールを2021年春以降入社の対象者(現在の大学2年生)から廃止したいとの意向を表明した。なぜ今、廃止論が出てきたのだろう。
-就活ルールって何?
経団連が大卒・大学院修了予定者に対する会社説明会の実施や面接開始、内定を通知できる時期を明示したものだよ。経団連が「採用選考に関する指針」として公表し、約1600の会員企業・団体に順守を求めている。「青田買い」を防ぎ、学生が就職活動に追われて学業に専念できなくなる事態を回避するのが目的だ。ただ、紳士協定なので企業が協定を破ったとしても罰則はないんだ。
-いつからルールがあるの。
65年前の1953年に企業と大学が採用時期を定めた「就職協定」がルール化の始まりだ。現在の指針は2013年に発表され、今のスケジュールは15年に決められた。20年春入社組までこれが適用される予定だよ。
-ルールは守られているのかな。
経団連に加盟していない中小企業や外資系企業にルールは適用されないし、経団連会員企業も全てが守っているわけではないのが実態だ。ルール破りをした企業ほど優秀な人材を早期に獲得できる機会を得られるから、形骸化しているとの批判が絶えることはなかった。
-なぜ中西会長は廃止論を言い出したの。
ITや人工知能(AI)など技術革新が急速に進む中、企業は世界中で人材獲得競争を行っている。海外経験も豊富な中西会長は、終身雇用を前提に新卒者を一括採用するという日本特有の雇用形態が時代にそぐわなくなってきたと考えたようだ。既に通年採用を行っているIT企業なども多く、横並びのルールには限界も指摘されてきた。
-ルールは廃止に向かうの?
経団連の中でも「廃止は寝耳に水」と驚く人もいた。経済同友会の小林喜光代表幹事は、学生が大学1年生から就職活動を強いられたりしないよう「一定の規制は必要だ」と話している。中西氏は「いろいろな意見がありよく検討したい」と語っており、大学や学生側の混乱も懸念されている。議論はまだ始まったばかりだよ。
新着
オリジナル記事
(旬の話題や読み物)