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はてなキーワード: 英国王とは

2025-01-02

理系池澤夏樹世界文学全集をほぼ全部読んだから五段階評価する⑥

【前】anond:20250102211547

3-01「わたし英国王給仕した」ボフミル・フラバ阿部賢一訳★★★

才覚でナチス共産主義の嵐を生きぬいた給仕お話経験から相手本質を見抜き、最高のサービスをする、ってのは序盤だけで、あとは東欧諸国悲惨歴史の中で話が進む……はずなんだが、文章全体にユーモアが漂っていて、ナチス政権下でも結構いい思いをしていて、「歴史をこんな風に扱っていいのか?」とその大胆さに驚かされる。当事者からいいのか? いや、そんなことはないのか? 最近は意外なことで炎上したり叩かれたりするので何もわからん(なんか、アジア人のふりをして小説を書いたらバズって、そのままアジア人のふりをする羽目になる、みたいなキャンセルカルチャーネタにしたアメリカ風刺文学があった気がするんだが、思い出せない。キーワード検索しても新しい価値観についていけないで炎上ちゃう六十代教授の出てくるアベルカンタン「エタンプの預言者」という別の文学しか出てこない。で、pretending to be an Asianでググってやっと見つけた。R. F. KuangのYellowface」。洋書だった。たぶんどっかの文芸評論家が紹介してたんだろう)。

関係ないけど、ナチスが優秀な子孫を作るための女性たちのためのキャンプヌーディスト楽園のような外見を持っていながら(いや、記憶いかも)発想がそもそも家畜改良みたいで、恐ろしすぎて「これは露悪的なSFか?」ってなる。しかし、殺戮こそしていないものの、今では人権意識の高いとされる北欧諸国でも、かつては平気で障害者異民族の断種が行われていたのだ。Whataboutismは建設議論にとっては有害だが、人間原始的感情に訴えかける強い説得力を持つ。「確かに俺も悪かったけど、お前にだけは言われたくねえよ」的なね。結局、政治感情で動く。

話を戻せば、この作品映画にもなっているらしい。というか、このエントリ全体で映像化された作品結構あるらしいのだが、全然見ていない。

3-02「黒檀」リシャルト・カプシチンスキ 工藤幸雄/阿部優子/武井摩利訳★★★

ポーランドアフリカって接点があると普段ほとんど考えないのだけれど、きわめてよいルポタージュ。こうして独立してから何十年経つのに、アフリカ諸国とひとくくりにされがちな国々の個性を伝えてくれる。

しかし、出来事基本的に救いがない。人類史の多くは悲惨連続だが、アフリカで起きたことは桁の振れ幅が一つ違う。世界経済システムとの不幸すぎる出会いから五百年余り、まだ立ち直れていない大陸という印象を持った。とはいえ、暗澹たるルポタージュと言うわけでもなく、人々が村の中心の樹々に集まって生活するところや、市場の活気などは生命力にあふれ、まるでそこで暮らす人々の顔が浮かぶようだ。破綻した国家状態は目を覆うようだが、そこから復興して何とかやっている人々の姿もある。……と、当時の日記に書いてあった。

ところで、ヘミングウェイはよくアフリカ狩猟に出掛けているけれども、それは所詮旅行者の目で、上っ面でしかないと批判しているのがこの本だった。そう思っていたのだが、日記を読み返すとそれはポールセロー「ダーク・スターサファリ」だった。著者はマラウイウガンダで教鞭をとっていただけあって、アフリカに対して遠慮が無く極めて率直だ。時として情のこもった叱責や、人々へのまっすぐな好意も出る。きれいごとのないアフリカを知りたい人にオススメ

遅延する電車、かつての豊かな文化個性を失い広大なスラムと化したそれぞれの国の首都、高い失業率飢餓地元民のやる気を削ぐ支援窃盗強盗犯人へのリンチ放置されて本が残っていない図書館。親切な人や旧友もたくさん出てくるがいささか気が滅入ってくる。……と、当時の日記に書いてあった。

今はスマホも普及していてアフリカの様子も少なくとも都市部では大分違うと思う。ただし高野秀行は今でも地方市場では窃盗が起きると犯人リンチされると書いていた。

3-03「ロードジムジョゼフ・コンラッド 柴田元幸訳★★

沈没事故で船を見捨てた船員が、延々と続く良心の呵責に苦しみもがいて生きる話だったはず。

試練に敗れ、卑怯者のレッテルを貼られた人物独白を、別の語り手を通じて聞くという不思議構成だけれど、緊迫感が良い。最後には西欧世界の手の届かないところに引っ込んでしまうんだけれど、これって著者の中で「闇の奥」をどのように発展させてここに至ったのだろう。「闇の奥」の内容をあまり覚えていないので困る。語り手が「闇の奥」と同一人物だと全然気づかなかった。やはり覚えていないのは心細い。これは、たとえ敵意ある世界から逃れても……、的な話なのだろうか。……と、日記に書いてあった。「黒檀」と違い、こちらは日記を読み返しても当時の気持ちほとんどよみがえってこなかった。

3-04「苦海浄土石牟礼道子 ❗

この全集では最重要作品かもしれないのだが、実はこの作品だけ読めていない(だからこのエントリタイトルは「理系池澤夏樹世界文学全集を全部読んだから五段階評価する」ではない)。何かで水俣病患者が苦しみながら「これを垂れ流した企業の連中にメチル水銀汚染水を飲んでもらいたい」と心の底から呪っていたというのを読み、これほどの憎悪自分の中に受け止めるだけのエネルギーが無いと感じたためだ。もしかしたら社員だけでなく、その家族にも呪詛を向けていたかもしれない。記憶にない。あるいは、これはどこにも書いていないのだが、本当はこうして水俣病にかからなかった全ての人に向いていたのかも。

こういうことを言うと結局自国中心主義なのかと言われるかもしれないが、それをはっきりと自覚したのが石黒達昌「或る一日」を読んだ時だ(伴名練が編集した短編集がある)。戦争事故かはわからないが、強烈な放射能汚染で次々に子どもが死んでいく話で、読んでいて相当しんどかったのだが、特にきつかったのは名前が「美優」とか「翔」みたいに死んでいくのが現代日本の子もの(それとも自分と同世代人間の?)名前だった点だ。おそらく「亀吉」や「トメ子」だともっと冷静に読めただろうし、「サッダーム」とか「ウルスラ」とかだったらかなり距離ができる。

僕がこうして世界文学を読めていたのも、他人の苦しみが言語文化の壁によって希釈できているからでは、という疑念を僕に抱かせるに至った。

3-05「短篇コレクション Ⅰ」コルタサル他★★★★★

今にして振り返れば錚々たる作家ばかりだし、気に入った作家の(あるいは、ドナルド・バーセルミみたいによくわからなかった作家の)短編集を借りて読んだりもした(バーセルミは結局全然からなかった)。一方で、後になって適当に手に取った本の作者だったと後で気づくこともあった。当たりはずれがあるのがアンソロジーの楽しみである

フリオコルタサル南部高速道路東日本大震災の際に、災害時にできるコミュニティに関連して話題になったが、震災を知らない世代にも刺さる普遍性があるコルタサル作品の中で一番面白いものの一つ。金達寿「朴達の裁判は前提となる知識ほとんど知らずに読んだのだが、したたかに生きる庶民の話で、吉四六ばなしとひがみ根性のない「阿Q正伝」を足して割らない印象を受けた。官憲に殴られて卑屈に笑ってみせても、決してへこたれることのない強さがある。アリステア・マクラウド「冬の犬」は悲しいけどいい。この人の作品は何を読んでもカナダ東部の寒さが伝わってくる。新潮クレスト・ブックスで出ているので是非読んでほしい。レイモンド・カーヴァーささやかだけれど、役にたつことはわざとらしいが嫌いじゃない。村上春樹訳だ。最近村上春樹は一つの権威なっちゃってとうとう早稲田名誉博士にまでなって、「俺たちの反体制村上はどこに行っちまったんだ」みたいな気持ちになるが、翻訳は好きで、いまだに村上訳の本をたまに手に取る。それに、村上春樹小説男性中心的でときどきレイモンド・チャンドラーみたいにマッチョとはいえ、「メンヘラ」という言葉が広まるはるか前にもかかわらず、メンタル病気で苦しむ人の描写解像度が、身近にたくさんいたんじゃないかってくらい極めて高い。彼の最大の美点だ。もっとも、今では精神を病んだ当事者文学が出てきたので、「じゃあ当事者が書いた作品を超えるにはどうしたらいい?」ってのが次の文学課題だ。ガーダ・アル=サンマーン「猫の首を刎ねる」は、フランス移住したアラブ系青年が、男にとって都合のいい女がどれほど魅力的かを語ってくる叔母の幻影に悩まされる話で(たとえば恋する女性がもう処女じゃないことに苦しむと、脳内の叔母が「かわいくて素直で恥じらいのある処女を紹介するよ」と延々と語る)、あまりに男の欲望むき出し、即物的で笑っちゃうところもあるんだけれど、その都合のいい幻を切って捨てることもできないあたりがリアルで生々しい。男性向け・女性向けのポルノのぞき見ると、みんな都合のいいことばっかり望んでるよね(だがそれがいい)。

余談だが、自分恋人嫉妬深いので恋愛経験はあまり多くない方が好みだが、フォークナーを勧めてくれた友人は、むしろ経験豊富なほうが面倒くさくなくていいと熱く語っていた。このあたりは好みの問題だ。

閑話休題しかしこの叔母が独身だってのがミソで、「女の幸せ結婚だ」という社会独身女性は、こうやって世話焼きおばちゃん的な立場サバイブしてきたのだ、という指摘をどこかで読んだ。

目取真俊面影と連れて」は一番面白かった。自分の中では生涯読んだ短編の中の上位十位に入っている。ウチナーグチの語りなのだけれど、ひたすらいじめられ続けて、抵抗もできずにいる女性が、皇太子暗殺事件犯人関係して不幸になって、そのまま死んでいくという虚無の話なのだけれど、心が深く動かされる。世間ではタフになれとか戦って抗えとか言うけれど、抵抗するすべを知らず、その体力も能力もなく抵抗できずにそのままの人だってたくさんいる。弱い人間が弱いまま幸せに生きて死んで行けるようになってほしい。

3-06「短篇コレクション Ⅱ」A・グリーン/G・トマージ・ディ・ランペドゥーサ他★★★

前項は南北アメリカアジアアフリカが中心だったが、こちらはヨーロッパ作品が中心。こちらの巻はやや印象が薄い。

記憶に残っているのはサルマン・ラシュディ(ルシュディ)「無料ラジオで、人口対策で断種されてラジオをもらった男の話。どうもラシュディはこの政策に反対だったらしく、「真夜中の子供たち」でも断種・不妊手術を極めて否定的舞台装置として扱っているし、実行したインディラ・ガンディーを始め、権力を持った女性に対してうっすらとした嫌悪を持っている気がする。「真夜中の子供たち」でもアパート管理人の意地悪な姉妹とか出てきたし。

あとはミシェル・ウエルベックランサローテだけれど、ウエルベックはどの作品人権意識の高まりをはじめとした社会の変化について行けない中年男性の悲哀と愚痴が基本にあって、どれを読んでも感想が大体一緒になる。前にも書いたが要約すると「俺は非モテから思春期の頃には思いっきセックスできなかったし、処女と金銭のやり取りなしでイチャラブできなかった。中年になって女を金で買えるようになったが、ちっとも楽しくない。子供も老人もみんな大っ嫌いだ、バーカ!」「こうなったのもぜーんぶヨーロッパ文明進歩に見せかけた自滅のせいだ! みんなカルトに狂って不幸になっちまえ!」「人類所詮本能には抗えないサル並みの動物なので、あらゆる不幸はポストヒューマン進化しないと解決しないんだよ! アヒヒヒヒ!」。これはひどいもっとも、こういう反動的に見える作品にも賞をあげちゃうフランス文壇の度量の広さはすごいけどね。もしかしたら「セロトニン」はそこから一歩進んだかもしれないが読むのがめんどくさいし、これまた自分にとって輝きを(こんなものを読んでわざわざ憂鬱になりたいという暗黒の吸引力を?)失った作家だ。ウェルベックは悪くない。変わってしまったのは僕だ。

カズオ・イシグロも収録されていたはずなのだ記憶にない。

ところで、最後まで読んでみて見て思うのだけれど、このシリーズって表紙に毎回鳥が銀色印刷されているんだけれど、これってすべてポーズが違うんだろうか。重複したりしていない?

以上。

あとは同じように読んだ人のブログ探して読んでみようっと。

完読総評! 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 全冊 - ウラジーミルの微笑

池澤夏樹の世界文学全集は、何が読まれているのか? - ボヘミアの海岸線

おまけ

余談だけど日本文学全集は第10巻「能・狂言説経節曾根崎心中女殺油地獄菅原伝授手習鑑/義経千本桜仮名手本忠臣蔵」だけ読んだ。長いがめっちゃ面白い

岡田利規「能・狂言」の訳がかなり砕けていて、特に狂言だとカタカナも多用している。「荷六駄」の「おーい太郎いる?/はーい。/あ、いたのね」には笑ってしまったが(たぶん「太郎冠者、あるか」「御前に」あたりが原文だと思う)、当時の日本人にはこう聞こえていたのだろう。現代語訳したのが演劇の人なので、声に出してそのまま演じられそうなのがいい。カタカナ言葉が今の日本語の生きた要素として使われていることがよくわかる。

同時に収録されている狂言には視覚障害者おちょくるとんでもないネタもあるのだが、盲目であることが当時どのように受け止められていたかがわかる。江戸時代なんかだと視覚障害者団体も作っていたみたいだし、ただの弱者ではない。だから近江絵みたいに風刺対象ともなっているんだろうか。

おしまい

2024-08-21

anond:20240820232229

英国王室向けに出されるレシピでは

きゅうりの皮は全部剥いて薄緑の実の部分だけにし薄切り

軽く塩をしてパンには無塩バターのみ塗る

ミントのみじん切りを散らして挟み、

パンの耳は切り落として供する。

という甘みのないメロンサンドのような風情のものらしいですよ。

2024-07-10

スーツにおけるアンボタンマナー合理的理由がやっとわかった

ジャケットの下のボタンを閉めないアンボタンマナー殆ど場合合理的理由なしに「マナー」とだけで片付けられてしまうが、ボタンがあるのに閉めない合理的理由がわからモヤモヤしていた。

1900年前後舞台の英映画では全部留めてるのを見たこともそのモヤモヤ拍車を掛けていた。

前述の「殆ど場合」のソースネットであり、ネットに出てくるスーツマンはイケイケの小金持ち向けの営業マンしか見えず、はっきり言って彼らが言う「マナー」になんら信頼性を持てなかったのも理由の一つである


ところが今、納得できる合理的理由説明しているサイトを見つけ、腑に落ちた。

1900年初頭に在位していた英国王、彼は小太りであり晩餐会の折に腹がきつくなって下のボタンを開けてしまったそうな。

それまでアンボタンマナーはなく、通常考えられている通りボタンを開けるのは無礼に当たる行為であったのだろう。そんな無礼行為英国王がしてしまったのである


しかし彼は英国王である英国王のアンボタン行為無礼ものにしないように、周りのものがこぞってボタンを開けたのである

これがアンボタンマナーの始まりということだ。


なるほど、地位のある目上の者が総じて小太りであろうから、彼らに恥をかかせないよう最初からボタンを開けてしまおうというマナー。まさしく「マナー」とカテゴライズすべき合理的理由である

スーツにおけるアンボタンマナー合理的理由がやっとわかった

ジャケットの下のボタンを閉めないアンボタンマナー殆ど場合合理的理由なしに「マナー」とだけで片付けられてしまうが、ボタンがあるのに閉めない合理的理由がわからモヤモヤしていた。

1900年前後舞台の英映画では全部留めてるのを見たこともそのモヤモヤ拍車を掛けていた。

前述の「殆ど場合」のソースネットであり、ネットに出てくるスーツマンはイケイケの小金持ち向けの営業マンしか見えず、はっきり言って彼らが言う「マナー」になんら信頼性を持てなかったのも理由の一つである


ところが今、納得できる合理的理由説明しているサイトを見つけ、腑に落ちた。

1900年初頭に在位していた英国王、彼は小太りであり晩餐会の折に腹がきつくなって下のボタンを開けてしまったそうな。

それまでアンボタンマナーはなく、通常考えられている通りボタンを開けるのは無礼に当たる行為であったのだろう。そんな無礼行為英国王がしてしまったのである


しかし彼は英国王である英国王のアンボタン行為無礼ものにしないように、周りのものがこぞってボタンを開けたのである

これがアンボタンマナーの始まりということだ。


なるほど、地位のある目上の者が総じて小太りであろうから、彼らに恥をかかせないよう最初からボタンを開けてしまおうというマナー。まさしく「マナー」とカテゴライズすべき合理的理由である

2024-06-29

anond:20240627045444

7つの海の怪奇⑦ 消えた船から届く手紙!?

 

怪奇⑤で紹介した『魔のバミューダ三角地帯から、そう遠くない海上に、コロンブス時代から“呪われた島”として船乗り達に恐れられている島がある。

セントクリストファーネビス。神をも恐れぬ海賊達も、その名を聞いただけで震え上がったという、幾多の船乗りの血を吸ってきた島だ。

ここは、正確にはセントクリストファー島とネビス島という二つのからなっていて、前者はこの未開の地を最初に踏破したコロンブスファーストネームからつけられている。もう一方のネビスの由来にはさまざまな説があるが、ポルトガル語の雲(nuvens)が転じたというものが有力だ。というのも、ネビス島には常に山頂を雲で覆われている活火山・ネビス山があり、原住民ですら一生のうちにその山頂を見ることはない。言い伝えでは、山頂は「天に消えた大陸」に繋がっていて、それを目にすることは即ちその大陸への移動(つまりは死か)を意味するという。場所柄、怪奇①の『アトランティス大陸』を思わせる伝説でもある。

どんなに周囲が晴れていても、どんなに風が強くても、この雲は消えない。また、時折島全土を丸ごと覆うほど雲が巨大化する時もある。

そして、最も厄介なのが、この雲の一部がちぎれ、海上に漂い出す時なのだ

 

1777年7月ジョーンズ船長率いる英国公認海賊船「黄金の猟犬」号は、アフリカ大陸奴隷仕入れを終えてジャマイカに向かう途上にあった。

カリブ海に入る直前、航海で三度目の嵐に襲われたものの大きな被害もなく切り抜けた。とはいえ航路の大幅な変更を余儀なくされ、寄港予定のセントルシア島よりかなり北寄りの「風下の島々」に辿り着くこととなった。呪いなどを信じない英国人のジョーンズ船長は次の寄港地をセントクリストファーネビスに決める。

こうした寄港地の変更は、当時はよくあることであり、敵国船などに出会わない限りは大きな問題とはならない。しかし「黄金の猟犬」号とその乗組員にとっては、この決断が致命的となった。

“呪われた島”に近づいた時、数人の乗組員は既に異変に気づいていた。ネビス島はすべてが雲に隠れて姿が見えず、雲の一部は巨大なジニー(風の精霊)が伸ばす手のように船に忍び寄ってきていた。しかし、必死進路変更を訴える乗組員の声を聞き入れず、ジョーンズは船を伸びてきた雲を掻き分けるようにしてセントクリストファー島の港に入港させた。

この時点で、既に積荷として船内に詰め込まれていた奴隷ほとんどが変死している。脱水症などで奴隷輸送中に死ぬことは日常茶飯事ではあるが、入港の前は100人弱の生きた奴隷がいたというから、それがいっぺんに死んだとするなら異常な数だ。

入港後、船から降りた者は誰一人船に戻らなかった。そう大きくない港の集落の中でほとんどが行方不明になり、稀に遺体発見される場合は全て無惨な姿に変わり果てていた。いずれも同じく上半身下半身が真っ二つにちぎれたまま事切れていたという。

船も港から出ることはできなかった。どういうわけか一夜にして港は封鎖された池となり、日を追うごとに干上がって塩湖となった。船に残った乗組員は船から出ることも叶わず飢えと渇きで死んでいった。

まり黄金の猟犬」号の乗組員(と奴隷)は全滅したわけだが、ここまで詳細な死の記録が残ってるのは、なんと英国王室宛に乗組員からの救助要請手紙が届き続けていたかなのだ手紙1777年8月から翌78年の11月にかけて、7回にわたって届けられている。この文書英国王立古文書館に現存していて、他の文書と筆跡などを比較・鑑定した結果、間違いなく当時「黄金の猟犬」号に乗っていた記録官の文字であることが確認されている。

手紙は誰がどう届けたのか。そもそも書いた乗組員はどうやって(少なくとも1年強)生き延びていたのか。謎は尽きない。

 

最後に筆者の想像を述べておこう。

ネビス島の“雲”は噴煙なのではないだろうか。ネビス山は活火山であり、規模の差こそあれ、絶え間なく噴火を続けていた、その噴煙が多い時、つまり大きな噴火の時に島に近づいてしまった「黄金の猟犬」号は、噴火に起因する大規模な地殻変動に巻き込まれて、再び出港できなくなったのではないか。船体に積み込まれていた奴隷から先に死んでいったのは、噴煙による酸欠あるいは一酸化炭素中毒であろう。

セントクリストファー島には「大塩池」という湖のような大きな池が存在する。かつて湾であった場所が隆起して海から隔絶されたような場所だ。筆者はこの池の底に、かの船は眠っているのではないかと考えている。

2024-03-24

泣きながら排泄した日

英国王室、キャサリン妃身体腫瘍が見つかった。

奇しくも、自分も似たような病状に悩まされている。

毎日出掛けるのも億劫で、皇室の方のように真摯に診てくれるような医師もいない。それどころか、懇意にしていた病院看護師には「お帰りください」と冷淡な態度を取られた。

数ヵ月後のスケジュールまで埋まっており、流れる日々の中で忙殺されて健康が年ごとに損なわれていく。不安を抱えながら、現実直視するのは苦しく、毎日やれるだけの事をやって凌いでいる。最早、踠いていると言った方が正しく医療の発展の一方で治癒の見込みがあるかどうかも不明だ。

そんな自分に寄り添ってくれるのは猫だけだ。

胴体がトイレットペーパーほどの太さしか無かった愛猫も今ではすっかり大きくなった。

子供を二、三人持つ人も珍しくはないが自分は叶わなかった。

キャサリン妃は「希望を失わないで」と言ったが、私にとってはこの猫こそが唯一の希望である

まだ若い猫の将来を思うと、生きなければ、食べなければと思う。

同時に腹が蠕動し排出を始めようとした。

私に生きる気力が無くとも、この体は生きようとする。便意含む消化活動がその証明だと思えば、自然と涙が溢れた

2024-03-13

英国王ダイアナ妃と別れなければ人気があったろうに、早々にガン患者になったものだな

2024-01-05

金持ちでも売春に3万くらいしかさない謎

ハマダとかはフレンチクルーラー女性10万くらい渡したそうだけど、これはレアケースで、たとえば英国王室のアンドリュー王子みたいなセレブ中のセレブ買春クラブで連中すら、3万円なわけよ

2023-12-19

会社で働いてる人は演技をしている

英国王室を描いたドラマ「ザ・クラウン」で、ウェールズ炭鉱崩落による悲劇を題材にした傑作回がある。

終盤に、女王はこの悲劇に対して「まったく感情が動くことがなかった、私は人として何かが欠けていると思う」と当時の首相ウィルソン吐露する。

ウィルソン首相労働党党首)は「誰にも言わないでください」と前置きして、

実は私は肉体労働したことがないし、(労働者が好む)ビールよりもウイスキーが好きだ。パイプより(上流階級が好む)葉巻を吸う。でも、パイプを吸ってたほうが親しみやすいだろうから大衆の前ではパイプを吸いますありのままの姿では国の顔にはなれません。」と言う。

要するにウィルソン首相仕事のために頑張って演技をしているのだが、国の顔として女王のその感情の欠落は恩恵である、と言う。

というのをみて、そういえば職場の上の立場の人たちはなにか自己欺瞞的だったり嘘くさい言葉を並べるなと感じてたが、そうか演技をしてるんだと思ってなにかが腑に落ちた。

2023-12-03

英国王室の王子ですら、子供の頃に学校イジメに遭うくらいだから人間イジメへの飽くなき欲求は止まることがない

2023-11-30

海外ドラマのザ・クラウン英国王室のドラマ)を見ていると、王のための教育というのは「権力を持った時に暴走しないため、権力自身に押しつぶされないため」のものなんだろうな、としみじみ思う

普通人間は真の権力が近くに存在するだけで、その重力に耐えきれず破滅してしま

2023-11-20

anond:20231119113234

国家元首としての人格にお悔やみを申し上げてるってことだよ

宗教の長としての法王英国王に出してるわけではない

翻って大作は宗教家としての顔しかないはずだが

2023-08-21

どこからどこまで陰謀論???

Qアノンとか、陰謀論者はキチガイ扱いされてるし、俺もバカだとは思っているが。

じゃあ実際、どこまで陰謀論でどこまで事実としてありえそう?って考えたら分からなくなってきた。

いわゆる本家Qアノンというと、まずエプスタイン児童売春事件があって、その裏に英国王室やクリントントランプなどの政治家が関わっていたという疑惑があるが。

まず、児童売春事件のもの事実として、その島を政治家などが訪れていたことは確からしいのだが、

その政治家の中に児童売春顧客がいたのではないか、というのは憶測に過ぎない。

憶測にすぎないが、しかしその疑いを持つこと自体は、即ち陰謀論者とバカにするほど突飛でもない気がする…十分あり得そうに感じる。

 

日本でもプチエンジェル事件というのがあったらしい。

大規模な児童売春行為が行われており、その顧客リストには政治家財界要人などが含まれていたため闇に葬られた、などと都市伝説めいた形でよく語られているが。

実際のところ、全然ありそうな話…と感じる俺は陰謀論者の素質があるのだろうか?

実際問題政治家警察官僚などの上級国民によって闇に葬られもみ消されている事件なんていくらでもあるのでは?と疑ってしまうのは。

皆は、そんな闇など現実にはなくて、全部くだらない陰謀論にすぎない、と思ってるのだろうか。

2023-08-09

anond:20230808182449

投下を決定した暫定委員会メンバー英国王室の親戚っぽい富豪たちだよ

裕仁は死後でもガーター勲章返上して因果応報すべきだろ

2023-05-03

マツコの知らない世界英国王室の話に出てくる家系図王位継承順を見てるんだが

「年齢順で男子から」継いでく感じなのに、3番目が女で4番目が男なのがわからない

皇太子(王位継承権1位)の子供」だけは「単純な年齢順」なのか?

2023-03-13

世界には子供性的虐待を受けていないか判定するために子供肛門性交経験の有無を判定する方法を真面目に研究している医学者が存在します。

 公的機関によるガイドラインも作られていて英国王小児科・小児保健協会(RCPCH)が定めた「児童性的虐待における代表的肛門所見」があります

 児童性的虐待の診断は事情が複雑で一種類の検査だけで判断出来るようなモノではありません。

2023-01-29

プラセボではないけど根拠不明の話

ミルクティーに関する本家イギリスでの論争で、最も有名なのは

「冷たいままのミルクを使うか、ホットミルクを使うか」

問題だろう。

これは確かに一長一短であり

しかしながらこれこそ「1か0か」しか見ていないからこういう話になるのであって、

ミルクが臭くならない人肌の温度プラスアルファを上限に温める」

で、少なくとも自分解決していたり。

前置きはこれくらいにして、自分が目下ミルクティーで非常に驚き、戸惑っている話をしようと思う。

それはミルク紅茶について、カップに注ぐ順序が違うだけで、味が変わるという事実である

というかミルク先入れのほうが確実に美味しい。

これは昔ホッテントリしていたサイトで書かれていたことを試した結果である

そこのサイトは他にも

ミルクティー用の紅茶は硬水で淹れるほうが、コクがしっかり出て美味しい」

ミルクティー用の紅茶ケニアアッサムなどがおすすめ

などなど有用情報だらけで、これは本当にそうだったし、水の話とかもミネラル多寡が影響していることは容易に理解できたのだが、問題の注ぐ順番については

「それは流石にプラセボとか迷信のたぐいだろう」

半信半疑だった。

しかしながら本場イギリスでは冒頭に書いたミルク温度匹敵する長年の論争になっていたそうで

の二手に分かれていたものの、英国王化学協会ミルク先入れがベスト結論付けたことで終息と。

なので、結局これを自分の舌でも確認しただけの話ではあるのだが、どうにも解せない。

これはマジで化学有識者からコメントがほしいのだが、一体ミルクの先入れ後入れの何がどう違うんだろう。

根拠が気になって夜しか寝られない話だったり。

2022-12-17

英国王室とか裏データとして各王族のチンチンの大きさとかのデータ保存してそう。

2022-09-09

エリザベス女王話題を引き合いにして、早速アベガーやってる奴らいるけど

英国王室なめんな

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