ディヴァインラヴとは、以下の2つの意味を持つ。
ここでは2の競走馬について説明する。
愛を分かち合って
父エピファネイア、母ディープラヴ、母父ディープインパクトという血統。
父と母父の組み合わせは2020年の菊花賞2着馬・アリストテレスと同じ。同じエピファネイア産駒のデアリングタクトやエフフォーリアと同様、*サンデーサイレンスの4×3となる配合である。
2018年2月11日生まれ。日本最大最強の競走馬牧場ノーザンファームで生まれる。
オーナーは「ドラゴン」冠名を使用している窪田芳郎。
馬名の由来は「神の愛。父名の意味である「公現祭」と母名より連想」。
デビュー~3歳9月まで
クロノジェネシスやラウダシオンが所属する栗東の斉藤崇史厩舎に入厩し、デビューは2020年10月10日の京都競馬場(芝1600m)。中団後方から追い込んだが4着(ちなみに勝ったのは翌年の桜花賞・オークス5着のアールドヴィーヴル)。4週間後の阪神競馬場の未勝利戦(芝1800m)を先行策から抜け出し後続の追撃を振り切って初勝利を挙げる。
明けて3歳、2月のエルフィンステークス(L・中京芝1600m)に向かったが外枠が祟ったか終始外を回らされて直線伸びきらず8着。桜花賞は断念し、4月の平場の1勝クラス(阪神芝1600m)に出たがまた外枠に祟られて後方から大外を回らされブービー15着惨敗。
続いて5月の矢車賞(1勝クラス、阪神芝2200m)ではまたまた外枠だったが先行策を採り2番手につけ、4コーナーで先頭に出たものの押し切れず直線でかわされ5着(勝ったのはオークスで16番人気3着に突っ込んだハギノピリナ)。クラシックには縁のないまま春を終える。
夏になり、7月のタイランドカップ(1勝クラス、小倉芝2600m)へ。ここから鞍上が福永祐一となる。前目からレースを進めると直線で力強く抜け出して快勝。
続いて9月の木曽川特別(2勝クラス、中京芝2200m)。ここも前目からレースを進め、直線で楽々と抜け出すと、追い込んできたマカオンドールの追撃を半馬身凌ぎきって勝利。収得賞金を1500万円とした。
菊花賞への挑戦
さて、春のクラシックには縁がなく、夏になって条件戦を連勝という典型的な「夏の上がり馬」コースに乗ったディヴァインラヴ。牝馬であれば通常牝馬三冠の最終戦・秋華賞(芝2000m)に向かうのだが、彼女が次走に選んだのはなんと牡馬クラシック三冠の菊花賞(芝3000m)だった。
菊花賞に牝馬が走ったのは2年ぶり(2年前はメロディーレーン:5着)と書くとよくあることに見えるかもしれないが、1970年に牝馬三冠路線が確立してからでは51年でたった5頭目の挑戦である。
鞍上の福永祐一が前々走の2600mのレースで手ごたえを感じ陣営に進言して、斉藤崇調教師がそれに乗った形だった。メロディーレーンと共通しているのは、芝2600mを勝利しているという点である。抽選ラインは収得賞金900万円(1/5)だったので、彼女は追加登録料を支払い出走をあっさりと確定させたのであった。
レースであるが、タイトルホルダー(メロディーレーンの半弟)が逃げて勝利する後ろで、オーソクレース(ホープフルステークス2着、セントライト記念3着)・ステラヴェローチェ(神戸新聞杯勝利、朝日杯フューチュリティステークス2着)と争い、3着に入ったのであった(2着のオーソクレースとアタマ差、4着のステラヴェローチェとはハナ差)。
菊花賞で牝馬が複勝圏内に入ったのは、グレード制導入後では初、それ以前を含めても1966年のハードイツト以来55年ぶりであった。[1]
鞍上の福永祐一騎手は「最後はフラフラだったがいいチャレンジだったと思います。厩舎スタッフがいい状態に仕上げてくでたし距離適性も高いと思う」と語り、斉藤崇調教師も「鞍上が完璧に乗ってくれた」と讃えた。
年内は放牧でリフレッシュとなり3歳シーズンは終了。同じ10月に3000mの古都Sを勝ち、牝馬として24年ぶりに芝3000m以上のレースを勝ったメロディーレーンとともに、今後のステイヤー型牝馬の新たな道しるべとなるだろう一歩を記した挑戦であった。
4歳・突然の引退
明けて4歳は2月27日の松籟ステークス(3勝クラス・阪神芝3200m)から始動。唯一の芝3200mの条件戦であり、5月の天皇賞(春)と同条件のレースということで、大目標は春の盾のようである。
牝馬ながら他の牡馬と同等の55kgを背負いつつも単勝1.7倍と断然の1番人気に支持されたが、スタートで出負けして後方から外を回らされるレースになってしまい、4コーナーから早めに仕掛けたものの残り200mで脚が尽き、5着同着止まりに終わった。
その後、桜花賞と同日の10R、4月10日の大阪―ハンブルクカップ(OP・阪神芝2600m)に出走するとの報道があったが出走登録されず。そして4月20日、JRAの競走馬登録が抹消、引退となった。現段階では詳しい情報がないため急な引退の理由は不明。
オーソクレースも同月に右前浅屈腱炎で引退が発表されており、2021年菊花賞の2着馬と3着馬が相次いでターフを去ることになった。
ヨカヨカ、サトノレイナス、アカイトリノムスメと故障に苦しむ馬が相次ぐ2021年クラシック世代の牝馬たちだが、ディヴァインラヴもどうやらその1頭となってしまったようである。
引退後
引退後は新ひだか町のグランド牧場で繁殖入り。初年度のお相手にはロードカナロアが選ばれたようだ。
牝馬のステイヤーとして新たな歴史を刻む夢は絶たれてしまったが、彼女がメロディーレーンとともに切り拓いた道が、次代のステイヤー型牝馬の目標となることを。そして彼女の血を継ぐ子供たちが母の夢を受け継ぐことを願いたい。
血統表
エピファネイア 2010 鹿毛 |
*シンボリクリスエス 1999 黒鹿毛 |
Kris S. | Roberto |
Sharp Queen | |||
Tee Kay | Gold Meridian | ||
Tri Argo | |||
シーザリオ 2002 青毛 |
スペシャルウィーク | *サンデーサイレンス | |
キャンペンガール | |||
*キロフプリミエール | Sadler's Wells | ||
Querida | |||
ディープラヴ 2011 鹿毛 FNo.8-g |
ディープインパクト 2001 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burghclere | |||
*シーズインクルーデッド 2004 鹿毛 |
Include | Broad Brush | |
Illeria | |||
Dancingonice | Robyn Dancer | ||
Coldallthetime |
クロス:*サンデーサイレンス 3×4(18.75%)、Hail to Reason 5×5(6.25%)
- 父エピファネイアは2013年菊花賞・2014年ジャパンカップなど14戦6勝。代表産駒はほかにデアリングタクト(牝馬三冠)、エフフォーリア(皐月賞)がいる。
- 母ディープラヴは中央で6戦して未勝利2着2回3着2回、地方で2戦して着外2回。
関連動画
1のほう
2のほう
関連リンク
関連項目
脚注
- *ちなみに1966年の菊花賞は1着はナスノコトブキ(その後、翌年の天皇賞(春)で予後不良級の故障を発生、馬主の要請で治療をしたが助からず)、2着はスピードシンボリ(翌年の天皇賞(春)の覇者。アメリカ遠征も行った。1990年にJRA顕彰馬になる)。ハードイツトはそんな2頭から1と4分の1馬身差の3着。4着には2馬身差をつけた。
- 2
- 0pt