政治への不信が渦巻き、投票率の低下が著しい。 戦後80年を経て揺らぐようにも見える日本の民主主義に、処方箋はあるのだろうか。どんなアップデートが求められるのか。そんな疑問を携え、一人の大家を訪ねた。 かねて「民主主義を信じることが学問的信条」と語る政治学者、宇野重規さん(57)。政治思想史、政治哲学を専門にする東京大教授だ。 「社会の底が抜けた気はしますよね」 そんな言葉を用いつつ、困惑と確信の入り交じる話が始まった。【聞き手・春増翔太】 この記事の後半では、次のことを語っています。 ・民主主義への実感はいかにして得られるか ・自分と対立する意見への納得の仕方 次の関連記事があります。 私たちのことは自分で決める くじ引きで選ぶ議会はあり? 「政治不信」の根底にあるものとは…… ――そもそも、日本の民主主義は危機にあるのでしょうか。 ◆投票率が低いから、直ちに危機かというと分かりません。