鬼とは、
- 日本の伝説、伝記上の妖怪のひとつ。
- 勇猛・無慈悲・強者・豪快・化け物の意味。
- 漢字の部首で『鬼』。魁・魂・魔など。人の魂を示す。
- その時代の権力者に逆らう敵を、悪い妖怪として仕立て上げたプロパガンダの一種。
- 落語『鬼』。
- 小説『鬼』。1931年6月 キング。江戸川乱歩作。
- 小説『鬼』。西村寿行作。「日本幻想作家名鑑」で寿行幻想文学の最高傑作と称された。
- 小説『鬼』。今邑彩作。
- 小説『鬼』シリーズ。1995年9月 角川スニーカー文庫。前田珠子作。
- 小説『鬼』。ジャック・シェセックス作。早川書房。1977年。伊藤守男翻訳。
- 小説『鬼』。郭秋生作。
- 小説『鬼』。1977年12月 河出書房新社のち中公文庫。綱淵謙錠作。
- 小説『鬼』。織田作之助作。
- 小説『鬼』。1999年 光文社。生島治郎作。
- 絵本『鬼』。1972年 あかね書房。瀬川康男絵 今江祥智文。
- 漫画『鬼』。永井豪作。また他にも鬼に関する作品がいくつかある。
- 漫画『鬼』。山岸涼子作。
- 劇『鬼 ONI』。2010年4月。劇団ZAPPA 。
- 人形劇『鬼』。1972年。川本喜八郎作。
- 聖飢魔II 入門教典 THE BEST OF THE WORST(2003年6月25日)内の曲『鬼』。
- 陰陽座のアルバム『鬼哭転生』(1999年12月5日)内の曲、『鬼』。
- 高岡奈央のミニアルバム『まずはゴハンをたべなさい』(2002年7月24日)内の曲、『鬼』。
- 人間椅子のアルバム『修羅囃子』(2003年1月21日)内の曲『鬼』
- UPLIFT SPICE(アップリフト・スパイス)のアルバム『UPLIFT SPICE』(2008年7月9日)内の曲『鬼』。
- アダルトゲーム『鬼-おに-』。2000年12月13日。株式会社インタハート。
- 「とても」や「超」の代わりに使う若者言葉。例『鬼すごいっすね』。DDRや太鼓の達人の最高難易度。
- 警備隊の第四機動隊。実力行使を伴う事からついたニックネーム。
- TV番組「仮面ライダー響鬼」に登場する戦士の通称→鬼(仮面ライダー響鬼)
本項では1.について記述する。
概要
伝説上の妖怪の一種。
特徴
読みは隠(おん、おぬ)から来たと言われる。
その姿は日本各地で違うが、基本的には人型、頭に角を生やし、虎から作られた毛皮を腰に巻いて、さらに怪力で狂暴な性格というイメージが強い。色は基本的には赤色。
妖怪の代表とも言うべき存在であり、ヒーローの対の悪として退治される役、また恨み憎しみが極まった人間として、古来からの民話の敵役として語られてきた。一方、その強大な畏怖は鬼門除けなど、魔を断つ厄払いの象徴にもなっている。
その言葉は怨霊や妖怪全般、悪党、地獄の閻魔に使える者、神や人の代わり果てた姿など広い意味を持つ。共通する点は世の中の異端であるという事、鬼とはまさに異端の象徴である。
歴史
本来、中国の鬼という漢字は日本で言うところの亡霊を意味しており、形あるイメージは無かった。なぜ日本でこのような姿を取るようになったかは諸説あり、結論は出ていない。平安時代では中国の亡霊に近しい姿であったが、それが時代が進むにつれ徐々に形どり、戦国時代に今の想像が完成されたと言われる。民話などの伝承は数多にあり、桃太郎や一寸法師、大江山の酒呑童子などが有名。鬼に関する祭りも各地にあり、なまはげ等の信仰対象として昔から存在する、町おこしにも使われる。
鬼の種類
”鬼”が入る言葉
- 鬼籍 - 死者。ちなみに鬼籍とは閻魔大王が持っている、死人の名前が記入された台帳(閻魔帳)の事で、そこに名前を記入される事からとって人が死亡するさまを「鬼籍に入る」「鬼籍の在籍者となる」とも言う。点鬼簿とも。
- 鬼才 - 人間離れした才能を持つさま。或いは、そのような人物。
- 殺人鬼 - 人殺し。
- 殺鬼・刹鬼(せっき) - 人殺し。無常の意味。
- 鬼畜 - 冷酷な人間。「餓鬼」と「畜生」を合わせた仏教用語。
- 鬼門 - 丑寅の方角。北東。陰陽道で忌むべき方角としている。逆方向は犬・猿・鳥。
- 鬼宿 - 二十八宿の一つで、南方朱雀七宿の第2宿。
- 鬼火 - 日本各地で伝わる浮遊する火の玉。人の怨念とも言われる。
- 鬼瓦 - 鬼の顔を模した瓦。厄除け。
- 鬼道 - 餓鬼道。また邪馬台国の卑弥呼が使用していたと言われる術。内容は不明。
- 鬼ごっこ - 鬼役が他の人を追いかける遊び。また、かくれんぼや缶けり等の探し役も鬼と呼ぶ。
- 鬼々しい(おにおにしい) - あらあらしい。
- 鬼歯 - 通常とは異なる生え方をした歯。
- 鬼食い - 毒見。
- 鬼子 - 歯の生えた状態で生まれた子、中国では悪口。
- 鬼心 - 無慈悲な心。
- 鬼殺し - 悪酔いする酒。
- 鬼夫婦 - 喧嘩ばかりする夫婦。
- 鬼娘 - 人食いの女。醜い女。強気な女。性格の悪い女。
- 鬼嫁 - 夫に対して暴力を振るう妻。
- 戦鬼 - 戦いを好むもの。ゲームなどの造語。
- 雀鬼 - 麻雀の強い人。造語。
- 白鬼 - 売春婦。または判事。
- 鬼御影 - ペグマタイト。
- 鬼灯(ほおずき) - 赤い風船の様な見た目をした植物。仏教では死者の霊を導く提灯に見立てて飾る。
- 鬼の戯言 - 親しくされると、かえって不気味に感じる。
- 鬼が出るか蛇が出るか - どんな困難が起こるかわからない。
- 鬼の首を取ったよう - 手柄を立てた者が有頂天になる。
- 鬼も十八 番茶も出花 - どんなに器量の悪い女でも、年ごろにはかわいくなる。
- 鬼も角折る - 悪人が善人になる事、頑固な人が態度を一変させること。
- 鬼も笑顔 - 醜い顔の人でも、笑えば愛嬌がある。
- 鬼も寝る間 - どんな者にも隙はある。
- 鬼将軍 - 鬼のように恐れられる将軍。中国ではがりがりにやせた、幽霊のような将軍。
- 鬼軍曹 - 畏怖によって部下を律する軍曹。そのような教育をする人。
- 又鬼(またぎ)- 平安時代から存在した、東北地方の狩猟団体。
- 心を鬼にする - 意識して冷たい態度を取る。
- 来年の事を言えば鬼が笑う - 未来について予測しても意味が無い。
- 渡る世間に鬼はない - 世の中、悪い人ばかりではない。
- 鬼の霍乱 - 病気にならなさそうな人が、思いがけない病気になる。
- 鬼の居ぬ間に洗濯 - うるさい人がいない間に、一休みする。洗濯は息抜きの意味。
- 鬼に金棒 - 強者がさらに力を得る。
- 鬼の目にも涙 - どんな非情な人にも、優しい所がある。
- 鬼一口 - 物事が激しいさま。またはたいへん危険な目にあう事。
- 鬼気迫る - 凄まじい気迫。
- 鬼を欺く - とても強い、もしくはとても醜いため、鬼かと思われる人。
- 鬼に衣、鬼の念仏 - 不必要。似合っていない。
- 異郷の鬼 - 祖国以外で死ぬ事。
- 護国の鬼 - 自分の国を守るために戦死した人。
- 鬼の空念仏 - 悪者が表面上は善人ぶる事。
- 小姑一人は鬼千匹に向かう - 小姑の厄介さは鬼千匹に勝る。この言葉から転じて小姑のことを鬼千匹と呼ぶ。
- 墨は餓鬼に磨らせ、筆は鬼に持たせよ - 書道のさいに、墨をするときは力を抜き、字を書く時は力強く書けという意味。
- 断じて行えば鬼神も之を避く - 強く決心して行動すれば、鬼神も退くという意味。
- 刀下の鬼となる - 斬り殺されること。
- 暗がりに鬼を繋ぐ - 真相がわからない。
- 知らぬ仏より馴染みの鬼 - 仏の様な知らない人より、鬼の様でも知っている人の方が重要。
- 神出鬼没 - 行動が自由自在で居所の予測がつかめない。神・鬼は出たり消えたりする事から。
- 滅鬼積鬼(めっきしゃっき) - 地獄の鬼の名前、滅鬼と積鬼。厳しく責めて問いただす事。
- 神算鬼謀(しんざんきぼう) - 人並み外れた優れた考え。
- 鬼手仏心 - 一見、残酷な行為に見えて、実はその人のための行動である事。外科医が治療のために人を傷つける事。
- 鬼哭啾々 - たくさんの霊魂が泣いている、恐ろしい気配の場所。
- 仏性鬼面 - 誰か指導する時は鬼の様な態度と、仏の心を持って指導せよという意味。
- 動物・植物 - 鬼ヤンマ、鬼カブト、鬼ヒトデ、鬼海老、鬼芥子(おにけし)、鬼百合、鬼蓮、鬼女蘭(きじょらん)、鬼灯(ほおずき)、鬼麻、鬼薊(おにあざみ)、鬼虎魚(おにおこぜ)、鬼蜘蛛、鬼胡桃(おにくるみ)、鬼山芹菜(おになべな)、鬼の醜草(おにのしこくさ)、鬼頭魚(しいら)などなど。
鬼の話や伝承や行事
大百科に記事が存在する鬼のキャラクター・関連作品
他にあれば、追記をお願いします。
漢字として
- 意味
- 死者の魂、死者、おに、鬼神、妖怪、人間業じゃない、知りがたい、遠い。また人に対する蔑称として使われる。
- 〔説文解字・巻九〕には「人の歸する所を鬼と爲す」とある。
- 字形
- 鬼頭の人の象形。〔説文(段注本)〕に「人に從ひ、甶、鬼頭に象る」とある。〔説文〕は続いて「鬼は陰气賊害す。厶に從ふ」と、厶に従う理由を説明する。しかし甲骨文や金文では厶の部分が無いことが多く、後に加えられたものである。
- 音訓
- 音読みはキ(漢音)、訓読みは、おに。
- 規格・区分
- 常用漢字である。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。JIS X 0213第一水準。
- 部首
- 鬼は部首である。繞に置かれることが多く、おに、きにょうと呼ばれる。妖怪や霊魂に関する字が属する。
- 声符
- 鬼を声符とする漢字に、傀、嵬、媿、隗、魁、槐、瑰、瘣、螝、褢、騩、䫥などがある。
- 語彙
- 鬼飲・鬼火・鬼界・鬼気・鬼哭・鬼才・鬼子・鬼宿・鬼神・鬼籍・鬼胎・鬼畜・鬼誅・鬼道・鬼方・鬼謀・鬼魅・鬼面・鬼門・鬼録
異体字
- 𩲡は、〔説文〕に「古文、示に从ふ」、〔玉篇〕に「古文」とある異体字。
- 𩲚は、〔正字通〕に「𩲡、~或ひは省して𩲚と作す」、〔字彙補〕に「古文鬼字」とある異体字。〔康煕字典〕は訛字ではないかとしている。
- 𢇼は、〔字彙補〕に「古文鬼字」とある異体字。
- 𣆠は、〔字彙補〕に「古文鬼字」、〔康煕字典〕に〔篇韻〕を引いて「古文鬼字」とある異体字。
- 𩲞は、〔字彙補〕に「音義、鬼と同じ」、〔康煕字典〕に〔五音篇海〕を引いて「鬼に同じ」とある異体字。
- 𩳉は、〔字彙補〕に「音義、鬼と同じ」、〔康煕字典〕に〔五音篇海〕を引いて「鬼に同じ」とある異体字。
- 𤱲は、〔竜龕手鑑〕に「音、鬼」、〔字彙補〕に「鬼と同じ」とある異体字。
- 𩴿は、〔字彙補〕に「音義、鬼に同じ」、〔康煕字典〕に〔捜真玉鏡〕を引いて「鬼に同じ」とある異体字。
- 𩳹は、〔字彙補〕に「音義、鬼に同じ」とある異体字。
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