『人造昆虫カブトボーグ V×V』(じんぞうこんちゅうカブトボーグ ビクトリーバイビクトリー)とは、2006年~2007年に制作・放送されたアニメ作品である。
株式会社トミー製の玩具についてはこちらを参照⇒カブトボーグ(玩具)
令和に復活した玩具についてはこちらを参照⇒バトル昆虫カブトボーグ
概要
株式会社トミー(現:株式会社タカラトミー)のおもちゃ「カブトボーグ」の販売促進のため企画されたアニメである。
一見、子供番組のように感じられるが、今までのアニメには見られない斬新なアイデアを多数盛り込み、視聴者を驚かせた。放送当時の知名度は低かったが、その内容の凄まじさから、後にアニマックスで特集を組まれ、ニコニコ動画でも無料配信されると多くのファン(通称:ボーガー)を生み大人気作品となった。
アニメ業界・視聴者を震撼させた内容
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作品の詳細
人造昆虫カブトボーグ V×V |
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基本情報 | |
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原作 | タカラトミー |
監督 | 石踊宏 |
脚本 | 大和屋暁 下山健人 浦沢義雄 千葉克彦 隅沢克之 |
製作 | カブトボーグ製作委員会 |
放送期間 | 2006年10月 - 2007年10月 |
話数 | 全52話 |
漫画・アニメテンプレート |
話数は全52話で構成されている(一部では毎回最終回みたいなので全52期と揶揄されている)。
タイトルに「V×V」と銘打ってはあるが前作などは存在せず、カブトボーグのアニメ作品は本作のみである。
作品の主な舞台は、2010年の東京都武蔵野市吉祥寺周辺。そのため、劇中に中央線で一本の「高尾山(タカオマウンテン)」などが出てくる。
なお、「作品を放送してもらおうとテレビ東京に持ち込んだところ、「放送できる内容ではない」と拒否され、BSジャパンとアニマックスで放送された」という噂があるが、これは間違い。10周年記念イベント「カブトボーグ祭(非公認)」にて、製作側は「放送拒否されたという事実はなく、当初から韓国向けに作成した」と説明している(面白い噂だったのでそれまで黙っていたらしい)。
番組中、敵のボスと戦うにいたって、次回予告のナレーションだけで倒してしまったことにし、アニメ業界及び視聴者の間に大きな衝撃と反響を生んだ。しかもその後、敵のボスは二度と登場しなかった(次回予告ナレーション:「(敵を)壊滅させてやった!」)。
また、主要な登場人物が死亡したエピソードでは、多くの視聴者が感動で涙を流したのもつかの間、何も説明がないまま次回予告で死亡したはずのキャラクターが登場し、次週では本当に何も説明がないまま生き返っていたことが何回かある。
このように、カブトボーグは世界初の次回予告でストーリーを片付けるアニメとして話題になった。
さらには、
- ストーリーが一番盛り上がるクライマックスの場面で終わり、多くの視聴者が続きをわくわくしながら次週を待っていたら、全く関係の無い話が始まった。
- 視聴者に説明無しで突然世界が崩壊した場面から番組が始まる(前回までは平和な世界だった)。
など、全く先が読めない展開は多くの視聴者を驚かせた。
また、一応カブトボーグの販売促進アニメのはずなのに、ボーグをラーメンの中に入れてお客に出したり、川に投げ捨てたり、鍋で煮込んで食べようとしたり、果てには劇中で「カブトボーグの時代は終わった!」という台詞があったりと、販売促進アニメの常識を逸脱している。主人公にいたっては、企業が安価に大量生産したインスタントボーグを「ゴミの山」と称するなど、番組スポンサーがおもちゃを大量生産していることを否定するような発言をしている[1]。中でも、ボーグのせいで人間が死亡、恐喝の道具、傷害事件、器物破損等で逮捕投獄される様は、視聴者を唖然とさせた。
なお、監督の石踊宏はこの作品を作るときに作品を『徹底的に構成している』と語っていることから、この作品の演出が意図的であることが分かると同時に、作品の作り込みや完成度の高さが伺える。
こうなってしまった経緯
子ども向けの玩具販促アニメなのに、なぜ上記のように「反」販促をしたり極端なギャグに走ったりしてしまったのか……
それは、このアニメが作られた当時、日本ではもうカブトボーグの玩具展開が終了する直前だったことに由来する。
スポンサーであるタカラトミーは、アニメの制作陣に対し「(もう日本では玩具展開終わるし)好きにやっていいよ」という旨の失言発言をしてしまったのが事の発端である。
そして、5人の戦犯脚本家が本当に好き放題やってしまったので、販促アニメの皮を被った大人向けアニメが製作されたのである。
このアニメは、当時まだ玩具展開がなされていた韓国を主なターゲットとして製作されたのだが、現地でちゃんとした販促効果があったのかはいささか謎である(その影響なのかは知らないが、このアニメは日韓共同制作アニメとなっている)。
本来の結末
前述の通り好き勝手やっていた本作だが、最終回数話でまさかのスポンサーストップがかかる。逆にそれまではかかっていなかったのだからすごい。メカビ 2008年冬号という雑誌にシリーズ構成である大和屋暁が本来考えていた結末が掲載されていたので以下に転載する。
この項目は、ネタバレ成分を多く含んでいます。 ここから下は自己責任で突っ走ってください。 |
- | 放送版 | 大和屋暁版 |
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46話 | ライバルのジョニー(山田一郎)がリュウセイとの激闘の末死亡。以降、復活無し。 | ライバルのジョニー(山田一郎)がリュウセイとの激闘の末、死亡。 |
49話 | 勝治、少女を守るため死神とバトル。後に死亡。50話で復活。 | 勝治、少女を守るため死神とバトル。後に死亡。 |
50話 | ケンが「自分は天才になった」と妄想にとらわれるもリュウセイにより立ち直る。 | 勝治の死にショックを受け、ケンが修行の旅へ。実際に天才となり高飛車に振る舞うケンをリュウセイが倒し、ケンが改心するがその直後に車に轢かれて死亡。 |
51話 | 冒頭で勝治、ケン死亡するも中盤で復活。呪われしフィールドでのリュウセイとビッグバンの最終対決。二人の衝突で地球爆発。 | 仲間の死にショックを受けたリュウセイだが、ジョニー、勝治、ケンの幽霊に励まされ悪の秘密結社連合との最終決戦に挑む。呪われしフィールドでのビッグバンとの激突により地球爆発。 |
52話 | ジョニー以外、全員復活。地球も元通りに。リュウセイが悪の秘密結社にスカウトされるも、これを粉砕する。ビッグバンの若りし頃(茨城エイジ)のエピソードが語られる。 | 新番組『ボールバトラーEIJI』第一話。エイジ、チャーリー、順一がジャッカル佐々木の正体を暴いたところで、突然『カブトボーグ』の登場人物であるリュウセイたち全員が復活して乱入。ボールバトラーをボーグバトルで完膚なきまで叩きのめし終了。 |
見れば分かる通り、主要人物のほとんどが死亡した挙げ句地球が爆発し、最終話で新番組が始まったかと思えば主人公たちが復活して敵をフルボッコにするという、これまた子ども向けアニメとは思えない超展開が用意されていた。勝治やケンはスポンサーのタカラトミーに命を救われたといってもいいかもしれない。ジョニーの死はストップされなかった模様。
本来ならば49話で本当に死ぬはずだった勝治も、50話で特に何の説明もなく生き返っている。他のアニメであれば視聴者を混乱させそうな展開だが、カブトボーグの場合は似たような展開を既に何度かやっていたため、それほど違和感がない(違和感がないことが異常なのだが)。ある意味カブトボーグだからこそ成立した改変と言えよう。
15周年
放送開始から15年の月日が経とうとしていた2021年9月25日突如公式Twitterが現れ、放送日に向けたカウントダウンと思わしきツイートを開始。令和になって突然伝説のアニメが動きを見せたことに多くのボーガーが驚き、このアカウントが本物なのか偽物なのか、はたまたツイートはカウントダウンなのかただ数字を数えているだけなのか注目が集まった。
そして10月5日、15周年を記念した企画が告知された。三方背BOXやブックレットなど豪華特典が満載のBlu-ray BOXが発売されるほか、YouTubeのソニー・ピクチャーズ公式チャンネルにて、人気エピソードの期間限定無料配信が行われる。Blu-ray BOXは2022年3月25日発売。リュウセイの声を演じた知桐京子や、勝治の声を担当した三橋加奈子も反応している。
限定特典は以下の通り。
ストーリー
主人公達が『カブトボーグ』を通じて、大切な事を学び大人として成長する物語。
主人公達は強くなるために今日も、ライバル達と熱きバトルを繰り返すのであった……
登場人物
「俺は一分一秒、そしてこの瞬間にも成長している!」 |
「辱めてやろうよ、ケン!」 |
「気をつけろリュウセイ!相手は大人買いした大人だぞ!」 |
「いつものリズムだ!リズムを忘れるな!」 |
ロイド安藤(CV:前田剛)
「ナンチューコト!?スッゴイカワイソ」 |
「私……リュウセイ君のことが……」 |
ビッグバン / 天野河大輝(CV:松山鷹志)
「我が息子よ……強くなったな」 |
「この、常識知らずのボーグ馬鹿!!!」 |
「このガルフストリーム笹本を倒せると思わないことだ!」 |
「私……何にもお礼できないけど……いいわよ、キッス……」 |
「密度が違うんだ……そう、生きる密度がな」 |
「アイツは……危険な男だよ……」 |
視聴者の反応と評価
1083 学名ナナシ :2008年03月21日 18:15 ID:rjbio7b.0
ニコで3話か4話ぐらい見てたときに、市場でDVDが売れてたんだよ。
そのときに「誰だDVD買ったのww買ってんじゃねーよwww」
みたいなレスをした俺。
全52話どころか、15話目ぐらいまで見終わったあたりから、
あれ?これって面白いんじゃね?って思いはじめて、
20話突破したあたりで、そのコメントに対して恥ずかしさを感じ始めて
そして今はなぜかDVDが全巻揃ってるわけだ。
619 : ななしのよっしん :2010/12/28(火) 00:44:04 ID: 6KVdOU1Zc8
前から気になってたけど、配信されてるようだから初めてこのアニメ見てみた。
・・・・・・もう腹筋が死ぬとかそういうレベルじゃないw
胃が引きつって吐血するかと思った・・・・・・。
27 名無し物書き@推敲中:2008/01/19(土) 17:11:04
すまん、たかが一ファンである俺がどうこう言える立場じゃ無いと分かっているんだが、これだけは言わせてくれ カブトボーグを見ないのは人生の半分損してると同義だ
何が凄いってな、どんなに世間で凄いって騒がれてるアニメでも何かしら叩く所はあるだろ?
カブトボーグはもう叩くとか叩かないとかそういう次元じゃないんだ
何故だか分からないが、叩く所がそのままカブトボーグの賞賛するべき所になってしまうんだ
無理やりにでも叩いてやろうと思って書き出した物が、気づけば全て褒め言葉になってる
一話も欠かさず見てきたはずなのに何の説明も無くメインキャラが一人増えていた時の俺の気持ち、分かるか・・?
毎回使い捨て&色違いヒロイン、世界滅亡、ウザイエセ外国人、誰も知らない回想シーン、神化、亀田、ミリオン=一万
主人公達は全体的に外道です。バトルは精神攻撃で決まります。根拠は無いが自信はあります。 子供向けじゃねえよ絶対
あと肝心の玩具は国内で生産終了ってなんだよそれ ふざけてんのかスポンサー もうここまで好き勝手にやられると凡人である俺達にはなす術が無い。気づけば主人公をさん付けで呼んでいる
これこそ後世まで語り継がれるべき伝説。一度嵌れば後にはただボーグに侵食される日々が待つばかり・・・
2021年4月からJ:COMテレビで再放送された際には、視聴者からJ:COMは正気なのかと疑われた。インタビューによると実は編成担当者がボーガーで、担当者もプレゼンで偉い人たちから正気を疑われたという。
2023年5月9日午前0時からは16年ぶりにアニマックスでの全話再放送が敢行されている。尚、1日に2話ずつで、2023年6月13日までの約1ヶ月間の月曜日~金曜日の平日5日間を再び全国区でボーグバトルで日を明かす事ができるようになっていた。これが好評だったのか、同年10月4日からは放送時間帯を17時からに改めての再々放送も決定。学校帰りのキッズたちにも優しい時間帯となった事でさらなる新米ボーガーの増加が期待される。
韓国での反応
韓国ではKBS第2テレビジョンにて『人造昆虫バグファイター』(인조곤충 버그파이터)という題名で放映された。制作元であるG&GエンターテイメントのYoutubeにて全話無料視聴が可能。
先述の通り、韓国を主なターゲットとして製作された本作だが、どうやらホビーとしてのカブトボーグは韓国で一定の評価を得られていたらしい。
なぜなら、2019年からカブトボーグそっくりのホビーが登場するアニメ「Bugsbot Ignition(벅스봇 이그니션)」や「Bugsbot G(벅스봇 G)」が放映されているからだ。もちろんアニメに登場するホビーも販売されている。ボーグみたいなやつがツノから炎や水流を出し合って攻撃するなど、内容は真っ当なバトルものの模様。新たな要素として、ボーグみたいなやつが人語を解し人型に変形する。
……だが、この「Bugsbot(벅스봇)」というホビーやアニメはどうやらカブトボーグの「続編」ではないようだ。つまり「Bugsbot(벅스봇)」は単にカブトボーグの模倣品なのではないか?という疑いが浮上する。
というのも、この「Bugsbot Ignition(벅스봇 이그니션)」の韓国語版Wikipedia記事にはカブトボーグに関する言及は一切無いし、逆にカブトボーグの韓国語版Wikipedia記事にもBugshot(벅스봇)に関する言及は一切無いのだ。
韓国のニコニコ大百科みたいなサイト「ナムウィキ」の「Bugsbot Ignition(벅스봇 이그니션)」の記事(→Google翻訳版)には、玩具について「カブトボーグのデッドコピー」「カブトボーグの偽物」と言った辛辣な言葉が並んでいる。
韓国語で記された掲示板記事や個人のブログにも、「カブトボーグのデッドコピー」と表現しているものがいくつか見つかる(例1、例2。どちらもGoogle翻訳版へのリンク)。
公式動画(先代)
ニコニコ動画では、公式チャンネル「フルアニMAX」でアニメ本編全話が配信されていたが、同チャンネルが2012年9月28日20時を以って閉鎖したため、他多数のタイトルと共にカブトボーグ全話も惜しまれつつ削除された。
約2年間に渡りボーガーに憩いの場を与え続けたフルアニMAXおがわ店長に感謝のを評してチャージイン!!
(余談ではあるが、配信が開始されたのはカブトボーグ本編と同じ2010年である。)
公式動画(2代目)
2021年8月にドワンゴによって再び公式配信が開始された。新規投稿という形をとっており、フルアニMAXでの配信動画の再生数やコメントは引き継がれていない。同年8~9月はプレミアム限定動画としても公開された。
プレミアム限定動画はこれまでも「DYNAMIC CHORD」や「チャージマン研!」を配信してきた過去があり、カブトボーグの配信は極めて順当だといえる。ニコニコ運営が正気なわけないだろ!
※2021年11月からはdアニメストア ニコニコ支店でも配信が開始されている。→ https://www.nicovideo.jp/watch/so39530885
主題歌
- オープニングテーマ「Beetle Power!」(2ndマキシシングル)
エンディングテーマ「VICTORY ROAD」 - 作詞・作曲:MB
- 歌:Pinky Piglets(ピンキーピグレッツ)
歌手本人の参照動画はこちら
関連動画
関連静画
関連コミュニティ
カブトボーグを作り上げた5人の戦犯脚本家達
- 大和屋暁:シリーズ構成担当。「銀魂」でも構成を担当した主犯格。数年後には世界有数の競走馬の馬主になる。
- 下山健人:大和屋の戦友。彼もまた大和屋とともに「銀魂」で暴れまわる。父親は放送作家の下山啓。
- 浦沢義雄:大和屋の師匠。主に東映不思議コメディーシリーズで狂気の世界を展開した歴戦の覇者。
- 千葉克彦:小山高生率いる『ぶらざぁのっぽ』門下生の一人。安定感のある話はボーガーでも大人気。
- 隅沢克之:千葉同様『ぶらざぁのっぽ』門下生。「犬夜叉」などサンデーアニメの常連脚本家。
関連リンク
関連項目
- アニメ作品一覧
- ニコニコ動画で配信中のアニメ作品一覧
- カブトボーグ用語集(初級ボーガーはとりあえずこちらへ)
- カブトボーグ用テンプレ集
- カブトボーグ エピソードリスト
よく使われる用語
これ以外の用語については“カブトボーグ用語集”の記事を参照
- 謎メーター / 謎サイレン / 謎会話
- はす向かいシリーズ(≒伝説のクレーマー)
- 使い捨てヒロイン
- 素パスタ
- 俺はどっちでもいいけど
- 偽ロッキー
- ドイツ。
- うん!
- いてててて
- 歩きは基本
- 精神攻撃は基本
シリーズ
総集編動画・MAD動画によく使われる単語・タグ
上級ボーガー
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