製作委員会とは、映画やアニメを作る上で必要な資金を出資する企業の集団である。
概要
アニメ製作に出資した企業の共同事業体で、アニメを企画立案してスタジオに制作を委託、出来上がった作品の著作権を共同保有する。そして映像販売やグッズといったライセンス収入で得た利益を出資者に分配する。[1]
出資した会社には商品化、音楽、DVDといった機能別の独占的な「窓口」が割り当てられ、それぞれの会社は窓口の売上から手数料を徴収し、残りを委員会に還元する(逆に言えば、窓口を持たない個人投資家が製作委員会に参加しても投資を回収できない)。
業種
以下の業種が製作委員会に名を連ねることが多い。
- 出版社(例:講談社、KADOKAWA)
- 放送事業者(例:TBSテレビ、フジテレビ)
- 制作会社(例:サンライズ、GONZO)
- 広告代理店(例:電通、読売広告社、博報堂)
- 映像ソフト販売会社(例:バンダイビジュアル、NBCユニバーサル、バンダイビジュアル)
- ゲーム会社(例:スクウェア・エニックス、コナミ、サイゲームス)
- 玩具メーカー(例:ムービック、グッドスマイルカンパニー、アオシマ)
- レコード会社(例:キングレコード、ポニーキャニオン)
- 映画配給会社(例:松竹、東映、東宝)
- キャラクターグッズ制作会社(例:メディコス・エンタテインメント、コンテンツシード)
- 作品制作に特化したファンド(有限責任事業組合等)が参加する場合もある。
実際は複数事業を兼ねていたり委託される企業も多いので、出資者は少なくなる。
メリット
何よりリスクの分散と回避が最大のメリットである。娯楽商品はその売れ行きの予測が非常に難しいことが挙げられる。作品自体は良質でも全く浸透せず売れないなんてことはよくあるし、そもそもその作品の良し悪しは主観によるところが大きい。制作側が売れると思っても売れなかったときの負債の大きさは計り知れないものがある。
しかし複数の企業が出資することでそのリスクが分散され、常に一定量のコンテンツを提供しやすくなる。つまり作品の売上があまり芳しくなくても製作委員会に入っている以上何かしらのコンテンツが提供されることになる。
また、タイアップによる関連グッズの売り上げ増加が大いに期待できるし、場合によってはそれが目的となる。さらにそれぞれの得意とする分野、人脈を活かすことにより通常では考えられないような斬新な展開が可能になり、消費者に新しい娯楽を与える事が可能になる。
製作委員会の別名表記
大抵の場合、「○○」製作委員会などといった作品名を冠する形が多いが、原作タイトルをもじったり、劇中に登場する(あるいは、登場しそうな)団体名を創作して付ける例も見られる。以下はその一例。
- 東雲研究所
- 光子力研究所
- 未来ガジェット研究所
- 風新新聞専売所
- ARIAカンパニー
- 臓物アニマルカンパニー
- 月島バッティングセンター
- 瀬戸内魚類協同組合
- 花いろ旅館組合
- ひだまり荘管理組合
- 桜高軽音部
- 桜南中学下着部
- 木工ボンド部
- 空美町新大陸発見部
- 迷い猫同好会
- 陣代高校生徒会
- 東邦星華桜花会
- こばと。を守る会
- らっきー☆ぱらだいす
- リフレイン年ライジング組/マテライズ魔法学校
- SOS団
- 第501統合戦闘航空団
- 落とし神駆け魂隊
- エンブリオ捜索隊
- お兄ちゃん観察隊
- 海の家れもん/海の家れもん2号店
- Project_iM@s
- ProjectEVA [2]
- 製作委員会は友達が少ない/製作委員会は友達が少ないNEXT
- やはりこの製作委員会はまちがっている。
- 南極財閥
主要幹事会社
- アニプレックス
- EGG FIRM
- エイベックス・ピクチャーズ
- NBCユニバーサルエンターテイメントジャパン
- オーバーラップ
- KADOKAWA
- キングレコード
- ジェンコ
- ツインエンジン
- TOHO animation
- 日本コロムビア
- バンダイナムコアーツ(バンダイビジュアル)
- ハピネット
- フライングドッグ
- フリュー
- ポニーキャニオン
- ムービック
- ワーナー・ブラザースホームエンターテイメント(ワーナー・ホーム・ビデオ)
関連リンク
関連項目
脚注
- *週刊東洋経済2023年5月27日号「アニメ 熱狂のカラクリ」 p.40
- *このProjectEVAだけはちょっと特殊で、プロデューサーの大月俊倫が後に語ったところによると「庵野秀明と大月の二名だけで結成された半ば洒落のようなもの」とのことであり「二人製作委員会」とも称している。ゆえにエヴァンゲリオン劇場版(旧世紀版)においては「EVA製作委員会」だったが、ヱヴァンゲリヲン新劇場版では株式会社カラー単独製作となっている。
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