髭とは、以下のことを表す。
漢字として
- 意味
- 口ひげ。
- 〔説文解字〕の本字は頿で〔説文・巻九〕に「口の上の須(ひげ)なり」とある。髭はその俗字。〔説文〕の注に「今、俗に别に髭と作す」とある。
- 字形
- 形声。声符は此。
- 音訓
- 音読みは、シ(漢音)、訓読みは、ひげ、くちひげ。
- 規格・区分
- 常用漢字ではない。 JIS X 0213第一水準。
- 語彙
- 髭鬚・髭聖・髭髯
異体字
- 頿は、〔説文〕や〔玉篇〕などの本字。〔正字通〕には「頾に同じ」とある。
- 頾は、〔正字通〕に「髭、――本、頿と作す。今、頾と作す」とある異体字。JIS X 0212補助漢字。
- 𨲝は、〔康煕字典〕に〔五音篇海〕を引いて「髭に同じ」、〔字彙補〕に「髭に同じ」とある異体字。
- 𨲦は、〔康煕字典〕に〔五音篇海〕を引いて「髭に同じ」とある異体字。
- 𩑽は、〔集韻〕に「頿、――亦、省す」、〔正字通〕に「頿に同じ。俗に省す」とある異体字。
- 𨱲は、〔竜龕手鑑〕に「正」とある異体字。
髭と髯と鬚
一般に髭という字が用いられるが、実は髭と呼ばれる字を高校生以上向けの漢和辞典で調べてみると「髭」と「髯」と「鬚」があり、それぞれ異なる意味を持ち、昔は使い分けた。
具体的に言えば、くちひげは「髭」、ほおひげは「髯」、そしてあごひげは「鬚」であり、それぞれ口髭、頬髯、顎鬚と書くことがある。この区分は海外でも行われており、英語でそれぞれmustache、whisker、beardと使い分ける。
髭は男の象徴であり、そしてオシャレポイントでもある。特に初老以上の男性が好んで手入れしたりするほか、童顔に見られる若い男性も貫禄を見せるために髭を生やすことは往々にしてある。髭を手入れする道具として安全剃刀やシェーバーがあり、またシェービングフォームやジェルも必須アイテムとなっている。また、理髪店では剃刀は、散髪、洗髪とともに重要なスキルであり、その扱いには理容師の資格が必要である(美容師はメイクを施す目的以外での顔剃りは法律違反となる)。
口髭で有名なのが夏目漱石、ヒトラー、頬髯で有名なのがプレスリーやルパン三世、そして顎鬚で有名なのがリンカーンや川端康成、関羽などである。
一方で、ぶっきらぼうに髭を伸ばすのを無精髭といい、不衛生であるとして嫌われることが多い。しかし、中にはそんな無精髭を売りとしている人物も少なくはない(こち亀の両津勘吉も無精髭である)。
また、髭自体が不衛生と見做され、剃って手入れする風習はヨーロッパの貴族社会から始まったものである。今日でも社会人の身嗜み、あるいはアイドルの偶像として髭をタブー視することは多く、若い女性ほど若い男性の髭を好まない風潮が世界的に見られる。しかし、きちんと手入れしている髭に対して、不潔や不衛生などと言うのはただの偏見であることは踏まえた方がいいだろう(職種によるが)。
まれに男性ホルモンの分泌が多い、その他ホルモン異常などにより女性の顔に髭が生えることもあるが、好んで生やすことはまずない上、イジメの元になるので指摘するのは絶対にやめた方がよい。
対して人間以外の、いわゆる哺乳類や魚類のヒゲはカタカナ書きするほかは、髭と表記することが多い。鯨など動物によっては髭は貴重な原材料にもなっている。
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