近畿大学(本部・大阪府東大阪市)の理工学部が運営するホームページに「新卒で就職出来ていない人は欠陥品」「30歳後半のフリーターは惨め」といったフリーターを侮辱したともとれる文章が掲載され、外部からの指摘を受けて削除していたことが29日、分かった。
同校によると、理工学部理学科の講師が「夢を実現するために、今はまず就職することです」と学生を励ます目的で数年前に執筆。手直しを重ねながら、就職情報のホームページに掲載され続けた。
この中に「新卒で就職出来ていない人は落ちこぼれであり欠陥品。君がどのように言い訳をしようと、社会は欠陥品と見ます」「30歳後半になったフリーターは悲しく惨め」という文言があったほか「既卒者は肉体労働に近い、人が敬遠するような職を探すことになります」という表現もあった。
これを書いた講師の人って常勤なのでしょうか。それとも非常勤なのでしょうか? 大学で教えてるなんてのはちょっとしたステータスではありますが、非常勤講師なんて実はフリーターと大差なし、与えられたコマ数が少なければ年収200万以下なんてのも珍しくなく、バイトを掛け持ちしていたり配偶者に食わせて貰っていたり、そんな生活を送りながらいつか教授の席が空く日を待っているわけです。しかし困ったことに、椅子取りゲームは常に椅子の数を参加者の数が上回るものなんですな、これが。私はロシア文学が専門でしたが、ある年にロシア文学の教授が定年退官となりまして、そしたらその先生が連れてきた非常勤講師達がまとめて契約打ち切りにされてしまいました。ロシア関係の講座が激減して私も困りましたが、切り捨てられた非常勤講師達も大変です。彼らは40過ぎて失業、特定分野の学問以外には能力なし、仕事なしの就学なしのニートです、悲しく惨め、肉体労働に近い、人が敬遠するような職を探すことになります。あぁ無情。
ま、とにかく夢を追うってのはリスクがあるわけです。大学で研究者になろうとして、研究に没頭するあまり在学中の就職活動を怠ると取り返しがつかないことになります。この講師の言うとおり、ご立派な就職口があるのは新卒の時だけです。研究に没頭し研鑽を重ね、優秀な成績で大学を卒業、しかし学問では食っていけないから会社に入ろう、なんて思っても手遅れです。新卒で会社に入らない人に門戸を開く会社はブラック企業だけです。
私は大学院修了後にバイトをしながら研究活動を続けていた時期があります。しかし学問では将来への見通しが立たないので就職しようとしたわけです。しかるにまあ「どのように言い訳をしようと、会社は欠陥品と見」る訳で、ろくな会社に入れず、これまで年収300万を超えたことはありません。ある調査によると企業の65%が「非正規雇用経験者を正社員として雇用することはしない」と回答しているそうです。就職活動とは決して失敗の許されない世界なのですな。さすがは美しい国の労働形態、僅かな疵でも選別されてしまうようです。
立嶋な日常
「俺も、若いころ頑張っとけば人生違ったかな、」
釣り好きの中年が僕に向けて云う。
「僕、中学から頑張って今、こんなすよ、」
笑って云う。
これはあるキックボクサーのブログの一節です。彼は中学の頃から頑張ってきて、大人になっても一所懸命トレーニングの日々、努力を積み重ねてきたわけですが、交通事故にあってから試合に出られないまま数年が経過しています。今はアルバイトで糊口を凌ぐ日々でその身分はフリーターもしくは無職と。キックボクサーという夢を追うためには新卒のうちに就職しておかなければいけなかったのですかな? 世の中には色々と努力している人がいるわけですが、評価されるのは結果的に成功した人だけ、どんなに努力した人であっても新卒のうちにご立派な会社に入っておかない限り「社会は欠陥品と見ます」と。卒業と同時に会社に入ることだけが唯一絶対の選択肢、教育者もそれに疑いを差し挟むことなく会社の嗜好に追随し、同じ年代の人間が同じ時期に一斉就職、それとは違った方向に向かう人間は選別し排除する、さすが規律を重んじる国というものです。
最後に補足、ご立派な会社の正社員になったとしても、社会的なステータスや給与はともかくとして、人間として幸せな生き方ができるかどうかはまた別問題ですよ、と(今後は給与だって危ないかも知れませんしね)。
一日の半分以上仕事28% 男性会社員「量多くて」
首都圏と関西圏に住む男性会社員の28%が、平均で一日12時間以上を仕事に割いていることが連合のシンクタンク、連合総研(東京)の調査で26日、分かった。
押し寄せる仕事に長い時間を割かれ、生活のゆとりが失われているサラリーマンの姿をうかがわせた。