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記憶とは、新しい経験を脳内に保存し、後になってその経験を意識や行動の中に再生する一連の機能をさしています。すでに母親の体内にいる時から、毎日新しい情報を取り入れて、脳の中に蓄積し続けています。そうした記憶にはいろいろの種類がありますが、大ざっぱに言えば、頭で覚える記憶と体で覚える記憶にわけられます。また、記憶機能の過程についていえば、記憶の基になる情報を脳内で何らかの形で符号化する過程(記銘、つくる)、どこかの場所にその情報を蓄える過程(貯蔵、しまう)、そしてしまわれた記憶情報を探して再生する過程(想起、とりだす)があります(図1)。これまでの50年以上にわたる研究の経過で、記憶の種類や、記憶の過程には特定の脳部位が関与することが判ってきました。したがって、障害が脳のどこに起こるかによって、記憶障害の形が違ってきます。 記憶の種類 頭で覚える記憶としては、「昨日Aさんと上野動物園に行ってパ
大脳は大きく前頭葉,頭頂葉,側頭葉,後頭葉の4つの領域に分けられます(図1)。その中の前頭葉には前頭連合野,運動野,運動前野があります。運動野,運動前野は運動の遂行や運動の準備に重要な役割を果たす部位です。それに対し前頭連合野は人を人たらしめ,思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられています。正確にいうと前頭葉には前頭連合野とその他の運動関連部位が含まれますが,一般には前頭葉というと前頭連合野のみを指します。ここでは前頭葉を前頭連合野の意味で用いることとします。前頭葉は系統発生的に人で最も発達した脳部位であるとともに,個体発生的には最も遅く成熟する脳部位です。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の1つでもあります。前頭葉には視,聴,触,味,嗅の各感覚それに体内情報と,ほとんどあらゆる外的,内的情報,しかも高次な処理を受けた情報が入っています。前頭葉はまた,運動系の色々な脳部位
1.はじめに フェロモンという言葉を週刊誌やテレビなどでしばしば見聞きします。フェロモンを「性的魅力」という様な意味で使ったり、またフェロモン入り香水と称した怪しげな商品広告など、これらは、フェロモンについての誤解があると思わざるを得ません。フェロモンという言葉は専門用語であり、我々研究者にとって誤解されて用いられることは大変残念なことであります。そこで、フェロモンについて正確に理解していただくために、フェロモンの言葉の定義からはじめ、フェロモンとはどのようなものか、そのはたらきについて具体的に解説します。 2.フェロモンの定義 雄ガが雌に引きつけられる話はファーブルの昆虫記などですでに知られていました。1959年にブテナントがカイコガの性誘因物質を約20年費やして抽出しボンビコールと名付けました。その後、いくつかの昆虫の性誘因物質が発見され、このような性質を持つ物質を、ギリシャ語のphe
1 脳とコミュニケーション 脳は手足の運動をコントロールし,様々な感覚情報の処理を行います.これらを目的のある形に統合し,外界に働きかけ,意思の疎通をはかり,時間の流れの中で有機的に行動するさいに,中心的役割を果たすのも脳です.脳卒中,頭部外傷などで脳に損傷を受けると,これらの機能がいろいろな組合せで障害されます.しかし,患者さん本人を含めて,手足の運動麻痺をリハビリテーションの中心に考える場合が多かったのが実情です.「歩ければ」,また,「手が動けば」何とかなるという声がよく聞かれます.ところが,意思を表現・伝達・理解する言語,物や空間の認知,目的を持った行為,時間の流れの中で欠かせない記憶,そして,将来的展望と目的を持って柔軟に行動する能力―これらの「高次脳機能」なくしては,いくら手足が動いてもヒトとしての有意義な生活を送れません. 今回は,まず,左右の大脳半球における,運動・感覚機能の
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