88歳の中国人女性が家族に連れられ救急外来を受診した。彼女は3日前から嗜眠的となり、歩行や摂食が不可能になったということだった. この女性はここ数ヶ月、糖尿病のコントロールのため、一日1~1.5kgの生の”Bok Choy”(白菜)を食べていたと言うことだった。なお、今まで甲状腺疾患の既往はない。 診察時、患者は嗜眠状態で、体温は36.1℃、脈拍は58/分、血圧は181/89mmHg, 呼吸は22/分、血液酸素飽和度は92%であった。 眼窩周囲には浮腫があり、巨舌が認められたが、甲状腺は触手不能であった。下肢にもまた浮腫があり、皮膚乾燥、毛髪の荒れも目立った。 神経学的検査では右下肢にクローヌスと反射亢進が認められたが、これは以前の脳卒中発作によるものと思われた。他の所見は正常であった。 血液検査では著明な低Na血症(118mmol/L)と甲状腺刺激ホルモンの高値(74.4mIU/L;正