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米バイオジェンとエーザイが、臨床第3相試験を中止したアルツハイマー病治療薬アデュカヌマブを、来年初頭に米国で申請すると発表しました。一体何があったのでしょうか。 2本のうち1本のP3試験で主要評価項目達成 米バイオジェンとエーザイは10月22日、今年3月に2本の臨床第3相(P3)試験を中止したアルツハイマー病治療薬の抗アミロイドβ抗体アデュカヌマブについて、一転して2020年の初頭に米国で承認申請を行うと発表しました。申請の方針は米FDA(食品医薬品局)との協議に基づくものだといい、両社は欧州や日本など米国以外の国や地域でも規制当局と協議し、申請を行う予定だとしています。 そもそも3月にP3試験(EMERGE試験とENGAGE試験)を中止したのは、試験を続けても有効性を示す見込みがないと予測されたからです。両試験の独立データモニタリング委員会は、あらかじめ定められた無益性解析の結果から「主
ゲームの要素をゲーム以外のサービスやシステムに応用する「ゲーミフィケーション」。これを活用して新たなデジタルヘルスケアソリューションを生み出そうと、アステラス製薬が横浜市立大、東京芸術大と産学連携の枠組み「Health Mock Lab.」を発足させました。ゲーミフィケーションによってヘルスケアはどう変わるのでしょうか。 ゲーミフィケーションとは何か 「ヘルスケアには『頭ではわかっているのに始められない』『思い切って始めてみたものの続かない』といった障壁がある。ゲームの要素を織り込むことで、行動変容や継続といった障壁を乗り越えられるのではないか」 10月2日、アステラス製薬と横浜市立大、東京芸術大が東京・六本木で開いた「Healthcare×Gamification Forum~ゲームによるヘルスケアの進化~」と題するイベント。その冒頭、アステラスの岡村直樹副社長(経営戦略担当)は、同社が
国内製薬企業の2019年3月期決算が出そろいました。AnswersNewsが19年3月期を中心に東証1部上場の主要製薬企業42社(製薬が本業でない企業が手がける医薬品事業を含む)の直近の決算を集計したところ、売上高は全体で前期比4.7%増、営業利益は0.2%増となりました。 大手を中心に海外事業が好調だった企業や新製品が伸びた企業が増収となった一方、国内中心の中堅以下は薬価改定や後発医薬品の影響で苦戦。明暗がくっきりと分かれる決算となりました。 【売上高ランキング】大手は主力品が好調 小野、明治など2ケタ増収 売上高ランキングでは、武田薬品工業が2兆972億円(前年比18.5%増)でトップ。今年1月に買収したシャイアーの業績が加わったことで、日本の製薬会社として初めて売上高2兆円を突破しました。買収の影響を除くと1.0%の増収。潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」など主力品が好調
医療ITのスタートアップ企業「サスメド」が、ブロックチェーン技術を使って臨床研究データをモニタリングするシステムの実証実験に乗り出します。代表取締役で医師の上野太郎さんに、背景や展望を聞きました。 (聞き手・前田雄樹) 治験のコストに課題感 サスメドは4月22日、ブロックチェーン技術を使った臨床データのモニタリングシステムに関する実証計画が、国の「規制のサンドボックス制度」(新技術等実証制度)に基づき、厚生労働、経済産業両省から認定されたと発表しました。規制のサンドボックス制度とは、参加者や期間を限定することで、既存の規制に縛られず新しい技術の実証を行えるようにする制度。サスメドは今月から、国立がん研究センターと共同で、ブロックチェーンによるモニタリングシステムを使った臨床研究を開始します。 サスメドは2015年創業のスタートアップ企業で、不眠症治療用アプリの開発を手がけています。今回実証
ウイルスを使ってがんを治療する「腫瘍溶解性ウイルス」が、国内でも今年から来年にかけて相次いで承認される見通しとなってきました。タカラバイオは今年3月、「C-REV」をメラノーマの適応で申請。第一三共は、先駆け審査指定制度の対象品目である「G47Δ」を5月にも申請する予定で、年内の承認が見込まれています。 国内では第一三共やタカラバイオが開発中 腫瘍溶解性ウイルス(Oncolytic Virus)とは、がん細胞だけで増殖し、これを破壊するウイルスのことです。使われるウイルスは、風邪を引き起こす「アデノウイルス」や口唇ヘルペスの原因となる「単純ヘルペスウイルス」など。正常細胞では増殖しないよう遺伝子改変が施されており、正常細胞を傷つけることはありません。高い有効性と安全性を兼ね備える治療法として期待されています。 ウイルスを使ってがんを治療するというアイデア自体は古くからありましたが、近年、遺
従来の治療では症状をコントロールできない「重症喘息」に、生物学的製剤が相次いで登場しています。16年グラクソ・スミスクラインが「ヌーカラ」を、18年にはアストラゼネカが「ファセンラ」を発売。今年3月にはサノフィの「デュピクセント」も適応拡大が承認されました。治療選択肢は広がっていますが、普及のペースは鈍いといい、患者や医療関係者への啓発が課題となっています。 重症喘息 患者数は40~80万人 喘息(気管支喘息)は、慢性的な炎症により気道が狭くなる疾患です。炎症がある気道にダニやホコリ、ハウスダストといった刺激が加わると発作が起こり、喘鳴や息切れ、咳といった症状が出ます。 厚生労働省の厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ・アレルギー対策委員会の報告書(2011年)によると、国内の喘息患者数は推定約800万人。喘息による死亡者数は減少傾向にありますが、厚労省の人口動態統計によると2017年には1
細胞治療に遺伝子治療、核酸医薬品…。新たなモダリティは、製薬会社・製薬業界のビジネスにどんな影響を与えるのでしょうか。ヘルスケア分野で活躍するコンサルタントの増井慶太さん(アーサー・ディ・リトル・ジャパン プリンシパル)に語っていただきます。 連載第1回目となる今回は、新規モダリティの登場で製薬会社のセールスとマーケティングはどう変わっていくのか展望します。 ■連載「モダリティ新時代」 【1】MR 高度化の要請―変わる製薬会社のセールス&マーケティング 【2】“機械屋”化する“薬屋”…製薬会社が医療機器メーカーから学ぶべきこと 【3】製薬再編 カギは医薬品卸に―進む“イノベーション”と“オペレーション”の棲み分け ヘルスケア業界で起こるパラダイムシフト ヘルスケア業界では今、「枠組み」と「技術」の両面において、パラダイムシフトの真っ只中にあります。 ヘルスケアの枠組みという面で言うと、「治
花粉症シーズンが目前に迫り、抗アレルギー薬市場が混戦の度合いを増しています。田辺三菱製薬の「ルパフィン」が長期処方解禁後初めてのシーズンで一気に販売拡大を狙う一方、杏林製薬の「デザレックス」は製造販売元の薬事手続きの不備で自主回収を余儀なくされました。久光製薬からは世界初の貼り薬も登場し、市場では今年も激しいシェア争いが繰り広げられています。 処方額 トップはザイザル、処方数ではタリオンが首位 日本気象協会の発表によると、今シーズンの花粉の飛散量は、全国的に例年に比べて「やや多い」と予想されています。東北から近畿にかけてと九州では例年の110~140%、中国では160%となる見込み。ただ、飛散量の多かった昨シーズンと比べると、東日本ではおおむね少なく、西日本でも昨シーズン並みだといいます。 花粉症の主な治療は、くしゃみや鼻水、鼻づまりを抑える薬物療法。なかでも中心となるのが、第2世代の経口
ここ数年、減少傾向が続いている製薬会社のMR。MR認定センターによると、国内のMR数は2013年度の6万5752人をピークに4年連続で減少しており、この4年間で3319人減りました。早期退職を行う企業も相次いでおり、今後も減少は続きそうです。 そうした中、第二・第三のキャリアとして、医療機器営業に転職するMRが増えています。彼ら・彼女らは、なぜMRを辞め、異業界へと飛び込んだのか。インテュイティブサージカルで手術支援ロボット「ダビンチ」の営業を担当する2人に話を聞きました。 20年後がイメージできなかった MRの価値に迷い 「ざっくり言うと、20年後をイメージできなかったということです」 今年4月にインテュイティブサージカルに入社した前田大樹さん(30)は、製薬業界やMRの将来に不安を感じたことが転職の理由だったと話します。前田さんは都内の私立大理学部を卒業後、内資系の中堅製薬会社に就職。
本庶佑・京都大特別教授のノーベル賞受賞で、あらためて注目が高まった免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」。同薬によって収益を大きく伸ばした小野薬品は、将来に向けた投資を拡大しています。 「稼ぐ力」大きく向上 本庶佑・京都大特別教授のノーベル医学生理学賞受賞決定から一夜明けた10月2日。小野薬品工業の株価は一時、前日終値から220円高となる3430円をつけ、年初来高値を更新しました。小野薬品は本庶氏の研究成果をもとに免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」を開発。ノーベル賞受賞であらためて関心が高まりました。 小野薬品がオプジーボを日本で発売したのは2014年9月。当初の適応は悪性黒色腫でしたが、翌15年12月に非小細胞肺がんに適応が広がったのを機に販売が急増し、16年度の同薬の売上高は1039億円に達しました。この年、小野薬品の連結業績は売上高2448億円(前年度比52.7%増)、営業利
国内の後発医薬品業界で、再編の機運がじわじわと高まってきました。今年に入り、エーザイと富士フイルムホールディングスが後発品事業からの撤退を発表。市場は拡大しているものの、薬価引き下げと競争激化で収益環境は厳しさを増しています。 富士フイルム 後発品事業10年足らずで幕 「昨今、製薬業界を取り巻く環境が急激に変化しており、現在の事業活動では安定的な収益を将来にわたって確保することが困難だと判断した」 7月27日、富士フイルムホールディングス(HD)は、グループで後発医薬品事業を展開する富士フイルムファーマを2019年3月31日付で解散する方針を決めたと発表しました。 富士フイルムファーマは、富士フイルムと三菱商事の共同出資で09年11月に設立され、翌10年4月に営業を開始。後発品に加え、12年からはバイエル薬品と提携して同社の長期収載品の販売も手がけてきました。 解散に伴い、販売中の後発品5
大腸の粘膜に炎症が起こり、下痢などの症状が続く潰瘍性大腸炎。国の指定難病にもなっているこの疾患に、新薬が相次いで登場しています。2016年以降、「リアルダ」や「レクタブル」「ゼルヤンツ」などが承認を取得。海外でブロックバスターに成長した武田薬品工業の「エンタイビオ」も近く発売される見通しで、治療薬の市場も拡大が予想されています。 患者数 10年で1.8倍に 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起こり、びらん(ただれ)や潰瘍ができる疾患です。血便や下痢、腹痛が主な症状で、ひどくなると1日に何度もトイレに駆け込むなど、生活の質に大きな影響を与えます。免疫の異常が発症に関わっていると考えられていますが、はっきりとした原因は明らかになっていません。 潰瘍性大腸炎は国の「指定難病」に指定されており、2016年度の患者数(特定疾患医療受給証の所持者)は約16万8000人。実際の患者数は20万人以上に上る
中外製薬が開発した血友病A治療薬の二重特異性抗体「ヘムライブラ」が先月、日本でも発売されました。高い効果で治療を大きく変えると期待され、ピーク時の売上高は世界で2000億円を超えるとみられているこの薬。血友病治療薬が主力のアイルランド・シャイアーを買収する武田薬品工業の今後にも大きな影響を及ぼしそうです。 2000億円規模の世界売上高を期待 「血友病はこれまで参入したことのない領域だが、ヘムライブラはまさに、中外の技術ドリブンでの創薬アプローチを象徴する薬剤。新規作用機序を持つファースト・イン・クラスの薬剤で、患者や家族、医療従事者に新しい価値を提供できると期待している」 中外製薬の小坂達朗社長は6月1日、東京都内で開いた血友病A治療薬「ヘムライブラ」(一般名・エミシズマブ)の説明会で、自信たっぷりにこう話しました。 ヘムライブラは中外が創製した血友病A治療薬。血友病治療薬としては世界初の
2017年に世界で最も売れた医薬品は――。米調査会社IQVIAが、医療用医薬品の世界売上高上位20製品のランキングを公開し、関節リウマチなどに対する治療薬「ヒュミラ」が227億ドル余りを売り上げて世界一となったことが分かりました。日本企業が創製した製品では唯一「オプジーボ」が16位にランクインしています。 ヒュミラは2.5兆円 ハーボニーは半減も4位に 米IQVIAが公開した2017年の医療用医薬品世界売上高上位20製品のランキングでトップとなったのは、米アッヴィの関節リウマチ治療薬「ヒュミラ」。売上高は前年比16.9%増の227億1300万ドル(約2兆5438億円、2017年の平均レート1ドル=112円で換算)に上り、2位に倍近い差をつけてトップとなりました。 2位はランタス DOACが高い伸び率 2位は113億2500万ドル(約1兆2684億円)を売り上げた仏サノフィのインスリン製剤「
米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。今回取り上げるのは、アルツハイマー病の新薬開発。米メルクのベルベセスタットが失敗した今、アミロイドβ以外のアプローチに投資すべきだと説きます。 (この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら) いつも通りの敗北 アルツハイマー病(AD)に対する新薬開発が、また一つ頓挫した。そろそろ、アミロイドβ仮説にあまりに長く頼ってきたことを認めるべき時が来たのではないだろうか。 私も、2~3カ月ごとに同じような記事を書いているよう
海外大手製薬会社の2017年の業績が出そろい、スイス・ロシュが初めて世界首位となりました。 AnswersNewsが17年12月期(日本企業は18年3月期)の世界売上高100億ドル超の製薬会社25社の業績を集計したところ、抗体医薬の抗がん剤が好調なロシュが、米ファイザーから売上高世界一の座を奪取。ファイザーは2位に後退し、スイス・ノバルティスは3位をキープしました。 ※3月1日に公開した記事に、独ベーリンガーインゲルハイム、米マイラン、アステラス製薬の業績発表を反映しました(4月27日)。 ※4月27日に更新した記事に、武田薬品工業の業績発表を反映しました(6月11日)。 ロシュ 抗がん剤堅調で5%増収 ファイザーは微減 2017年、売上高で世界トップとなったのは、公表通貨ベースで前年比5.4%増の543億6500万ドル(532億9900万スイスフラン、6兆761億円)を売り上げたスイス・
最近、製薬企業の間で活用に向けた取り組みが急速に進む「リアルワールドデータ」。実臨床から得られる膨大な医療データは、製薬企業に何をもたらすのでしょうか。アイ・エム・エス・ジャパンの松井信智氏(リアルワールド・データコンサルティング シニアプリンシパル)に話を聞きました。 「今まで見えなかったものが見えるように」 リアルワールドデータ(RWD)とは、臨床現場から得られる匿名化された患者単位のデータのこと。レセプト(診療報酬明細書)や電子カルテがその代表です。2015年ごろから、アステラス製薬やエーザイ、中外製薬、塩野義製薬などが相次いで専門部署を立ち上げており、製薬企業の間でその利活用に向けた動きが進んでいます。 ここ数年で急速に盛り上がりを見せてきたRWD。松井氏はその背景として「やはり国の動きが大きい」と指摘します。 2016年、厚生労働省はレセプトデータベース(NDB)を公開し、今年4
塩野義製薬が開発中の新規作用機序を持つ抗インフルエンザウイルス薬「S-033188」が、臨床第3相試験に成功しました。2017年度中に国内で承認申請を行う予定で、2018年度の発売が見込まれます。 1回の経口投与で治療が完了するという、既存の抗インフルエンザウイルス薬とは全く異なる特徴を持つ同剤。大型化が期待されています。 「十分すぎるくらいきれいなデータが出た」 「非常にいい成績だった。日本での申請には十分すぎるくらい、きれいなデータが出た」。7月24日、アナリスト向けに開いたカンファレンスコールで、塩野義製薬の手代木功社長は声を弾ませました。 同社はこの日、開発中の抗インフルエンザウイルス薬「S-033188」のグローバル臨床第3相試験の結果(速報)を発表しました。インフルエンザ罹病期間(インフルエンザ症状が消失するまでの期間)をプラセボに比べて有意に短縮し、プラセボと同等の有害事象発
近年、急速に盛り上がりを見せる創薬へのAI(人工知能)の活用。ディー・エヌ・エー(DeNA)が、塩野義製薬、旭化成ファーマの2社と組み、AI創薬の実現可能性を技術的に検証する共同研究に乗り出しました。 DeNAによると、製薬企業から化合物データの提供を受けるという共同研究の枠組みは、AI創薬では世界でも例がありません。「化合物の最適化にかかる時間とコストの半減を目指す」という同社が描くAI創薬の展望とは。ヘルスケア事業部ビジネスディベロップメントディレクターの佐野毅氏に話を聞きました。 (聞き手・前田雄樹) 製薬企業から化合物データ 世界でも例のない共同研究 ――まず、DeNAのAIに対するこれまでの取り組みについて教えてください。 DeNAとしての取り組みは2009年からです。この年、協調フィルタリングという手法をゲームのレコメンドに実装し、2012年にはベイジアンという手法を同様にレコ
今年は、アトピー性皮膚炎と血友病にそれぞれ初めての抗体医薬が登場するなど、各社が大型化を期待する製品が相次いで発売される見通しです。 2018年に国内で発売が予想される主な新薬を、領域別に2回に分けて紹介します。 【2018年に発売予想の新薬まとめ1】はこちら 【中枢神経系】エビリファイ後継品の「レキサルティ」 減酒薬も登場 中枢神経系領域では、大塚製薬が今年、新薬ラッシュを迎えます。 昨年1月に申請した抗精神病薬「レキサルティ」(ブレクスピプラゾール)は、かつて世界で年間6000億円規模の売り上げを誇った「エビリファイ」(アリピプラゾール)の後継品。1月に承認となる見通しです。昨年7月にはアリピプラゾールと塩酸セルトラリンとの配合剤をうつ病・うつ状態の適応で申請しています。 大塚がもう1つ年内にも発売を見込むのが、アルコール依存症に対する「減酒」をコンセプトとした国内初の薬剤ナルメフェン
薬価改定や後発医薬品の浸透で前年度比3.8%減の10兆4307億円となった2016年度の国内医療用医薬品市場(クインタイルズIMS調べ)。免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」が売り上げを急激に伸ばし、高額な薬剤をめぐる問題が大きな注目を集めました。 AnswersNewsでは、製薬各社が決算資料で公表した製品売上高などをもとに、16年度の国内医療用医薬品の売上高を製品別に集計。年間売上高50億円以上の212品目をランキングしました。 2年連続でトップとなったのは、1647億円を売り上げたC型肝炎治療薬「ハーボニー」。2位は前年比4.9倍に急成長した「オプジーボ」で、3位はARB「ミカルディス(配合剤含む)」でした。 「ハーボニー」4割減も首位キープ「オプジーボ」は1039億円 2016年度の国内医療用医薬品売上高トップとなったのは、ギリアド・サイエンシズのC型肝炎治療薬「ハーボニー」。
8月末、朝日新聞が美容目的での使用に疑問を投げかける記事を掲載したことで話題となった医療用医薬品の血行促進・皮膚保湿剤「ヒルドイド」。厚生労働省の公開データをAnswersNewsが分析したところ、2014~15年度にかけてヒルドイドなどの「ヘパリン類似物質」の処方が大きく増えていたことがわかりました。 増加の要因は明らかではありませんが、処方が大きく伸びているのは20~50歳代の女性。処方量の増加により、医療費は60億円押し上げられました。公的医療保険財政が逼迫する中、処方する側、される側、双方にモラルとコスト意識が求められています。 処方量14年度→15年度で17%増 8月31日、朝日新聞デジタルに「高級美容クリームより処方薬 医療費増、乏しい危機感」との記事が掲載されました。 「美容には、何万円もする超高級クリームよりも、医療用医薬品『ヒルドイド』がいい――。 ここ数年、女性誌やウェ
薬局と医療機関の独立性をめぐる規制が10月1日から一部緩和され、医療機関の敷地内に薬局を開設する、いわゆる“敷地内薬局(門内薬局)”が解禁されます。大学病院や公立病院を中心に、規制緩和を見据えて病院敷地内に薬局を誘致する動きが活発化しています。 一方、医薬分業への批判の高まりを受けて厚生労働省が昨年まとめた「患者のための薬局ビジョン」がうたうのは、「『門前』から『かかりつけ』、そして『地域』へ」。門前薬局中心の医薬分業から脱却し、地域に根ざした「かかりつけ薬局」に再編する方針です。 薬局のあり方が問われる中で出てきた相反する2つの動き。薬局の向かう先は「門前から門内」なのか、それとも「門前から地域」なのか。困惑が広がっています。 薬局と医療機関を隔てるフェンスが不要に 10月1日から、薬局と医療機関の独立性に関する規制が一部緩和されます。厚生労働省は従来、処方箋を持った患者が医療機関から薬
国内製薬企業の2017年3月期決算が出そろいました。東証1部上場の主要製薬企業(売上高1000億円以上)の業績は、16年4月の薬価改定に円高の影響も重なり、売上高は前年比3.3%減、営業利益は4.6%減となりました。 AnswersNewsでは17年3月期を中心に各社の直近の決算を集計。「売上高」「研究開発費」「海外売上高」「国内医療用医薬品売上高」「次期売上高予想」の5つのランキングをまとめました。集計対象は東証1部上場の製薬会社と異業種の東証1部上場企業が手がける医薬品事業の計42社。後発医薬品企業も含めています。 【売上高ランキング】アステラスが2位浮上 小野や日医工が躍進 売上高ランキングでは、1兆7321億円(前年度比4.2%減)を売り上げた武田薬品工業がトップとなりました。国内の薬価改定や長期収載品の移管、円高の影響で減収となったものの、潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティ
「オプジーボ」の独壇場だった免疫チェックポイント阻害薬の市場。きょう2月15日、競合となる「キイトルーダ」が発売され、競争の火ぶたが切られました。 注目された薬価は同額。主戦場となる非小細胞肺がんでは、キイトルーダがファーストラインにも使える一方、投与患者はPD-L1陽性に限定。対するオプジーボは、化学療法後の患者にしか使えないものの、PD-L1の発現率に関わらず使うことができます。 オプジーボが先行の利を生かすのか、キイトルーダが追い上げるのか。両剤の違いから、競争の行方を展望します。 年間1427万円…注目の薬価 1日当たりで同額に 小野薬品工業の「オプジーボ」に、いよいよ競合品の登場です。きょう2月15日、オプジーボと同じ抗PD-1抗体の「キイトルーダ」(MSD)が発売され、競争の幕が上がりました。 「キイトルーダ」は昨年9月、悪性黒色腫の適応で承認を取得。本来なら昨年11月に薬価収
C型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品問題が、さらなる広がりをみせています。奈良県の薬局チェーンで偽造品の入ったボトル5本が見つかったのに続き、東京都内の卸売業者2社から新たに9本の偽造品を発見。さらに別の都内の卸売業者からも1本が見つかりました。 厚生労働省は2月1日、偽造品の流通ルートをほぼ確定したと発表しました。最終的に偽造品の流通に関与したとされた卸売業者は6社。正規とは異なる裏のルートで、転売に転売が重ねられていました。流通の起点となった業者は、販売許可のない個人から偽造品を仕入れたといいます。 安全だと信じられていた日本の医薬品流通。その暗部の一端を、「ハーボニー」の偽造品がさらけ出しました。 ※この記事は、厚生労働省の2月1日の発表(偽造品の成分分析結果と流通ルートの確定)を受けて、1月30日に掲載した記事の内容を一部修正したものです。 偽造品がたどった複雑な流通ルート 「医療
医療用医薬品を医師の処方箋なしに買える一般用医薬品に転用する、いわゆる「スイッチOTC」。購入額が一定以上となった場合に所得控除の対象となる「セルフメディケーション税制」のスタートを来年1月に控える中、転用を促進するための新たな仕組みが動き出しています。 厚生労働省は12月9日、新たな仕組みの下で転用の候補となる医薬品のリスト第1弾を公表。「タケプロン」などのプロトンポンプ阻害薬や胃炎薬「ムコスタ」、緊急避妊薬「ノルレボ」などがリスト入りしました。 医療費削減や健康増進の観点から必要性が叫ばれながら、一向に拡大しないスイッチOTC。新たな仕組みで、転用は進むのでしょうか。 「セルフメディケーション税制」でスイッチOTC使用推進 2017年1月から、医療費控除の特例として、医療用医薬品を一般用に転用した「スイッチOTC」を一定額以上購入した場合に所得控除を受けられる「セルフメディケーション税
製薬企業の成長に欠かすことのできない新薬。「オプジーボ」のライバルとなる抗PD-1抗体「キイトルーダ」や、骨粗鬆症に対する抗スクレロスチン抗体ロモソズマブ、国内初のアンチセンス核酸医薬となる脊髄性筋萎縮症治療薬ヌシネルセンナトリウムなど、今年も注目の新薬が登場する見通しです。 2017年に国内で発売が予想される主な新薬を、領域別にまとめました。 【がん領域の新薬】「キイトルーダ」2月にも 多発性骨髄腫には2新薬 がん領域で注目されるのが、MSDの抗PD-1抗体「キイトルーダ」(ペムブロリズマブ)です。2月に薬価収載され、発売される見通しです。 昨年9月、悪性黒色腫の適応で承認を取得。昨年11月の発売も可能なタイミングでしたが、類薬の「オプジーボ」の薬価引き下げをめぐる議論が決着していなかったため、MSDが薬価収載を先送りしていました。がん領域に強い大鵬薬品工業との共同プロモーションで、先行
薬剤費の増加に歯止めをかけたい政府と、それに反発する製薬業界や医療界の間で、ここ数年、つばぜり合いが続いてきた薬価の毎年改定。「オプジーボ」の薬価引き下げを機に、実施の方向へと一気に舵が切られました。 政府は、通常の薬価改定が行われる2018年度以降、薬価を毎年改定する方針を固めました。通常の改定に当たらない“谷間の年”は、市場実勢価格を把握するための薬価調査も簡素化し、薬価と実勢化の乖離が大きい品目に絞って薬価を引き下げる方向で最終調整していると伝えられています。 実際、薬価改定が毎年行われると何が起こるのでしょうか。毎年改定を推す政府の経済財政諮問会議と反対する製薬業界、双方の主張をもとにまとめました。 【推進派】毎年改定で1900億円の医療費削減 政府が薬価の毎年改定に乗り出すのは、市場実勢価格の下落を公定価格の薬価にすみやかに反映させるのが狙いです。2年に1回という現状のサイクルで
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