サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
買ってよかったもの
xtech.nikkei.com
信用情報機関のシー・アイ・シー(CIC)が「クレジット・ガイダンス」の提供サービスを2024年11月28日に始めた。CICが保有する信用情報を分析し、200~800点のレンジで指数を算出。算出理由と合わせて消費者に開示する。いわゆる信用スコアだ。 信用スコアとは、個人のクレジット利用における信用度を構成する多数のデータを基に、単一の指数として分かりやすい形で提供するものだ。信用スコアが広く浸透する米国などと違い、国内では過去にJ.Score(ジェイスコア)やヤフーが撤退。LINE Creditの「LINEスコア」も広く普及しているとは言い難い。 一方でCICはクレジット会社の共同出資で1984年に設立された「老舗」だ。CICが持つ情報の総件数は約8億3000万件、クレジット会社などによる信用情報の照会件数も毎月2000万件台と膨大だ。CICがこれまでの事業で得た知見やデータを基にクレジット
日経BPは、日本の産業や社会がAIとどう向き合うべきかを多面的に発信するプロジェクト「AIリーダーズ100」を立ち上げました。専門媒体の力を結集し、AIによる日本の産業変革を支援していきます。特設サイトはこちら 日本の自動車メーカーが「残酷なAI(人工知能)格差」に直面している。米Alphabet(アルファベット)傘下の米Waymo(ウェイモ)が2025年に東京で自動運転車のテストを始める一方、ホンダが2026年に自動運転タクシーを日本で始める計画は白紙になった。 ウェイモは2024年12月17日、配車アプリのGOや日本交通と、ウェイモの自動運転技術「Waymo Driver」を東京でテストするための戦略的パートナーシップを締結した。2025年に始めるテストの初期フェーズでは、日本交通の乗務員がウェイモの車両を東京都心(港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区など)で運転し、
さくらインターネットのGPU(画像処理半導体)クラウド事業が急拡大している。2024年6月までに米NVIDIA(エヌビディア)のGPU「H100」を2000個設置しサービスを強化したところ、2025年3月期にはGPUクラウドの売上高が50億円を超える見込みだ。GPUクラウドについては、2026年3月期に100億~200億円、2027年3月期に200億~300億円を目指す計画を公表しており、同社の鼻息は荒い。 「底が抜けたように需要がある状況だ」――。さくらインターネットの田中邦裕社長は、エヌビディア製GPUを使った自社のGPUクラウドサービス「高火力」についてこう語る。 舘野正明副社長は「高火力の稼働率はほぼ100%で張り付いており、顧客からは『新しいサーバーはいつか』と問われている状況だ。当社が準備できているインフラ規模よりも、圧倒的にニーズが高い」と明かす。 800個のH100を大阪で
ネット君 最近は動画が増えてコンテンツがリッチになってます。昔に比べてネットワークに流れるデータがずいぶん増えましたよね。 インター博士 そうだな。例えば国内のモバイル通信のトラフィックは2022年9月から2023年9月にかけて約2割も増えた*1そうだ。 ネット君 うへぇ、回線も大変だ。 インター博士 という訳で、帯域の確保が課題になっている。今回は回線の帯域を広げる技術の1つ、リンクアグリゲーション*2に関連する問題*3を説明する。 データの増加により回線が圧迫され始めたら、現状より広帯域の回線に乗り換えるのが解決策の王道だろう。しかし、ネットワーク環境によっては「現状より広帯域の回線が存在しない」「設備やコストの制限があって、広帯域の回線の導入が難しい」といった状況も珍しくない。 そんな時、特にイーサネットで使われる広帯域化の手法がリンクアグリゲーションだ。リンクアグリゲーションとは、
三井住友信託銀行がシステム開発体制を抜本的に見直す。銀行本体にシステム子会社を統合し、ITの方針策定から実装までを一気通貫で担えるようにする。野村総合研究所(NRI)とITコンサルティングを手掛ける新会社も設立する
「私はジョブ型とコンサルとKPI(重要業績評価指標)が嫌いだ」。明治安田生命の永島英器社長からそんな言葉が飛び出した。
コンピューターと人間のインタラクションに以前から関心があり、1990年前後には既にVR(Virtual Reality:仮想現実)の記事を書いていた。もちろんそれで新しい世界が広がることに期待してのことだが、最近はそれ以外にも期待している点がある。パソコンの携帯性向上だ。パソコン本体を小さく軽くし、十分な画面面積を確保するには眼鏡型のAR(Augmented Reality:拡張現実)グラスやHMD(Head Mount Display)が利用できるからだ。 三十数年前の製品は性能や価格から仕事用に使えるレベルではなかったが、最近の製品であれば使えるようになったのではないかと考え、試すことにした。最初に試したのは米Vitureの「Viture Pro」。7万4880円(税込み)と外付けディスプレーとしてはやや高価だが、ARグラス自体に3自由度の位置センサーが搭載されており、首の向きに応じて
損害鑑定を請け負う東京損保鑑定は、2024年10月7日に公表した不正アクセスの調査が完了したとして、結果を公表した。同年8月29日にサーバーにアクセスできなくなり、サーバーのファイルを暗号化された。ダークWebで情報を公開すると脅迫するメッセージもサーバー上に同年9月2日に見つけた。 セキュリティー専門会社の調査では、サイバー攻撃者は統合型セキュリティー機器であるUTM(Unified Threat Management)にブルートフォース(総当たり)攻撃をし、その後サーバーにリモートデスクトップ接続してランサムウエアを実行した。サーバーのローカルフォルダーへの不正アクセスが確認され、不正アクセスされた時間帯のログが削除された可能性があることから、情報流出の可能性を完全には否定できないとした。 被害把握後、東京損保鑑定は影響を受けた恐れのある個人や取引企業に連絡。パソコンやシステム、ネット
生成AI(人工知能)、あるいは人の業務を代替するAIエージェントの登場・普及により、IT活用がダメダメの日本企業はまたまた大変な事態になりそうだな。欧米や新興国の企業に比べて、日本企業が圧倒的に立ち遅れることが確実だからだ。というか、加速度的に差をつけられていくことになりそうだ。それなのに「AIにできる仕事はAIに任せて、人は人にしかできない仕事に取り組もう」なんて脳内お花畑の連中ばかりなのは、一体全体どういうことだ。 日本企業が生成AIやAIエージェントをうまく使いこなすことは絶対に不可能だ。その結果、日本企業はこれから始まる「AI時代」のグローバル競争で、欧米や新興国の企業には勝てず、いわゆる「デジタル敗戦」を繰り返して没落していく――。この悲観シナリオは間違いなく現実のものとなる。少し不謹慎な言い方をすれば、この件で賭けをすれば私は100%勝てる。そう断言できるほど、確実なシナリオな
生成AI(人工知能)の登場によって、プログラミングの形が大きく変わろうとしている。一言でいえば「生成AIで作り、生成AIを使う」形になっていく。生成AIでPythonを使いこなす方法を解説する。 コードの生成は、大規模言語モデル(LLM)の得意分野です。現在、LLMによるプログラミングの支援機能を搭載するツールが続々と登場しています。この特集の第1回から第3回では、いくつかあるそれらのツールの中から、“無料”かつ“アカウント作成やログインが不要”で使えるものを選んで、その利用方法を紹介します。具体的には、次の3つを取り上げます。 では、Continueの紹介から始めましょう。 VS Codeの拡張機能「Continue」 Continueは、人気のエディター「Visual Studio Code」(VS Code)にAI支援を追加する拡張機能です。ここでは、「Windows 11パソコンの
デジタル庁が求める要件119項目のうち、13項目が2024年9月末までに完了――。さくらインターネットが2025年度末という期限に向けて、ガバメントクラウドの開発を急ピッチで進めている。同庁は何を求め、同社は何を追加で開発しているのか。極めて高い要求の実態と、同社の奮闘を深掘りする。 デジタル庁は2023年11月、ガバメントクラウド向けのクラウドサービスに、さくらインターネットの「さくらのクラウド」を条件付きで採択したと発表した。ガバメントクラウドへの採択は、「Amazon Web Services(AWS)」や「Google Cloud」「Microsoft Azure」「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」に続く5件目で、国産クラウド事業者としては初めてだ。 ただしさくらインターネットは2025年度末という期限までに、デジタル庁がガバメントクラウドに求める
デジタル庁が2025年1月14日、政府機関のドメイン「go.jp」の管理に不備があったことが確認されたとして、全省庁に対し状況確認と対策を要請したことを明らかにした。ドメインが不正利用できる状態にあったのは国土交通省や総務省、厚生労働省など。このうち国交省が大都市交通センサスの調査サイトで使った「daitoshi.mlit.go.jp」では、第三者がこのドメインを使って海外のオンラインカジノに誘導する広告サイトを開設していたという。 総務省では、新型コロナウイルス対策の特別定額給付金の広報活動に使ったドメイン「kyufukin.soumu.go.jp」が不正利用できる状態にあった。「go.jp」は政府機関だけが使えるドメインのため、これを使ったWebサイトは検索サイトで上位に表示されやすい。サイバー犯罪者にとっては悪用する価値が高く、個人情報やパスワードを盗むフィッシングなどにも使われるリ
日経BPは2025年の経済・技術・消費トレンドを総力を挙げて取材・予測します。雑誌・Web各メディアでの特集、未来を見通す書籍・調査レポートについてはこちらの特設サイトをご覧ください。 日経ビジネスLIVEの堀越功編集長と日経クロステックの榊原康副編集長が対談形式で2024年を振り返り、2025年の注目ポイントを見ていく。第4回は、日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)の見直し議論を取り上げる。 日経ビジネス堀越功 2024年は、2023年から続いてきたNTT法の見直し議論がとりあえず決着を見せた年でもありました。自民党のNTT法の在り方に関するプロジェクトチーム(PT)が2023年12月にまとめた提言では「2025年の通常国会を目途に(略)NTT法を廃止することを求める」としましたが、2024年初頭からの総務省有識者会議における詳細議論を経てNTT法の廃止はほぼ難しい情勢となりま
さくらインターネットが、社運をかけた大勝負を仕掛けている。売上高の4年分を上回る1000億円規模の資金を投じてGPU(画像処理半導体)クラウドを整備するのと同時並行で、大手パブリッククラウドに匹敵する機能性が求められるガバメントクラウドの開発を進めている。「国産クラウド」の雄を目指す、さくらインターネットの野望を解き明かす。 さくらインターネットは2024年度から2030年度までの間に、総額1000億円規模をGPUサーバーやデータセンターなどに投資する計画を進めている。同社の2024年3月期の業績は売上高が218億2600万円、経常利益が7億6400万円であり、1000億円規模という投資は売上高の4.5年分、経常利益の130年分に相当する。 米NVIDIA製のGPUを1万個導入へ 米NVIDIA(エヌビディア)製のGPUを2023年から2027年末までに1万個導入する。GPUサーバーはさく
生成AI(人工知能)を含む最新のAI研究動向を知るため、世界中の研究者やエンジニアが参照しているのが、論文速報サイト「arXiv(アーカイブ)」である。そんなarXivの投稿論文から、2024年12月15日から2025年1月19日にSNSのX(旧Twitter)で多く言及されたAI分野の注目論文を紹介する。調査には米Meltwater(メルトウォーター)のSNS分析ツールを利用した。対象はXの全世界のオリジナル投稿、コメント、再投稿、引用投稿である。 東京を拠点とするSakana AIと東京科学大学の研究チームは2025年1月9日、大規模言語モデル(LLM)が自律的にタスクを理解し、リアルタイムに適応する新しいフレームワーク「Transformer2」を発表した。このフレームワークを解説した論文「Transformer2: Self-adaptive LLMs」は、世界のSNS言及数ランキ
2024年末から2025年初頭にかけ、専門家でなくとも耳にすることが多かったであろうサイバーセキュリティーの用語がある。「DDoS攻撃」だ。 古くからある攻撃手法で、いまだに多くの企業に被害を引き起こす。DDoS攻撃とは何か、「今更聞けない」その仕組みとなぜ防ぎきれないかを解説する。 パケットを大量に送り正常な通信を阻害 DDoSとは「Distributed Denial of Service」の略で、「分散型サービス妨害」という意味である。単一の送信元から大量のパケットを送り付けてサービスを妨害するDoS(Denial of Service)攻撃を発展させ、送信元を不特定多数にすることで防ぎにくくした攻撃がDDoS攻撃だ。 攻撃者は送信元を増やすため、パソコンやIoT(Internet of Things)機器などをマルウエアに感染させて送信元となるボットを多数つくる。これを束ねたボット
人工知能(AI)による家賃の提案が全米で問題化している。実質的な価格調整だとする意見が強く、サービスを禁止する条例の制定が相次ぐ。住宅や不動産の分野でも、AIを巡る規制の議論が活発になってきた。 米シリコンバレーで賃貸住宅の管理を手掛けるグレンウッドベンチャーズの担当者は困惑を隠せない。2024年から続く不動産収益管理ソフトウエア「AIレベニューマネジメント」を巡る混乱が、業務に影響し始めているからだ〔図1〕。
岐阜県内のリニア中央新幹線のトンネル工事現場付近で地盤が沈下している問題について、JR東海は2025年1月18日に開いた住民説明会で工事が原因の可能性が高いと認めた。トンネル内への湧水で地下水位の低下が進み、圧密沈下などが生じたと見られる。 湧水対策に着手した後、工法を参考にした別のトンネルで落盤事故が発生したため安全性の懸念が浮上。本格実施の前に対策工事を中断し、内容を再検討している。対策方法の決定は25年4月以降になる見通しだ。 問題が発生したのは、JR東海が岐阜県瑞浪市大湫(おおくて)町で進めている「日吉トンネル」の建設工事。施工者は清水建設・大日本土木・青木あすなろ建設JV(共同企業体)だ。24年2月に湧水が発生し、付近の井戸などで水位が低下。同年5月に掘削を中断した。 JR東海によると、25年1月14日時点で現場付近の地表面が最大で7.7cm沈下した。これまで砂質土層の圧縮沈下と
「脳細胞がコンピューターになる。脳本来の特性を活用すれば、GPU(画像処理半導体)や量子コンピューターとは異なる、次世代のコンピューターが実現できるのではないか」――。ソフトバンク先端技術研究所の朝倉慶介先端5G高度化推進室室長はこう語る。 ソフトバンクの研究開発部門である先端技術研究所と東京大学は2025年1月17日、iPS細胞を培養して作られる神経細胞をコンピューティングに活用する研究成果を発表した。「BPU (Brain Processing Unit)」と名付け、CPUやGPUに変わるアクセラレーターとしての活用を見込む。40~50年後の実現を目指すとしている。 一般にヒトの脳はコンピューターと比較して、学習に必要なデータ量が少ない点や、未知の環境や事象に直面しても経験や勘から正解を導く推論能力を有する。こうした脳の特性をコンピューターに活用できれば、既存のコンピューターにはない特
最近、人工知能(AI)に特化したいわゆるAIデータセンターに関する話題が目立つ。特に話題になるのは、その消費電力が膨大になるのではないかという件。これには以前の筆者の“記者の眼”で、数年先はともかく、2040~2050年といった時点まで、今の技術の電力効率をそのまま当てはめることはできない、といったことに触れた。少し長い目で見れば、コンピューターの電力効率は現在の100~1000倍、あるいはそれ以上に高まることがほぼ確実だからだ。 ただ、消費電力以外にも、AIデータセンターを増やす上でのボトルネックは複数ある。その1つが予算または投資額、そしてもう1つが土地だ。 Microsoftが巨額を投資 米国の今後のAIデータセンターの建設計画で目立つのが、米Microsoftと米OpenAIが2024年3月に共同で発表した「Stargate」だ(表1)。消費電力が5GW(5000MW)と、メガスケ
2030年、AI(人工知能)の領域ではどんな技術が脚光を浴びているのだろうか。最新の科学論文で頻出するキーワードを分析した結果、5つの技術が浮かび上がってきた。 「NeurIPS」「ICML」「CVPR」など、特に重要度が高いとされるAIトップカンファレンスで2024年に採択された論文1万3175本を対象に、タイトルとアブストラクト(要約)を用いて特徴的なキーワード群やその関連性などを分析した。調査会社のVALUENEXから協力を得た。 分析の結果、研究が盛んな領域や注目すべきキーワードをヒートマップ形式で抽出したのが次の俯瞰(ふかん)図だ。赤や黄色で示した箇所は、類似した内容の論文が多いことを表している。つまり、分析対象の論文で注目度の高いトピックといえる。 ヒートマップの赤い箇所を中心に、注目すべき5つの技術を選定した。(1)因果推論(2)世界モデル(3)状態空間モデル(4)3D Ga
セキュリティー企業のトレンドマイクロは2025年1月6日、2024年末から大規模に活動しているIoT(Internet of Things)ボットネットを発見し、攻撃命令をボットへ与える「C&C(Command and Control)サーバー」から送信される攻撃コマンドを観測したと発表した。トレンドマイクロはこのボットネットについて、「Mirai」と「Bashlite」に由来するマルウエアで構成したものと見ている。 トレンドマイクロの岡本勝之セキュリティエバンジェリストによれば「当該ボットネットによる攻撃と被害の因果関係は定かでないが、この攻撃対象には前述した被害企業が含まれていた」という。同社がC&Cサーバーに書き込まれたコマンドを監視したところ、コマンドでは連続するIPアドレスの固まりであるアドレスブロックで標的を指定。このアドレスから被害組織を割り出している。
富士通が保守を終了する2035年度末はモダナイズの期限として現れた「新たな崖」といえる。モダナイズを新規顧客の獲得につなげようと狙うプレーヤーも登場。発表から60年が経過したメインフレームのモダナイを巡る攻防が激しさを増している。 米IBMがメインフレーム「S/360(System/360)」を発表してから2024年で60年が経過した。「還暦」を超えたメインフレームのモダナイズ競争が激しくなっている。 富士通は2030年度末にメインフレームの製造・販売から撤退し、5年後の2035年度末に保守を終了する。2024年7月時点で320社、650台の富士通メインフレームが国内で稼働している。この650台のモダナイズ案件獲得に向け、富士通をはじめSIベンダーやメガクラウドベンダーを巻き込んだ争奪戦が展開されている。 富士通メインフレームの保守が終わる2035年度末は、IBMなど他のメインフレームユー
日経BPは2025年の経済・技術・消費トレンドを総力を挙げて取材・予測します。雑誌・Web各メディアでの特集、未来を見通す書籍・調査レポートについてはこちらの特設サイトをご覧ください。 日経ビジネスLIVEの堀越功編集長と日経クロステックの榊原康副編集長が対談形式で2024年を振り返り、2025年の注目ポイントを見ていく。第3回は、AIデータセンターを巡る水面下の暗闘を取り上げる。 日経ビジネス堀越功 2024年はAI(人工知能)データセンターへの投資が目立ちましたね。シャープの堺工場跡地を巡って、ソフトバンクとKDDIがそれぞれAIデータセンターを建設すると発表しました。生成AIの急速な普及に伴って、通信大手が新たな収益源として、AIに照準を合わせたことが見えた年でした。今や各社は5G基地局投資よりも、AIデータセンター投資のほうに積極的に見えます。 NTTグループも栃木県栃木市に大規模
国内ITサービスで長らくトップの座を占めてきた富士通が2022年からNTTデータとNECに抜かれ、3位に後退していたことが明らかになった。ITリサーチ大手、米ガートナーが世界のITサービスベンダーを対象に実施している「サービスマーケッツシェア」の結果である。富士通は2023年度から本業のセグメント名称をそれまで20年続けた「テクノロジーソリューション」から「サービスソリューション」に変えたばかりだった。 ガートナーが2024年8月に公表した2023年シェアによると、国内1位がNTTデータで前年比7.7%増の1兆6110億円、2位はNECで13.1%増の1兆3011億円、3位が富士通で7.7%増の1兆1875億円。国内のITサービス規模は8.9%増の14兆6803億円だったので、シェアはNTTデータが前年から0.1ポイント減の11.0%、NECが0.3ポイント増の8.9%、富士通は0.8ポイ
テクノロジーの将来を予測するに当たり、最も注意を払っておくべきはAI(人工知能)だろう。生成AIという巨大なうねりが世界中に波及し、影響範囲も極めて広い。あらゆる産業にとって人ごとではなく、一般消費者の生活様式にもインパクトを及ぼす。 開発競争は熾烈(しれつ)だ。生成AIの火付け役となった米OpenAI(オープンAI)は2024年9月、論理的推論に強い「OpenAI o1」を発表して世間を驚かせた。米Google(グーグル)も新機能の発表で対抗し、一歩も譲らない。両社に限らず、新興企業とビッグテックが入り乱れて火花を散らす。中国勢の存在感も大きい。AIを巡る論文数や特許出願数は世界1位とされ、同国の巨大ITも生成AIサービスの投入に積極的だ。 AIを取り巻く状況は混沌としている。科学論文、特許、スタートアップの資金調達――。今回は技術の行方を占うのに有効なこれら3種類のデータを基に足元の状
「社内では自らをSIerと呼ぶのをやめようと言っている」。ある大手SIerの社長がそんな話をしていた。SIerという呼称には受託開発など受け身の印象が強いからだ。クラウドサービスなどを提案・提供するオファリングビジネスを強化していく上で、SIerという呼称がマイナスになると判断したのであろう。
「3~5年後を当てにいく形で動かないといけない」――。大阪大学先導的学際研究機構の栄藤稔教授は、企業におけるR&D(研究・開発)のあるべき姿をこう語る。やみくもに研究・開発を進めるのではなく、将来の技術動向を見通した上で取り組むべきというわけだ。 技術予測を重視する考えは自身の経験から来ている。1990年代、パナソニック(当時は松下電器産業)でMPEGの標準化を担っていた栄藤氏は、3~5年後の半導体技術を予測することに力を注いでいた。半導体の進化によって、どれだけ複雑なことを担えるようになるかが決まるからだ。90年代前半の時点で、ソフトウエア上で動画を再生できる未来も予測していた。 2000年、栄藤氏はNTTドコモに転じ、「3G」の目玉となるモバイルマルチメディアを担当した。最初の仕事は「MP4」のフォーマット策定。米Apple(アップル)と組んで実現し、iPodやiPhoneにも採用され
まもなく、この「極言暴論」は執筆し始めてから12年目となる。干支(えと)でいうと、ちょうど1回りするわけだ。原則として毎週書いており、「よくもまあ、ここまで書き続けてこられたものだ」と我ながらあきれてしまう。ちょっと振り返ってみると、今でこそ日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の問題点や経営者の愚かさをばっさり斬る記事が多いが、執筆開始当初から徹底的にこだわってきたのは、人月商売のIT業界における多重下請け構造の理不尽を白日の下にさらすことだ。 極言暴論の熱心な読者や当事者である技術者ならよくご存じの通りで、人月商売のIT業界は、生成AI(人工知能)など最新の技術やサービスを生み出し続ける米国のテック産業とは似ても似つかない、非近代的な労働集約型産業だ。単に人月いくらの労働力提供ビジネスならまだしも、その実態が内包するのは、技術者への経歴詐称の強要、料金のピンハネ、偽装請負な
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『日経クロステック(xTECH)』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く