昨年12月、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲンに賃上げを求める労働者デモ(ロイター)ドイツのメルケル前首相が昨年、回想録を出版した。この時、「現在の国の苦境は彼女が元凶ではないか」という声があがった。 米国の懸念をよそに、ロシアと大型ガスパイプライン建設を進めただけではない。2011年の福島第1原発事故後、原発全廃を決めた。ロシアのウクライナ侵略で、すべて裏目に出た。安価な露産ガス輸入が止まり、ドイツ産業界はエネルギー高騰にあえぐ。 来月23日のドイツ総選挙は、経済再建が最大の課題だ。欧州で「独り勝ち」と言われた安定成長は見る影もない。 国内総生産(GDP)は昨年、2年連続でマイナス成長を記録。西独時代の1950年以来、1度しか前例のない異常事態だ。自動車業界はリストラの嵐が吹き荒れ、今後10年で14万人の雇用喪失が見込まれる。 ショルツ首相の中道左派与党、社会民主党(SPD)は逆風をもろ