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マラリア原虫(Plasmodium)(青色)に感染した人間の赤血球(赤色)。透過型電子顕微鏡の写真に色を付けたもの。(Micrograph by Moredun Scientific LTD/Science Photo Library) コンゴ民主共和国の北西部で謎の病が発生している。2025年2月だけで1300人以上が発症し、50人以上が死亡した。はっきりした原因はまだ不明だが、世界保健機関(WHO)は、化学物質汚染、細菌性髄膜炎、マラリア、その他の感染症など複数の原因が絡んでいるのではないかと考えている。 2月の最終週には感染者が倍近く増加したため、WHOは警戒を強めている。「もしこのまま勢いが衰えることなく患者が増え続ければ、かなりの危険信号です」と、米国立新興特殊病原体訓練教育センター(NETEC)の集団感染対応専門家ローレン・サウアー氏は言う。また、検査をしても原因解明の手掛かり
2021年に学術誌「Food & Nutrition Research」に掲載された研究では、多くのグルテンフリー製品は通常の製品よりも食物繊維やタンパク質が少なく、飽和脂肪、炭水化物、塩分が多いと指摘されている。さらに2015年に学術誌「PeerJ」に掲載された研究では、グルテンフリーの包装食品(パン、パスタ、ミックス粉など)に「顕著な健康上の利益はない」と結論付けている。 とはいえ「状況は確実に改善しており、企業は製品に全粒グルテンフリー穀物や代替穀物を使いはじめています」とデニス氏は言う。「けれどもこれらの製品には、保存性を高め、グルテンを含む製品の口当たりを再現するために、タピオカでんぷんや、馬鈴薯でんぷん、マルトデキストリンなどの増粘剤や増量剤が使われていることが多いのです」(参考記事:「もっと取りたい「体にいい炭水化物」、実は白米も冷やせば大変身」) 米非営利団体グルテン不耐症
なぜこれほどまでに悪者にされたのか? 米食品医薬品局(FDA)は2014年、食品に「グルテンフリー」の表示をする際の基準を定めた。すると突然、ボトル入りの水やポテトチップスなど、もともとグルテンを含んでいない製品がグルテンフリーであることを宣伝しはじめ、グルテンは避けるべきものだという印象を消費者に与えるようになった。 「個人的にも栄養士としても、これは食品マーケティングの副作用だと思います」と、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部バッチ・アンド・テイマー・マヌーキアン消化器学科の登録栄養士で、みずからもセリアック病患者であるジャネル・スミス氏は言う。 食品のグルテンフリー表示は、グルテンを含んでいないことを示すだけで、健康に良いという意味はない。専門家の推定ではセリアック病の患者は世界人口の1%にもかかわらず、食品会社はグルテンフリーが万人にとって有益であるかのように宣伝することで、
グルテンは小麦や大麦やライ麦に含まれるタンパク質で、パンの骨組みとなり、モチモチした食感を与えている。グルテンはほとんどの人にとって無害であるにもかかわらず、グルテンフリーはトレンドの食事法となり、実践する人が急増している。(PHOTOGRAPH BY AILEEN SON, THE NEW YORK TIMES/REDUX) グルテンの摂取を控えると健康になるという主張に後押しされて、グルテンフリー食の人気がこの10年で急上昇している。このトレンドに減速の兆しは見られず、ドイツの調査会社スタティスタによると、世界のグルテンフリー食品市場は2032年までに140億ドル(約2兆1000億円)に達すると予測されている。しかし、グルテンを避けることは本当に健康に良いのだろうか? 医学的な理由でグルテンを避けなければならない人もいるが、圧倒的に多くの人は明確な理由もなくグルテンフリー食を実践してい
2025年1月に街を襲ったLA山火事のイートン火災で、米カリフォルニア州アルタデナの焼け落ちた商業施設の前を歩く人。気候変動によって山火事のシーズンがより長く、激しくなる中、科学者らは山火事の煙が人体に及ぼす特有の危険性についての研究に取り組んでいる。(Photograph by Ethan Swope, AP Photo) 山火事の周辺の住民が対処しなければならないのは炎だけではない。なぜなら、山火事の煙にはオゾン、一酸化炭素、多環芳香族化合物、二酸化窒素、粒子状物質など、さまざまな有害物質が含まれているからだ。これらは火元から何キロも離れた場所に住む人々にも影響を及ぼし、学術誌「Journal of the American Heart Association」に2018年に掲載された論文によると、呼吸器系や心血管系の疾患と関連しているという。 さらに、同じ人が毎年長期間にわたって煙混
考古学者たちは、ハンガリーのサーレトゥドバリ村の古代墓地で弓矢類と共に埋葬されていた10世紀の人骨が、高齢の女性のものであることを確認した。(Illustration by Luca Kis) 1980年代、ハンガリーの10世紀の墓から、人骨と共に、弓と矢じりと宝飾品という不可解な組み合わせの副葬品が発見された。当初の研究では、墓に埋葬されていた人物は男性だと推測されていたが、この人骨を新たに調べてみたところ、女性だったことが判明した。論文は2024年11月26日付けで学術誌「PLOS One」に発表された。 「彼女を『戦士』と呼びたいところではありますが、その点については保留することにしました」と、論文の筆頭著者であるハンガリー、セゲド大学の生物考古学者バラージュ・ティハニ氏は説明する。
冬の間は、屋外と同じく室内の空気汚染も心配な問題だ。ストーブや暖炉、超音波式加湿器は、吸い込むと人体に影響を及ぼすおそれのある汚染物質を発生させる。(Photograph by Don Huan Karlo, Alamy Stock Photo) 「空気汚染」と聞いてたいていの人が思い浮かべるのは、街を走る車やバスの排気ガス、工場からの排出物質や山火事の煙といった外の空気だろう。しかし、気づいていないかもしれないが、家の中の空気は外の空気以上に汚染されている可能性がある。冬は特にそうだ。 私たちはおよそ70%の時間を家で過ごす。在宅勤務をしている人なら、家で過ごす時間はさらに増える。したがって、住居内で生じる有害物質が健康に及ぼす影響は非常に大きくなり得る。 冬の室内に発生することの多い空気汚染物質にさらされると、呼吸器や循環器系の病気や、慢性的な炎症、がんなど、さまざまな症状を引き起こす
研究室で撮影されたカエトプテルス・プガポルキヌス(Chaetopterus pugaporcinus)。「ピッグバットワーム(ブタ尻虫)」という愛称どおり、ブタのお尻のような形をしたこの小さな生物は、米カリフォルニアのモントレー湾で発見された。(Photograph Courtesy Karen Osborn/MBARI) ヘーゼルナッツほどの大きさで、ピンク色をした、半透明のぶよぶよしたその深海生物は、太陽の光が届かない漸深層と呼ばれる深さにいた。モントレー湾水族館研究所(MBARI)の専門家たちが、水深800〜2200メートルの米国カリフォルニア沖を遠隔操作の潜水艇で探査した2001年のことだ。 「カメラでズームインすると、誰もが口々に『自分はこんなものは見たことがない』と言っていました」。さらに、MBARIの上級研究員であるブルース・ロビソン氏は、それは深海で目にするほとんどの“粒子
研究によると、女性の方が男性よりも強い痛みや慢性的な症状を抱える傾向が強いものの、鎮痛薬は男性ほど効かないという。(Photograph by Digicomphoto/Science Photo Library) 人類ははるか昔から痛みと闘ってきた。しかし、痛みを和らげる方法は誰に対しても同じだった。ところが専門家は最近になって、ある重大な真実を認めるようになった。それは、痛みの感じ方は男性と女性で異なるうえ、同じ薬でも女性は男性ほど効きにくい場合があるということだ。 女性や少女、そして出生時に女性と判定された人は、男性よりも痛みを感じやすく、片頭痛や過敏性腸症候群、線維筋痛症、変形性関節症などの慢性的な病気が多いことが、研究で示されている。(参考記事:「なぜ女性の方が過敏性腸症候群になりやすいのか、男性の約2倍」) ところが、医師に相談しても軽くあしらわれたり、無視されたりすることも男
リミニ博物館に復元された「外科医の家」の診察室。(Musei Comunali di Rimini/Gilberto Urbinati) 古代ローマ時代のその邸宅を特別なものにしていたのは、3世紀初頭に住んでいた人物の所有物だ。他の多くの遺物に混ざって、目を見張るような手術器具が続々と見つかったのだ。 1~3世紀に作られた青銅や鉄のメスやかぎなどがおよそ150個。明らかに、ローマ帝国時代の外科医の家だった。かつてはケースや箱に納められていたのだろう。これまでに発見された古代ローマ世界の手術器具としては最もそろっている。 このほかにも、薬を調合し、保管するために用いられたと思われる乳鉢も見つかっている。3世紀初め頃、この家は研究室と診察室を含む診療所として使われていたと考えられる。考古学者たちは、この家を「外科医の家」と名付けた。(参考記事:「古代ローマで大人気、万能調味料「ガルム」とは」)
人が心室細動で倒れたときに使う「AED(自動体外式除細動器)」。一般人の利用が解禁されて2024年で20年が経過した。延べ約8000人の命が助かったとみられる。AEDの存在は分かっていても、使い方を知らなかったり、怖くて使えなかったりすることもある。そこで、AED導入の経緯や適切に使うための方法、使わなかったときのリスクについて、慶応大学医学部元教授で、日本AED財団の理事長でもある三田村秀雄さんに聞いた。 防げないと考えられていた心室細動による突然死 ―医師として循環器内科、とりわけ不整脈を専門に治療されてきました。 心臓という臓器はダイナミックにずっと動き続けているところが何とも不思議で、魅了されました。心臓の病気は大雑把にいうと、「電気不全(不整脈)」「心不全」「冠不全(虚血性心臓病)」の3つしかありません。僕は記憶力があまりいいほうではなくて……(笑)。たくさんの病名を覚えなくてい
筋肉を増やす効果があるクレアチンは、長い間アスリートに愛用されている。しかし、脳の機能、睡眠、メンタルヘルスの改善など、運動以外への効果も注目されている。(Photograph by David Evans, Nat Geo Image Collection) クレアチンというアミノ酸は、何十年も前からサプリメントとして、筋肉を増やしたいボディビルダーやアスリートたちに愛用されている。しかし新たな研究で、記憶力の強化や、睡眠の改善、メンタルヘルスの維持といった運動以外の効果も明らかになってきている。 「クレアチンは最も研究が進み、最も効果があるサプリメントのひとつです」と話すのは、米ノースカロライナ大学チャペルヒル校の運動生理学教授、アビー・E・スミス・ライアン氏だ。「クレアチンは魔法ではなく、実際に効果があります。そこに複数のメカニズムが働いている可能性があるので、運動以外でも注目されて
米国ペンシルベニア大学でEDVACの実演をするエンジニアのトーマス・カイト・シャープレス。(Getty Images) 1940年代から1950年代にかけて、それまでにない規模で計算や演算を実行できるプログラム可能な機械が主に米国で開発された。巨大なこれらの機械は、いまのコンピューターの原型となった。代表的な5つの装置から開発の歴史をたどってみよう。 Mark I(1944年) 1936年、ハーバード大学の大学院生だったハワード・エイケンは、19世紀の英国人数学者チャールズ・バベッジの研究に触発され、プログラム可能なコンピューターの開発を決意した。1939年、エイケンはIBMから資金援助を得る。 2年後には米海軍が開発計画に加わった。海軍の狙いは、この機械を長距離弾の軌道という非常に複雑な計算に使うことだった。 1944年にMark Iは完成し、さまざまな用途に使用された。原子爆弾の爆縮の
ブロッコリーは極めて良質なタンパク源だと、米スタンフォード予防研究センターのクリストファー・ガードナー氏は言う。ブロッコリーにはまた、消化器系の健康維持、血糖値の調整、LDL(悪玉)コレステロール値の低下、がんや心臓病のリスク低減に役立つ食物繊維が豊富に含まれている。(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALE, NGM STAFF) タンパク質が重要な栄養素であることはだれもが知っている。タンパク質は体にエネルギーを与え、免疫力を高め、皮膚や歯を健康に保ち、強い筋肉や骨を作るのを助ける。しかし、高タンパク質の食事法が牛肉や豚肉、鶏肉などに大きく依存しがちな現状で、どのように植物性のタンパク質を取り入れたらいいのだろうか。 栄養士によると、植物性食品を中心とした食事でも十分なタンパク質を摂取することは可能だ。しかも、植物性タンパク質を多く取ることには明確な利点があるという。 事実
ドーパミンを生成するニューロン(神経細胞)。(MICROGRAPH BY DR. NICK GATFORD, RESEARCH FELLOW/KAVLI INSTITUTE OF NANOSCIENCE DISCOVERY/UNIVERSITY OF OXFORD) ドーパミンは、いわゆる「幸せホルモン」として広く知られている。買い物をしたり、おいしいものを食べたりした後で楽しい気分になるのは、主にこのドーパミンのせいだと言われる。だが専門家によれば、ドーパミンにはさまざまな働きがあるのは確かだが、「気分を良くする」効果はないという。 ドーパミンは複雑な神経伝達物質で、ホルモンのようにもふるまい、学習、運動、記憶、注意、気分、やる気に重要な役割を果たす。快楽の感情にも関わっているが、直接快楽を引き起こすのではなく、これだけで幸せになれるわけでもない。 ドーパミンの働きとは ドーパミンは、脳
カナダのブリティッシュ・コロンビア州で、岩だらけの海岸に生息するオオカミ。オオカミがイヌになった経緯についてはいくつかの説があるが、新しい研究は、「人に慣れたオオカミが人間のそばで暮らすことを選んだ」という説の信頼性を高めることになった。(Photograph By Paul Nicklen, Nat Geo Image collection) 「いい子だね」。人類は何千年、何万年も前から、ありとあらゆる言語で動物たちにこう話しかけてきた。私たちは、かわいい動物を見ると目を細め、その動物を自分のものにして、自分を愛してもらおうとする。しかし、家畜化は人間の一方的な押し付けによって成立するものではなく、動物の方でも人間に順応している。(参考記事:「ネコは自ら家畜化した、遺伝子ほぼ不変、最新研究」) イヌの家畜化をめぐっては、激しい議論が交わされてきた。人間は、仲間として飼うために、古代のオオ
デンマークの首都コペンハーゲンの運河沿いにあるニューハウンで、独身クラブのメンバーたちが交流し、歌い、酒を飲んでいる。研究によれば、このような歩きたくなる街に住むことは、心身の健康に多大な恩恵をもたらすという。(PHOTOGRAPH BY CORY RICHARDS, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 歩きたくなる街に暮らすことは、幸福と健康を保ついちばんの秘訣かもしれない。歩きたくなる街とは、サービスや商品(食料品店、学校、医療機関、公園など)の大部分に車や公共交通機関なしでアクセスできる街で、そこに暮らす人はより大きな社会的、身体的メリットを享受していることがさまざまな研究で裏付けられている。(参考記事:「1日1万歩でなくても健康に効果、座る時間が長めでもOK、研究」) 住む場所は生活習慣に直接的な影響を与える可能性がある、と米ワシントン州立大学の栄養学、運動生理学教
1483年の戴冠式直前に、ロンドン塔から姿を消したエドワード5世と弟のリチャード。その少し前に、議会は2人が正式な王位後継者ではないと宣言し、叔父のリチャード3世を即位させた。(Photograph by Photo Josse, Bridgeman Images) 英国史上最大級の未解決事件である「ロンドン塔の王子たち」の失踪に、今、熱い注目が集まっている。英国立古文書館が「驚くべき新たな手がかり」と高く評価し、英国で最近放映されたあるドキュメンタリー番組が取り上げた“決定的証拠”が論争に再び火をつけた。 論争のあらましはこうだ。1483年、12歳のイングランド王エドワード5世と9歳の弟リチャードは、は、戴冠式直前にロンドン塔に幽閉され、その後姿を消した。それ以来500年以上もの間、歴史家やアマチュア探偵たちは2人がその後どうなったのかについて、様々な可能性を考えてきた。(参考記事:「英
米労働統計局によると、平均的な米国人は1日30分程度を読書に割いている一方、インターネットやテレビ視聴には数時間を費やしている。(PHOTOGRAPH BY JP TERLIZZI) あなたは本をどんなふうに読んでいるだろうか。会話の部分だけを読む人もいれば、長い文章を飛ばしたり、段落の最初と最後の文だけを読んだりするという人もいるかもしれない。一方で、単語を飛ばすことなく一つひとつ読み、同じ箇所を2回、3回と読み返して、何も見落としていないかを確認する人もいる。 デジタル時代は、われわれの本の読み方に大きな影響を与えている。米調査会社ギャラップや日本の文化庁の調査によると、日米ともに人々が読む本の冊数は減っている。一方、総務省情報通信政策研究所の調査では、日本人の平均的なインターネットの利用時間は1日3時間を超えている。 今日では、じっくりと読み込むよりも、ざっと読み飛ばすことの方に、よ
イタリアのブリンディジ港で抱き合うカップル。恋をすると脳の報酬中枢が活性化し、ストレスや痛みの軽減、睡眠や問題解決能力の向上など、測定可能な効果が生じうることが科学的に示されている。恋愛は長寿とも関連している。(Photograph by Andrea Frazzetta, Nat Geo Image Collection) 今年のバレンタインデーに予定があるかどうかにかかわらず、私たちの脳は常に、社会的な交流を求める行動に報いようとしたり、人との結びつきが足りないときには誰かと絆を結ぶよう促したりしている。プラトニックな愛であれ、ロマンチックな愛であれ、私たちは他者との交流を求める体の欲求を避けては通れない。 「人間の健康にとって、愛は新鮮な水や食べ物や運動と同じくらい、生物学的に不可欠なものなのです」と、米オレゴン大学の神経科学者であるステファニー・カチョッポ氏は言う。 一般に、愛は心
2016年に撮影された動画。アマゾンカワイルカのオスがあおむけで空中に放尿し、別のオスが水面から頭を出し、吻(ふん)で尿を追い掛けている。(VIDEO BY JOHN Y. WANG / CETASIA RESEARCH GROUP) イルカがゆっくりあおむけになり、水面から空中に勢いよく放尿して、黄色い虹のような弧が描かれる。アマゾンカワイルカ(Inia geoffrensis)で観察される「空中放尿」と呼ばれるこの奇妙な行動が、科学者たちに衝撃と混乱をもたらしている。「ボト」とも呼ばれるアマゾンカワイルカを218.9時間観察し、36回におよぶオスの空中放尿を報告した論文は、1月27日付けで学術誌「Behavioural Processes」に発表された。 「1頭のオスがゆっくりあおむけになり、ペニスを露出させて排尿します。ほかのオスがいる場合、そのオスは吻(ふん)で尿を追い掛けることが
ザトウクジラ(Megaptera novaeangliae)は、複雑な歌を歌うことが知られている。新たな研究により、この歌には人間の言葉に特有とされる経験則が見られることがわかった。(Photograph By Richard Robinson, Nature Picture Library) ザトウクジラの世界では、まるでTikTokで人気の曲のように、新しい歌が場所やグループを越えてあっという間に広がり、それまでおなじみだった曲と入れ替わることがある。ザトウクジラの歌は複雑だが、キャッチーで伝わりやすい歌の秘密とは何なのだろうか。 ザトウクジラ(Megaptera novaeangliae)の歌は、さまざまな音の要素が組み合わさってフレーズになり、フレーズが繰り返されてテーマとなり、さらにテーマが合わさっている。2月6日付けで学術誌「Science」に発表された研究によると、クジラの歌
象徴的な白い建物で知られるギリシャのサントリーニ島は、はるか昔から火山の噴火と地震に見舞われてきた。サントリーニ島および周辺の島々では、1月下旬から地震が相次いでいることから、多くの住民が島を離れ、政府が緊急事態宣言を発令する事態となっている。(Photograph by Petros Giannakouris, AP Photo) ギリシャのエーゲ海に浮かぶ島々は一般に、ゆったりとした雰囲気と穏やかな景観で知られている。しかし現在、アモルゴス島、アナフィ島、サントリーニ島を含むいくつかの島々では大きな地震が続いており、それがいつ収まるのかについての見通しも立っていない。 ここ数日、島民たちは最大マグニチュード5.3の地震に見舞われている。サントリーニ島では、島民の3分の2を超える1万人以上がすでに自主的に島を離れ、当局は学校の閉鎖を命じた。また、住民に対しては屋内での大規模な集会を控え、
幼児教育センターの屋外にある遊び場で遊ぶ子どもたち。(Photograph by Lynn Johnson, Nat Geo Image Collection) 事実と虚構を見分けられるスキルは、非常に重要だ。現代はAI(人工知能)によるハルシネーション(幻覚、AIが事実と異なる回答をしてしまう現象)や、デマ、詐欺商法の時代だ。科学や政府機関・メディアなどに対する信頼もかつてないほど低下している。そんななか、根拠を調べて取捨選択でき、信頼できる情報源を見極め、自分の頭で考えられる子どもを育てることがますます重要になってきている。 幸い、子ども(3歳児からティーンエイジャーまで)に批判的思考を身につけさせる上で役立つ方法を検証している研究者は数多い。そうした研究から得られた知見の一部を紹介する。 子どもの質問には常に向き合う、たとえ答えにくくても 米テンプル大学の心理学者で、思春期の発達が専
スペインのセビリアを訪れるなら、一歩踏み出して、フラメンコを初心者クラスで学ぼう。これもスペインを思い切り楽しむ10の方法のひとつだ。(PHOTOGRAPH BY AITOR LARA, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 地域によってさまざまな風土と文化をもつスペインは、旅行者にとって未知の体験であふれている。アウトドア体験を求めるにしても、極上のパエリア探しをするにしても、スペインの海辺や山々、そして都市では、どれだけ旅慣れた人であっても新たな何かに出合える。今回は、スペインでToDoリストに加えるべき項目を紹介する。 カンタブリア海沿岸をドライブする カンタブリア海に沿ってアストゥリアス州やカンタブリア州の北部をドライブしてみれば、山と海が触れ合う、手つかずの自然が残る風景を見ることができる。クディジェロの色とりどりな漁村をスタートし、カンタブリコ自動車道(A-8)を
コンゴ盆地にあるコンゴ共和国のオザラ・コクア国立公園もマルミミゾウやゴリラの重要な隠れ家だが、一帯では今、恐竜をまつわる伝説が新たに拡大している。(Photograph by Roger de la Harpe, Danita Delimont/Alamy) 木々が揺れ始め、サルが悲鳴を上げ、鳥が空高く飛び立った。コンゴ共和国オザラ・コクア国立公園の奥深くで、セラ・アボンゴ氏は凍り付いた。伝説の恐竜モケーレ・ムベンベに遭遇すると確信したためだ。 2003年、新米の自然保護活動家だったアボンゴ氏は、5000頭以上のニシローランドゴリラの命を奪ったエボラ熱の調査を行うため、オザラ・コクア国立公園の密林に足を踏み入れた。しかし、その日、エボラ熱(エボラ出血熱)の流行が脇に追いやられるほど、アボンゴ氏の頭は空想に支配されていた。(参考記事:「エボラ熱で約5500頭のゴリラが死んでいた」) 「実際は
シルバー・グレン・スプリングスの泉で泳ぐマナティーの体に、ナマズがぶら下がっている。(Photograph by Nicholas Conzone) 「1頭のマナティーに20匹ものナマズがぶら下がっているのを見たこともあります。頭や目にまで張り付いていて、マナティーはどんなに気持ちが悪かったことか」。米国フロリダ州ブルースプリング州立公園の泉で目にした光景を振り返るのは、非営利団体「セーブ・ザ・マナティー」のマルチメディア担当兼マナティー研究員であるコラ・バーチェム氏だ。 このナマズはマダラロリカリア(Pterygoplichthys disjunctivus)で、「プレコ」とも呼ばれる。体長は60センチほど。黒い体に紫と茶色のまだら模様とよく目立つ帆のような背びれがあり、平たい腹は水底の藻を食べるのに適している。 フロリダでは侵略的外来種で、川底に生息している。1950年代に南米からフロ
朝のトレーニングを始める女性。運動の開始時は、体と脳がその要求に適応する重要な時間帯だ。最初の数分間に起きる体の変化が集中力や気分の向上、長く続く健康への効果の土台になる。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 運動を始めて最初の数分間は、どんな運動でも、いちばんハードルが高く感じられるだろう。それにはもっともな理由がある。心臓がドキドキし、呼吸が速くなり、筋肉が動き出すと、体は急激に変わってゆく。これらの変化は、脳から肺まで、より良いパフォーマンスと長く続く健康的な効果の入り口となる。ここでは、パワーアップしてゆく体に何が起きるかを見ていこう。 心臓がスタートダッシュ あなたの体は、実は汗をかく前から活動の準備を開始する。この心拍数の「予測的な増加」は、活動に備えるためのストレスホルモン、ノルアドレナリンによって引き起
ベネズエラの広大なカナイマ国立公園の中には、岩絵が描かれた遺跡群がある。そこに描かれた星々や木の葉の絵を調査した考古学者たちは、この岩絵遺跡群が未知の古代文化の中心地だったとみている。 岩絵遺跡群があるのは、総面積約3万平方キロメートルにおよぶカナイマ国立公園の中でも特に近づくのが難しい地域。最初に岩絵が見つかったのは2009年だった。以来、米マノア財団からの資金提供の下、首都カラカスにあるシモン・ボリバル大学のホセ・ミゲル・ペレス・ゴメス氏を団長とした調査団は20もの先史時代の岩絵遺跡を発見してきた。 2023年11月にはそれまでの成果を学術誌「Rock Art Research: The Journal of the Australian Rock Art Research Association」に発表している。 カナイマ国立公園には密林と草原地帯が広がる。その数百メートル上にはテー
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