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大そうじへの備え
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血管を若返らせるために最も大切なのは運動 血管が劣化していく原因には、加齢、高血糖、高血圧、高脂質、喫煙などさまざまある。このうち加齢は誰もが避けられないが、それ以外の要因は、バランスのよい食事、適度な運動、禁煙などにコツコツと取り組むことで改善することが可能だ。これらの対策は、加齢による血管の劣化のスピードを抑えることにもつながり、「100年元気な血管」づくりにつながっていく。 中でも重要なのが運動だ。 運動をすると、全身の細胞でより多くの酸素や栄養が必要になるため、心臓は拍動回数を増やして、血流を増やす。また、筋肉が伸び縮みすると、筋肉の中にある血管も圧迫と緩みを繰り返し、血液が流れやすくなる。 血流が良くなると、働きが悪くなっていた毛細血管に血液が再び流れ込み、酸素や栄養が体の隅々にまで行き渡るようになる。さらに、血流が増えると血管内皮細胞が刺激を受けて、血管の若さを保つ一酸化窒素(
第2回 最大の敵は高血糖! 高血圧、高コレステロールも血管を老化させる 2024/12/5 梅方久仁子=ライター 全身に酸素や栄養を届ける血管の劣化は、どのように始まり、動脈硬化から重篤な病気へとつながっていくのだろうか。また、一度劣化した血管を若返らせる方法はあるのだろうか。カギとなるのは血管の一番内側にある「血管内皮細胞」の働きだ。特集第2回は、動脈硬化のもとになる内皮細胞の劣化の仕組みと、100年元気な血管をつくるための鉄則について見ていこう。
全身に酸素や栄養を届ける血管は、健康の要。老化すると全身の機能がうまく働かなくなり、心筋梗塞、腎臓病、認知症といった重い病へと突き進む「老化ドミノ」が起こってくる。人生100年時代を健康に生き抜くには、100年機能する若々しい血管を保つことが重要だ。本特集では、血管の老化を予防するために知っておきたい最新情報を、愛媛大学抗加齢医学講座教授の伊賀瀬道也氏に聞いていく。
政府は12月2日から、マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」への一本化を進める。同日以降、従来の健康保険証は新たに発行されなくなる。厚生労働省によれば、マイナ保険証に一本化することで、新たに保険証を発行するコストを年間約100億円削減が見込めるという。マイナ保険証への一本化に向けて知っておきたい10の疑問をまとめた。 1:マイナ保険証とは何? 2:どうしたらマイナ保険証を入手できる? 3:マイナ保険証を使うメリットとは? 4:12月2日から現在の健康保険証は使えなくなる? 5:マイナ保険証の課題は? 6:マイナンバーカードを持っていない人の診療はどうなる? 7:マイナ保険証を利用できない病院では診療が受けられる? 8:マイナ保険証のメリットに不可欠な「電子処方箋」の導入率は? 9:マイナ保険証への移行で企業に求められる対応は? 10:今後、マイナ保険証はどう進化? 1:
今再び「ビタミンB1欠乏症」が注目されています。ビタミンB1欠乏症と言えばひと昔もふた昔も前の国民病といわれた「脚気(かっけ)」が知られ、食べるものがたくさん手に入る現代人には関係ないように思えるかもしれません。しかし、近年の研究で疲労感や睡眠障害、免疫低下、心不全や記憶力の低下など、さまざまな不調にビタミンB1不足が関係する可能性があることが分かってきました。後編では、ビタミンB1と記憶障害の関係を中心に紹介します。 >前編 ビタミンB1不足で心不全のリスクが上がる? 上手なとり方は ビタミンB1は水溶性のビタミンB群の一種で、酵素(体内で反応を起こすたんぱく質)の機能を助ける物質だ。食事から摂取する糖質を代謝してエネルギーを作る補酵素としての役割があり、生きる上で不可欠な栄養素である。 食事で摂取した糖質は最終的に細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアに入り、代謝を繰り返して最終的
第2回 脚力を使わず立ち上がる。鍵はシーソーの原理で前傾 2024/11/14 梅方久仁子=ライター 古武術は、合理的な動きにより相手を制する技を研究し磨き続けてきた日本古来の武芸の総称だ。筋力に頼らず全身を連動させる動きが多く、筋肉や関節にあまり負担をかけない。そのため、腰や膝を痛めにくく、疲れず、楽に素早く動けるのが特徴だ。本連載では、理学療法士・介護福祉士として古武術をヒントにした合理的な体の使い方を研究する岡田慎一郎さんに、この技を日常生活に取り入れる方法を伺っていく。 日常生活で、椅子から「立ち上がる」のは、1日のうち何度も行う動作だ。しかし、年を取って筋力が落ちると、それが意外につらくなってくる。つい立つのがおっくうになり、座りっぱなしでいると、脚力が落ちて立ち上がるのがさらに困難に…。そんな悪循環にはまらないために、脚力に負担をかけない古武術式の立ち上がり方を覚えよう。 腰や
第4回 がんと診断されたら冷静に情報を集め、治療について理解しよう 2024/11/13 柳本操=ライター がんの予防につながる生活習慣を心掛け、定期的にがん検診を受けていても、残念ながらがんが発見されることはあり得る。そんなときは、ひとまず冷静になり、「これから受ける治療はどんなものか」の情報を集め、考える時間を持ちたい。第4回では、「標準治療」や「先進医療」、「分子標的薬」など、よく耳にするが正確に理解しているとは限らないがん治療の基礎知識について、東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授の中川恵一氏に聞く。
【 この記事で取り上げる「がんの予防」に関する Q 】 Q 禁煙、節酒のほかに、がんのリスクを減らせる方法はある? Q 食事で具体的に心がけるといいことは? Q がんの原因となる感染症の有無を調べるには? Q 太りすぎもダメだが、やせすぎもダメって本当? Q どんな基礎疾患があるとがんになりやすい? 男性のがんの43%、女性のがんの25%は「予防が可能」 Q 禁煙、節酒のほかに、がんのリスクを減らせる方法はある? 健康への関心が高い読者なら「喫煙」や「飲酒」ががんの発症に関わることはすでに把握済みだろう。「この2つに注意すれば、遺伝性以外の多くのがんは予防できる」と思っている人も多いかもしれない。 確かに、タバコとお酒を避けることはとても重要だ。 「日本人の発がんの原因のトップはタバコです。タバコに含まれる発がん物質は70種類ほどあり、体内で細胞内の遺伝子に結合し、細胞のがん化を引き起こし
座りっぱなしの生活は死亡リスクを高めることが知られていますが、毎日8時間以上座ったままで過ごしている人でも、中強度から高強度の身体活動を週に150分以上行えば死亡リスクは上昇しないことが、糖尿病患者を対象とした研究(*1)で示されました。中高強度の運動の例としては、早歩きや階段の上り下り、自転車、軽い筋トレなどがあります。 座りっぱなしが避けられない仕事でも、週末や隙間時間の運動で悪影響を相殺できそうです。(写真:metamorworks/stock.adobe.com) 座位時間が長い人は糖尿病になりやすい 1日のうちで座っている時間(座位時間)が長いことが健康に悪影響を及ぼすことはよく知られています。また、座位時間が長い人は糖尿病を発症しやすく、糖尿病患者はそうでない人に比べ不活発である傾向が高く、座位時間が長い糖尿病患者は血糖のコントロールがさらに不良になることも示されています。 そ
正しく知れば、有効な治療をタイミングよく受けられる 日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性65.5%、女性51.2%(*1)。今やがんは男女ともに「2人に1人」がかかる病気で、決してまれなものではない。あなたの周りにも、がんにかかった経験がある人、あるいはがんで亡くなった人が1人はいるのではないだろうか。 2人に1人となれば、あなた自身もがんにかかる可能性はある。なのに人はどうしても「自分だけはかからない」と根拠もなく思いたがるものだ。一方、ドラマなどのイメージから「がんは死に直結する病気」と捉えている人も多い。 がんとの戦いはいわば「情報戦」だ。ちまたにあふれる玉石混交の情報の中から適切なものを選び、がんについて正しい情報を得ておかないと、早期のがんをみすみす見逃してしまう。さらには、有効、かつ体への負担が少ない治療を受けられるタイミングも逃していくことになる。 「がんにかかる
第1回 人は股関節から老いる――若さを保つには? 2024/10/29 中野ジェームズ修一=フィジカルトレーナー 年齢を重ねると、「股関節」にちょっとした違和感を覚えたり、痛みを感じたりする人が増えてきます。「人は股関節から老いるといいます。それでも、自分で股関節の状態を良くすることは可能です」――そう語るのは、日本を代表するフィジカルトレーナーである中野ジェームズ修一さん。書籍『すごい股関節』を出版した中野さんに、股関節の状態を自分で確認し、改善していく方法について教えてもらいました。
認知症のリスクを減らすことができる14の危険因子を、医学雑誌「Lancet」が発表しました(*1)。同誌は2020年に12の危険因子を発表していましたが、今回新たに「視力低下」と「高LDLコレステロール」を追加。これら14項目すべての修正に取り組めば、全世界で認知症の発症を45%減らせる可能性があるとしています。 認知症の14の危険因子を取り除けば、世界の認知症の45%は予防できるとLancet誌は表明しています。(写真:2rogan/stock.adobe.com) 新たに2つを追加し、14の危険因子を提示 Lancet誌は医学分野において最も影響力がある雑誌の1つです。Lancet常設委員会は2017年から定期的に、認知症の予防と治療に関する最新のエビデンス(科学的根拠)について検討し、得られた知見を報告しています。同委員会は今回、2020年以降に発表された新たなエビデンスを確認して、
腰痛の多くは病気ではない 体の動かし方のコツを習得しよう ちょっと離れた場所にある物を取ろうとして腕を伸ばしたときや、急に立ち上がろうとした瞬間、腰に負担がかかって痛めてしまった…こんな経験はないだろうか? 腰痛を起こす頻度は、年を重ねるにつれて上がっていく。マッサージに通っても一時しのぎにしかならない、整形外科を受診したが悪いところはないと言われた、とりあえず湿布で様子を見ている、という人も多いだろう。 アスリートから高齢者まで、さまざまな人たちの腰痛を診てきた早稲田大学スポーツ科学学術院教授の金岡恒治氏は、「腰痛の多くは病気というより、体の使い方が間違っているというサインです」と話す。 「飲み過ぎると二日酔いで吐き気や頭痛が起こるのと同じように、余計な負荷がかかる動き方をしているために腰痛が起きていると考えてほしいのです。しびれが出るような場合は医療機関を受診するべきですが、そうでない
筋肉研究の第一人者で、“筋肉博士”として親しまれた東京大学名誉教授の石井直方氏が、8月20日、胆管がんのため亡くなりました。日経Goodayにも連載や特集など様々な形でご協力くださった石井氏。数ある記事の中から、自身の闘病について語ったインタビュー記事をピックアップ、その一部を紹介します。 はじめに 軽い負荷なのに高いトレーニング効果が得られる「スロトレ(スロートレーニング)」の開発者で、筋肉博士としてもおなじみの、東京大学名誉教授の石井直方氏。石井氏は大学生時代からボディビルダー、パワーリフティングの選手としても活躍し、日本ボディビル選手権大会優勝などの実績を誇りつつ、研究者として筋肉のメカニズムについて研究を続けてきました。今や筋トレは、子どもから高齢者まで多くの人に浸透。石井氏はまさに筋トレを日本中に広めた立役者といえます。
首が重だるくて痛みがある、五十肩で腕が上がらない、腰痛がなかなか治らない…。年齢を重ねるほど、こうした首、肩、腰のトラブルに悩む人が増えてくる。「いよいよ俺もガタがきたか」「年のせいだから仕方ないかな…」と、半ばあきらめてしまっている人もいるかもしれない。 首、肩、腰は、起き上がる、着替える、物を持つといった基本動作に欠かせない部位であり、痛みやコリなどの不快な症状があると、生活の質は大きく下がってしまう。そしてこれらの症状は、マッサージや湿布で何となくことはできても、根本的に治すのは難しい。どれも体の外側から働きかける対症療法にすぎないからだ。 それなら筋肉を鍛えて増やし、首、肩、腰にかかる負荷を減らせばいいのではないか?と思う人もいるだろう。だが、早稲田大学スポーツ科学学術院教授の金岡恒治氏は、「筋肉の量を増やすよりも、筋肉を正しく使うことで『動きの質』を変えることのほうが重要です」と
第1回 CTやMRI画像を分析した加齢研究 脂肪や筋肉はどうゆるんでいる? 2024/9/17 日経ヘルス 筋肉は年齢とともにどんどん薄くなり、たるみやシワの原因になっていた――外からは見えない筋肉の加齢変化を画像診断で見続けてきた医師が、老けない筋肉のつくりかたを突き止めました。
加齢とともに低下していく目の機能。視力を失う原因となる目の病気の多くは「初期には全く自覚症状が出ない」という厄介な特徴がある。しかし、定期的な検査やセルフチェックツールによる早期発見も可能なので活用したい。一生お世話になる大切な目の機能を守るために知っておきたい5つの重要な目の病気について、順天堂大学医学部眼科学教室先任准教授の平塚義宗氏に聞いていく。
朝スッキリと目が覚めない。目が覚めても疲労感が残っている。眠ろうとしてもなかなか寝付けない。夜中にトイレで目が覚めてしまう――。睡眠に関する悩みを持つ人は多いが、睡眠の科学研究が進めば、こうした悩みも解決する日が来るかもしれない。睡眠中は心身が休んでいるイメージが強いが、最新の研究から睡眠時の方が脳は活発に活動しているという逆説的な事実が明らかになったという。東京大学大学院医学系研究科教授の上田泰己氏に話を聞いた。 試験管の中で眠る脳の神経細胞 30代から東京大学大学院医学系研究科の教授を務める第一線の研究者・上田泰己氏が、新刊『脳は眠りで大進化する』(文春新書)を刊行した。近年急速に進んだ睡眠研究の歩みを振り返り、最新の研究からどんなことが分かってきたかを解説した一冊だ。中でも驚くべき発見がある。睡眠といえば心と体が休む時間、覚醒が「動」とすれば睡眠は「静」と思われていたが、実は睡眠は単
「見えにくさ」を放置すると視機能の低下、全身の老化につながる 近くを見るときにぼやける、目が疲れやすい、本を読むのが苦痛になってきた、細かい文字を読み違える、夜間の運転が怖くなってきた――このような変化を「年のせいだから仕方ない」と放置していないだろうか。老眼鏡やコンタクトレンズを使っている人は、最後に眼科を受診してチェックしてもらったのは何年前か、覚えているだろうか。 「ふと感じた見えづらさを『年のせいだろう』で片付けていると、緑内障、加齢黄斑変性など、視力を失う原因となる目の病気を見逃すことになります。見えづらさを放置せず、目の機能の低下に気づくチャンスにしてほしい。目の病気の治療法は年々進歩しています。今からでもできることはたくさんある、とポジティブに捉えていただきたいのです」と言うのは、順天堂大学医学部眼科学教室先任准教授の平塚義宗氏。 確かに、血圧や血糖値、コレステロールなどの数
認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)、または初期のアルツハイマー病は、健康的な食事や運動、十分な睡眠などの生活習慣の工夫や、ストレスの軽減によって改善する可能性があることが、米国で行われた無作為化比較試験で明らかになりました(*1)。 生活改善は認知症進行を抑制する? 初めての無作為化比較試験 アルツハイマー病の発症と進行には、不健康な食習慣や座りがちな生活、感情的ストレス、社会的孤立などのライフスタイル要因が関係することが分かっています。また、生活改善が認知症予防に役立つことを示す研究結果も複数報告されています。しかし、軽度認知障害または初期アルツハイマー病の患者を対象に、生活改善を行った場合の認知機能への影響を検討する無作為化比較試験は行われていませんでした。 そこで米Preventive Medicine Research Instituteの研究者らは、積極的な生活改善が認
正解は、(1)以外すべて です。 どんな楽器に超高周波は含まれるの? 人間が聞くことのできる周波数よりもはるかに高い、聞こえない領域の音が「超高周波」です。国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第七部 部長の本田学さんは、この超高周波を含む音による体への未知なる働きについて30年近くにわたって研究しています。 では、その超高周波はどんな楽器に含まれているのでしょうか。 本田さんが計測したところ、図1のように、ガムラン、チェンバロやバグパイプも超高周波が豊富である一方、ピアノでは超高周波は出ていないことが分かりました。 「オーケストラでは、シンバルがジャーンとなった瞬間には出ますが、時間平均でとるとあまり出ていません」(本田さん) 本田さんは、「少人数から大人数で聞かれるようになった過程で、楽器から超高周波が失われたのでは」と推測しています。「バロック時代に宮廷音楽だったチェン
食道がんのリスクを大きく左右するのは「お酒」 毎日約3kg、年間で換算すると1トンにも及ぶ飲食物を胃へと送り続けている「食道」。他の消化管と同様に、食道にもがんができる。そして食道がんには、同じ消化管のがんである胃がんや大腸がんと比べて、一筋縄ではいかない性質がある。 それは、「転移しやすい」「食道の複数の場所にがんができることが多い」「のど(咽頭・喉頭)や胃などにも同時にがんができることが多い」「進行すれば大手術となり、術後の生活に大きく支障をきたす」――といった点だ 第1回参照 。 ただし、食道がんの発症リスクを高めるもの(リスク要因)の中には、避けられるものもある。その1つが、食道がんにおける最大のリスク要因である「お酒」だ。 実は、お酒によって食道がんになりやすいかどうかは、生まれつき備わった体質で決まる。「食道がんになりやすい体質の人が長期にわたってお酒を飲み続けると、確実に食道
第1回 最大の要因は「お酒」と「たばこ」 顔が赤くなる人は少量でも危険 2024/7/16 田中美香=医療ジャーナリスト 大腸がんや胃がんなどと同様に、食べ物の通り道にできる「食道がん」。著名人が食道がんにかかったという話を耳にすることはあるものの、このがんについてよく知っている人は案外少ないのではないだろうか。食道がんは進行すると治療が難しくなるが、早期発見であれば内視鏡による治療が可能で、生活習慣を見直せば発症リスクを減らすこともできる。本特集では、食道がんの治療を専門とする、東邦大学医学部外科学講座教授の島田英昭氏への取材を基に、食道がんの現状や、食道がんとも関係がある逆流性食道炎の改善ポイントを紹介しよう。
「ギャンブル依存は進行性でどんどん悪化していく」「一度陥ると回復できない」といった固定観念で語られがちな「依存」。しかし、近年この分野の研究が進み、疾患レベルで治療が必要なものと、そうではない段階は明確に区別され、健康的に遊ぶ有効な手立てがあることも分かってきた。「ギャンブル障害」を長年研究してきた公立諏訪東京理科大学工学部教授で脳科学者の篠原菊紀さんに、いわゆる依存に関する最新の知見をアップデートしてもらおう。 障害レベルとそれ以外のレベルは区別すべき 今回は「依存」をテーマにしたいと思います。パチンコやゲームにハマったり、お酒を飲み過ぎたり、ということがあると、「依存」という言葉にドキッとするものです。この連載でも2年前に「スマホ依存」について先生に伺いました SNSに中毒性? 脳の「スマホ依存」真偽のほどは… 。スマホの使用について、日常生活に支障が起こるほどハマっていれば注意が必要
油は体に悪いと思われがちだが、それは誤解だ。適度な油の摂取は細胞膜をつくる上で欠かせない。一方、とりすぎによって悪い影響を与えることもある。今さら聞けない健康的な油のとり方を、慶応義塾大学医学部化学教室教授の井上浩義氏に解説してもらった。 油は体に悪いからできるだけ控えたほうがいい──。そんなふうに思っている人は少なくないのではないだろうか。だが、それは大間違い。適度に油をとることは、体にとって実はとても大切だ。慶応義塾大学医学部化学教室教授の井上浩義氏は「よく、私たちの細胞一つ一つをつくるのにはたんぱく質が必要だといわれています。ですが、実は油も必要なのです。細胞を包んでいる細胞膜は脂質からつくられているからです」と話す。 細胞を包む細胞膜は、脂肪酸とリン酸が結合したリン脂質という分子が2層に並ぶことで形成されている。油をとることは細胞膜をつくるのに欠かせないのだ。 ちなみに、私たちの脳
マスクを外す日常が戻ってきて久しぶりに自分の顔をまじまじと見て、「老けた…」と実感していないだろうか。同年代と比べて自分の老け顔が気になる、オンライン会議の画面に映った自分の顔から目を背けたくなる、ということはないだろうか。顔の老化には内側から起こるもの、外側から起こるものがあり、若いころから紫外線対策が手薄になりがちな男性は、見た目の老化進行リスクが高いという。本特集では、紫外線が強くなるこれからの季節こそ始めたい男の「老け顔対策」を、近畿大学名誉教授の川田暁氏に聞いていく。
20代のときよりも10キロ、20キロと太ってしまった「中年太り」の正体とその怖さを解き明かしてきた本特集。最終回の今回は、いよいよ「脱・中年太り」のために何を実践すべきかを国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所身体活動研究部運動ガイドライン研究室長の山田陽介氏に聞く。食べ方、運動、いずれも無理なくできることから始め、継続していくことが大切だ。食事改善と運動を組み合わせることで、リバウンドも防ぐことができる。
ぽっこり突き出したお腹はなかなかへこまず、健康診断の数値も芳しくない。若い頃よりも15キロ、20キロと増えた体重を減らそうと、ダイエットに挑むも失敗。こうした現実に、「だって仕方がない。年齢とともに代謝は低下する。年を取ると痩せにくくなるんだ」などと言い訳をしていないだろうか。だが、その言い訳は通用しないと考えた方がいい。 それは、なぜか。実は、「20代半ばから60歳までは代謝はほぼ変わらない」ということが明らかになっている。そのメカニズムを、基本的なところから見ていこう。 私たちが生きていくためには全身を機能させるためのエネルギーが必要で、そのエネルギーは食事によって得られる。これを「摂取エネルギー」という。一方、得たエネルギーは体を動かすことなどで消費する。これを「消費エネルギー」と呼ぶ。 どちらもエネルギーは「カロリー」という単位で示される(1リットルの水の温度を1℃上げるために必要
約200人のボランティアが血糖を2週間測定 こんにちは。大阪大学大学院で生活習慣病予防の研究をしている野口緑です。今回はちょっと番外編といいますか、多くのボランティアの方たちにご協力いただいて進めている「食事内容と血糖値(*1)の変動の関係」に関する研究で分かってきたことをチラッと報告したいと思います。 参加してもらったのは東京・大阪在住で、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー*2)がやや高めを示すけれど治療する段階にはない高血糖の方々約200人です。この方たちに持続的に血糖を測定するセンサーを2週間つけてもらい、同時に食事や運動も記録していただき、どのような生活習慣が血糖の変動とどのように関係しているかを調べました。 使用した持続血糖測定センサーとは皮下の間質液中のグルコース値を持続的に測定することで、ほぼリアルタイムで血糖の変動を知ることができる計測器です(血糖値と間質液中のグルコース
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