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大そうじへの備え
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過去80年間で「ますます難解になった」 学術論文、特に人文学・社会科学分野の可読性(文章の読みやすさ)が、過去80年で著しく低下していることが調査でわかった。 1812〜2023年に発表された34万7000件の英語の博士論文の要旨(アブストラクト)を分析した結果、1940年代には平均37だった可読性スコアが、2020年代には18にまで低下した。 過去80年間で、あらゆる分野で論文の要旨が読みにくく難解になっていることが判明した。なかでも最も顕著だったのは人文科学と社会科学だった。
「台湾有事」とは武力侵攻だけを意味するのではない。中国は米国などの第三国が介入できないような「グレーなやり方」で台湾を脅かそうと準備を進めている。その「隔離」シナリオと日本がいまできることについて、FNNワシントン前支局長のダッチャー・藤田水美氏が考察する。 台湾有事について、これまでワシントンのシンクタンクでは議論の中心は武力侵攻だった。中国の人民解放軍の艦船やミサイルの数を分析し、米国のインド太平洋軍のそれと比較して、勝算を予測する。 また、日本にある米軍基地がどれほどの被害を受け、死傷者数がどの程度になるのか、詳細なシミュレーションが繰り返されてきた。 しかし、2024年10月に台湾周辺で実施された中国海警局が主導する大規模演習を経て、その風向きが完全に変わった。安全保障の隙をついた中国の非対称戦略に米政府関係者も頭を悩ませているのだ。 10月14日、台湾の建国記念日に相当する「双十
※本記事は『経済学の堕落を撃つ』(中山智香子)の抜粋です。 科学や技術が戦争に利用されるようになると、経済学も戦争と平和の問題に深く関わることになった。自由を謳う側が提唱する平和構想は一見説得的ではあったが、実は圧倒的に強者の論理であり、またやがてはAIに結実することになるような、いわゆる「合理的推論」に沿って、ただたんに平和を概念的に定義しただけにすぎないものでもあった。 しかし平和とはほんらい、そんな小むずかしいものではないはずだ。ひとの暮らしがそれぞれ違っており、にぎやかでやかましかったり、あるいは間が抜けていたりというように、平和もまた、ムダや遊びを大いに含む、ユーモラスで優しいものであるはずだ。生き延びるためには自由を手放し相互に監視し合わなければならない、などと厳しい選択を迫られるのは、人間の生存が脅かされているときだけにしていただきたいものだ。 ところが生の解放を標榜したはず
米ジョージア州に住む同性愛者のカップルが、養子縁組した2人の少年に対する凄惨な性的虐待の罪で、それぞれ100年の禁固刑を言い渡された。 一見、裕福なアトランタ郊外で幸せな家庭を築いているように見えた2人の正体は、自らの養子に性的虐待を加え、その様子を撮影して小児性愛者向けの動画を制作する異常者だった。 米紙「WSB-TV」によると、ウィリアムとザカリー・ズーロック(34歳、36歳)は、クリスチャン系の特別支援施設から引き取った当時10歳と8歳の兄弟に、継続的に性的虐待を加えていた。銀行員と公務員という安定した職業を持つ2人は、SNSでその様子を仲間に自慢し、「今夜、息子とヤる。待っていろ」などというメッセージとともに虐待の画像を送信していたという。 さらに2人は地域の小児性愛者ネットワークの一員として、少年たちを他の男性に斡旋していた疑いもある。 事件は2022年、このネットワークの関係者
なぜ人間はキスをするのだろう? このふだん何気なくやっている行為について真剣に考えてみたことはあるだろうか? キスを歴史的、科学的、社会学的に考察してみたら、想像以上に深い世界が広がっていた。 「最古のキス」は4500年前? 人々は大晦日の真夜中にヤドリギの下でキスを交わす。おとぎ話ではキスはカエルを王子に変え、お姫さまを魔法の眠りから目覚めさせる。私たちはキスで仲直りをして、結婚を誓い、そして『ロミオとジュリエット』のロミオに限っては、キスで命を落とす。 私たちの文化におけるキスの重要性は極めて高く、その言葉は唇が触れ合わない行為にさえ使われている。たとえば、まつ毛で触れ合う「バタフライ・キス」や、鼻を擦り合わせる「エスキモー・キス」(イヌイット文化では「クニク」と呼ばれている)などだ。 キスにまつわる最古の記録は4500年前の古代メソポタミア(現在のシリアとイラク)まで遡り、楔形文字の
中国で堅調が続く理由 グッチやバレンシアガなどの高級ブランドを束ねるケリング、ルイ・ヴィトンやフェンディを傘下に置くLVMHなど、名だたる高級ブランド企業が売り上げの低迷や株価の下落に苦しむなか、異質な成長を見せるのがミュウミュウ(プラダ社)だ。 ミュウミュウは9月30日までの3ヵ月間で売上高105%増を記録し、プラダ社全体の売り上げに大きく寄与した。躍進の理由は何なのか? まず、中国でも売り上げが依然好調な点が挙げられる。経済低迷と習近平政権のもとでの「贅沢禁止」の風潮が要因となって中国人の支出は減っており、高級ブランドの業績は軒並み悪化している。しかし、ミュウミュウは若い層を中心に強い支持を受けている。
日本には生育不良型の小粒のスタートアップ企業「ピュニコーン」が多い。企業価値10億ドル以上の未上場スタートアップ「ユニコーン」を創出するためには、活気あるビジネス環境づくりが急務だと英紙が指摘する。 発育不良な「ピュニコーン」とは 人工知能(AI)で睡眠ビッグデータ解析を行うヘルスケアのスタートアップ、エコナビスタが2023年7月に、誕生間もない東証グロース市場に上場すると、同社の株価は一気に上昇した。しかしほどなく、下落が始まり、同社は時価総額の60%を失った。 エコナビスタはいま、日本の広大な産業界に生息するきわめて不思議な企業群の一員としてさまよっている。その群れとは、悲しげな鳴き声をあげる「ピュニコーン」だ。 ピュニコーン(punycorn)のpunyは「未熟で弱々しい」という意味である。つまり、ピュニコーンは成長が止まってしまったユニコーンなのだ。 このピュニコーンが進化し繁殖す
この記事は、愛をテーマにした米紙「ニューヨーク・タイムズ」の人気コラム「モダン・ラブ」の全訳です。読者が寄稿した物語を、毎週日曜日に独占翻訳でお届けしています。 なんでもない私の人生に、若い彼はやって来た 彼はロサンゼルスに来て1ヵ月になるが、まだあまり、いろんなところには行っていないという。海と2、3軒のレコードショップ、そして私が働く図書館に続くコンクリートの上り坂くらいしか知らない、とのことだった。 持っていたナサニエル・ウェストの小説『いなごの日』を彼に貸し、それから街を案内することを申し出た。 もうすぐ37歳の私より、彼はずっと若かった。どれくらい若いかを知るのが、怖かった。 1年半前にロサンゼルスに引っ越してきた私には志があった──脚本家になるという夢をかなえ、恋に落ち、結婚し、子供を産むこと。とりあえずの仕事が必要で、私は有名な映画アカデミーの研究図書館でエントリーレベルの職
ニュージーランド国内には使用されていない廃水池が多くあり、ここから発生するバイオガスが環境に悪影響を与えている。 この問題を解決するためにいま注目されているのが「廃水池での発電」だ。同国のリンカーン大学でイノベーションを教えるフェイス・ジェレマイア講師が提案する「逆転の発想」とは? 3つの課題、1つの解決策 ニュージーランドは3つの関連性のある課題に直面している。不安定な電力供給、温室効果ガスの排出削減、そして汚染した廃水池の管理である。 廃水池を再生可能エネルギー源に変えるために、浮体式ソーラーパネルを設置するという策はある。しかし、これだけでは初期費用や製造・廃棄時の環境負荷などが問題になるだろう。 より即効性があり、費用対効果の高い解決策はほかにもある。太陽光発電の半分のコストで継続的に発電すると同時に、メタンガス排出や藻類の繁殖といった問題にも対処する方法だ。
アイスランドでは、労働者の90%が週36時間労働を取り入れているという。驚くことに、多くの人は仕事をため込んでストレスを抱えることもなく、この取り組みはうまくいっているようだ。同国で教師をする筆者が、その成功の背景と労働時間短縮のメリットを解説する。 私は古い共同墓地を散歩しながら、墓石の碑文を読むのが好きだ。アイスランドでは通例、生前の職業の肩書きが故人の名前の下に刻まれる。年をとってきて思うのは、自分の墓にはどんな肩書きが刻まれるのだろうか、ということ──それは「教師」だろうか? 自分の仕事は大好きだが、できればほかの肩書きのほうがいい。 女性の墓の場合は過去数百年、「主婦」や「……(夫の職業名)の妻」以外の肩書きが墓石に刻まれることはほとんどなかった。今日(こんにち)アイスランドの女性はさまざまな職に就いているが、完全な男女間の平等を手に入れるには至っていない。それでも、機会の平等を
戦争が長引きロシア軍がウクライナへの侵攻を進めるなか、兵士たちは愛する家族のもとに帰るという希望をほとんど持たずに戦っている。そこで、ウクライナの女性たちは恋人や夫に会うため、電車や車で何時間もかけて危険な前線近辺へと赴く旅に出る。子供連れの姿も珍しくない。 彼女たちはハルキウのような、自分たちが住んでいる場所よりも危険な場所にまで足を運ぶこともある。戦線に近く兵士が多いハルキウは、「前線デート」のホットスポットになっているのだ。駅には、花屋が2軒ある。その主な顧客は兵士だ。 ジャーナリストのカテリーナ・カプースチン(32)は、9歳の息子ヤロスラフを連れて、夫のイホル・カプースチン(34)がいる最前線の村で休暇を過ごした。かつて整備士だったイホルは、現在ロシア軍と対峙する危険な場所から壊れた車両を撤去する作業をしているという。カテリーナは、米「ニューヨーク・タイムズ」紙に「息子とイホルは私
見た目以上に大変な「踊る棒人間」 わずか27秒の動画を制作するのに、会計士のダンカン・マッケイブ(32)は10ヵ月を要したうえ、1100キロ以上を走ることになった。 2024年1月、熱心なランナーでアニメファンでもあるマッケイブは、踊る棒人間のアニメーションを作りはじめた。そのために彼が使用したのは、ランナーやサイクリスト向けの、SNS機能とルート記録機能を兼ね備えた人気のGPSアプリ「Strava」だった。 マッケイブはStravaを使って日々のランニングルートを記録。その後、それらをつなぎ合わせ、「パープル・ハット」という曲に合わせてトロントの街を踊る帽子をかぶった棒人間のアニメーションを作り上げた。彼の動画はSNSで何千万回も再生され、Xだけでも2500万回以上再生されている。 I’ve seen a lot of the Toronto running community, but
トレンドの餌食となった男性が同メディアの取材に答えている。失業し、借金に苦しんでいたというこの男性はある日、SNSで広告を見た。監視カメラが設置されたホテルの部屋で顔をいっさい隠さず、そこで26日間過ごすことができれば、85万9000元(約1820万円)の賞金が与えられる、というものだった。 一見すると単純だが、達成することはかなり難しい。香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」によれば、詳しいルールは次のとおりだ。 「参加者は複数の監視カメラでスタッフに見られている部屋に入れられる。1日1回だけ、照明のオン・オフを切り替えることができ、毎日午前6時までに切り替えておかなければならない」
※本記事は『PATRIOT プーチンを追い詰めた男 最後の手記』(アレクセイ・ナワリヌイ著、斎藤栄一郎・星薫子訳)の抜粋です。 何事もない朝 推理小説よろしく、あの日の出来事一つひとつを正確につなぎ合わせていこうじゃないか。それが定石である。ほんの些細なことが謎解きの鍵を握っている可能性があるからだ。 あれは2020年8月20日のことだ。私はトムスクのホテルの部屋にいた。朝5時30分、目覚まし時計が鳴る。すくっと起きて、バスルームに向かう。シャワーを浴びる。ヒゲ剃りはしない。歯磨き。ロールオンタイプの制汗剤は空になっていた。それでも空の容器を脇に転がしてからごみ箱に放り込む。その容器は、数時間後に部屋を捜索に訪れた仲間が見つけることになる。 大きなバスタオルを羽織ってベッドに戻り、今日は何を着るか考える。下着にソックス、Tシャツ。スーツケースの中を覗き込んで10秒。服選びとなると軽いめまい
2024年2月、ロシア北極圏の刑務所に収監されていたアレクセイ・ナワリヌイが死亡した。現在、妻のユリア・ナワルナヤは、夫の意志を受け継ぎ反体制派を団結させようと活動している。普段は取材を受けることが少ない彼女が、スペイン紙のインタビューに応じた。 約束の時間である正午に1分たりとも遅れることなく、ユリア・ナワルナヤ(48)がパソコンの画面に現れた。控えめな黒のセーターに、同じく黒い縁のメガネを身につけ、特徴である長い金髪はポニーテールにまとめている。背後には白いパネルが設置されており、彼女の居場所のヒントになるようなものがいっさい映らないようにしている。 この数分前に、ナワルナヤのアシスタントがやや気まずそうに、ナワルナヤの居場所を私に明かしてしまった自分の不手際を慎重に修正し、「敵にあまり情報を与えないほうがいいので、どうかお願いします」と言った。 このような探偵小説めいた段取りの理由は
※本記事は『PATRIOT プーチンを追い詰めた男 最後の手記』(アレクセイ・ナワリヌイ著、斎藤栄一郎・星薫子訳)の抜粋です。 異常事態 例の客室乗務員のお目こぼしのおかげで、おかしな事態の発生の瞬間を正確に思い出すことができる。あれから18日間も昏睡状態が続き、集中治療室で26日間を過ごし、入院は34日間に達したわけだが、今思えば、確かPCを取り出す前にまず手袋をして、アルコールで拭き取ってから画面を開き、例のアニメ番組が21分経過した瞬間である。 離陸時のお楽しみである『リック・アンド・モーティ』の視聴を放棄するくらいだから、よほどのただならぬ事態が発生したわけだ。乱気流くらいであきらめる私ではないのだが、画面を凝視しても集中できない。冷や汗が額を伝う。とんでもなくおかしなことが起こっている。もはやPCを開いていられない。額を流れる冷や汗はさらに増えていく。 あまりの事態に、左隣のキー
禁止の限界 何十年もアルコール依存症と戦い続けても効果が見込めず、あとは亡くなるだけとなった場合、もはや「禁酒」は意味をなさない。むしろ、適切な環境で適量のアルコールを飲みながら、最後の日々を仲間と過ごすほうが、本人にとっても地域コミュニティにとっても幸せなのではないか──こうした考え方に基づき、飲酒をあえて許可しているドイツのアルコール依存症患者向け福祉施設が注目を浴びている。 ドイツのハンブルクにある「ハウス・エーイェンドルフ」には、2024年8月時点で137人の入居者がいる。みんなアルコール依存症患者だが、全員に対して自由に飲酒が許可されている。アルコール依存症患者にも飲酒が許可されているホームはドイツに何箇所かあるが、ここが最大規模だと独誌「シュピーゲル」は報じる。 シュピーゲルによると、以前はハウス・エーイェンドルフも、ほかのアルコール依存症患者向けの施設と同様、アルコールを禁止
手足の切断、外見の変形、脳の損傷……。彼らは人生が一変する傷を負い、この何万人もの死者を出している戦争を生き延びた。 彼らがガザを脱出し、治療のためにたどり着いたカタールで、米紙「ニューヨーク・タイムズ」はその姿を撮影し、話を聞いた。 一命をとりとめ、生き残ることができたけど、このまま生き続けたいのかどうかわからないという子供もいる。 もぎ取られた腕が、流し台の中に マフムード・アジュール(9)の家族は、イスラエル軍の砲撃が始まったときに家から逃げ出した。だが母親のヌールによれば、みんなの動きが遅かったので、マフムードが家に戻り、急ぐように言ったという。 そこに爆発が起きた。片腕がもぎ取られ、もう一方の腕もずたずたになったマフムードは、逃げ遅れそうな家族に言った。 「僕のことは置いていってほしい、僕はここで死ぬんだ」
政府が年度内の策定を目指す新たな「エネルギー基本計画」では、「原発依存度を可能な限り低減する」という表記が削除され、原発を「最大限活用する」と明記されることが明らかになった。一方、今年の元旦に起こった能登半島地震により、国民の原発への不安は再燃したままだ。 米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、能登半島地震で原発が被害を受けた石川県志賀町を取材。原発をめぐる住民たちの複雑な思いを報じている。 原発への恐怖、再び 2022年、史上最悪の原子力災害のひとつとされる福島第一原発事故から10年以上が経ち、日本はついに原子力発電を再開しようとしていた。 当時、日本国民の過半数以上は原発再稼働への支持を表明しはじめていた。2011年に福島県で地震・津波を原因とする原発のメルトダウンが発生して以来、日本の原発のほとんどは停止状態にあった。自民党は休止中の原発を再稼働させるのみならず、新たな原発の建設計画をも
川村美術館閉館の余波 DICが川村美術館の閉館を発表して以降、いくつかの変化があった。1つ目は、休館という報道を見聞きした多くの人が、日本が誇るお宝を目にできる日はもうあまり残されていないと大慌てしたことだ。その大半は、同美術館を訪ねてみようと思ったことなど一度もないのに、いまこそ出向かねばと考えた。 2つ目は、休館という決断に強く反対する声が上がったことだ。美術館周辺の道路沿いには「休館しないで」と書かれた看板がいくつも設置され、地元・佐倉市役所の公式サイトでは存続を求めるオンライン署名活動が始まった。12月6日までに、5万8131件の署名が集まっている。 3つ目としては、日本を一変させうる事態が起きた。DICのような企業が日本にはほかにどのくらい隠れているのかと、投資家の関心が集中したのだ。社会的に問題をはらむこの手の宝探しをいまや専門とし、本紙がここ数ヵ月ほど話を聞いている複数のヘッ
エヌビディアのジェンスン・フアンCEO Photo by Lachlan Cunningham / Getty Images エヌビディアを時価総額世界一にした男の秘密 世界で最も時価総額の高い企業の一つを築いた男は毎朝、電子メールの受信トレイをスクロールし、その日で最も重要な100通に目を通す。そして日曜の夜には、お気に入りのスコッチウイスキーを1杯注ぎ、さらに多くのメールを読む。 米半導体大手エヌビディアの従業員は「T5T」(Top-5 Things=最も重要な五つのこと)として知られるメモを書いてきた。自身が取り組んでいること、考えていること、事業の各分野で気づいたことをつづったものだ。 そして何十年もの間、ジェンスン・フアン氏はそれを全て読んできた。
敷地の50%を農地に オランダ郊外の町に住むマルコが新鮮な食材を調達するのに、わざわざ遠くのスーパーまで行く必要はない。彼の家のすぐ外には800平方メートルの区画があり、リンゴ、ナシ、ピーマン、バジル、ビーツ、カリフラワーなど、さまざまな作物が育っている。 冬の間、彼と妻は冷凍庫に保存された野菜だけでほとんど生活できてしまう。「昨日、食事のことを考えるのを忘れていました」と彼は言う。「庭を歩き回り、何か作物を見つけて、それがその日の食事になるのです」 2017年からマルコが住むオースターヴォルドは、アムステルダムの東、アルメレ市の郊外にある4300ヘクタールの都市実験地区だ。アルメレで市議会議員を務める彼が暮らすこの地区は、約10年前に構想された。
企業が保有する美術品は誰のもの? 2024年9月も終わりにさしかかった週末の午前、千葉県佐倉市の川村記念美術館(インキ大手DIC運営)では、脇道にある入場券売り場に長蛇の列ができていた。美術館前の並木道には車が列をなして、第2駐車場の空車待ちをしている。 館内のギフトショップは、このところ人が殺到したために休業中だ。まだ11時45分だというのに、併設されたレストラン「ベルヴェデーレ」入口前のスクリーンには「待ち時間181分」の文字。美術館の公式サイトは「弁当の持参」を呼びかけている。 川村記念美術館は2024年8月27日、2025年1月下旬をもって休館することを発表した。すると、これは一大事だと慌てた芸術愛好家らが、のどかな地区にある同美術館に大挙して押し寄せた。しかし、芸術愛好家とは比較にならないほどこの事態を重く受け止めているのが、多くの日本企業だ。 知名度が高いとは決して言えない川村
※本記事は、関卓中『地球上の中華料理店をめぐる冒険』の抜粋です。 これは私の「東京物語」である。 日本という国を初めて実際に目にしたのは、横浜港に入っていく客船の上からだった。時は1965年8月。1年前から東京に赴任していた父と合流するために、私は母、妹とともに香港を離れ、4日間の船旅の末に日本にやってきたのだった。前年に東京オリンピックが開催され、父は体操競技を観戦したと興奮ぎみに語っていた。 私たちは、4日前の真夜中に香港のビクトリアハーバーを出港した。港には、友人たちが見送りに来てくれた。当時、私は14歳。次に会えるのはいつになるのかわからない。夜の闇に消えゆく街の灯を見ていると、早くも友達と会えなくなる寂しさが込み上げてきた。 移住はこれが初めてではない。生まれは香港だが、生後10ヵ月にして祖母の腕に抱かれてプロペラ機でシンガポールに移った。12年後には、貿易会社に勤めていた父が香
「カシオ」の最新AIロボット「モフリン」の面倒を見ることになった英「ガーディアン」紙の記者。最初は最低限しか相手にしていなかった記者だが、徐々に愛着が湧いてきて──。 フワフワの小さなスリッパの片方に見えなくもない。キーキーと鳴き、身をくねらせ、手のひらのなかで丸くなる。黒い目が、銀白色の毛の下に隠れている。重さは缶入りスープと同じくらい。食事や散歩の必要もなく、ペット用トイレも使わない。家のドアの上がり口に“プレゼント”を残すことがないのも非常に素晴らしい。なぜなら、それはもうすぐペットとして我が家にやってくるからだ。 日本製の最新AIコンパニオンロボット「Moflin」(モフリン)の世話を託される前、家電メーカーの「カシオ」東京本社で同ロボットの開発者らと会った。カシオは11月7日、モフリンを発売した(価格は5万9400円)。「人との関係を築くのがモフリンの役目」だと同社企画担当の市川
ますます拡大するインバウンド市場。外国人観光客の目的地は、日本旅行の定番である東京・京都から地方へと移りつつある。なかでも、世界遺産・白川郷の合掌造りで知られる岐阜県白川村には、年間100万人を超える外国人観光客が押し寄せるという。現地では今、何が起きているのか。白川村役場観光振興課、小瀬智之課長補佐より話を聞いた。 人口の1000倍の観光客が訪れる村 ──外国人観光客は、いつごろから増加しましたか? 小瀬 大きなきっかけは世界遺産に登録された1995年ですが、ここ10年ほどで飛躍的に増加しました。2013年の外国人観光客の年間訪問者数は15万人で、全訪問者の1割程度。しかし、2019年には100万人を超えました。 外国人観光客の国籍も多様化しています。以前は台湾やタイなどアジア圏の方が多くを占めていましたが、現在は欧州や南米など多種多様な地域からいらっしゃっています。
ひと昔前まで、海外で「日本食」といえば「寿司」一択だったが、近年ではラーメンが世界中の人々の心を捉えてやまない。スペイン「エル・パイス」紙の記者が、そんなラーメンファンのために情熱を持って、東京のラーメン店を紹介する。 日本のどんなごちそうも、国民食の称号を「寿司」と争うことはできない。だが、おいしい一杯のラーメンからは、食習慣、 歴史、経済、そして過去70年間のニッポンのポップカルチャーまでが垣間見える。 ピザ、タコスそのほかのお手頃で万能な世界のファストフードと比較されるラーメンは、カロリーと塩分を美味しく補給して体力補充できる、日本人の大好物だ。一杯は10分とかからずに完食できる。だが俳句や相撲の取組といった、束の間を楽しむ日本のそのほかの文化形態と同じように、ラーメンはじっくりと手間暇かけた準備を必要とする。 体力回復に効くスープは「うま味」に富んでいる。ラーメンには、地域に結びつ
世界中の大人たちが苦戦 先進国の5人に1人は、数的思考力と読解力に関して、10歳程度の子供たちに求められる以上の能力を有していない──経済協力開発機構(OECD)が10年ごとにおこなう「国際成人力調査」から、そんなショッキングな事実が明らかになった。 OECDは38の加盟国のうち、31ヵ国に住む16~65歳の約16万人を対象に「数的思考力」、「読解力」、「問題解決力」の3つを調査し、12月10日に結果を公表した。 OECDは報告書で、「ほとんどの加盟国において、大人たちの数的思考力と読解力は、過去10年間に大幅に低下したか横ばいの状態にある」と結論づけた。とくに読解力の低下が著しく、大幅な向上が見られたのはフィンランドとデンマークの2国のみだった。 フィンランドは読解力のみならず、全3分野で1位だった。日本は読解力と数的思考力で2位、問題解決能力ではフィンランドと並んで1位だった。他にも、
2024年、フランスで合弁会社を設立し、本格的なヨーロッパ進出に出たKADOKAWA。まだフランスでの知名度は高くないというが、仏誌「ル・ポワン」は、CEO夏野剛へのインタビューを掲載し、フランスの読者に同社を紹介する。 日本を代表する出版グループ、KADOKAWA。フランスではまだあまりその名は知られていないが、同社は全世界で7000人の従業員を抱え、年間売上高は20億ドル(註:2024年3月期の年間売上高は約2580億円)に上る企業だ。 24時間のフランス滞在中、取材に応じたKADOKAWAグループのCEO夏野剛(なつの・たけし)は、完璧な英語でこう説明する。「KADOKAWAは日本の出版業界の4強の一社です。他社に比べると、実写映像・アニメ、映画製作、動画プラットフォーム、ゲーム、オンライン教育など、多角的な事業展開をしています」。彼はNTTドコモの元幹部で、株式会社ドワンゴでもCE
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