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先日、昼時になにげなく入った中華料理店のレジ横に「ランチではクレジットカードは使えません」とただし書きが書いてありました。飲食店ではよく見る風景ですし、クレジットカード手数料を客に請求する飲食店もあります。いずれも明確な加盟店規約違反に当たるのですが、なぜいまだにこうした慣習が当たり前のように残っているのでしょう。理由は明確で、クレジットカード会社も能動的に取り締まらず、利用する客側もわざわざ規約違反を伝えないからです。 クレジットカードを使用した際に渡され、多くの人が丸めて捨てる緑色やピンク色の明細書も依然として残っています。クレジットカード業界にはいくつもの古い慣習が曖昧なまま残り続けています。 今週、連載「キャッシュレス乱戦」では多くの記事が読まれました。中でも最も読まれたのはキャッシュレスに対するラーメン店の悲痛な叫びを描いた「キャッシュレスはつらいよ 人気ラーメン店『店にとって良
この記事の3つのポイント ホンダと日産の経営統合が話題だが、IT業界で合併話は皆無 米国IT業界では頻繁にベンダー合併、業界再編が起きている 一方、労働集約型産業へと落ちぶれた日本では動きが少ない ホンダと日産自動車が経営統合する――。2024年もそろそろ終わりかという年の瀬に飛び込んできたビッグニュースには本当に驚いたよ。でもまあ、自動車業界は「100年に一度」とされている大変革期だから、そんなことが起こっても不思議はないよね。だけど、そうすると我らが日本のIT業界はどうなっているのか。IT業界の場合、大変革は10年に一度くらいのペースだからな。日本の大手ITベンダーは大再編に乗り出していてもよいはずなんだけどな……。 自動車業界の100年に一度の大変革期は、EV(電気自動車)の普及が進み、また自動運転技術の実用化に向けての取り組みも急ピッチで進んでいることなどを受けてのことだ。EVでは
「デジタル小作人」に甘んじる日本企業 かつての日本は世界に冠たる情報通信大国だった。例えばNTTドコモが1999年に開始した「iモード」。これまで「もしもしはいはい」の端末だった携帯電話に、モバイル・インターネットという新しい扉を開けた。だが世界進出に頓挫し、逆にiモードのビジネスモデルを徹底研究したといわれる米アップルや米グーグルが生み出した新たなイノベーション、スマホによって日本を含む世界中を席巻されてしまった。 iモードをはじめとしたケータイは、日本固有種としてガラパゴス化し、進化の袋小路に陥った。その結果、日本の端末メーカーは次々と市場撤退を余儀なくされた。 インターネットの特徴は、規模の経済性が働く点だ。ここで主導権を握った企業は「勝者総取り(ウィナー・テイク・オール)」となる。インターネットからスマホに至るまで、米国を中心とした巨大テック企業が規模の経済性の勝者となったことが、
タレントの中居正広さんが1月23日、自身のファンクラブのサイトで芸能界を引退すると発表した。引退の引き金となった中居さんの性加害疑惑は、今や完全にフジテレビのガバナンス問題へと焦点が移った。原因は1月17日に開かれた港浩一社長の記者会見。社会的注目を集めていた疑惑についてのテレビ局社長の会見なのに、テレビカメラを記者会見場から排除した。最大の失態は会見の中身ではなく、そこだと思う。 報道機関であることを自ら放棄している。そんなメディアを誰が信用するだろう。各局は会見についてこってり報道していたが、すべて静止画を使っていた。それによって、ますます会見の異様さが明確に伝わった。 他社の不祥事に対し普段は関係者をテレビカメラで追いかけ回し、自宅にまで押しかけるテレビ局が、自社のトラブルになるとテレビカメラを締め出すとは。そんな都合のいいことがあるか。 フジテレビの報道番組でも自社の会見なのに静止
石川県を代表する観光地、七尾市の和倉温泉は2024年1月に発生した能登半島地震の甚大な被害によって多くの旅館がいまだ営業できない状態だ。被災した建物は昨秋から本格的な公費解体が始まったばかり。旅館「美湾荘」社長の多田直未は「公費解体を待っていては遅い。1~2カ月の復旧の遅れが復興に大きな影響を及ぼす」と自費解体を決断した。(文中敬称略) 1804年創業の和倉温泉の老舗旅館「美湾荘」の社長、多田直未はこう信じている。和倉温泉では甚大な被害を受けた旅館建物の公費解体が進んでいるが、申し込みが多く、順番待ちの状態だ。工事関係者の対応も限られており、いつ自分の旅館の工事が始まるのか見通せなかった。 待っていてもしょうがない――。決断は速かった。多田は被災直後、金融機関と調整して資金を工面し、一度工事費を立て替えてから、その後に公的機関から払い戻しを受ける「自費解体」を選択することにした。解体費用に
日経ビジネスの堀越功LIVE編集長と日経クロステックの榊原康副編集長が対談形式で2024年を振り返り、25年の注目ポイントを見ていく。第2回は楽天モバイルの反転攻勢と、コンビニまで加わった経済圏競争の行方を占う。 日経ビジネス堀越功 24年は楽天モバイルが危機説から一転、なんとか盛り返してきた点も大きかったと思います。ちょうど復調が見えてきた24年7月に日経ビジネスで「楽天 最終決戦で開く血路」という特集を担当しました(関連記事:楽天 最終決戦で開く血路)。 この時期くらいから、携帯大手幹部の楽天モバイルに対する見方が変わってきたことを覚えています。「楽天モバイルがMNP(モバイル番号ポータビリティー)の市場で善戦し始めている。なかなかの強敵だ」といったコメントが出てきました。それまでNTTドコモやKDDI、ソフトバンクの幹部は「楽天モバイルの影響はほぼない」といった発言ばかりだったので、
2025年1月上旬、IT大手の米メタが多様性に配慮した採用活動などを廃止する計画だと米国の複数のメディアが報じたことを日本のメディアがいっせいに取り上げ、アマゾン・ドット・コム、マクドナルド、ウォルマート、ボーイング、フォード・モーターなどの名だたる米国企業も、多様性からの撤退や取り組みの縮小を進めているという。 ダイバーシティー(多様性)という言葉が日本に“輸入”され広まったのは、2015年ごろと記憶している。それまでの第2次安倍政権が掲げた「女性活躍」なる4文字熟語が、ダイバーシティーに置き換わり、「あれ? 女性活躍ってどうなった?」となったころには、D=ダイバーシティーに「I」=インクルージョンが加わり(D&I)、いつの間にやらDEI(Diversity=多様性、 Equity=公平性、 Inclusion=包摂性)に進化した。 これらの動きに「多様性は古い」「多様性は金がかかる」「
三井住友カードは、公共交通機関にクレカなどのタッチ決済を導入する計画を打ち出した。26年内に全国で環境を整えたい考えだ。一方、三菱UFJニコスは自動販売機に目をつけた。タッチ決済対応の自販機を普及させ、クレカを日常的に利用してもらおうともくろむ。コインロッカーや駐車場での支払いも対象だ。 もともと決済は薄利多売のビジネスである。利用頻度を増やしてビジネスを大きくする戦略は必須だ。目下、クレカのタッチ決済は順調に拡大している。三井住友カードによれば、日本のクレカ決済のうち、タッチ決済の割合は40%に達し(24年6月時点)、22年の13%の約3倍になっている。 これらの攻め手を繰り出せばQRコード決済と渡り合えそうなクレカだが、事はそう簡単ではない。実はクレカ業界には、2つの構造的問題がある。 下がり続ける手数料 まずは下がり続ける手数料。クレカ会社は決済額の一部を加盟店から徴収して収益とする
この記事の3つのポイント 議会は勢力が拮抗。共和党は法案を通すことが難しい 同盟国に対し関税を武器にディールを迫り政策を進める 中間選挙前に結果を出さないと、過半数維持は困難 米議会は、与党・共和党と野党・民主党の議席数が拮抗しており、共和党は法案を通すことが難しい。中間選挙において、共和党が上下両院の過半数を維持するのは困難。よって、トランプ2.0政権は大統領令に頼ることになる。威圧を強める相手は、中国やロシアより米国に依存する同盟国だ。関税を武器にディールを迫り、政策を推し進める。米国政治に詳しい前嶋和弘・上智大学教授に聞いた。(聞き手:森 永輔) ドナルド・トランプ氏が1月20日、第2次政権をスタートさせました。今後の展開において、前嶋さんはどこに注目しますか。 前嶋和弘・上智大学教授(以下、前嶋氏):まず、トランプ2.0政権は「ちまたで思われているほど強い政権ではない」ことです。ス
国内携帯電話事業者向けに基地局用設備の共有(インフラシェアリング)事業を展開するJTOWERが、米インフラ投資会社デジタルブリッジ関連会社によるTOB(株式公開買い付け)に応じ2025年1月、上場廃止となった。JTOWERは国内携帯電話事業者が利用する基地局向け鉄塔約7000本を保有。日本の基盤設備が外資傘下となることに対して安全保障上の懸念の声もあがる。非公開化に至った理由について、JTOWERの田中敦史社長に聞いた。 JTOWERは東証グロース市場に上場していましたが24年10月、デジタルブリッジ関連企業によるTOBが成立。25年1月7日に上場廃止となりました。TOBに応じた判断理由について教えてください。 田中敦史社長(以下、田中氏):当社は19年12月に東証マザーズ(現東証グロース)市場に上場しました。 携帯電話関連事業は規模も大きく、資金調達ニーズは今後も続きます。上場の目的の一
キャッシュレス化の負担に悩むのは大手チェーン店も同じだ。1都3県に100店舗以上ある「名代富士そば」で、交通系ICカード、現金に加えて、最初にQRコード対応の券売機が登場したのは22年。しかし、それから2年以上がたった今も、導入済みの店舗は約3割にとどまる。 富士そばを展開するダイタンホールディングス(東京・渋谷)は、傘下に店舗の運営会社が6社あり、メニュー展開や運営方針などは各社に任されている。最初にキャッシュレス化に踏み切ったのは、ダイタンキッチン(東京・渋谷)の店舗だが、そこからなかなか広がっていかない。もう1つの運営会社であるダイタンディッシュ(東京・渋谷)のエリアマネージャー、石田達也氏も「主にコスト負担の大きさが問題になっている」と話す。
この記事の3つのポイント JR東日本は「Suica Renaissance」と銘打ち、Suicaを大改革 利用エリアや決済額の制限を見直して競合サービスに対抗 将来的には、タッチせずに通過できる改札の導入を目指す JR東日本は「Suica Renaissance」と銘打って、ICカード乗車券「Suica」を変革する。利用エリアや決済額の制限などを取り払い、将来的にはタッチをせずに改札を通過できる仕組みを目指すとしている。その内容からは、「オープンループ」に対するJR東日本の危機感が見えてくる。 20年以上も引きずる仕様に不満の声 2001年にサービスを開始したJR東日本のSuicaは、とりわけ首都圏では電車を乗るだけでなく、決済も利用できるICカードとして多くの人に利用されている。 その後、Suicaと同様に非接触型ICカード「FeliCa」をベースとした交通系ICカードが全国に広がった。
トランプ氏が獲得に意欲を見せるグリーンランド(関連記事:トランプ氏購入発言で波紋 グリーンランドについて知りたい10のこと)。地下資源のポテンシャルに注目が集まるものの、開発はほとんど進んでいない。開発が進まなかったのには相応の理由がある。北極圏の資源開発や地域情勢に詳しいエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)調査部の原田大輔担当調査役に、現状や課題を聞いた。 「グリーンランドは米国の4分の1近い国土があるので、何か資源があるのは明らかです。問題はいくらで採掘できるか、どれくらい埋蔵しているのか、ということです。ただしグリーンランドの資源ポテンシャルについて包括的にまとめた資料は存在しませんし、グリーンランド自治政府も把握していません」
この記事の3つのポイント トランプ氏の大統領就任式向けの寄付が1億7000万ドルを突破 米メタなどテック大手やトヨタ自動車が寄付者に名を連ねる 余剰資金の使途の規定は緩く、金で好意を買う行為との指摘も 1月20日、トランプ氏が米国の大統領に返り咲く。新政権の発足を目前に物議を醸しているのが企業や経営者による「大統領の就任式向け」の寄付だ。メタやアマゾン・ドット・コムといった米国のテクノロジー大手からトヨタ自動車までが資金を拠出し、最終的には2億ドル(約310億円)を超える金額が集まると見込まれている。複数の専門家を取材し、その意味とリスクを探った。 まずは就任式向け基金に誰が寄付しているかを確認しておこう。下の表は政治献金を検証している米NPOセンター・フォー・ポリティカル・アカウンタビリティー(CPA)が作成した、主な寄付企業の一覧(抜粋版)だ。テックや自動車から金融、製薬、暗号資産(仮
マーケティングの世界や行動経済学では、人間は選択肢が多過ぎると選ぶことをやめてしまう傾向にあるとされています。日本のキャッシュレス決済はまさにこの状況でしょう。 レジ横などでクレジットカードやQRコード決済、電子マネーなどのロゴがずらりと並ぶのは当たり前。便利なようで、利用者や導入店舗からすれば心理的・経済的負担になっているとも考えられます。国際的に見て、日本の消費者はキャッシュレス決済の手段を多く持っているとのデータもあります。中国はQRコード、米国はクレジットカードといったように、1つ2つに絞られている国が多いのとは対照的です。 特集「キャッシュレス乱戦」で取り上げたPayPayの急激な普及は、これまでの乱立の構図を変えるきっかけになります。決済や銀行といった役割は法律上は厳密に分けられ規制されていますが、利用者にとってみればスマホ上のアプリあるいは1枚のカード。競争を経て集約が進めば
ドコモ「パケ詰まり」の真相 「電波の入りが悪い」「つながらない」――。2023年春、SNS(交流サイト)を中心に、NTTドコモの回線がつながりにくいという不満の書き込みが相次いだ。 普段からドコモ回線を使っている筆者も同時期、品質の著しい低下を実感していた。筆者の最寄り駅である東京23区内のJR線駅前において、スマホの地図アプリを使って行き先を検索しようとしても結果が返ってこないのだ。電車が動き出して少しすると、つながるといった具合だ。筆者はドコモ以外の回線も複数使っているが、他社回線ではここまでつながりにくいことはなかった。 外部調査でも、国内大手通信4社の中で特にドコモ回線の品質低下を示す結果が出ていた。英調査会社オープンシグナルが2023年4月に公表したリポートによると、通信品質を示す項目で、ソフトバンクがNTTドコモを抜いて首位となった。 「都市部や駅、駅周辺の一部混雑エリアで通信
「QRコード決済はかなり高いシェアを獲得できたが、クレジットカードはまだ伸ばす必要がある。我々にとってチャレンジになる」。PayPay副社長の安田正道氏はそう力を込める。 利用者6700万人超、QRコード決済シェア7割を誇るPayPay。「経済圏」構築に向け、クレカ事業の強化も進めている。 ■連載「キャッシュレス乱戦」ラインアップ(予定) ・爆走PayPay QRコード決済シェア7割の先に見据える「経済圏」 ・PayPay、クレカ強化が難路 楽天G、三井住友FGと三つどもえ(今回) ・富士そば、導入3割で足踏み 手数料負担に小規模事業者は悲鳴 ・一蘭、訪日客対応でキャッシュレス化を一気に 80店ほぼ網羅 ・三井住友Oliveが挑む総合金融、クレカ防戦からの「一人勝ち」 ・1000兆円の法人決済を狙え 縮むクレカの生きる道 ・逆境のSuicaもQR、個人送金対応へ 反攻10年プランの全体像
この記事の3つのポイント 「売れたい」圧の強さが書店を息苦しくしていないか 本は異端の人々の言葉の集積、それが集まるのが書店 売りたいか、知性の灯を守りたいか、それが問題だ 漫画家、随筆家。1967年、東京都出身。84年に渡伊し、国立フィレンツェ・アカデミア美術学院で油絵と美術史を専攻。2010年『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。比較文学研究者の夫と共に、イタリア、エジプト、シリア、ポルトガル、アメリカなど各国に住み、世界中を旅行。著書に『国境のない生き方』『男性論』『パスタぎらい』『スティーブ・ジョブズ』『オリンピア・キュクロス』など多数。24年、『プリニウス』(とり・みき氏と共著)で、第28回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。(写真=ノザワヒロミチ) 海外の書店事情で言うと、フランスではいわゆる反アマゾン法という法律が制定されています。つまり送料無
この記事の3つのポイント 米国で禁止懸念のTikTok代替で中国「小紅書(RED)」が急浮上 中国人ユーザーは突然流入してきた外国人に困惑も、各所で交流 思わぬリスクを背負わされたREDは隔離の方向へかじを切る可能性 “Hi TT Friends!”は、ここ数日中国のSNSでもっとも流行している挨拶だ。“TT”は動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を指すのだが、中国国内では「抖音(ドウイン)」という名前で運営されているはずなのに、なぜTTがバズるのだろう? 実はTikTokはトランプ次期大統領の再任前日である1月19日をもって米国市場を正式に追い出される気配が濃厚になってきており、それを見越した多くの米国人たちが、次の移住先として同じ中国SNSの有力株である「RED」に急速に流入し始めているのだ。 REDユーザーは延べ3億人超え REDは中国「小紅書」の英語名で、インスタグラム
漫画家、随筆家。1967年、東京都出身。84年に渡伊し、国立フィレンツェ・アカデミア美術学院で油絵と美術史を専攻。2010年『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。比較文学研究者の夫と共に、イタリア、エジプト、シリア、ポルトガル、アメリカなど各国に住み、世界中を旅行。著書に『国境のない生き方』『男性論』『パスタぎらい』『スティーブ・ジョブズ』『オリンピア・キュクロス』など多数。24年、『プリニウス』(とり・みき氏と共著)で、第28回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。(写真=ノザワヒロミチ) 過去の話題を蒸し返して恐縮ですが、2010年に『テルマエ・ロマエ』の映画が大ヒットした時に、原作者に支払われる原作料は100万円ぽっきりですよ、という話をヤマザキさんがテレビでされて、大変な反響を呼びました。 ヤマザキマリさん(以下、ヤマザキ):反響というか炎上ですね(笑
富士通をはじめとする、著名な日本企業で導入されてきた成果主義。もてはやされていたのもつかの間、その多くは「失敗」に終わってしまう。成果を報酬に直結させる、という評価制度は仕組みとしてわかりやすく、良さそうなものに思える。それが、実際にはなぜうまく機能しなかったのか。成果主義の定義から始め、様々な方向からその原因を探ろうとする『経営学の技法 ふだん使いの三つの思考』(舟津昌平著)から、抜粋・再構成してお届けする。連載第2回。
直木賞作家、今村翔吾さんの問題意識とアクションを皮切りに、取材を進めている「書店復興」シリーズ。今回はイタリアと日本の2拠点で暮らし、世界各地を肌で知るヤマザキマリさんに、歴史と文化の国、イタリアの本と書店事情を聞きました。 今、日本の書店数が、20年前に比べて半減していて、書店のない自治体もすごく増えています。直木賞作家の今村翔吾さんは、その問題意識から書店経営や新規業態の開発を手掛けるようになり、本連載「書店再興」のシリーズ冒頭で、そのアクションについて伺いました。(「直木賞作家・今村翔吾氏が神保町に上げる『本屋さん』再興の狼煙」) 作家だけでなく、経済産業省でも「書店振興プロジェクトチーム」を組成して、どうやったら書店を守っていけるかを国の課題にしています。経産省では米国、英国、フランス、ドイツ、韓国で、書店を守る事例の調査を行っていますが(2023年10月調査報告)、イタリアの話は
人口減少、地域格差、脱炭素、デジタル化──。日本が直面する数々の社会課題を克服するには、企業の知恵と力が欠かせない。利害対立を乗り越え、新たなルールを共に生み出した先に活力ある未来が待つ。 「法律を検討しているかというと、そうではない」。2024年12月13日、政府の規制改革推進会議がオンラインで開いた地域産業活性化に関する作業部会。国土交通省の担当者がこう口にすると、部会のメンバーは「閣議決定違反ではないか」と反発を隠さなかった。 石破茂政権で初となる、一般ドライバーが有償で乗客を運ぶ「ライドシェア」の議論。政府は4月、タクシー会社が運行主体となる日本版を条件付きで解禁した。現在は50超の地域まで広がったが、運行時間や運行台数に関する制約が多く、ドライバーは集まりにくい。 伸び悩みを打開するには、全面解禁が最良の策だ。6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)は、全面解
先端技術での主導権を握るべく、各国による標準化を巡る国際競争は激しくなっている。中国と欧州連合(EU)、米国が相次いで国家・地域としての標準化戦略を打ち出した。日本の産業界に後れを取っている猶予はない。「ルールメーキングで勝つ」第3回は、先駆者たちの取り組みにヒントを探る。 ページ下の表でも示すように、日本企業が提案した国際規格も次々と生まれている。QRコードはデンソー子会社のデンソーウェーブが開発し、00年にISO規格となった。IECでは22年、TOTOが主導し温水洗浄便座(ウォシュレット)の性能測定方法が規格化された。
「3日間で作品削除を」と通達 5月、「一部の国際ブランド(のクレジットカード会社)がコンテンツの削除を要求している」と決済代行会社から連絡を受けたことが発端でした。対象は具体的な作品名ではなく、「痴漢」や「暴力」、「犯」など特定のキーワード数十個を含む全ての作品です。アダルトコンテンツへの対応という立て付けでしたが、通達内容が非常に曖昧で、例えば殺人事件を扱った作品も引っかかるものでした。 アダルト作品は線引きが必要です。しかし当社が扱っている作品は合法です。合法である以上、流通自体を規制されるのは納得できません。曖昧なキーワードに基づいて判断されるのも困ります。 しかも、猶予はたったの3日。その間に該当する作品を削除しなければVISA(ビザ)やMasterCard(マスターカード)などのクレジットカードは契約が停止し、さらに最大で数千万円のペナルティーが国際ブランドに対して生じ得るとも言
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