ビール(Beer)とは、醸造酒の一種であり、酒税法上では発泡酒類、発泡性のアルコール飲料の一種である。漢字表記では麦酒。極稀に麦ジュース・麦汁とか呼ばれる事もある。
概要
良く飲まれるお酒といえばビール。夏と言えばビール。冬でもビール。勿論春・秋もビール。食前酒として「とりあえずビール」と注文する人が多い。さながら「とりあえずビール」で一つの単語であるかの如く。安い居酒屋ではビールを注文しても、発泡酒や第三のビールの登場となるのはお約束である。
ビールのアルコール度数はおよそ3~9%である…がバーレイワインという濃く熟成させるビールはアルコール度数12%に達することも。
ドイツのビール純粋令では原材料は麦芽、ホップ、酵母、水で醸造した物のみビールと定義される。
ビールは名前の通り、酵母がアルコールを生成するための糖質の主原料は麦を糖化させた麦芽のみを使うのが本筋なのであるが、コーンスターチ、米、糖類等の副原料が使われる場合もある。副原料には麦芽の風味がないので、香りが弱い薄味・あっさり味になる。大量生産工業製品としての意味合いは製造コストの低減が大きい。
酵母が麦芽の中の糖質を発酵させ、アルコールに変化させて出来る酒であり、その時に副産物として酵母が吐き出す炭酸(二酸化炭素)を残す事で、炭酸を含んだ酒、発泡酒となる。
炭酸飲料同様、炭酸の刺激とホップ独特の苦みと香り、麦芽のコクと甘味と旨味を含む複雑な刺激と味を持つ。
ホップは本来保存料としてビールに使われた物だがその苦みと刺激が好まれ、ビールに欠かせない原材料の地位を占めるに至っている。最近はホップ独特の苦みを嫌う人も多く、炭酸の刺激も含めて、飲み会・宴会の団体主義、集団主義が終焉を迎え、個食・プライベートを大事にする時代の嗜好の変化に翻弄されている嗜好品と言えよう。
缶入りの缶ビール、瓶入りの瓶ビール、ステンレス製のタンクからサーバを使ってビールジョッキなどのコップに注ぐいわゆる「生ビール」と容器によっても趣が違う。
初めてビールを飲んだ人の驚きを関連動画で見ていただきたい。日本の大手メーカの主力商品は、ほとんどがピルスナーという苦味の強い種類のビール。
かつてのヨーロッパ人が食事代わりに飲んでいたとされるほど栄養価が高く、ビタミンB群をはじめとした多種多様な栄養素を兼ね備えているが、同時に糖質もたっぷり含んでいる。そんなわけで当然飲みすぎると太る。「ビールと共におつまみを食べるから太るのであって、ビールだけでは太らない」といった説は、ビールを水とアルコールだけに想定して、人体のアルコール代謝を都合良く解釈しているだけ。水太りの原因ともなるのは言わずもがな。また尿酸値を上げるプリン体も(種類によるが)多く含有しており飲み過ぎると痛風になる危険性が高まる。お酒は適度に飲みましょう。
地ビールの成立と没落、そしてクラフトビールへ
1994年の酒税法改正で小規模なビール醸造所が乱立。いわゆる地ビールブームが起きた。しかしこれらのビールは醸造所の技術不足や(一部の醸造所の)話題性重視で品質軽視の姿勢により味が大手のものより劣るものが多く継続した購買層を獲得できずに地ビールブームは沈静化していった。
だが生き残った醸造所は技術を磨き大手に負けない品質と大手にはない個性のあるビールを製造できるようになっていく。そういった高品質なビールは「クラフトビール」と呼ばれるようになっていく。ニコニコ大会議で恒例の「ZUNビール」もクラフトビールの分類となる。
2000年代から徐々に人気を高めていったクラフトビールは2015年現在都市部を中心としてブレイク。各地でクラフトビールを飲める店やビアフェスがどんどん増えてきている。また大手メーカーもクラフトビールのような個性のあるビールを発売。これからの動向に目が離せない。
若者のビール離れ
価値観の多様性から、昔に比べると若者はビールを飲まなくなったとよく言われる。
実際のところ、大衆酒ながら独特の苦味のあるビールは、飲みなれていない人にとっては飲みづらく感じられる、というのは真実であろう。それにより「ビールを飲めないやつはガキ」という意見や、それに反発して「ビールを飲んでるやつはオッサン」などという不毛な世代間抗争をしばしば耳にする。あくまで味覚についての嗜好は人それぞれであり、それを無視して自らの主張を押し付ける行為は、仮にも酒を飲める年齢の人間であれば良識にかんがみて避けるべきであろう。注意したいものである。
ビールの種類
ビールの分類は、大雑把に上面発酵(エール)、下面発酵(ラガー)、自然発酵の3つに分けられる。さらに細かく分類すると、85種類に分けることができる。他にも製法や色、香りで分類することができる。
原料の麦芽は主に二条大麦が使われるが、小麦、もしくは両方を使う場合もある。
また、麦芽を焙煎・燻製して風味を出し濃厚な味わいに仕上げるものもある。
麦芽・ホップの他にコリアンダー等の香辛料、果物、果汁、香草などの副原料を一緒に発酵、漬け込む物もある。
日本の分類
日本国内では酒税法により下記のよう製法・原料別に分類される。
全ての区分においてアルコール度数は20度未満のものである。
イ号ビール
麦芽・ホップのみを使用したビール。
… エビスビール、ザ・プレミアムモルツ
ロ号ビール
麦芽、ホップおよび発酵副原料(麦、米、コーン、高梁、馬鈴薯、でんぷん、糖類)
香味副原料(果実、果汁、香辛料、野菜、コーヒー、ココア、牡蠣、かつお節等)を使用したもの。
かつ麦芽の使用割合が50%以上、香味副原料の使用量は麦芽重量の5%未満のもの。
… スーパードライ、キリンラガー、水曜日のネコ
ハ号ビール
イ号ビール・ロ号ビールにホップまたは香味副原料を加えて発酵(ドライホッピング)させたもの。
香味副原料の使用量は麦芽重量の5%未満のもの。
… インドの青鬼
発泡酒
イ号、ロ号、ハ号のいずれの分類にも入らないものは全て発泡酒となる。
酒税法では発泡酒であるが、世界の分類から見ればビールに当たるものも多い。
飲み方いろいろ
飲み方によって味わいは千差万別である。
- ジョッキに注いで、泡をジョッキの上部の二割ほどに作りグイッと飲む。喉越しを楽しもう。 居酒屋などで、「生」「生ビール」「中生(生中)」などと注文すると、大体のお店ではこれが出てくる。
- ビールを強めに注いで泡を立て、それを鎮めてから静かに注ぐ。苦味や雑味が泡に吸着してスッキリ・クリアな味わいになる。苦いビールが苦手な人にオススメ。
- 瓶ビールをビアタン(ビアータンブラー)に注いで、キュッと飲む。通は瓶ビールの新鮮な香りを楽しむ。宴会や家庭などで重宝される。
- 缶ビールをそのまま、プシュっと開けてゴクゴク飲む。一番お手軽な飲み方。缶から一度陶器のコップに移すと泡が立っておいしい。
- コップに泡を立てずに注いで飲む。ビール自体の味を楽しむクラフトビール向けの飲み方。
世界のビール傾向
アメリカ
ラガーについては、アメリカン・ラガーと呼ばれる、コーンなどの副原料を多用したサッパリスッキリ系が主流。「水みたいに薄い」とよく揶揄されるが、分かりやすい味である。ガブ飲みに適している。バドワイザー・クアーズ・ミラーの3銘柄が代表格であり、特にバドワイザーは日本でも多く流通している。
また、肥満対策のためのライトビールも多く飲まれている。
エールはインディア・ペール・エール(IPA)というスタイルが主流となっている。麦芽とホップの使用量の多さからくる濃厚かつ激しい苦みが特徴で、本家イギリスのIPAとはかけ離れていることから、区別してアメリカンIPAと呼ばれることも多い。
全体としては苦みに関してこだわりを持つメーカーが多く、人間の味蕾がカンストしてしまうレベルの商品すらも発売されている。一方、苦みへの反動からか、ヘイジーIPAやジューシーIPAのような香りの良さと柔らかな口当たりを重視するスタイルも近年流行している。
ヨーロッパ
ビールの本場でもあり、国や地域ごとに様々なスタイルがある。しかし主流はやはりチェコ・ドイツ発祥のピルスナースタイル。イギリスからはギネスなどの黒ビール、エール各種、ベルギーからは日本でも有名な数多くの地ビール、ドイツからは小麦多目の白ビールなど幾らでもあるので、お好きなものをどうぞ。
日本
ピルスナースタイルが主流だが、「キレ」「苦味」「喉越し」が重視されている模様。その代表的であるアサヒ・スーパードライは海外でもライセンス生産される人気銘柄。
しかし世界のビール傾向からすると苦味にこだわりすぎのような・・・「ビールは苦いもの」という先入観が若年層のビール離れを招いている気がしないでもないし。プレミアム・モルツも売れてる現状からして、そろそろ苦いビールという固定観念から逃れてもいいのではないだろうか。
1990年代からはビールの酒税が高くなったのに合わせ、より低価格な発泡酒、第三のビールが出るようになった。ライトビールに近いテイストであるものの、ビールの代用品という概念が定着したことで消費者にも受け入れられるようになった。最近ではカロリーや糖質を下げたものが売られている。
祭り・イベント
- ドイツ、ミュンヘン「オクトーバーフェスト」(秋開催)。胸の露出度が高い民族衣装の都合上、世界有数のおっぱい祭りとしても有名である。
- ドイツ、シュトゥットガルト「カンシュタット・フォルクスフェスト」(秋開催)
- 日本、東京・大阪・横浜「ジャパン・ビアフェスティバル」(夏~秋開催)
参加レポート→全員泥酔の飲み会 in ドイツ (デイリーポータルZ)
国内の大手ビールメーカーとその主な製品
日本の主な地ビール・クラフトビール
世界のビール
注意書きは国内での販売元。生産も行っているものもある。
- ウェストフレテレン
- カールスバーグ - SUNTORY
- ギネス - キリン
- クアーズ
- コロナ・エキストラ(コロナビール) - アンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパン
- シエラネバダ
- シメイ
- シンハー
- タイガー
- 青島(チンタオ) - アサヒビール
- ハイト
- ハイネケン - ハイネケン・キリン株式会社
- バドワイザー - アンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパン
- ヒューガルデン
- ビンタン
- ピルスナーウルケル - アサヒビール
- ブリュードッグ
- ミッケラー
- ミラー - アサヒビール
- レーベンブロイ - アンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパン
発泡酒(第二のビール)
第三のビール
ビールを使用したカクテル
- 黒ビール+シャンパン=ブラックベルベット
- ビール+カンパリ=カンパリ・ビア
- ビール+レモネード=パナシェ
- ビール+ジンジャーエール=シャンディーガフ
- ビール+トマトジュース=レッドアイ
- ビール+カシスリキュール=カシスビア
- ビール+テキーラ=サブマリノ
関連項目
- 酒
- 生ビール
- ライトビール
- クラフトビール
- エール
- ピルスナー
- ノンアルコールビール
- 瓶ビール
- 缶ビール
- 炭酸麦茶
- ドライ戦争
- ビール腹
- とりあえずビールP
- ビールを冷やしたい高橋名人
- 空飛ぶビール缶
- ZUN
- ZUNビール
- 椎名誠
- エビオス錠
- キンキンに冷えてやがるっ・・・!!
- ビール純粋令
- オクトーバーフェスト
- ビールクズ
- ビール(フンボルトペンギン)
- おつまみ
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