アメリカで2021年1月に起きた連邦議会襲撃事件に関与し、4年前に服役した人物が、ドナルド・トランプ大統領からの恩赦を拒否した。パメラ・ヘムフィル氏は、「あの日、私たちは間違っていた」と述べた。
ヘムフィル氏は裁判で有罪を認め、禁錮60日の実刑判決を受けた。ヘムフィル氏はBBCに対し、2021年1月6日の暴動について恩赦は認められるべきではないと語った。
「恩赦を受け入れることは、議会警察官、法の支配、そしてもちろん私たちの国に対する侮辱になる」とヘムフィル氏は述べた。
「私が有罪を認めたのは、自分が有罪だったから。恩赦を受け入れることは、彼らのガスライティングと、間違った物語に加担することになる」
ガスライティングとは、いやがらせ行為や偽情報を繰り返すことで、被害者に自分の記憶や認識を疑うよう仕向ける手法。心理的虐待の一種とされる。
ヘムフィル氏は以前、ソーシャルメディアのユーザーから、トランプ氏のスローガン「Make America Great Again(アメリカを再び偉大にする)」にちなんで「MAGA granny(MAGAおばあちゃん」)と呼ばれていた。ヘムフィル氏は現在、トランプ大統領が「歴史を書き換えようとしている」と懸念し、「その一部にはなりたくない」と語った。
「私たちはあの日、間違っていた。法律を破ったのだから、恩赦は認められるべきではない」
トランプ大統領は就任数時間後、2020年の選挙結果を暴力で覆そうとした約1600人に対する恩赦または減刑を決定した。
21日にホワイトハウスで行った記者会見でトランプ大統領は、「この人たちはすでに何年も刑務所で過ごし、過酷な状況に耐えてきた」と述べた。「刑務所はひどい場所だ。恐ろしい。非人道的だ。とんでもない、ひどいことだ」とも強調した。
しかし、大統領のこの動きには、与党・共和党からも一部議員が懸念を示している。
トム・ティリス上院議員(ノースカロライナ州選出)は、「この決定にどうしても賛成できない」、「これは議会議事堂での正当な安全問題を引き起こす」と付け加えた。
ジェイムズ・ランクフォード上院議員(オクラホマ州選出)もCNNに対し、「(共和党は)法と秩序の党だと、言い続ける必要があると思う」と語った。
また、「警察官を攻撃することは非常に重大な問題で、(当事者は)その代償を払うべきだと思う」と述べた。
アメリカで恩赦を拒否したのは、ヘムフィル氏が初めてではない。米コーネル大学法科大学院によると、連邦最高裁判所は以前に、憲法の下で個人が恩赦拒否する権利があるという判決を下している。
恩赦を受けた人物の中には、暴動の際に「Qアノン・シャーマン」を名乗って注目されたジェイコブ・アンソニー・チャンスリー氏も含まれている。チャンスリー氏は2021年11月に41カ月の実刑判決を受け、27カ月にわたり服役した後、2023年に釈放された。
チャンスリー氏はBBCに、ジムにいるときに弁護士から恩赦の一報を聞いたと説明。「外に出て、腹の底から『自由だ』と叫び、アメリカ先住民の戦いのおたけびを上げた」と語った。
(英語記事 Convicted US Capitol rioter turns down Trump pardon)
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