2025年1月24日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2025年1月23日

 中国の2024年の経済成長率が発表された。経済成長率は予想以上の高水準となったが、成長を支えたのは貿易黒字の増加だ。

トランプ大統領(左)の誕生により、中国の輸出が国際問題となりそうだ(AP/アフロ)

 「チャイナショック2.0」とも呼ばれる中国の輸出急増は世界各国の警戒感を高めている。関税引き上げを公約に掲げる米国のトランプ大統領の誕生もあり、2025年は中国の輸出が国際問題の焦点となるだろう。

予想以上の高成長の裏側

 中国国家統計局は1月17日に24年の主要統計を発表した。もっとも注目を集める名目経済成長率は5.0%成長。中国政府の目標は「5.0%前後」だったので、まさにぴったりの着地だ。

 アナリストの予測では4.7%や4.8%など目標レンジには収まるものの、やや低めに着地するのではないかとみられていた。四半期ベースでみると、第1四半期の5.3%から4.7%、4.6%と低下していたことも大きい。しかし、第4四半期は5.4%と大きく盛り返したことで、予想以上の結果となった。

 「目標値ぴったりの経済成長を遂げるなどなにか怪しい」と疑う方も多いだろう。

 先日、中国経済統計に疑念を呈し、「過去2~3年の成長率は、公式統計では5%近くとなっているが、実際には平均で2%程度ではないか」と発言した中国SDIC証券の高善文(ガオ・シャンウェン)チーフエコノミストが公の場での発言を禁止されたことが明らかとなった。また、中国当局はソーシャルメディアなどで中国経済の先行きを不安視する投稿を規制している。こうした姿勢をみていると、中国政府にはなにか後ろめたい隠し事があるのではと疑われるのも無理からぬところだ。

 こうした中国経済の統計の正確性や捏造に関する疑問は何も昨日今日始まった話ではない。中国経済を長年研究している経済学者やエコノミストの見立ては、統計の精度には向上の余地があるだろうし、頻繁な統計基準の変更によって長期的な観測を難しくしている側面はあるものの、中国の統計は現状を知る上で頼りにできる精度を持つといったあたりが一般的な見解だろう。

 実際、今回発表された統計も、中国の明るい状況ばかりを示すものではない。25年に直面する深刻な課題がはっきりとあらわれている。


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