トランプ政権、メキシコ国境に兵1500人を追加派遣へ　Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)

アメリカのドナルド・トランプ大統領は22日、不法移民を「直ちに撃退し、送還し、排除する」準備を整えるよう、複数の政府機関に指示した。メキシコと接する南部国境を越えてアメリカ側に流入する「侵略行為」に対抗するための、広範な取り組みの一環だとしている。

これに先立ち、米当局は、メキシコ国境に現役兵1500人を追加配備すると発表した。新政権は、不法移民の迅速な強制送還を可能にするプロセスを拡大している。

アメリカはまた、すべての難民の渡航や手続きを停止。アメリカに入国する機会を待つ数千人が足止めされている。

ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット大統領報道官は、トランプ氏はこの措置を通じて世界中の人に「非常に強いメッセージを送っている」と述べた。

ホワイトハウスのウェブサイトによると、移民規制の大統領令は、不法移民がアメリカに入国し、アメリカの地域社会を「侵略」し、州や地方政府に「何十億ドルものコストを押し付ける」ことを防ぐために必要な措置だという。

トランプ氏がこの大統領令に署名した後、レヴィット報道官は、国境問題はトランプ氏にとって「最優先事項」だと記者団に述べた。

レヴィット報道官は、「アメリカ合衆国の法律を破ろうと考えているなら、自国に戻されることになる」というのがトランプ大統領の意向だと話した。「逮捕され、起訴されることになる」。

同報道官はまた、メキシコ国境に兵1500人を増派することも認めた。

不法移民対策の大統領令に次々署名

20日に大統領に就任したばかりのトランプ氏は、不法移民の取り締まりを目的とした、移民や国境管理に関する大統領令に次々署名している。

連邦官報のウェブサイトに掲載された通達によると、21日夜、不法移民の迅速な強制退去に関する政策が施行された。

この政策はこれまで、国境から160キロ以内で拘束された不法移民に適用が限定されていた。今後は、アメリカ国内ならばどこでも適用可能となる。

「今回の変更は、政府のコストを削減すると共に、入国審査を促進することで、国家安全保障と公共の安全の強化という効果をもたらすだろう」と、通達には書かれている。

さらに、不法滞在している「大量の外国人」に国土安全保障省（DHS）が対処し、「入国、残留、または救済や保護を受ける資格のない者の（中略）迅速な排除」を確実にすることができる」としている。

適用範囲が拡大されたこの政策の是非は、法廷で争われる可能性がある。

アメリカで拘束された「非正規」移民はこれまで、移民問題を扱う裁判所への出廷を命じられ、そこで亡命を申請することができた。

裁判官が決定を下すまで、強制送還手続きは開始できなかった。

しかし、トランプ氏は今週、移民法212条（f）を引き合いに、大統領はアメリカにとって「有害」とみなされた外国人の入国を一時停止できると述べた。

米CBSは、複数の内部文書や政府関係者の話を引用し、この政策はカナダ国境や、フロリダ州などにある税関国境警備局（CBP）の海上部門にも適用されると報じている。

トランプ氏がアメリカの難民受け入れプログラム（USRAP）を停止する大統領令に署名して間もなく、難民の渡航と認定手続きを停止する命令が出された。アメリカは「アメリカ国民のために使えるリソースを損なわない方法で、大量の移民、特に難民を、自国のコミュニティーに受け入れる能力を欠いている」としている。

「難民のこれ以上の入国が、アメリカの利益と一致する」まで、USRAPは停止される。

アメリカ定住がすでに承認されていた1600人以上のアフガニスタン人は、大統領令によって渡航計画がキャンセルされた。タリバン政権の迫害を逃れようとする人も多く含まれるという。支援団体「アフガンUSRAP難民」は、トランプ氏に公開書簡を送った。

バルカン半島にあるアルバニアでは、3000人以上のアフガニスタン人が、アメリカでの再定住を待っている。

トランプ政権は、バイデン前政権の移民政策を大きく転換しようとしている。21日には、国土安全保障省が、移民当局が学校などの、移民問題をめぐる「センシティブ」な場所に立ち入ることを防ぐ既存のガイドラインを取り消すと発表した。

同省は声明で、既存ガイドラインは法執行を「妨害するもの」だと説明した。

「この措置は、CBPとICE（移民関税捜査局）の勇敢な男女に、移民法を執行し、殺人犯やレイプ犯を含む、不法入国した外国人犯罪者を捕まえる権限を与えるもの」だと、国土安全保障省の報道官は述べた。

同報道官はまた、トランプ政権が法執行機関の「手を縛ることはない」とし、「常識的な判断」を期待すると付け加えた。