概要
(単体として)世界で最も売り上げのある広告代理店であると同時に、日本以外での知名度がほとんどないという特徴を持った企業組織である。社則である鬼十則が有名である。まずは以下の鬼十則を読み通していただきたい。
鬼十則
- 仕事は自ら「創る」べきで、与えられるべきでない。
- 仕事とは、先手先手と「働きかけ」ていくことで、受け身でやるものではない。
- 「大きな仕事」と取り組め、小さな仕事は己を小さくする。
- 「難しい仕事」を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
- 一度取り組んだら「放すな」、殺されても放すな、目的完遂までは……。
- 周囲を「引きずり回せ」、引きずるのと、引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきが生ずる。
- 常に「計画」を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
- 何事にも「自信」を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚みすらもない。
- 頭は常に「全回転」、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
- 「摩擦を怖れるな」、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練な人間になる。
当記事では鬼十則についての評価は記載しない。
軍隊的な社則ともいわれる鬼十則であるが、電通の組織としての考え方、主義を理解する上で非常に重要である。2017年から社員手帳への記載は行わないこととなった。
責任三ヶ条
- 命令、復命、連絡、報告はその結果を確認し、その効果を把握するまでは、それを為した者の責任である。その限度内における責任は断じて回避できない。
- 一を聞いて十を知り、これを行う叡智と才能がないのならば、一を聞いて一を完全に行う注意力と責任感を持たねばならぬ。一を聞いて十を誤る如きものは百害あって一利もない。正に組織活動のガンである。削減せらるべきである。
- われわれにとっては形式的な責任論はもはや一片の価値もない。われわれの仕事は突けば火を噴くのだ。われわれはその日その日に命をかけている。
電通鬼十則の一年後に電通社内に展開されたのが上記である。
鬼十則と同様に当記事では是非については記載しない。
歴史
1901年に設立された「日本広告」と、1906年に設立された「日本電報通信社」が前身(ともに創業者は同じ)。
1907年に両者は合併し、広告業とニュース通信業を行うものの、1931年に国策によってニュース通信部門が同盟通信社に譲渡され、広告業のみとなった。しかし同盟通信社との縁は続き、戦後に共同通信社、時事通信社に分離したあと、両者は電通の筆頭株主となっている。
主要な株主
主要株主もこの企業を読み解く上での重要な情報である。利害関係者と読み替えてもよい。
広告界のガリバーとしての電通
連結売上高は1兆9431億円(2013年3月期決算による)。国内2位の博報堂の売上高の約2倍、3位のADKの売上高の約4倍。
その原動力になっているのは、他社とは違い、日本のマスコミ向けにニュースを提供する2つの通信社を抱え、情報のイニシアチブを執り、情報と広告による圧力をかけていることが言える。また、政界、財界、芸能界の子弟を雇用することで、これら業界へのコネクションを作り、政治的に有利な立場を保っている。
その圧倒的なシェアゆえ、市場の寡占化が問題視され、2005年に公正取引委員会による広告業界についての調査がなされた。
近年では中国、韓国との連携を強め、文化の輸入および仲介を積極的に行っている。いわゆる「韓流ブーム」の陰の牽引役となっている。同様に自民党の喧伝するクールジャパンなども手掛けており、良くも悪くもお金になるのであれば善悪関係なしになんにでも手をいれる組織だともいえる。
一般的に世間に吹聴される電通黒幕論は「広告界のガリバー」とも称される電通の規模の大きさゆえに営業範囲が大きすぎる事、および稼ぐことに対してきわめて貪欲であることから発生する評価であると思われる。ガリバーという評価には日本の国内でだけ大きいという意味も含まれている。
業態
メディアの広告枠を広告主(クライアント、顧客)に売り、手数料(コミッション)を得るというのが基本的企業形態であるが、その枠に載せる 広告を制作指示するのも広告代理店の業務 である。制作部門を持つ広告代理店の場合は、制作部門が広告制作会社と共に行う。
また顧客企業の商品開発、顧客企業や取り扱う製品のイメージの構築(CIなど)、イベントのプロデュースあるいは運営を行っている。
種類
大きく分けると、テレビやラジオ、雑誌、新聞、ウェブなどの広告制作、媒体購入、ブランド構築、マーケティング調査、イベントのプロデュース、セールスプロモーションの実施などを全国・世界的規模で総合的に行う『総合広告代理店』と、その一部や、総合広告会社の下請け的な業務を行う中小広告代理店(専門広告会社、制作プロダクションなどと呼ばれる)の2つがある。一般的には広告代理店と言えば「総合広告代理店」のみを指す。
一業種一社制の無視
日本と海外の広告代理店を比較してよく批判されるのは、海外の殆どの先進国で見られる「一業種一社制」の原則が日本には見られないことである。
「一業種一社制」とは1つの広告代理店が同時に2つ以上の競合(同業種他社)会社の広告を担当しないという、社会的モラルも含んだ制度である。
例えば、日本の自動車会社の広告を見ると、 電通はホンダやトヨタ自動車やその傘下のダイハツ工業を始めとする大半の競合自動車メーカー、 博報堂も日産自動車、マツダなど、というように 競合他社同士の広告を同時に担当 しており、 顧客企業の情報保守、競合メーカーの購買も誘導 しているなどの観点からしばしば問題に挙がる。
この結果、同業他社の如何を問わず、様々な業種の大企業を一手に顧客に収める電通や博報堂、ADKなどの主要な広告代理店が 強大な媒体力を保持してしまい(TBWAやG1単体で日本進出をしなかったのもその為) 自由競争が損なわれている ため、 広告代理店の 売上げ順位どころか売上げの比率もほとんど変化しない こと。 媒体露出量に依存し、「一業種一社制」の元で競争が激しい海外市場に目が向かなくなるために、日本の広告代理店が 国際競争力が低いままであることの原因の一つに挙げられる。
このようになった経緯としては、電通を中心とした喧伝媒体があることが戦後、政府・GHQにとって便利であったことが指摘される。つまり一般的に言うところの世間の世論というものを電通だけをコントロールすることで簡単に操作できたために便利使いされてきたのではないかという説である(あくまで一説である為、読者諸兄の各自の目と頭で検証いただきたい)。なお、電通としてはどの類の広告であっても費用をもらう以上は客と代理店の関係でしかなく、極めてビジネスライクに最大利益を追求してきたとも言える。
その結果、例えば電通は単体では世界最大の広告代理店にもかかわらず、全世界的な認知度はほとんど無い。なまじ組織としての規模が大きく影響もでかいためにあえて海外に手を伸ばす必要性が薄かったのである。
体質
また、一部の広告代理店は、 過労自殺 した社員の親族が「社員の安全配慮義務を怠った」として会社を相手に損害賠償を請求し裁判を起こしたことに象徴される、 過酷な勤務状況 でよく知られているが マスメディアにとって広告代理店は収入源であることから マスコミタブー(電通タブーと呼ばれる)のひとつであり、 この状況を取り上げることに及び腰である。
事業内容・一覧
韓流ブーム
韓流は電通がフジテレビの持つコンテンツ活用として仕掛けたとされる。
AKBブーム
クールジャパン
クールジャパンの社内横断プロジェクトを立ち上げた他、株式会社海外需要開拓支援機構(自称、クールジャパン機構)に出資するなどして全面的に関与している。
インドネシア・ジャカルタでAKBの姉妹チームであるJKT48の立ち上げ支援をしたのは電通である。 また、日本コンテンツ専門のテレビチャンネル「Hello!Japan」をシンガポールに立ち上げた。
オリンピックビジネス
国内の放送権を含めて電通がほぼ一元的に管理している。
そもそも電通の手掛ける広告料は莫大であり、日本オリンピック委員会(JOC)のマーケティング事業にも電通は深く携わってきている。
アマチュア選手が広告に出ることについて初期は批判な意見が多かった。
電通は選手が広告で得た収益を、まずはそのままオリンピック委員会に寄付、それを各選手が所属するスポーツ団体を通じて、他の選手の強化費用にあてるというビジネスモデル(選手の肖像権販売)を編み出した。JOCは長野五輪にてスポーツイベントの商業的権利の企画、販売を行う関連団体として、ジャパン・オリンピック・マーケティング株式会社(JOM)を設立したが成功せず、現在も「電通式スポーツ選手肖像権販売ビジネスモデル」が採用されているのである。
そして現在もJOCの公式スポンサーとして電通は深く関与している。
デジタル広告
2016年9月23日、デジタル広告サービスについて不適切な取引があったことを発表した。
調査の結果、間違った時期の広告が掲載、掲載されていなかったりしていたことが判明した。
関連商品
関連項目
- ブラック企業
- 過労死
- 成田豊 - 元代表取締役社長、元最高顧問。故人
- コマーシャル
- TVCM
- 広告
- 公共広告機構(電通制作の作品が多い)
- 東京オリンピック招致買収疑惑
- ゴリ押し
- 豆しば
- TUGBOAT(電通から独立した4名が作った広告会社)
- 韓流
- AKB
- JOC
- ネット言論
- ジャニーズ
- クールジャパン
- 広告代理店
- 第5権力
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