歌野晶午(うたの しょうご)とは、日本のミステリー作家である。
概要
1961年千葉県生まれ。島田荘司の推薦でデビューした、新本格ミステリ作家(第一世代)のひとり。ただし綾辻行人や法月綸太郎、我孫子武丸のような大学ミステリ研出身ではなく、そのデビュー経緯は非常に変わっている。
まず彼はすでに作家として大成していた島田荘司のエッセイを読み、その駅から自宅までの描写を頼りに島田宅を訪問。「これまで小説を書いたことはないが、執筆したいので書き方を教えてくれ」と頼み込んだ。手取り足取り教えてもらうとさっそくミステリーを一編仕上げたが、島田にあっさり真相を看破され涙を飲むことになる。
そのときの小説に手を加えられ、1988年、島田の推薦のもとで出版されたのがデビュー作『長い家の殺人』である。
初期作品は(他の新本格作家たちもそうだったが)バッシングも受け、一時は3年ほど断筆。1995年に『ROMMY』で復活してからは『ブードゥー・チャイルド』『安達ヶ原の鬼密室』などの良作・佳作や、『世界の終わり、あるいは始まり』のような問題作を発表して評価を高める。
2003年に刊行した『葉桜の季節に君を想うということ』で「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」第1位に輝き、日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞を受賞、ベストセラーとなり大ブレイク。2010年には『密室殺人ゲーム2.0』で2度目の本格ミステリ大賞を受賞した。
最初期はストレートな本格を書いていたが、断筆からの復活後は、主に読者の倫理観を揺さぶるようなブラックな世界観をベースに、趣向を凝らしたトリッキーな作品を書いている。
作品リスト
- 長い家の殺人 (1988年、講談社ノベルス→1992年、講談社文庫→2008年、講談社文庫【新装版】)
- 白い家の殺人 (1989年、講談社ノベルス→1992年、講談社文庫→2009年、講談社文庫【新装版】)
- 動く家の殺人 (1989年、講談社ノベルス→1993年、講談社文庫→2009年、講談社文庫【新装版】)
- ガラス張りの誘拐 (1990年、カドカワノベルズ→1995年、講談社文庫→2002年、角川文庫)
- 死体を買う男 (1991年、カッパ・ノベルス→1995年、光文社文庫→2001年、講談社文庫)
- さらわれたい女 (1992年、カドカワノベルズ→1997年、講談社文庫→2006年、角川文庫)
- ROMMY そして歌声が残った (1995年、講談社ノベルス)
→ ROMMY 越境者の夢 (1998年、講談社文庫[改題]→2011年、講談社文庫【新装版】) - 正月十一日、鏡殺し (1996年、講談社ノベルス→2000年、講談社文庫→2011年、講談社文庫【新装版】)
- ブードゥー・チャイルド (1998年、角川書店→2001年、角川文庫)
- 放浪探偵と七つの殺人 (1999年、講談社ノベルス→2002年、講談社文庫→2011年、講談社文庫【新装版】)
- 安達ヶ原の鬼密室 (2000年、講談社ノベルス→2003年、講談社文庫→2016年、祥伝社文庫)
- 生存者、一名 (2000年、祥伝社文庫)
- 世界の終わり、あるいは始まり (2002年、角川書店→2006年、角川文庫)
- 館という名の楽園で (2002年、祥伝社文庫)
- 葉桜の季節に君を想うということ (2003年、文藝春秋→2007年、文春文庫)
- 家守 (2003年、カッパ・ノベルス→2007年、光文社文庫→2014年、角川文庫)
- ジェシカが駆け抜けた七年間について (2004年、原書房→2008年、角川文庫)
- 魔王城殺人事件 (2004年、講談社ミステリーランド→2012年、講談社ノベルス→2020年、講談社文庫)
- 女王様と私 (2005年、角川書店→2009年、角川文庫)
- そして名探偵は生まれた (2005年、祥伝社→2009年、祥伝社文庫) ※12・14を収録
- 密室殺人ゲーム王手飛車取り (2007年、講談社ノベルス→2010年、講談社文庫)
- ハッピーエンドにさよならを (2007年、角川書店→2010年、角川文庫)
- 舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵 (2007年、カッパ・ノベルス→2010年、光文社文庫)
→ 名探偵、初心者ですが 舞田ひとみの推理ノート (2021年、角川文庫[改題]) - 絶望ノート (2009年、幻冬舎→2012年、幻冬舎文庫)
- 密室殺人ゲーム2.0 (2009年、講談社ノベルス→2012年、講談社文庫)
- 舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵 (2010年、カッパ・ノベルス→2013年、光文社文庫)
→ 名探偵は反抗期 舞田ひとみの推理ノート (2021年、角川文庫[改題]) - 密室殺人ゲーム・マニアックス (2011年、講談社ノベルス→2015年、講談社文庫)
- 春から夏、やがて冬 (2011年、文藝春秋→2014年、文春文庫)
- コモリと子守り (2012年、光文社)
→ 誘拐リフレイン 舞田ひとみの推理ノート (2020年、角川文庫[改題]) - ずっとあなたが好きでした (2014年、文藝春秋→2017年、文春文庫)
- Dの殺人事件、まことに恐ろしきは (2016年、KADOKAWA→2019年、角川文庫)
- ディレクターズ・カット (2017年、幻冬舎)
→ 明日なき暴走 (2020年、幻冬舎文庫[改題]) - 間宵の母 (2019年、双葉社→2022年、双葉文庫)
- 首切り島の一夜 (2022年、講談社)
- それは令和のことでした、 (2024年、祥伝社)
関連動画
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 相沢沙呼
- 青崎有吾
- 青山文平
- 赤川次郎
- アガサ・クリスティ
- 芥川龍之介
- 浅暮三文
- 芦沢央
- 芦辺拓
- 綾辻行人
- 鮎川哲也
- 有川浩
- 有栖川有栖
- 泡坂妻夫
- アーサー・C・クラーク
- 池井戸潤
- 伊坂幸太郎
- 石川博品
- 石田衣良
- 石持浅海
- 伊藤計劃
- 稲見一良
- 乾くるみ
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- 小松左京
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- 今野敏
- 呉勝浩
- 佐々木譲
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- 三田誠
- 時雨沢恵一
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- 島田荘司
- 島本理生
- 斜線堂有紀
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- 白井智之
- 真藤順丈
- 真保裕一
- ジョージ・オーウェル
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- 須賀しのぶ
- 瀬名秀明
- 高木彬光
- 高村薫
- 竹本健治
- 田中慎弥
- 田中啓文
- 田中芳樹
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- 月村了衛
- 月夜涙
- 辻堂ゆめ
- 辻村深月
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- 都筑道夫
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- 西澤保彦
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- 西村賢太
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- 野崎まど
- 法月綸太郎
- 長谷敏司
- 羽田圭介
- 初野晴
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- はやみねかおる
- 氷川透
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- 東野圭吾
- 広瀬正
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- 深水黎一郎
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