ワールドクリークとは、1995年生まれの日本の元競走馬である。
弟がスマートファルコンということだけがクローズアップされがちではあるが、彼自身もまた、浮き沈みこそ激しかったが間違いなく名馬である。
主な勝ち鞍
1999年:東京大賞典(GI)
2004年:大阿蘇大賞典(地方重賞)
概要
父は父ヌレイエフ・母父サーアイヴァーという血統の良さしか売りがないしがない重賞馬のマジックミラー。母は近代競馬の母ムムタズマハルの末裔以外の持ち味が無い未出走のケイシュウハーブ。母父ミシシッピアンは1973年のフランス最優秀2歳馬で母や兄弟もG1馬という良血だが、種牡馬としては失敗に終わっている。
といった感じで余程の血統マニアでもこりゃダメだ、可能性感じないって言っちゃうようなレベルで、兄弟は地方の下級条件で何とか勝つくらいがせいぜいであった。そのせいか母は繁殖としてお役御免となりかけていたくらいである。
1998年の1月にひっそりとデビュー。しかし16頭立ての15番人気、336倍の低評価に抗えず最下位に沈む。しかし次走の未勝利戦で9番人気に反発し勝利。その後は3歳中だけで12戦して3勝し、準オープンまで昇格するが、明けて4歳になると3戦して歯が立たず900万に降級。
しかしこの降級が吉と出たのかなんなのか、突然覚醒し降級した900万を一戦で突破すると1600万を2連勝。オープンのトパーズステークスもぶっこ抜き年末の大一番東京大賞典に出走。直近の4連勝が評価されて4番人気だったが、さすがに同年のフェブラリーステークスと帝王賞を制した岩手の怪物・メイセイオペラ相手では厳しいだろう…
しかしなんとオープン勝っただけの馬がメイセイオペラが沈む中突き抜けて快勝。翌年帝王賞を勝つことになるファストフレンドもねじ伏せての勝利に、遅咲きのダート王誕生か!?と思わせた。
…のだが、年明け初戦の川崎記念は6着に完敗。おろ。ドバイへ勇躍遠征したがドバイミレニアムが凄まじい強さを見せつけるのをぼんやり眺めただけに終わってしまった。あやや。
その後もオープンで3着二回したのが精一杯で、2002年3月のマーチステークス11着を最後に中央競馬の登録抹消となってしまった。嗚呼。
しかし、GⅠ馬の母となったケイシュウハーブは種牡馬の質が徐々に上昇。2002年に生まれた父オペラハウスの半妹キョウエイハツラツは、エルムステークスを勝ち2024年(13歳)まで船橋競馬で走り抜いたリッカルドの母になった。そして2005年に生まれたゴールドアリュールとの子は、スマートファルコンと名付けられ地方の絶対王者として君臨した。
彼らが生まれる布石は兄であるワールドクリークの活躍あってこそ。彼の活躍は決して無駄ではなかった…
だが待って欲しい、確かに中央競馬の登録抹消とは言ったがあくまで地方の佐賀競馬に移籍しただけであり、彼の物語はまだ終わってはいないのである。佐賀では7戦して1勝どころか連対すらできなかったが、荒尾競馬に再移籍すると3連勝を決める。8歳の夏であった。
9歳の年明け、8歳の8月に出走取消して以来の一戦で3着に敗れてしまうが、そこからさらに連勝しついに荒尾の重賞大阿蘇大賞典を勝利する。佐賀で1勝も出来なかった馬とは思えない変わり身っぷりである。
この勝利を花道として引退し、長野県で功労馬として余生を送った。2013年7月20日に死去。
スマートファルコンの兄として顧みられることで再び浮上したような知名度の馬だが、地方の絶対王者として君臨するスマートファルコンの物語は彼が必死で走って叶えたちょっとした奇跡の産物であることを心の片隅にでも留めておいて欲しいと思う。
ドバイワールドカップの着順だけで比べたらワールドクリークの方が上だし。
血統表
*マジックミラー Magic Mirror 1982 芦毛 |
Nureyev 1977 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Special | Forli | ||
Thong | |||
Turkish Treasure 1975 芦毛 |
Sir Ivor | Sir Gaylord | |
Attica | |||
Turban | Bagdad | ||
Cap and Bells | |||
ケイシュウハーブ 1988 芦毛 FNo.9-c |
*ミシシッピアン 1971 鹿毛 |
Vaguely Noble | *ヴィエナ |
Noble Lassie | |||
Gazala | Dark Star | ||
Belle Angevine | |||
キョウエイシラユキ 1980 芦毛 |
*クラウンドプリンス | Raise a Native | |
Gay Hostess | |||
*アリアーン | *シルバーシャーク | ||
Nucciolina | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Nearco 5×5(6.25%)、Native Dancer5×5(6.25%)
4代母Nucciolinaまで遡ると近親の活躍馬は結構出てくる。代表的なものとして、2003年のアイリッシュダービーやKGVI&QESを制した*アラムシャーや2022年の凱旋門賞馬Alpinistaなど。
さらに母系を遡っての近親はMumtaz Mahalの記事を参照。
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