バトル・ロワイアルとは
ねえ、友達殺したことある?
BATTLE ROYALE
BR
SURVIVAL
PROGRAM
概要
1997年の第5回日本ホラー小説大賞応募作。本作は同賞の最終選考にまで残ったのだが、
荒俣宏「とにかく語り口から何からほとんどテレビのパロディになっていて、それでいて四十二人の生徒が一人一人殺し合う構成というのは、やっぱりちょっと問題がありすぎるんじゃないかって思います」
高橋克彦「今の時期にこういう中学生が殺し合いをするような作品に賞を与えてしまっては、やっぱりホラー大賞のためには絶対マイナスだと思う」
と、選考委員の大ブーイングを受けあえなく落選、日の目を見る事はなかった(ちなみにこの回は受賞作なし)。
……はずだったのだが、その過激な内容とあまりの言われように「是非読んでみたい」という物好きが続出。それを受け、それまで文芸書の出版にはほとんど縁がなかったサブカル系出版社の太田出版が手を挙げる。
いち応募者に過ぎなかった作者の高見広春の連絡先を、ホラー大賞主催の角川書店が個人情報だからと教えてくれなかったため、太田出版は自前の雑誌に、作者に連絡を請う旨の人捜し広告を打つ。それを見た作者の友人が作者に知らせ、1999年春、本作は全国の書店に並ぶ運びとなった。
インパクト抜群の内容、真っ黒な表紙に赤い「BATTLE ROYAL」の文字が浮かび上がる目を惹く装丁、前述の選考委員の大ブーイングが大きな話題となり、発刊後たちまち大ベストセラーに。単行本の発行部数は100万部を軽く突破した。なお、太田出版は文庫のレーベルを持っていないため、文庫版は幻冬舎から刊行(上下巻)。文庫では単行本から細かいミスに修正が加えられている。
2000年12月、深作欣二監督による映画化作品が公開。この作品は公開に先駆け、その内容から物議を醸し週刊誌やワイドショーを賑わせていた為話題を呼び、31億円余りの興行収入を叩出す大ヒットとなった。
前作のヒットを受け、2003年にはオリジナル脚本による続篇映画が公開された。なお映画第一作・第二作は共にR-15指定作品である。
田口雅之による漫画版は青年誌の「ヤングチャンピオン」で2000年から2005年にかけて連載された。単行本は全15巻。やたらと濃い絵柄に加え、青年誌なのでエログロ描写も結構ドギツい。基本的なストーリーラインは原作に忠実だが、原作以上の熱血漢になった主人公の七原をはじめ、漫画版独自のアレンジが加えられた登場人物も多く、原作では語られていないエピソードが補完されていたりする。連載後半ではアクション描写もどんどん派手になり、原作以上に中学生離れどころか常人離れした戦闘シーン(特に杉村)が繰り広げられる。
後世に与えた影響
作者の高見広春は、小説はこれ1作のみでその後作品を発表していないが、本作がその後のエンターテインメント界に与えた影響は計り知れない。2000年代半ばから流行した『仮面ライダー龍騎』『Fate/stay night』『ローゼンメイデン』などに代表される「目的のため最後の1人になるまで戦う」デスゲームものをはじめ、現在まで人気ジャンルとして定着しているサバイバルものや頭脳戦ものの群像劇は、直接的にせよ間接的にせよ全て本作の影響下にあると言っても過言ではなく、たった1作で日本のエンターテインメントの流れを決定的に変えてしまった作品と言える。
近年はオンラインゲームのジャンルのひとつとして「バトルロイヤルゲーム」(項目参照)系のゲームが制作・流行するようになり、参加者の最大人数も100人と増えている。
あらすじ
「今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをして貰います」
国家主導による殺人ゲームに強制的に参加させられた城岩中学校三年B組の生徒達。武器を持たされ、クラスメイトと闘うことを命じられた子供達は否応なくその荒波に流されてゆく。狂気と絶望に満ちた長い長い3日間。
ルール
- 最後の一人になるまで殺し合いを行う。(優勝者が2人以上になることはない)
- 舞台は無人島や隔離された市街地など。電気ガス水道は停止し、民間人は避難している。
- 全員に武器や道具、水・食糧、地図・コンパス、懐中電灯の入ったデイバッグが支給され、本部から数分おきに1人ずつ出発する。武器道具は完全にランダム/ハズレありで、銃・刃物・鈍器・おもちゃ、防具と補助的な物まで様々。
- ゲーム中は法律や反則の枠に縛られないため、殺人も含めすべて合法となる。
- 制限時間は24時間(小説版)、3日間(漫画・映画版)
- 全員に発信機・爆弾・盗聴器付きの首輪が装着される。
- 一日数回の定時放送にて禁止エリア・死亡者が発表される。(2度繰り返し放送される)
- 時間経過と共に禁止エリアが増える。
- 優勝すると国の「総統」直筆の色紙と、一生涯の生活保障が貰える。
城岩中学校三年B組クラス名簿
男子 | 女子 |
|
世界観
- 原作・漫画版
- 舞台となっているのは "大東亜共和国" という架空の国。いわば20世紀末日本を経済・科学・風俗そのままに全体主義化・軍国化させたような国であり、強烈な反米国家でもある。海外渡航の制限や国外からの情報の遮断を行っており、鎖国に近い政策をとっている。にもかかわらずこの国の製品は世界中に輸出されているという。
- 映画版
- 原作と違って映画版ではあくまでも "現代日本の延長線上" が舞台となっている。とはいえBR法なるものが議会を通るあたり、相当クレイジーな国になっている様子。
余談
作中で描かれる「プログラム」と同様のものを、オリジナルのキャラクターたちを使って描く二次創作(通称「オリバト」)が多数生み出された。2004年の佐世保小6女児同級生殺害事件の犯人である少女が書いていたとして話題になったのもこれにあたる。
また、既存の版権キャラクターを同様の状況に放り込む「パロロワ」も、特に匿名掲示板でのリレー小説という形態で一時期隆盛を誇った。リレー小説という形態からそのほとんどが未完のまま消えていったが、無事完結を迎えたものもあり、『葉鍵ロワイアル』のように同人誌化されたものも存在している。とはいえもちろん、登場キャラクターの大半が死亡することになる内容だけに、嫌悪するファンも多いので注意が必要である。
関連項目
- 95
- 0pt