日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

長寿の秘訣

2017-09-29 10:00:00 | (愛)のブログ
先日、テレビ番組で、長寿の人の身体を何人か検査して調べた結果の長寿の秘訣を紹介していました。
長寿の人はDHEAという長寿ホルモンの値がおおきく、
その人たちの生活を調べた結果、ある共通する生活習慣があったそう。

長寿の秘訣は、①生きがい、②ビタミンCを摂取する食生活だそうです。

野菜やフルーツを摂取するビタミンCをとる食生活は体にいいと聞いていたので、
②はそれほど驚きはなかったのですが、
①の生きがいをみつけ、趣味や好きなことに没頭する時間を持つ、
ということが長寿につながるということは驚きでした。

なんでもDHEAというホルモンはストレスに弱いらしく、
逆に生きがいとなるものに没頭する時間を持つと多く分泌されるらしいのです。


でも確かに、シニア世代を元気に生き抜いている方は
皆生き生きとしているし、なんらかの趣味や技を磨いているな~と妙に納得でした。

わたしも今持っている趣味を大いに楽しもう!と思いました。

(理)さんが27日のブログでも書いていたように、
イオ11月号では素敵なシニア世代の方々を紹介する予定です。

人生の大先輩でもある方たちの姿から、少しでも私も勉強したいと思っています。(愛)


6年生の校内放送

2017-09-28 10:00:00 | (S)のブログ


出張先で西神戸朝鮮初級学校を取材した。
パワフルな児童たちにたくさん笑わせられながら過ごした数日間、印象に残っているのは色々とあるが、中でも6年生の校内放送には感心。

お昼時間になると6年生の今日の当番が職員室にやってくる。
クラスで回している校内放送のノートには、児童が自分で考えて作った原稿がびっしり。

放送では、ウリマルに関する内容や今週の催し物、在校生インタビュー、当番が準備してきたなぞなぞや問題などが発表される。
締めは、放送者の独唱。週末に習う「祖国統一」をテーマにした歌を毎日歌うことになっているそうだ。
この日は「分界線コスモス」の歌を熱唱し、学校中に力強い歌声が響き渡った。

放送が終わった途端、お弁当を食べるよりも先に職員室の前に設置された「なぞなぞの箱」に集まった児童たち。
今日の問題の答えが何か必死に考えると、紙に答えと名前を書き込み箱の中へ!
低学年生たちも答えがわかったようで次々と集ってくる。
解答は翌日の放送で発表される。抽選で引かれ正解した児童には飴をプレゼント。

6年生による校内放送は今年度から始まった。
1学期は担任の先生が原稿を用意したが、2学期からはすべて自分たちで内容と原稿を準備している。
堂々と放送を担当する6年生の姿が頼もしくて感激してしまった。
毎日繰り広げられる、西神戸初級お昼時間の光景だ。(S)

輝く人生

2017-09-27 10:00:00 | (理)のブログ

 イオ11月号の特集タイトルは「輝くシニア世代」。高齢者と呼ばれる年齢になっても、日々明るくいきいきと生活している同胞たちを紹介する。

 昨日は都内在住の女性にお会いしてお話を伺った。
 現在81歳のその方は、77歳の時に胃ガンが発覚し、胃を3分の2摘出する手術を受けたという。しかし早期発見だったのもあって手術後は1週間で退院し、日常生活で自分なりのリハビリを続けた。今ではすっかり回復し、今年の夏には青春18きっぷを使って5日間の四国旅行にも出かけたほど元気だ。

 毎朝5時半に起きて30分間、下半身のストレッチをする。週に平均3回は出かけ、最低でも月に4本は映画館で映画を観る。毎週一度、地元にある朝鮮学校で子どもたちに習字を教えている。予定のない日も、自宅でおかずの作り置きをしたり、掃除をしたりと忙しく動き回っている。
 コンサートや展覧会、友人との食事など、数ヵ月先まで楽しみがたくさんあると嬉しそうに話していた。いつも持ち歩いているというスケジュール帳を見せてもらうと、予定がびっしり書き込まれていて(私よりリア充)と思った。

 夫は10年前にガンで亡くなった。子どもたちは遠くに暮らしているため独り暮らしだ。

 「苦しいことも色々あったけど忘れるようにしている。いつも楽しくいたいから」
 「人はどういう時に苦しいかというと、精神的に抑圧された時に苦しいのね。経済的な苦しさは、生活次第でどうにかやりくりできるもの」

 話す言葉一つひとつに、人生がにじみ出ているなと感じた。

 背筋がしゃんと伸びていて、ヒールのついた靴でスタスタと歩く。
 しかもその方は白髪染めをしていないという。髪色は「黒い髪に白髪が目立ち始めた」くらいのレベル。「友達に『あなた化け物ね』って言われたわよ」と笑っていたが、私は驚きのあまり一瞬声が出なかった。

 最後に、夕日の差す橋の上で写真撮影をした。嬉しそうにこちらを見つめる笑顔は、お世辞ではなく本当に美しく輝いていた。(理)

東京朝鮮学園代表ら、補助金支給再開もとめ、知事に面談要求

2017-09-26 10:00:00 | (瑛)のブログ




 首相が国会解散を発表した9月25日、小池百合子東京都知事が新党を立ち上げたことを発表した。今日は、5日前の9月20日、小池知事に面談を申し込んだ人たちがいることを伝えたい。

 東京朝鮮学園の金順彦理事長をはじめとする都内の朝鮮学校教員、保護者代表ら5人。都庁を訪れ、2010年から停止されている「私立外国人学校教育運営費補助金」の再交付と、13年11月から都のHP上に掲示されている「朝鮮学校調査報告書」の取り下げを求めた。

金理事長は、「8年間要請を続けてきたが、担当者が4回も変わり、13年からは予算にすら計上されていない。財産管理に関する問題も都の指導通り改善した。都の生活文化局が自身の役割と補助金の要綱に沿って、東京朝鮮学園への補助金を一日も早く再開してほしい」と切願した。

 要請には、生活文化局私学部私学行政課の2人が対応。不支給以来、50回以上にわたり都に要望を重ねてきた金理事長は、補助金を交付しない根拠を明示すべきだと主張した。

 この要請に対し、私学行政課長は、「調査報告書に基づき、総合的に判断した結果」「知事の判断でもあり、都民の理解が得られない」と返答した。同課長が日本政府の就学支援金の不支給問題にまで話を広げたため、文時弘・在日本朝鮮人人権協会部長は、「都民の理解が得られないというが、ならば都はそれをどのように確認しようとしているのか。朝鮮学園に対してのみ抽象的なハードルを次々と設定するのは端的に差別。行政手続条例の趣旨からも、都は補助金の対象から朝鮮学園を除外した具体的な理由を明示する義務がある」と意見した。また、不支給を指示している小池知事に直接会って要望したいと訴えた。



都内の朝鮮学校に3人の子どもを通わせる大田区在住の申英鉉さんは、「朝鮮学校の子どもたちは、国にも都にもいじめられている。政治と教育を切り離して考えほしい。今日で4度目の要請に来たが、少しでも前に進むよう頑張っていただきたい」と思いを伝えていた。



一度は取り下げられ、小池知事就任後の16年9月に再掲載された「朝鮮学校調査報告書」について東京中高の朴龍浩教員は、「都の調査要求に本校は丁寧に対応した。しかし、完成した調査報告書を見ると、在日朝鮮人がなぜ日本に暮らし、なぜ朝鮮学校が作られたのかについて記述は短く、朝鮮学校を全体で捉えていない。これで都民が理解を深めることができるだろうか。偏見をもって表層の部分だけを切り取り、世論をミスリードしている」と差別的な報告書の取り下げを求めた。

 残念ながら要請の場では、都側から補助金不支給の根拠もHPの取り下げも明示されなかった。東京朝鮮学園は、今後も要請を重ね、文書での回答を求めていく。

 都が補助金を凍結したのは国が高校無償化制度から朝鮮高校を外した2010年度から。当時の石原都知事は、「朝鮮学校に張り付いて調査する」として補助金を停止。猪瀬、舛添知事時代にも事態は好転しなかった。
 
 6年前に「朝鮮学校への補助金には法的根拠がある」というブログを書いたが、地方自治体も国に右へ倣えと、外国人の子どもへの差別を続けている。
 http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/c49cc88a4a42f22dd7c0140ab61ebde2

 外国人学校のなかで、唯一、補助金の対象から朝鮮学校を外している東京都。要請を取材しながら、在日コリアンは、都民として納税の義務を果たしているにも関わらず、わずかな補助金すら支給されないことに怒りが収まらなかった。理由もはっきりしない。このような馬鹿げた話があるだろうか。この間、東京朝鮮学園はあきらめずに要望を重ねているが、この声は完全に無視されている。

この問題を棚上げしたまま、東京は3年後にオリンピック開催するという。

 今回の国政選挙でも、高校無償化から朝鮮学校が排除されていることや、補助金停止が選挙の争点になることはないだろう。「希望の党」に議員の一部がなだれ込んでいる民進党はかつて朝鮮学校への審査を停止した。

 これが立派な大人がすることだろうか。新党の名前に強烈な違和感を感じている…(瑛)
 

トップアスリート育成基金

2017-09-25 10:00:00 | (相)のブログ
 在日朝鮮学生に対する奨学金の給付・貸与事業などを行う公益財団法人在日朝鮮学生支援会(東京都小平市1-700)が国際大会や日本の全国大会で活躍するトップアスリートを在日朝鮮人生徒・学生の中から育成する目的で、今年6月に「トップアスリート育成基金」を設立した。
 合言葉は、「ウリ学生からオリンピアンを!」(ウリとは朝鮮語で「私たち」の意)。世界に羽ばたく在日コリアンのトップアスリート育成を支援し、子どもたちの夢を実現していくというのが活動の理念だ。
 助成の内容としては、▼国際大会および日本の全国大会に出場する選手またはチームへの助成、▼国家代表合宿およびセレクションに参加する選手への助成、▼将来性豊かな学生選手の発掘および育成支援プロジェクト企画団体への助成、などとなっている。
 基金の管理運営委員には筑波大学名誉教授の大熊廣明さん、サッカーJリーグや朝鮮民主主義人民共和国代表で活躍し今年引退した安英学さんなどが名を連ねている。
 基金の設立以降これまで、サッカーU-23朝鮮代表に選出された金成純、韓勇太さん(ともに朝鮮大学校)、今夏のインターハイに出場したボクシングの裵聖和(神戸朝鮮高級学校)、梁章太さん(大阪朝鮮高級学校)、コリアンミニバスケットボール連盟(朝鮮初級学校児童が参加するミニバスケットボール大会「ヘバラギカップ」を主催)といった個人、団体に助成を行ってきた。

 今月22日に開かれた第3回運営委員会を経て、上記以外でも新たな助成対象が決定した。
 今回、基金の活動をイオの誌面で取り上げる関係で、委員会を取材し、関係者から話を聞いた。始まって間もないため、運営委員や事務局スタッフらが試行錯誤を続けながら活動しているが、未来を担う若者たちの夢の実現をバックアップする大変意義のある取り組みだということを実感した。
 詳細はイオ11月号であらためてお伝えする。

 基金の問い合わせは、
 公益財団法人在日朝鮮学生支援会
 Tel, Fax:042-346-0520
 http://www.zainichisienkai.or.jp
 まで。(相)

朝高生の学校も祖国もなくならない

2017-09-22 09:54:08 | (K)のブログ
 2ヶ月以上前のことだが、息子が朝鮮民主主義人民共和国を訪問してきた。朝鮮学校高級部の修学旅行で朝鮮に行ってきたのだ。ずいぶん前から訪問を楽しみにしていた。訪問期間、平壌を中心にいろんなところを見学しいろんなことを学んだようである。
 いろいろと話を聞いて見ると、案内についた人たちをはじめ朝鮮の人々とたくさん対話できたことを喜んでいるようだった。目をつぶると、そこに住む人たちの顔が浮かぶ。これから朝鮮で自然災害が起これば、息子はその人たちのことを思い出して心を痛めるかもしれない。朝鮮半島情勢をそこに住む人々と結びつけて考えるようになるかもしれない。それは非常に大事なことだと思っている。
 息子は朝鮮民主主義人民共和国のことを「祖国」だと認識している。そう認識したのは、朝鮮学校に通ったからに他ならない。

 いま出ている月刊イオの10月号は、民族教育権について特集を組んだ。そのなかで、無償化裁判を闘っている「朝鮮学校にも差別なく無償化適用を求めるネットワーク愛知」の共同代表の山本かほりさんが寄稿してくださっている。タイトルは「朝高生たちがつかみとる〈祖国〉」。愛知無償化裁判で山本さんが名古屋地裁に提出した意見書「朝鮮学校で学ぶことの意味―朝鮮学校での営み・朝鮮民主主義人民共和国との関係をいかに考えるのか?―」の概要を解説したものだ。
 朝高生たちが、朝鮮学校や朝鮮訪問を通していかに「祖国」を獲得して行くのかについて、説得力をもって語っている。
 9月13日の東京無償化裁判の判決の日。多くの朝高生たちが傍聴を求めて東京地裁に集まった。しかし、判決は原告の訴えに何も答えることなく、政治的・外交的な判断にもとづく排除であったことが明らかなのにも関わらずそのことの判断から逃げた、原告の朝高生たちを侮辱するものだった。

 現在、国連総会が行われているが、アメリカのトランプ大統領と日本の安倍首相は、朝鮮民主主義人民共和国を抹殺しようと演説で繰り返し訴えた。日本政府は在日朝鮮人の民族教育を抹殺しようとしているが、アメリカや日本の対朝鮮政策と流れをひとつにするものだと思っている。

 無償化裁判は、広島で不当判決、大阪で勝訴、東京で不当判決となった。九州、愛知の判決、控訴審、最高裁とこれからも続いていく。勝つために全力を尽くすのだが、たとえどのような結果になっても、在日朝鮮人の民族教育は続いていく。
 朝高生の学校も祖国もなくなることはない。(k)

特別企画「ウリトレイン」を読んで

2017-09-21 10:00:00 | (麗)のブログ
イオ10月号の特別企画「ウリトレイン」を読んだ。
頭の中はベタに、「世界の車窓から」のあの音楽。


地下鉄のページを読みながら、自身も訪朝した時に平壌の地下鉄に乗ったなぁ…とぼんやりと思った。
地下へと繋がる階段を降りる、あの冒険のような、ワクワクする感覚は今でも覚えている。
(ただ、それが高校生の時だったか、大学生の時だったかはあいまい…)

かすかな記憶と記事とを照らし合わせながら、
そうだ、やたら長いエスカレーターに乗ったな…!
今はSuicaのようなICカードがあるんだ…!と驚きながらも楽しく読むことができた。

記事には「初の国産車両」とあって、
この車両をデザインした人物がどういう方なのかがとても気になる。
過去にイオでも朝鮮の産業デザインを特集したが、
施設や高層マンション、今回の特集にも紹介された車両、ICカードのデザインなど、
担当した人の話やアイディアノートなどがあれば是非とも見てみたい。(麗)

裁判所一帯に響いた歌声

2017-09-20 10:00:00 | (愛)のブログ
9月13日、東京無償化裁判当日はイオ編集部総出で取材に当たりました。

私も自分のカメラを持ち、取材に向かいました。
残暑が厳しいなか、一人二人、時間を追うごとに増える支援者と学生たち。

開廷前の裁判所前は
傍聴席の抽選を求める人と裁判の結果を見届けるため集まった同胞と支援者たちで開廷30分前にはすごい人波ができていました。

私は旗出しの瞬間を撮影するため、じっと門の前で場所取りをしていたのですが、
現場で待機していると、開廷直前に大合唱が始まりました。

文科省前「金曜行動」テーマソングの
「声よ集まれ、歌となれ~소리여 모여라, 노래여 오너라~」(朝鮮大学校学生合作)

どれだけ叫べばいいのだろう
奪われ続けた声がある
聞こえるかい? 聞いているかい?
怒りが今また声となる
소리여 모여라 노래여 오너라
声よ集まれ 歌となれ
동무여 모여라 노래 부르자
声を合わせよう ともに歌おう


歌声は裁判所一帯にこだましていました。
これほどに力強くて、まっすぐ心に届いた歌声を聞いたことがあっただろうか。
1000人を越える勝利を願った歌声。
なんだかとても胸が熱くなりました。

裁判結果は本当にひどい不当判決。
同胞たちの写真を撮りながらも、涙が溢れて仕方なかったです。

でも現場であの歌を聴いたときから、
私は不思議なことに、より力強さを得ました。

歌にのせて、当たり前の権利を当たり前に叫ぶ。
一歩ずつでも前へ進めば、この歌声が日本の司法の良心にいつか届くはずだと
信じています。(愛)

※エルファがアップしている動画の最後に歌声と少し歌詞が掲載されているので、
転載します。
https://www.youtube.com/watch?v=7XQ1BfHaZJY


「声よ集まれ、歌となれ~소리여 모여라, 노래여 오너라~」

どれだけ叫べばいいのだろう
奪われ続けた声がある
聞こえるかい? 聞いているかい?
怒りが今また声となる
소리여 모여라 노래여 오너라
声よ集まれ 歌となれ
동무여 모여라 노래 부르자
声を合わせよう ともに歌おう
聞こえないふりに傷ついて
かすれる叫びはあてどなく
それでも誰かと歌いたいんだ
一人の声では届かない(だから)
소리여 모여라 노래여 오너라
ふるえる声でも 歌となる
동무여 모여라 노래 부르자
声を合わせよう ともに歌おう
 
소리여 모여라 노래여 오너라
ただ当たり前に生きたいんだ
동무여 모여라 노래 부르자
ただ当たり前を歌いたいんだ
いますぐその足をどけてくれ
4・24の怒りがよみがえる
踏まれてもくりかえし立ち上がる
君といっしょならたたかえる
소리여 모여라 노래여 오너라
声よ歌となれ 響きわたれ
동무여 모여라 노래 부르자

イオ10月号完成!

2017-09-19 10:00:00 | (S)のブログ


イオ10月号が完成しました。

特集は「今こそ見つめる民族教育権」。
各地での無償化裁判が続く中、大阪では歴史的勝訴を勝ち取り、「民族教育」という権利について改めて注目が集まっています。
そもそも「民族教育権」とは何か、どのような法的根拠を持ち、なぜ権利として認められなければいけないのか―。
これについて国連人権規約や司法の側面から、また研究者たちの言葉を借りながら掘り下げていきます。
朝鮮学校の保護者や、海外で子どもを育てる方のエッセイも紹介します。

特別企画は、「ウリトレイン~DPRK鉄道の旅~」です。
1945年8月、日本の植民地支配が解かれた朝鮮半島北部では、晴れて市民のための鉄道建設が始まったそう。
企画では国際列車、平壌の地下鉄や路面電車を中心に紹介します。
イオで連載をしてくださっているフォトジャーナリストの林典子さんにも協力をいただきました。
興味のある方は是非ご覧ください。

その他、「この悲劇、繰り返さない― 関東大震災94周年 朝鮮人犠牲者追悼式典」の記事では、小池都知事が追悼文を取りやめた一連の問題についても詳細が載っています。
「快挙! 画家・朴正文 ル・サロンで銅賞! 在日同胞の思いを絵に込めて」など、嬉しい情報も盛りだくさん!

今月のお楽しみください。(S)

世論を動かし、さらなる前進を! ―九州無償化裁判第14回口頭弁論

2017-09-17 10:00:00 | (理)のブログ

 愛知に続き、福岡では9月14日に九州無償化裁判の第14回口頭弁論がありました。北九州市にある福岡地裁小倉支部には、42の傍聴席を求めて約150人が集まりました。私は今回初めて九州裁判に来ることができましたが、傍聴希望者に比べて傍聴席の数があまりにも少ないことに驚きました。

 法廷には、愛知裁判と同じように記者席が設けられ、地元の日本人記者たちも傍聴しました。
 この期間、原告側弁護団は被告に対し、文科省の修学支援室長が変わった際に引き継いだ文書を開示するよう求めた求釈明申立書というものを提出していました。被告は、そのようなものはないと主張したため、改めて文書提出命令(裁判所から被告に、文書を提出するよう促すよう求めること)の手続きを申し立てました。
 また、福岡でも証人尋問の段階が近づいているため、原告2人、意見書を提出した三輪教授、また不指定処分を下した張本人である下村博文・元文科大臣を法廷に呼ぶための申し出をしました。
 同時に、弁護団はいくつか証拠を提出。その中には、大阪無償化裁判の勝訴判決や東京新聞に掲載された前川喜平・文科省前次官のインタビュー記事もありました。
 一方、被告からは、関連書類を提出する必要はないなどという内容の準備書面9、10が提出されたほか、広島無償化裁判の判決が証拠として提出されました。
 事務的なやりとりの後、法廷では原告側弁護団から白充弁護士と金敏寛弁護士が発言しました。


(写真は報告集会でのもの)

 沖縄で弁護士をしている白弁護士は、九州無償化裁判の提訴行動に参加した以降はなかなか弁論期日に来ることができないでいたといいます。しかし、広島での不当判決、そして大阪での画期的な判決を目にして、各地方で涙する後輩、先輩、同胞やさまざまな支援者の顔を見ながら「負けても勝っても、自分もこの中にいたい」と思ったそうです。遅ればせながら、今回から改めて積極的に携わっていこうという気持ちを強く持ち、この日の弁論に参加することを決めていたところに、奇しくも東京の不当判決。「やはり来ると判断してよかった」と前置きをし、話し始めました。
 「証拠に基づく事実認定がそんなに難しいことなんでしょうか。法律の趣旨と目的に従って法を適用する、大阪ではそれを丁寧に行いました。どうして広島や東京ではそれができなかったんでしょうか。高校生だって『三権分立』について知っていると思うんです。司法が行政をただす、ただそれだけのこと。いち地域のことではありますが、この裁判の判決は、ここに座っている一人ひとり、学生、保護者たちだけでなく、日本各地にまで伝わるもの。一つひとつの判決が歴史に残ります。裁判所にはぜひ適正な判断をしてほしい」
 白弁護士は、司法のあるべき姿について切々とのべました。

 続いて金敏寛弁護士は、朝鮮学校への検証(裁判官が学校を訪れること)と下村博文・前文科大臣に尋問をする必要性について強く訴えました。
 「東京の判決を読まれたと思いますが、こんな言葉遊びをしていたら日本の司法は崩壊します。必ず他の問題にも波及する。広島と東京は結論ありきの判決でした。他方で大阪は、原告の主張をきちんと検証したうえで結論を出しました。裁判所ならどちらが正しいか分かるはずです。原告の立場、訴えをきちんと理解しないと判決は書けないと思います。実際に朝鮮学校を見てみないと分からない。裁判所の皆さんには、これをしっかりと確認した上で判決を書いてほしい」。

 ふと「人情味」という言葉が思い浮かぶくらい、弁護士たちの熱い語り口調が印象的でした。



 口頭弁論が終わり、報告集会へ。傍聴に外れたたくさんの人たちは、ミニ学習会として大阪が勝訴を勝ち取った時の一連の映像を見ていました。



 報告集会では金敏寛弁護士が先ほどの内容について解説し、東京無償化裁判の判決にも言及しました。
 「下村・元文科大臣は2012年12月の記者会見で、拉致問題の進展がないことと朝鮮学校が総聯と密接な関係にあるから不指定処分にするとはっきり言っている。しかし、裁判所は『本件不指定処分などの個別具体的な処分やその理由についてのべたものではない』と、言葉遊びでしか判決を書いていない。結論ありき。こんないい加減なことがまかり通ってはいけない」と怒りを示しました。

 その後、弁護団からは白充弁護士のほか、前日に愛知無償化裁判を傍聴した安元隆治弁護士も発言しました。



 「愛知は非常にいい尋問だった。愛知朝鮮学園の理事長は朝鮮学校と総聯の関係について正面から話していた。また、原告は一人に1時間を費やし、深く話を聞くことができた。祖父・祖母の話から続き、在日朝鮮人がどのような気持ちで生きてきたのか、家族も含めた話が語られて、ぐっとくるものがあった」。
 また、九州裁判については「他の地域では控訴が続くが、そこではあまり新しい事実を取り上げて判決を書くというよりは、一審の判決で矛盾はないか、そのためにはどのような証拠調べが必要なのかという視点で動くため、出来ることが限られている。そういう意味で九州裁判は、ますます全国的な位置づけが大きくなってくる。進行が遅い分、他の訴訟でできなかったことをやれる。重要な責任を感じている」と、その位置づけについていま一度強調しました。

 次に、支援者から連帯のメッセージがありました。



 今年8月26日に福岡朝鮮初級学校で行われた「福岡ふれあい納涼祭」の李鐘健実行委員長(同校アボジ会会長)は、「昨日の東京判決はとても悔しかったが、弁護士の先生たちの話を聞きながら、今日からまた頑張っていこうという気持ちになった。福岡初級の保護者、同胞、日本の友人の方々の熱い思いがこもっている、納涼祭の収益金の一部を持ってきたので、ぜひ今後の運動に役立ててほしい」と話し、朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会の瑞木実事務局長に支援金を手渡しました。



 続いて、今年6月に山口県で行われた「モンダンヨンピルコンサートin下関」の内岡貞雄実行委員長(写真右)が発言。モンダンヨンピルとは、朝鮮学校を支援する韓国の市民団体です。
 内岡さんは「モンダンヨンピルの人たちは、下関朝鮮初中級学校に来るや否や子どもたちとぴったり寄り添って喋ったり歌ったり、食事を共にしていた。学校の先生とも心から交流していた。本当は、ここにも直接きて激励の言葉を送りたいと話していたが、諸事情で来られないため、代わりに気持ちを伝えてくれと10万円を預かってきた。また、学校のオモニ会がバッジを売って2万4千100円の利益があったため、それも合わせて持ってきた」と話し、瑞木事務局長に支援金を伝達しました。


 
 連帯のメッセージ最後に、龍谷大学の金尚均教授があいさつしました。金教授は、今年2月に福岡県で行われた「高校無償化即時適用実現・全国統一行動に連帯する福岡県民集会」の時も京都から駆けつけ、講演を行いました。
 「東京判決は、広島判決に続いて非常にひどい内容だった。そもそも無償化制度は、貧富の差や国籍にも関わりなく均等に教育を受ける権利を保障しようというもので、政治的な判断が含まれないというのが前提。それにも関わらず、今回の裁判では朝鮮や総聯との関係を取り上げ、しかもそれが朝鮮学校に対して『不当な支配』をしていると言っている。なぜ朝鮮学校が戦後、日本の中で生まれ、そして今もあるのかということがまったく裁判官に伝わっていない。そういう意味で、弁護団が主張している朝鮮学校への検証は必ず実現されなくてはいけない。正直、私が経験した京都朝鮮初級学校襲撃事件の裁判でも、裁判官が検証のために朝鮮学校に来たことで流れが変わった」と検証の重要性を熱弁。「この裁判で負けるということは、朝鮮学校に差別することは日本社会で許されるということ。絶対勝たなければいけない」と締めくくりました。



 最後に、金敏寛弁護士が今後の進行について説明。「他の4地域の裁判で、文科省の関係者を尋問に呼べたのは東京だけ。5つの地域の中で唯一、九州裁判で尋問が残っている。文科省関係者を裁判所に呼んで、無償化問題の本質、真の目的がなんだったのかということを必ず明らかにしたいと思っている。準備のためにまだ少し時間がかかるが、変わらず支援をお願いしたい」と話しました。
 また、毎日新聞やNHK、地元の新聞社などから、弁護団を交えて勉強会を開いてほしいとの要望があったことを紹介しながら、「マスコミ含め、日本の世論がこの問題にようやく目を向け始めている」とのべました。勉強会は年末か年明けに予定しているそうです。
 「裁判はこれからも続くが、みなさんもこの問題を真剣に考え、勉強して、裁判所にも引き続き足を運んでほしい」と呼びかけ、集会を終えました。



 終了後、会場の後方では支援グッズの販売も行われていました。



 次回、第15回口頭弁論の期日は12月7日(木)11:00から。これまでには傍聴席が増えるくらい、もっと世論が動いていけばいいなと感じました。私自身これからもできるだけ現地で取材をし、たくさんの声を紹介していきたいと思いました。(理)

 九州無償化裁判について、これまでの経過が細かく記録されているHPもあります→(http://msk-f.net/index.html

愛知で証人尋問! ―愛知無償化裁判第25回口頭弁論

2017-09-15 10:00:00 | (理)のブログ

 9月13日、愛知では無償化裁判の第25回口頭弁論が開かれました。今回の内容は証人尋問。裁判所の前には、90弱の傍聴席を求めて153人が並びました。また法廷内には記者席が設けられ、日本人記者たちも取材に訪れていました。

 証人として法廷に立ったのは、愛知朝鮮学園の金伸治理事長と原告1番です。
 金理事長は、無償化制度から朝鮮学校が除外された2010年度、また次の年の2011年度に愛知朝鮮中高級学校の校長を務めていました。金理事長には、愛知朝鮮学園が無償化適用を求めて文科省に提出した書類の中の、教員数の誤記についての質問がありました。

 愛知朝鮮学園は、2010年度、2011年度、2012年度と文科省に無償化適用のための申請書類を提出しています。最初の2年は問題ありませんでしたが、3年目、金理事長が校長を退いた後に引継ぎなどの関係で、教員数の記載にミスがあったといいます。実際に教員数が足りていたにも関わらず少なく記載されていたのです。文科省はこれをもって(他にも理由はありますが)愛知朝鮮学園を「不指定」としました。
 どうしてこのようなミスが起きたのか、またこの時の文科省の対応がいかに不自然なものだったか、原告側弁護団による金理事長への尋問の過程で明らかになりました。

 続いて、被告側代理人から金理事長への反対尋問がありました。金理事長がすでに答えたことを再び繰り返すようなものに加え、朝鮮総聯との関係性を意図的に強調するような質問が執拗になされました。昔の資料などを持ち出し、青年同盟や教職員同盟、その他の団体について基礎知識もないままにされる質問に、傍聴席からは何度も「関係ないだろう!」「だからなんなんだ!」「答える必要ないよ!」といった強い声が飛びました。その度に裁判官はたしなめていましたが、傍聴席の苛立ちは止みませんでした。
 「この団体は…総聯の傘下団体ですよねえ?」。―私の印象も入っているかもしれませんが、妙に含みを持たせた意地悪気な質問の仕方がとても耳に残りました。金理事長は冷静に一つひとつの質問に答え、長時間にわたる尋問に最後までしっかり臨んでいました。

 一度休憩が持たれると、法廷内にはパーテーションが設置されました。開廷後、原告1番が入廷しました。原告1番は、2010学年度当時に愛知中高の高級部3年生だった当事者です。弁護団の裵明玉弁護士の質問に答えながら、幼い頃から感じていた日本社会の差別意識、自身の家庭環境、朝鮮学校での生活、無償化問題を通して経験したこと、適用に対する思いなどを一つひとつ話していきました。

(裵弁護士の「朝鮮学校に通ってよかったことはなんですか」という質問に)
「民族のアイデンティティ、誇りを持てたことです。朝鮮人であることに何の不安もなくいられました。日本学校に通っていたら、葛藤を感じていたと思います。今、日本社会では朝鮮人というだけでネガティブなイメージが先行している。その中でも、自分は恥ずべき存在じゃないんだと思わせてくれました。悪いことをして差別されているわけじゃないと知ることができました」

(「無償化闘争で一番辛かったことは」という質問に)
「街頭宣伝をしている時に、『そういうのはもういいんだよ』と言われたことです。罵声を浴びせられるより、無関心にされる方が辛かったです。これからいくら自分が頑張っても解決しないのではないかと思いました」
 当時の悔しさを思い出したのか、何度も言葉が詰まり、声を絞り出すようにして一生懸命話していました。傍聴席からもすすり泣きが漏れました。

 最後に、「裁判官へ伝えたいことはありませんか」という質問を受けた原告1番。
「母校に帰ってきて、変わらず街頭宣伝に立つ子どもたちを見た時、涙が止まりませんでした。いつも笑顔で明るい子どもたちが不安そうに日本社会に訴えている姿が痛々しく、自責の念に駆られます。子どもたちのために設けられた無償化制度は、日本の差別によってまた新たな子どもたちに傷を負わせています。一方で、マスコミや政治に流されずに助けてくれる日本の方たちの姿にはとても励まされました。裁判官の皆さん、もうこれ以上子どもたちを傷つけないでください」と、切々と訴えました。



 証人尋問が終わると、場所を名古屋朝鮮初級学校に移して報告集会が開かれました。いつもより遅い時間にもかかわらず、約100人が参加しました。
 裵明玉弁護士が今回の内容について解説したほか、この日も各地からさまざまな人が足を運んだということで、たくさんの連帯のメッセージがありました。



 福岡から来た、九州無償化弁護団の安元隆治弁護士は、「九州でも今後、原告本人の証人尋問を予定しているので、その参考として傍聴に来た。原告の話を聞いていると、そもそも差別されているという前提、当事者が感じる日本社会に蔓延した差別意識というものが、リアルに裁判官に伝わったと思う」と話し、証人尋問に立った二人に労いの言葉を送りました。

 また、東京朝鮮高校生の裁判を支援する会のメンバーは、「裁判中に東京では不当判決だというメールが入って憤りと悔しさを感じた。子どもの学ぶ権利を全く顧みない判決だ。これで諦めず、これからも全国の裁判と一緒に取り組んでいきたい」と強く話しました。



 無償化連絡会・大阪の藤井幸之助さん。「志を同じにしている人は話が通じるが、一旦外に出ると朝鮮の話に関しては否定なことばかりだ。自分は普段、大学で教鞭を執っている。メディアで流さない朝鮮や在日朝鮮人に関する話を学生にすると、『嘘だろう』という声も上がるが、言うことを止めずに自分の回りから伝えることをしていきたい」。



 大阪からは、オモニ連絡会の代表たちも駆けつけました。柳暎恵さん(写真右)と金文子さんは、「先週の『オモニたちのアクション』に参加して、全国のオモニたちが連帯、連携、団結して子どもたちを守ろう、朝鮮人として日本で堂々と生きていく権利を守ろうという気持ちがより一層強くなっていると感じた。日本の方々や韓国の支援者たちも含め、今後ももっと力を大きくして一緒に頑張ろう」と激励のメッセージを送りました。



 静岡朝鮮学校友の会で支援活動をしている林弥千代さんは、「今日原告が、嬉しかったことの一つとして『日本の人々の支援があったこと』と話してくれた。この言葉に、私たち自身が励まされた」と話していました。



 また、県内からは愛知県立大学3年生の坂口和泉さんという方が発言。「在日朝鮮人について知りたいと思い、いろいろ調べる過程でこの裁判があることを知った。なぜこんな差別が行われているんだろうと疑問が生まれ、現在勉強中だ。山本かほり先生の研究室を訪ねて話を伺っているとどんどん興味がわいてきて、愛知朝鮮高校にも足を運んだ。本当に元気でいい子たちだなという印象を受けた。また、私自身は差別をしていないつもりだったが、メディアの情報にしか触れていないため偏見があったことにも気づいた。これからも携わり続けていきたい」とあいさつすると、会場から拍手が送られました。

 またこの日、弁護団は東京で不当判決が出たことについても言及。送られてきた判決文を急きょ読みながら、判決の内容について解説しました。



 中谷雄二弁護士は、「本当にひどい。これは国に代わって、国以上の言い訳をしてやっている判決。広島判決を超える、国を擁護する立場に立った判決だ」と憤りを示し、「愛知訴訟は、今このまま普通にいけばこのような判決が出る可能性があると思ってやっている。それを出させないようどうするか。歴史を知ること、戦前から戦後にかけて日本社会が在日朝鮮人たちにどのような関与をしてきたのか。このことについて当事者として目を覚ませとずっと裁判所に突きつけてきた。これを無視すると今の日本社会の中に蔓延している風潮から逃れられない。私たちは、裁判官にこのような判決を書かせないような裁判をしてきたつもりだし、今後もしていく。そして必ず勝訴を勝ちとる」と力強くのべました。

 最後まで徹底してたたかう―。改めて、そのような気持ちに満ちた場になりました。(理)

朝高生の思い届かず―東京無償化裁判地裁判決

2017-09-14 10:00:00 | (瑛)のブログ


 2014年2月、62人の東京朝鮮中高級学校生が無償化法の適用を求め、一人あたり10万円の国家賠償を求めた東京無償化裁判の判決が9月13日、東京地裁で言い渡され、原告の請求が棄却された。
約1500人が傍聴券を求めて並んだ同地裁の大法廷では、田中一彦裁判長が「原告らの請求をいずれも棄却する」「訴訟費用は原告らの負担とする」と2つの判決文を読み上げるのみ、傍聴席の生徒たちに目を向けることもなく、くるりと背を向けて法廷から立ち去った。

 原告側弁護団は、「就学支援金の受給資格は生徒にある」として、被告・国が朝鮮高校を外すために規定ハを削除したことは政治的外交的理由で「違法だ」と主張。しかし、同地裁は、規定ハの削除も、不指定処分も「文科大臣の裁量の範囲からの逸脱、乱用があるものとは認められない」として、被告国の主張を全面的に認め、不指定処分を「適法」とした。


●喜田村弁護団長「文科大臣に無制限の自由裁量を与えた不当判決」

 15時からは、司法記者クラブで弁護団や原告による記者会見が行われ、原告側の喜田村洋一弁護団長は、「不当判決」だと主張。判決の問題点は、①規定ハの違法性を判断せず、②政治的外交的理由で排除した事実を認めず、③文科大臣の裁量を際限なく認めた―の3点にあると述べた。以下、発言を紹介する。

…この判決が言わなかったことが「何なのか」を見てほしい。文科省が規定ハをなくしてしまったことで、朝鮮高級学校は無償化の対象になりえないことになった。これは、高校で学びたいという意欲を持つすべての人に就学支援金を出すという無償化法の趣旨に反するもので、原告側はハの削除が違法だと主張したが、この部分について今日の東京地裁判決は「判断する必要はない」と削った。この点は、法律と規則の関係という極めて法律的な問題で最高裁でも色んな判決が出ているが国は逃げた。これが判決の第1の特徴。

第2の特徴は、ハの削除、東京朝高の不指定がどういう「根拠」に基づいてなされたかということだ。この点については2012年12月の政権交代があった直後に当時の下村文科大臣が、朝鮮学校については、拉致問題の進展がないことや、朝鮮総聯と密接な関係にあることから、現時点の指定には国民の理解が得られず不指定の方向で手続きを進めたい、と言った。これを普通に判断すると、拉致問題あるいは総聯との関係を問題にして不指定にしたということなので、明らかに政治的外交的な配慮、あるいは政治的外交的な問題を考慮して不指定にした、と読めるわけだが、これについては、判決は「そうとは読めない」と言った。なぜ、文科大臣や安倍総理大臣の同趣旨の発言が政治的外交的配慮による不指定ではなかったのか、という説明がなされていない。これははっきりとした事実誤認だ。

また、国は「規程13条に適合すると認めるに至らなかった」という「狭い問題」を立てて、この判断をすることは違法じゃないと言った。なぜなら、文科大臣には広い裁量があるからで、審議会の意見など聞かなくてもいいし、日本の公安当局などが色々言っていることを信じたといっても不合理とは言えないという。

 特徴的なのは、原告が通っていた東京朝鮮高級学校が指定されると、なぜ就学支援金が授業料に充当されないのか。その具体的な「おそれ」がまったく書かれていない。(広島で25年前にあったことをもって)ずっと昔はこういうことがあった、と強引に認めたざらっとした判決。なぜ東京朝高がダメなのかはまったく書かれていない。この点が大阪の判決と比べると顕著な特徴だ。大阪地裁は、朝鮮高校がダメだという理由はないので、不指定にした国が違法だと判断した。東京地裁判決は、朝鮮学校はみんな同じで、公安調査庁が色んなことを言っているからダメといっているようなもの。これは民族差別そのものだ。

 規定ハ削除の違法性を判断しなかった点、明白な事実の誤り、規程解釈の誤り、文科大臣にほとんど無制限の自由裁量を与えたということで、最近の行政法についての裁判所の近時の判例の傾向にも反した誤った判断だ。当然、控訴ということなる。(以上、記者会見での発言)





●原告、オモニたち

 この裁判で国側は、「規程13条」、教育基本法の「不当な支配」を持ち出し、不指定になった責任は朝鮮学校側にあると強弁してきた。しかし、それは事実ではなく、文科省が政治的外交的理由で朝鮮高校を排除したことを暴いたのが東京弁護団だった。東京弁護団は5ヵ所で行っている無償化裁判のなかで唯一、規定ハを削除した文科省職員の証人尋問を実現(第12回口頭弁論、16年12月13日)。文科省の内部文書の開示を請求し、開示された文書を通じて、文科省が拉致問題を口実にして朝高排除のために規定ハを削除したことを明らかにした(第9回口頭弁論、16年3月2日)。

記者会見の席で金舜植弁護士は、「負けるとしても、事実を前提に判断するものだと思ったが、裁判所は完全に応答してくれなかった。判断を逃げ、曖昧模糊とした抽象的な理由で原告を負かせた。読んで愕然とした。原告は学生で、生徒たちの権利だ。子どもたちが(敗訴判決を)聞いた瞬間の思いを想像すると悔しい。裁判所に対する絶望を感じた」と悔しさをぶつけていた。

 原告の2人も記者会見に立った。日本の大学に通う女子学生は、「悔しい思いで一杯。この裁判は、生徒の精神的苦痛に対する損害賠償請求だったが、この判決でさらに原告や後輩たちが辛い思いをすると思うと胸が張り裂けそう」、朝大に進学した男子学生は、「これから朝鮮人として育つ子どもの未来をすべて奪った判決に憤りを隠せない」と語っていた。

 同席した保護者のオモニは、「無償化制度が始まってからは、朝鮮と名のつくものは存在すらも問題視されてきた。怒りだけです。教育の現場に政治を持ち込まないで。青春を謳歌してクラブ活動をさせて。それだけが願いです。これからも諦めません。原告とともに高校無償化適用のため、がんばっていきます」と声を振り絞った。

●怒号と悲鳴、「勝つまでたたかう」

 法廷の外は、判決の結果を今か今かと待ち続けていた1600人の朝鮮学校生や保護者、日本市民たちであふれかえっていた。不当判決の結果が伝わると地裁前では、「不当判決反対!」「ふざけるな!」と怒声がわき、泣き崩れる学生もいた。茫然と立ち尽くすオモニたちの姿も見える。

無償化実現を目指して発足した東京朝高オモニ会初代会長の朴史鈴さんは、信じられないといった表情だったが、毅然と語った。「悔しいとかじゃない。司法も子どもたちを差別し続けた日本政府と同じだったのかという怒りだけ。泣いている場合じゃない。新たな闘いのために頑張らなければ」。地裁前には何重にも人の波が重なり、「声よ 集まれ 歌となれ」の歌声が地裁の強固な建物にこだまするように鳴り響いていた。

今年に入って、日本各地の朝鮮学校行脚を続けてきた「高校無償化からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」の長谷川和男さんは、「負けてたまるか。私たちは絶対に負けない。負けない気持ちがある限り負けない。次の闘いを準備し、勝つことで全国の朝鮮学校の子どもたちを励まし、教育を続けている教員たちを励まし、子どもたちが胸を張って生きていくことを願うアボジ、オモニたちの思いに応えていく」と地裁に向かってメガホンを強く握っていた。

広島での敗訴、続く大阪での勝訴―。

東京裁判を闘ってきた人たちが、この日の地裁判決にかけた思いは、「東京で勝って流れを変える」ことだった。

しかし、東京地裁の判決は、広島のヘイト判決に並ぶ、国の主張を固めるためだけに書いた、「結論も論理も誤った判決」(喜田村団長)。三権分立で人権を確立せんとする、裁判官のプライドのかけらも見えない朝鮮学校への差別をむき出しにしたヘイト判決に、原告はもちろん、保護者や関係者は怒りに体を震わせていた。

 「勝利の瞬間を子どもたちに見せたい」と全校生を引き連れてきた東京朝高の愼吉雄校長は、判決を聞いた後、席から立ちあがることができなかったという。

「本校の卒業生に傷を負わせたうえ、塩を塗った判決。飢えそうな人に肉を見せつけて、そして取りあげる。みにくく残酷としか言いようがない。日本に学ぶ高校レベルの生徒は300万人。そのうち、朝鮮高校生は2000人に満たない。これを民族差別といわずに何というのでしょうか」





 夜、日本教育会館で行われた決起集会には、1100人が詰めかけた。九州、広島、大阪、愛知からも弁護団や原告の同胞や日本市民が席をともにし、発言が続くたびに割れるような拍手が会場に鳴り響く。参加者は、子どもたちの未来のため、勝利の日まで闘うという「大きな決意」を固めていた。(瑛)

※関連資料

●東京朝鮮高校生「高校無償化」国賠訴訟弁護団声明●

2017年9月13日

 本日、東京地方裁判所民事第28部は、東京朝鮮中高級学校の高級部に在籍していた生徒62名(現在は卒業生)が就学支援金不支給を理由として提起した国家賠償請求訴訟(以下「本訴訟」といいます。)について、判決(以下、「本判決」といいます。)を言い渡しました。裁判所は、訴訟における被告国側の主張を丸呑みし、原告側の請求を棄却しました。
本判決は、以下に述べるとおり、重大な誤りを多数含んでいます。

 第一に、本判決は、本訴訟の重要な争点について判断を回避しています。すなわち、本判決は、「規定ハの削除が無償化法による委任の趣旨を逸脱したものであり無効であるから、規定ハの削除による不指定処分は違法である」との原告の主張について判断を回避しています。しかし、審理の過程で明らかになった文科省の決裁文書には「規則1条1項2号ハの規定の削除に伴う朝鮮高級学校の不指定について」と明記されており、本件不指定処分は、規定ハが削除されたことに基づくものであることは明らかであり、規定ハの削除の違法性について判断を回避した本判決は明らかに不当です。

次に、本判決は、不指定処分の理由について明白な事実誤認を犯しています。下村文部科学大臣(当時)が閣僚懇談会等で明言したとおり、朝鮮学校に対する不指定は、「拉致問題に進展がないこと」等によって決められたものであり、これが政治的外交的配慮であることは明らかです。しかし、本判決は、本件不指定処分が政治的外交的理由によって決定されたものであることを認めませんでした。これは不指定処分の理由という最も重要な点について、明白な事実誤認を犯したものといわざるをえません。

 最後に、本判決は、文科大臣が東京朝鮮学園を不指定とするにあたって同学園が規程13条に適合しない理由について個別的かつ具体的な事実を指摘して不指定とすることを要求せず、各地の朝鮮高級学校について抽象的に言われたことや、他の朝鮮学校についての過去の裁判所の判断等によって、「東京朝鮮学園について規程13条に適合すると認めるに足りない」との文科大臣の認定を合理的なものであると認定しました。これは、文科大臣にほとんど無制限の裁量を認めたものであり、行政法の解釈として明白に誤っています。

 以上素描した限りにおいても、本判決は、結論においても論理においても明らかに誤った不当極まりないものです。

 政府による誤った判断による差別を解消し、すべての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会を司法によって実現するという本訴訟の目的を達成するため、原告らは控訴し、引き続き差別の解消を強く求めていきます。私たち弁護団は、全国の朝鮮高校生らに対して差別なく就学支援金が支給される日まで、さらに努力を続ける所存です。以上


●正義が実現されるまで闘い抜く/東京朝鮮学園声明 ●


東京朝鮮学園は13日の東京無償化裁判の不当判決を受け、同日、声明を発表した。全文は以下のとおり。

東京地方裁判所は、我々の訴えを退ける驚くべき不当判決を言い渡しました。

本来、公平な判断により国家権力の過ちをただすべき司法が、行政権力の政治的意向や昨今の排外主義に盲従し、行政の違法行為と差別的措置を追認し、神聖な学習権を尊ぶことなく原告の訴えを退ける不当な判決を言い渡したことに、驚きと強い憤りを禁じえません。

私たちは、朝鮮学校の生徒たちを「高校無償化」制度から排除し、教育を受ける権利を侵害する日本政府の不条理な差別を絶対に許すことができず、勇敢にも原告となり立ち上がった生徒たちとともに、日本政府を相手どり2014年2月17日に賠償請求訴訟を提訴し、3年7カ月、14回に及ぶ口頭弁論を経て、本日の判決言渡しを迎えました。

青雲の志を胸に、輝ける未来を切り開こうと日々勉学に励むべき生徒たちが、大切な青春の日々を犠牲にしながら国を相手に裁判せざるを得なかったのは、朝鮮高校生たちの学ぶ権利が日本政府によって侵害されていること、朝鮮学校を無償化から除外したことが違法であることを明らかにするためには、司法の判断にすがるしかないほど、現在日本社会に排外主義が蔓延し歪んでしまっているからにほかなりません。

日本国憲法や国際人権規約等を待たずとも、すべての意思ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会をつくるためにとした「無償化」法自体の本来の趣旨に立ち返り、正常な思考と最小限の遵法精神さえあれば誰の目にも明らかな日本政府による不法で不当な「朝鮮学校生徒いじめ」は当然批判され改善されると、私たちは信じ疑いませんでした。

不当なこの判決を、到底受け入れることができません。

この国がいう「すべての子どもたち」には、朝鮮学校に通う生徒は含まれていないのでしょうか。

日本では、「朝鮮」がつくものに対しては、三権の分立すらも機能しないのでしょうか。

この不当判決により、これまで「無償化」制度から差別的に除外されたまま卒業せざるを得なかった卒業生たちの心の傷がさらに深まってしまうのではないか、朝鮮学校で学んでいる多くの子どもたちの笑顔がまた奪われてしまうのではないかと深く憂慮します。

このような不当判決が、平和の祭典オリンピックを控えた東京において出されたことに唖然とするばかりか、ヘイトスピーチや排外主義といった時代錯誤的な動きをさらに助長して健全な社会発展を阻害してしまうのではないかと心配でなりません。

友好と親善を胸に共存共栄する明るい未来構築に禍根を残すような国の違法行為とこの恥ずべき不当判決を、私たちは絶対に認められません。

朝鮮学校は、朝鮮半島にルーツを持つ在日の子どもたちに母国語をはじめ民族の歴史や文化等を教えることにより、しっかりとしたアイデンティティーを胸に、日本の地域社会で共生共存しながら国際社会に貢献できるような人材を育成すべく、70年もの間、真摯に民族教育に取り組んできました。

朝鮮学校は、過去の不幸な時代に踏みにじられた人権と奪われた民族的尊厳を回復するため、1世の同胞たちが苦難を乗り越え創設し、2世・3世が継承し発展させてきた大切な民族教育の場であります。

地域に根ざした教育、多文化に対する相互理解と友好親善をめざし、日本学校や外国人学校とも多彩な交流を深めてまいりました。

朝鮮学校で学んだ10万人を超える卒業生たちは、日本や世界の多様な分野において活躍し、立派に社会貢献していると私たちは自負しております。

私たちは、このたびの不当判決にひるむことなく、今後とも民族教育の普遍的価値を実証し、民族教育を受ける権利は法的保護に値する正当な権利であるということを訴えていきたいとい考えています。

朝鮮学校に通う生徒たちは、日本で生まれ、これからも日本に永住していく子どもたちであり、何よりも朝鮮と日本の友好の懸け橋となる、私たちのかけがえのない大切な未来です。

私たちは、すべての子どもたちが平等な学習権を享受し心おきなく学び成長する社会を実現するため、また多文化を相互理解し共存共栄する社会建設に寄与すべく、今後とも民族教育活動に全力を注いでまいります。

私たちはこれからも、本学園の生徒、保護者と在日同胞の皆さまはもとより、弁護団の諸先生方、「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会」や「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」の皆さまをはじめとする多くの日本人の方々、韓国の支援者の方々とともに、手を取り心をひとつにし、良心と正義が実現されるその日まで闘い抜く所存であります。

我々の裁判運動を支え、惜しみない御協力をくださった全ての人々に、心からの感謝の意を表するとともに、これからもかわらぬご協力をよろしくお願い申し上げます。

日本政府は、今からでもすすんで自らを省み、朝鮮高校生に「無償化」を即時適用し、過去7年間停止していた「就学支援金」を遡り支給するよう強く求めるとともに、国家や行政による「民族差別」をやめさせ、朝鮮学校児童生徒たちの学ぶ権利を保障する改善措置等をとるよう強く求めます。

(学校法人東京朝鮮学園、東京朝鮮中高級学校、東京朝鮮学校オモニ会連絡会)

高校無償化裁判―本日、東京で判決

2017-09-13 10:00:00 | (相)のブログ
 朝鮮高級学校を高校無償化の対象に指定しなかったのは違法として、東京朝鮮中高級学校(東京都北区)の生徒62 人が国を相手取って損害賠償を求めた訴訟(2014年2月提訴)の判決が本日午後、東京地方裁判所で言い渡される。
 同種の裁判は全国5ヵ所で起こされている。7月19日、5ヵ所のうち初めて判決が言い渡された広島地裁では、原告(広島朝鮮学園、元生徒ら)の全面敗訴。しかし、続く大阪地裁では原告・大阪朝鮮学園の全面勝訴という判決が下された。
 「文科大臣の判断は裁量の範囲を逸脱しておらず、不指定処分は違法ではない」という広島と、「教育の機会均等という無償化法の趣旨と無関係な外交・政治的理由で朝鮮学校を排除した処分は違法・無効である」という大阪。先立つ2つの裁判では司法の判断が真っ二つに分かれた。そして、3件目となる本日の東京地裁での判決。他地域で係争中の裁判に対する影響という側面からも、首都・東京での判断が注目される。
 イオ編集部では、この間、東京無償化裁判をフォローしてきた(瑛)さんを中心に総力体勢で取材にあたる。私自身も、7月28日の大阪に続く判決言い渡しの取材だ。

 判決言い渡しは本日14:00から東京地裁で。
 その後、18時30分から日本教育会館一ツ橋ホールで判決集会が開かれる(18時開場)。
 http://mushokashien.blog.fc2.com/blog-entry-85.html
 
 前回の大阪では全面勝訴という「予想外」の判決に興奮し、浮き足立ってしまった。今日は、結果をしかと見届けたい。
 本日、愛知でも高校無償化裁判の第25回口頭弁論(証人尋問)が名古屋地裁で行われる。明日14日には、九州無償化裁判の第14回口頭弁論が福岡地裁小倉支部で行われる。(相)



オモニたちの声

2017-09-12 10:00:00 | (理)のブログ

 先週の金曜日、「朝鮮高校の『無償化』適用と補助金給付再開を求めるオモニたちのアクション」が行われ、10校の朝鮮高校からオモニ会会長と役員たちが参加しました。関東地域に暮らす同胞女性たちも駆けつけ、約75人が集まりました。明日は東京無償化裁判の判決が下される日。これに先立って持たれた集会です。



 場所は参議院議員会館の会議室。はじめに在日本朝鮮人人権協会の金東鶴副会長が、無償化裁判の経緯と争点について解説しました。金副会長が強調していたのは以下の内容。

「無償化」裁判の重要なポイント
―事実:
政治・外交上の理由で省令ハを削除し、朝鮮学校を不指定にした
―国側の言い分:
審査の結果、不指定を決定し、省令ハはもはや不要となるので削除した

 このように、事実と国側の言い分とでは前後が逆転しています。ちなみに、事実を裏付ける書類も証拠として提出されており、国側の発言の矛盾を明らかにしています。まったくの詭弁であるにも関わらず、広島では原告の主張が通りませんでした。
 金副会長は最後に、東京無償化裁判の判決を目前に控えた国が弁論の再開を要求したことに言及しながら、「国は相当焦っている。9月13日に判決を迎えるのは具合が悪い、ピンチだと。これまでの経緯を見れば私たちが勝てる」と力を込めて話しました。

 次に、連帯のあいさつとして、「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会」の森本孝子さんと「『高校無償化』からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」の長谷川和夫さんが発言しました。
 森本さんは、「この裁判は絶対に勝てる。勝っても控訴があるだろうが、最後まで決してあきらめずに一緒にたたかい続けましょう!」とオモニたちに激励を送りました。
 また、長谷川さんは「この情勢下でも一生懸命学んでいる子どもたち、そして苦労の多い朝鮮学校の先生たちと保護者たちを励ましたいとの思いで全国行脚を始めた」としながら、自身の活動を紹介し、改めて応援のメッセージを送りました。



 続いて、文科省の担当職員に対する答弁が行われ、実行委員会が事前に提出していた質問状に、3人の職員が答えました。



●朝鮮学校の子どもたちを視野の片隅にも入れなかった広島地裁判決と、朝鮮高校を高校無償化の対象から除外したのは、平等に教育を受ける権利の侵害で違法、無効だとした大阪地裁の判決を文科省はどう受け止めたのか。

 この質問に対して職員は、「係争中の案件なので裁判以外で意見を申すことはできない」の一言。

●去年の3.29文科省通知「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について」が朝鮮学校にどのような被害をもたらしたか認識しているのか、お聞きしたい。当時の文科大臣は「減額しろとか、なくしてしまえとか、そういうことを言うのではありません」と次の日釈明したが、地方自治体で政府の意向を忖度して補助金の支給を停止したところが増えている。この現実に文科省としてどう思い、どう指導しようとするのか。

 また、この質問には「通知の趣旨は減額を求めるものではない。個別の自治体に具体的な指導ということは考えていないが、趣旨については今後も説明していきたい」と、表面をなぞるような返答しかしませんでした。
 質問の内容を全く無視しているばかりか、誠意のない態度に腹が立ちました。



 続いて、10校のオモニ会代表たちが1人ずつ発言しました。

広島朝鮮初中高級学校 朴陽子会長



「広島朝高生たちは、卒業式の日に新たな門出に胸を膨らませるのではなく、高校無償化のたたかいを後輩たちにまた譲らなければならなくなったと胸を痛めて卒業します。今年の7月19日、中級部の学生たちは楽しみにしていたキャンプの予定を一日繰り上げて帰って来ました。なぜだか分かりますか? その日は広島で無償化裁判の判決があった日なんです。生徒たちは、謳歌したい青春も我慢して高校無償化のたたかいを続けています。7月19日の判決は、人種差別によるヘイト判決でした。判決文を何度読んでも、文章の意味も理解できないし、私たち原告を完全に無視した内容でした」…

大阪朝鮮高級学校 高吉美会長



「無償化除外、これは制度上の話だけではありません。これによって私たちの実生活の中で色んな差別が起こっています。朝鮮学校のガラスが破られているとか、通学時、子どもたちが心無い人たちから暴言を浴びせられたり。この子たちを必死になって守っているのは私たちなんです。国はいつも弱い立場の人間のために行動してくれる、本当はそうでなければいけないのではないですか。そういうことに対してもっと考えてください。ただ制度がこうだからという言葉はいらないんです。なんで全国からこうしてオモニたちが来て必死に訴えているのか、しっかり考えてください」…

神奈川朝鮮中高級学校 金星樹会長



「私は、朝鮮学校に通う子どもたちが頑張る姿を、いつも感動を持って見ています。しかし、このような純粋な子どもたちが国レベルで差別されていると思うと、いつも怒りがセットになります。子どもの頑張る姿を、怒りではなく素直に喜びたいです。差別のない社会で、100%晴れた姿で子どもの成長を見守りたいです。無償化除外、また県による補助金停止は、在日朝鮮人に対する差別意識を助長するものでもあります。いま、日常の中で差別される場面が少なくありません。私たち母親は、子どもたちを傷つけることを絶対に許しません」…

 オモニたちはみな、涙を流しながら必死に訴えていました。声は毅然としていましたが、マイクを持つ手が震えているのを見た時、とても胸が苦しくなりました。

 集会が終わると、場所を移してオモニたちは文科省前での金曜行動に合流しました。朝鮮大学生たちと声を合わせ、無償化適用、差別反対を叫びました。



 明日、13日はついに東京無償化裁判の判決が出る日。関東だけでなく、明日も日本各地から多くの保護者、支援者たちが応援に来る予定です。東京の司法はどのような判決を下すのか、ぜひ多くの人が参加し、その場で見届けて欲しいです。
 時間、場所など詳細はこちらより⇒http://mushokashien.blog.fc2.com/blog-entry-85.html(理)




 

〇〇水

2017-09-11 10:00:00 | (麗)のブログ
「断酒とか絶対無理だよ…」
「やめちゃえやめちゃえ!」
「量を控えたらいいだけの話では?」
周りはそう言う。

断酒を始めて2週間経ったが、自分もそう思う。
先週のブログでも書いたように、断酒はまぁまぁ順調に続いている。

しかし、酒のない人生はびっくりするほどつまらない。
なので少しでもシュワシュワしたものを求めるため、最近「炭酸水」を飲んでいる。
最初は「特に味がない炭酸」とだけ思っていたが、飲むうちに意外と美味しいと思えてきた。

てっきり酒を割る用の飲み物とばかり思っていたが、健康や美容にも効果があるらしい。
炭酸水を飲む女子=意識高い系と何となく思っていたし、
自分には酒を割る以外で縁のないものと思っていたが、いま人生で一番飲んでいる。

健康&美容関連にはてんで興味がないが、
これを機に意識高い系女子にでもなってみようかな?とちょったばかし思った。
でもずぼらで面倒くさがりな自分には絶対無理だろう。

そういうのは別にいいから、とにかくシュワっと弾ける清涼感があるものを…!と求めてやまない。
引き続き、頑張ろうと思う。(麗)