2023-06-10

心がしんどい時に食べるもの

メンタルって不思議もので心がしんどい時ってほんとに食べられなくなる。

時代によって選ぶものは変わっていくんだけど、固形がだるくなっていってゼリーのものとかをなんとか飲んで、みたいな感じが多い。

他にはうどんはけっこう入りやすいけど少し食べただけでああもういいやってなってしまう。

しかし当然体はエネルギー必要としているのでちゃんと食べないと心もよりしんどくなるのだ。そもそも正常な思考ができなくなっていく。

自分は幸いなことにというか、生死に関わるような悩みを抱えたことはない。

借金が何百万もあるとか、仕事が見つからなくてやばいとか、大変な事件に巻き込まれるとか、そこまでのは経験がない。

ほんとによくある感じの、仕事のことか恋愛のこと、主にこのふたつがせいぜいなのでかわいいものなんだけど、それでもいわゆる「食事も喉を通らない」という時期を過ごしたことが何度かある。

仕事については過去に、数ヶ月ほぼ軟禁状態会社に寝泊まりして、地獄かよみたいな状況に追い込まれたことがあり、

その時は生きてる意味を見失ってるという感覚が強く、自然と食べる行為にも消極的になっていた。

ただこの時は食べようと思えば食べられる、というくらいでなんやかんや少しずつ食事は取れていたと思う。

なんとなく食べてはいるけどなんの味もしないなって感じ。あとこんな自分が飯を食って申し訳ありませんという感じの自虐も強かった。

さっさとその状況から抜け出すべきだったけど、ほとんど思考停止になっていたので能動的に動くというのが難しかった。

しか仕事仕事しかない。その職場にそこまでしてこだわる理由などないわけで、

プロジェクトのものが終わりを迎えた時、よし辞めるぞと心に決めて「家に帰ります」と宣言した時は開放感がすごかった。

久しぶりに家に帰り、ベッドに倒れ込んでこれも久しぶりの爆睡をして、起きた時に「腹減ってるわ」と気づいた時は「これで助かった」と思った。

そしてスーパーで卵や塩辛を買ってきてご飯を炊き、お味噌汁と一緒に食べた時千と千尋おにぎりほどではないが、涙がじわっと溢れた。

一番キツかったのは30代を目前にしたころの片想いの時だった。

元々友達関係にあった女性をふとしたきっかけで好きなのかもと思い始め、そこから一気に爆発的に好きになってしまった。

寝ても覚めてもその人のことを考えてしまい、なにか食べようとしてもまったく喉を通らない。

その代わりコーヒーを飲む量が異常に増えていく。

ウィダーインゼリーとかでなんとか誤魔化しつつ、会社で同僚達と飯を食う時は残しまくり、1~2ヶ月で10kg以上体重が落ちたと思う。

まあその頃は少し肉がつきはじめてたので、10kg落ちても50kg台だったので病的なほど痩せたわけではないけど。

けっこう怖いのが自分では痩せていってることに気づかず、スーツがなんかぶかぶかしてきたとぼんやり思ってた程度だった。

ある時上司に「なんかめちゃくちゃ痩せたな」と言われてああそうなのかと思った。

とにかくずっと相手女性の事ばかり考えて心ここにあらずだったので、どうやって過ごしてたのかほとんど覚えてない。

ただ2回くらい貧血を起こしてしまい、ああこれは食べてないからかと思ったことは覚えてる。

休みの日はずっとその人に宛てた手紙を書いたりしてた。何度も何度も書き直して結局一度も渡さな手紙

ほとんど徹夜で書いてその間はずっとコーヒーだけ飲んでる。睡眠も取りにくくなっていた。

翌日読み返すと短編小説かくらいの長さで、こんなの渡されたら重みで両手もげるわみたいなクソ重な内容だった。

このままでは死ぬと思ったので告白した。告白した時も思い出したくもないくらいかっこ悪くて恥ずかしいみっともない告白をしてしまったんだけど、

そこは元々友達だったというのもあり、相手大人だったのでうまく対応してもらえた。

相手は俺のことは完全に恋愛対象としては見てなかったけど、年齢的なことや周りの意見などを取り入れ、付き合ってみてもいいという話になった。

ただ結果的にはよくある展開ではあるけど、やはり自分を男として見るのが難しかったんだと思う。こちらはこちらで勝手に想いが強すぎてギクシャクしてしまいうまくいかなかった。

やっぱうちら無理だねとちゃんと話し合って、円満にお別れすることになる。

そうすると不思議もので互いに張り詰めていた緊張が一気にほぐれた空気が生まれた。

最後に二人きりで食べた焼肉屋では、どちらもたくさん食べた。この空気最初から作れていたらと思わずはいられなかったけど、久しぶりに自然に笑う彼女を見た気がして嬉しかった。

彼女彼女で、こちらの想いに応えようとしてくれて無理をしてくれていたのだ。「君があまり食べないから実は私も抑えてたw」といった時の彼女は本当にかわいかった。

それから俺はどんどん体重を戻し、ちょっと戻しすぎて小太りになった。久しぶりに会った時に彼女からは「今のほうが私好きよ」とからかわれたりした。

大変だったなあとは思い出すし、仕事で大変な思いをするのは二度とごめんだなと思う。

でも恋愛に関しては、というか恋愛に限らず人に対してそこまで思ったりするというのはそうそうあることではない、良い経験だったなと思う。

一緒に楽しく気兼ねなくご飯を食べられる関係がいいなと思うようにもなった。

そしてゼリータイプの携行食料を見かけるたびに「ああこれな」と思い出す。

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