KGIを基にKPIに分解して「KPIツリー」をつくり、マーケティング施策の優先順位を検討する。こうしたフレームワークはマーケティング以外の様々な分野に応用可能だ。企業のリソースは無限ではないため、計画なき施策の実施は非効率だ。施策の優先順位の評価に役立つのが、KPIツリーに基づく施策の決定だ。今回は「デザイン」をテーマに、過去の経験から応用方法を解説したい。
KGI(重要目標達成指標)からKPI(重要業績評価指標)に分解して「KPIツリー」をつくり、実施する施策の優先順位を決めるというのは、マーケティングの世界では常識的に行われていることである。
こうした「マーケティングにおける基本的な思考ロジック」が応用可能な分野は人事、採用、広報など多岐にわたる。そしてその一つに、デザインも含まれると考えている。
スマートフォン向けアプリの開発支援を手掛けるヤプリのカスタマーサクセス部 カスタマーサクセス2グループ マネージャー秋窪鉄平氏による次の記事でも、KGIやKPIの考え方を、アプリのUX(ユーザー体験)やUI(ユーザーインターフェース)の改善に応用する方法について言及されている。
▼関連記事 自社アプリ「KPI/KGI設計」どうやる? プロが教える改善ポイント我々は事業としてSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を含めた業務システムのUI改善を手掛けている。その業務を請け負う中で、マーケティング的な観点の不足による問題が顕著になっていると感じることがある。
ある業務システムでは、「UXを改善する」という目的で改善プロジェクトが発足した。そしてUXデザイナーなどが参画し、機能やUIを改善するアイデアを出すワークショップ形式で話し合った。
すべてのUX改善策が並列では非効率
しかし、実際のアクションを取捨選択する段階で、「UXを改善する」が目的であるがゆえに、UXに影響するすべての課題をつぶしていくような計画が立てられた。
その中には、「ボタンの形状を変更する」といった些細(ささい)なものから、仮説検証のためのユーザーテストを実施するものまで様々。それらすべてを実行し終わるのに、半年はかかるような計画であった。
しかし、即効性があり、影響範囲が広く、かつすぐに実行可能な改善施策を、長期的な施策と並列に扱い、導入を半年も先延ばしにしてしまうのは、機会損失につながる。
そこで、LTV(顧客生涯価値)を起点としたKPIツリーをつくり、影響が大きい領域を特定し、アイデアに優先順位をつけることで、実施スケジュールを見直した。
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