援助交際 (英:Enjo kōsai) とは、金品の授受を目的として性行為やデートを行うことを指す語である。現在はパパ活への発展的解消を遂げており、創作作品の中での言及を除くと事実上の死語となっている。
「援助交際」の語は「金銭的援助を目的とした男女交際」という建前のもと産まれた語であり、その実態はいわゆる売買春である。もともとは売買春の隠語として生まれたわけであるが、1996年には流行語大賞で入賞し、世間一般でも使われるようになった (逆説的に、隠語としては機能しなくなった) 。そのため、後述の「パパ活」について、「パパ活といわずにストレートに援助交際と言え」という批判がなされることもある [1] 。
ただし、売買春というものもさまざまな形態がある。一般的なイメージとしては「援助交際」といった場合は男性から女性に金品を渡す事が多い [2] 。また、援助交際を描いた創作作品ではしばしば男性が中高年、女性が女子高校生というように書かれることが多く、一種のステレオタイプとなっている。しかし実態としてはルーツの一つに「愛人バンク (後述)」があるため、成年女性が関与した援助交際を行っているケースもしばしばあった。
本記事では援助交際やその歴史について述べる。売買春におけるリスク (性感染症のリスクや美人局、ヤリ逃げ、収入の申告漏れ) についてはパパ活などで言及しているため本記事では議論しない。
海外でも日本の援助交際は「Enjo kōsai」として知られている。ただしこれは「日本にしか存在しない特異な売買春の形態である」というわけではなく、海外にも「未成年の男女が金品を対価に自らの身体を売る」行為・またはそれをする未成年の男女を「Sugarbaby」と呼称したりする。このSugarbabyは相手となる「Sugar Daddy」「Sugar Mommy」と出会い系サイトで遭うといった点も日本の援助交際と非常に酷似している。
援助交際のルーツとしてしばしば言及されているのが以下のようなものである。
1985年以後のテレフォンクラブ (テレクラ) の急増、バブル崩壊以降の女子高生ブームの性産業への波及の流れで売買春が割と身近になっていき、それと並行してダイヤルQ2、ポケットベル、そして携帯電話と店舗に所属していない女性でも男性と知り合える方法が確立されていった [3] 。とりわけポケットベルや携帯電話は女性が家族に悟られずに外部と連絡を取ることができるようになる。更に核家族化と親子関係の希薄化なども追い風になったと複数の識者からは指摘されている。
1996年になると週刊文春で援助交際をテーマとしたルポルタージュが掲載された。後にこれは『援助交際 - 女子中高生の危険な放課後 (文藝春秋,1996)』として刊行されるが、このルポルタージュによって知られるようになった援助交際は、その後大衆紙や週刊誌によって加熱した報道によって皮肉にも女性たちが「私達もやってみよう」と思い立つようになり、逆に援助交際が盛んになる悪循環を生み出してしまった。
更に1999年にはNTTドコモによってiモードのサービスが開始されると、出会い系サイトが登場してより女性と男性が繋がりやすくなっていった。この頃には援助交際という単語がもはや隠語として機能しないため、さまざまな隠語が生み出されていった。隠語については隠語リストにまとめておく。
しかしこうして社会問題になるにつれ、児童買春・児童ポルノ禁止法 (1999)、出会い系サイト規制法 (2003) の制定がなされるようになる。対抗して店舗型の「出会い喫茶」や、風営法の規制対象外だった18歳未満児童による「JKリフレ」「JK撮影会」「JKお散歩」といった「JKビジネス」が産まれていくようになる。しかしこれらも風営法の改正や各都道府県別の条例施行がなされ、摘発も厳しくなっていく。
こうした中、性行為そのものを打ち出すのではなく、援助交際でもまま見られた「性行為なしの『恋愛関係』」等お付き合いを楽しむ方向を全面に押し出す形のパパ活が取り上げられるようになり、次第に援助交際からパパ活にシフトしていった。あくまでもパパ活はデートであり、そのデートに対して金品を報酬として渡すという建前であることや、援助交際に比べより成人女性が参入していることが特徴――とされているが、援助交際同様未成年も参加しており、実態は援助交際とあまり変わらないという意見も多い。
下記の隠語リストにあげている援助交際の隠語も、パパ活においても利用されているものも多い。Wikipediaでは援助交際の項目の一節として「パパ活」を紹介しており、Wikipediaの編集者はパパ活と援助交際を事実上区別していないと見られる。
そもそも、援助交際の温床になっていたデートクラブが印象を変えるための語として生み出したのが「パパ活」であるため、結果的には「パパ活」という非売春のデート行為も包括できるものに語彙が置換されたというのが正しい。こうしたことから本記事冒頭でも「発展的解消」とは述べたものの、実態としての援助交際がなくなったというわけではない。
全般
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金額
上記の他に、1万円を基準となる「1」として、1万5千円を「1.5」、2万円を「2.0」などと記すケースもある。 |
行為
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その他
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法律名 | 説明 |
---|---|
刑法 |
性行為に及んでいるかどうかに関わらず、食事をともにするだけなどのケースだったとしても、行き過ぎた場合は未成年略取・誘拐罪が適用される。 |
少年法 児童福祉法 |
成人が性的同意年齢 (16歳) に達していない少年と性行為、その他猥褻な行為に及んだ場合は、合意の有無に関係なく不同意性交等罪・不同意わいせつ罪が適用される。 |
児童買春・児童ポルノ禁止法 |
未成年との性行為を行った場合。本百科の読者諸賢にとっては児童ポルノ所持規制のほうが注目されがちな本法だが、成立のきっかけには児童ポルノだけでなく、援助交際の社会問題化も理由にあった。 なお、この観点から本法律の制定事由は「児童を守ること」であるはずだが、現実には児童ポルノの摘発ばかりが改正案のテーマとなりがちであり、児童買春の方については努力義務を盛り込むことくらいしか議論されていない。 |
労働基準法 | |
青少年保護育成条例 |
援助交際は社会問題として話題になったこともあり、『闇金ウシジマくん』や『怨み屋本舗』などの日本の闇社会を描いた作品ではしばしば登場している。
また、テレビドラマ『神様、もう少しだけ (フジテレビ系, 1998)』やマンガ『君に愛されて痛かった (知るかバカうどん, 2017)』のように、援助交際自体がテーマになった作品もある。こうした作品において援助交際が肯定的に描かれることは少なく、男女どちらが主人公であっても過ちを犯したことでその後の人生で受難が待ち受けるという展開が多くなる。
一方でその背徳感をテーマにした作品も主に同人では見られる。とりわけ二次創作界隈では「◯◯は援助交際してそう」といった風評被害を元に創作された作品がままみられる。『艦隊これくしょん -艦これ-』の鈴谷や『アイドルマスターシャイニーカラーズ』の田中摩美々はしばしばこういった二次創作で取り沙汰される。
楽曲としてはKinKi Kidsのデビュー曲である『硝子の少年』が有名であろう。平成の世、ユーロビート全盛期にあって若いアイドルが当時の流行とはかけ離れた昭和のメロディで、しかもデビュー曲でありながら哀しげな歌詞という異質さが、最終的にはミリオンヒットとなった。テーマそのものは援助交際と平成初期の若者らしいものであり、「僕」と別れ誰かと報酬目当てのデートを行う彼女への慕情を歌った名曲である。
アダルトビデオでもしばしば人気となるテーマであり、『ウリを始めた制服少女 (プレステージ)』『首都圏援交 (フルセイル)』『素人援交生中出し (プラム)』『援交 転校生 (アップス)』など長寿シリーズになったものも多数存在する。これらの作品に出演している女性たちはいずれも18歳以上のAV女優であるが、未成年との援助交際の様子を撮影したハメ撮りモノ (いわゆる裏ビデオ) が製作され、流通したケースもある。著名なところでは『関西援交シリーズ [4] 』があり、制作に関与した者は全員逮捕されているが、現在もなお海外の違法アダルトビデオ共有サイトを中心に流通していると見られている。
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最終更新:2025/01/12(日) 16:00
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