テリオスベル 単語

25件

テリオスベル

1.8万文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

4コーナーカーブスタンド前直線コースへ入ってきました、
先手を取った3番エルデュクラージュに、並んでいった! 6番テリオスベル!
江田騎手が押しながら押しながら、前を伺っています!
2頭が並んで、テリオスベルが先頭に立ちました!
今日も行ったテリオスベル! 個性全開の先頭! リードは1身半です!

――2024年ダイオライト記念exit_nicovideo 鈴木アナ

テリオスベルTeleos Bell)とは、2017年生まれの日本競走馬黒鹿毛

男・江田照男とともに、捲り逃げの戦法で交流重賞を引っかき回した個性ダート

な勝ち
2022年: クイーン賞Jpn
2023年: ブリーダーズゴールドカップJpn

概要

キズナアーリースプリング、クロフネという血統。
2013年ダービー種牡馬としてもアカイイトディープボンドソングラインジャスティンミラノなどを輩出してディープインパクトの後継争いをリードする。産駒の活躍は芝が中心だが、バスラットレオンゴドルフィンマイルを勝つなどダートでも一定の結果を出しつつある。テリオスベルは初年度産駒の1頭。
カレンチャンの全で、自身は7戦未勝利。テリオスベルは第4
言わずと知れたダート伝説にして大種牡馬

2017年4月18日新ひだか町の野坂牧場な生産にナムラタイタンなど)で誕生。1歳時のサマープレミアムセールに上場され、600万円(税抜)で日本中央競馬会に落札された。

……ん? JRAを落札? どゆこと? と思った人もいるかもしれない。
JRA競走馬の生産・育成の研究や技術開発のための育成牧場・施設を持っており、毎年1歳を各地のセリで購入、自前の施設で育成したを2歳時に自前のセールに出して売却する、ということをやっている。こうしたは昔は「抽選」、今は「育成」と呼ばれており、近年の活躍では2008年朝日杯セイウンワンダーや、熊本として初めて中央重賞を制したヨカヨカなどがこうした「育成」である。

テリオスベルもJRA宮崎県に置いている宮崎育成牧場で育成され、2歳となった2019年JRAブリーズアップセールにて、950万円(税抜)で現オーナーに落札された。

オーナーは「テリオス冠名を用いる鈴木美江子。ちなみにnetkeibaの鈴木オーナーの所有馬一覧exitを見るとテリオスベルが一番年上だが、実際にはその前に地方移籍で手放したがいるため、テリオスベルが最初の所有馬というわけではない。オーナー名義の所有馬デビュー順では5頭のようだ。

名意味は「願いをえる(古代ギリシャ語)+」。
騎手から「照男スベル」と言われることがあるが、テリオ/スベルではなくテリオス/ベルである。

タフな出走ローテ、尽蔵のスタミナパワー馬場が得意といった特徴からマッシヴなイメージがつきやすいが、実際のテリオスベルは体重450kg台でダートとしてはとしても小柄な部類であり、むしろ華奢2023年12月現在キズナ産駒重賞の中ではマルターズディオサと並んで最も小柄なである。セリで血統のわりにさほど値段がつかなかったのも、この格のなさが理由だろうか。ちなみに顔立ちもかわいらしいタイプ

鈴に願いを、江田と捲りを

2歳~4歳: スタートが遅い逃げ馬はどうすりゃいいですか?

田島俊明厩舎に入厩したテリオスベルだが、5歳のはじめまでの彼女の戦績自体はどこにでもいるな条件そのもの。4歳頭に準OP入りと書けばそれなりに順調に見えるが、実際は見習騎手の減量特典をフルに活かしての勝ち上がりであった。

デビュー2019年7月20日福島の芝1200mの新馬戦。5番人気とそこそこの評価は集めたが10着に沈むと、その後は札幌の芝1200mを2戦、東京1400、1600と距離を伸ばしていくも掲示板にも載れない。明けて3歳初戦は中山の芝2200mに挑んだがブービー15着。

ここで芝を諦め、続く3月中山未勝利戦ダート1200mへ。ここは減量特典のある見習騎手小林騎手が押して2番手先行から直線抜け出して3身差で快勝、以降はダートに専念することになった。

ところが1勝クラスくもにぶつかり、ダート1200か1400の場を3戦走って最下位→13着→11着。先行したいのに騎手が押しても前にすら行けない。スタミナを余している気配もあったので1800に距離を伸ばしたが、前につけることはできたものの途中で沈んで9着。
そんな調子だったので昇級5戦9月中山ダート1800mの1勝クラスでは49kgの軽ハンデにもかかわらず13番人気だったが、小林騎手スタートからラストスパートのごとくビシバシとを振るい、押しに押しに押しまくって強引にハナを切らせて逃げると、そのまま気持ち良く逃げて快勝。
普通なら途中でバテそうなな乗り方である。田島師も「やりすぎだろ」と思ったというが、これで勝ったことがテリオスベルにとって最初の大きな転機となる。

この勝利小林騎手営は「とにかく理矢理にでも逃げさせるべき」悟り、続く同条件の2勝クラス初戦も強引に逃げさせ、後に障害で活躍するゼノヴァースの4着。
明けて4歳初戦も同条件の2勝クラスに挑み、ここはしく好スタートを切って逃げると、後の重賞フルデプスリーダーの追撃を退けて勝利準OPに昇格した。

だが3勝クラスは基本全て特別競走。見習騎手の減量特典が受けられないため、小林騎手はあえなくここで降となった。斤量の優位がなくなったテリオスベルは、昇級初戦はブービー10着に撃沈。

続く2戦の上総ステークス中山ダート1800m)。ここで彼女運命相棒と出会う。忘れた頃の男・江田照男である。小林騎手が見つけた「かなり強引な逃げでもれる」という彼女力を考えたとき、そういう大胆な戦法を託せる騎手か、と田島師とオーナーが話し合った結果、ネコパンチ日経賞など大胆な戦法に定評がある江田騎手にお鉢が回ってきたということだったらしい。
営の期待に応えて江田騎手スタートからビシバを振るって強引に2番手につけ、4コーナーで先頭に立ち、ラストマンにかわされて突き放されたものの2着にり、以降は江田が彼女戦となる。

かしこれで簡単に勝ち上がれるほど甘くもない。続く下総ステークスは前にも行けず14着撃沈。半年休んで10月のトルマリンステークス古川吉洋騎乗)は2番手から直線抜け出したものの力尽きて5着。江田に戻って2100mに距離延長した11月の晩ステークス逃げたもののやはり力尽き6着。

ここまでの内容で、「なるほど、逃げなのに出遅れがあるんだな」と理解した人もいるかもしれない。しかし、彼女レースをよく見るとわかるが、テリオスベルは別にゲートを出ないわけではないゲート普通に出るのに、出脚もなければ二の脚もないのでテンから逃げられないだけなのである。しかもを被ると走る気をくすタイプなので控えるレースは当然不可能だし、もちろん速い上がりを使える発力もない。とにかくスタート直後から理矢理にでもいて押してハナを切らせるしかないのだ。
かしこれではあまりにも競馬の幅が狭すぎる。スタートで押してももはや前に行けそうもないときは、もう諦めて後ろで回ってくるだけで終えるしかないのか?

ここで「そういうだ」と諦めてしまわないのが、男・江田照男本領発揮なのかもしれない。

4歳ラスト北総ステークス。内の34番だったテリオスベルは、いつも通りスタートから江田騎手が押すものの、すぐに前にが固まり、どう足掻いても前には行けそうもない展開となる。だが、江田騎手は諦めていなかった。
2コーナーの終わり、向こう正面に入って隊列が落ち着きペースが緩んだそのとき、後ろから大外を1頭どんどん上がって行くがいる。江田照男とテリオスベル! そのまま一気に先頭に取り付いたテリオスベルだったが、そこから抜け出すまでには至らず6着。

コーナー通過順は[9-9-2-2]スタート逃げられないなら、中で捲って途中から逃げる」――そう、これがテリオスベルと江田照男の、レースを引っかき回す捲り逃げ戦法の始まりであった。

5歳: 足りないダッシュは捲りとスタミナで補えばいい!

明けて5歳初戦、3月の上総ステークス久々小林騎手が騎乗。小林騎手も5番手から向こう正面で捲るように先頭に取り付いたが沈んで9着。

江田照男に戻った下総ステークス。ここは久しぶりにスタートが決まり、捲るまでもなく多少の出ハナを切れてそのまま逃げ、直線でも後続を突き放して3身半差で快勝。ついにオープンに昇格する。

続いて6月東京ダート2100mのスレイプニルステークス(OP)紅一点ということもあり、54.4倍、12頭中10番人気という低評価だったが、ここも大外を活かして押して押してハナを切り、そのまま後続を突き放して逃げると、騸馬たちの追撃を振り切って逃げ切り連勝。3連単126万5930円の波乱決着となり、男・江田照男の面躍如と言うべきか。名の条件だった彼女も、この連勝でようやく競馬ファンから認知されるようになる。

さて、を蹴散らしオープン特別を勝ったということで、満を持してダート交流重賞戦線に参戦することになったテリオスベル。重賞初挑戦は、実は前走を勝つ前になんと帝王賞にも登録していたexitのだが当然賞金が足りなかったので限定ではなく混合戦の盛岡マーキュリーカップJpnとなった。52kgの軽ハンデながら、JRA勢5頭のうち最下位の7番人気である。
の22番となったテリオスベルは、スタートから江田騎手が押すもののハナには行けず、前が塞がると見るや江田騎手は押すのを止めて後ろに控える。そして2コーナー、外から上がって行くテリオスベル。向こう正面で実況が前から順に隊列を紹介しているうちにどんどん上がって行き、3コーナー前で先頭に立つ。そのまま4コーナーで後続を突き放して直線に入り、押し切ろうとしたものの、バーデンヴァイラーの末脚に最後クビ差屈して惜しくも2着コーナー通過順は[10-7-1-1]であった。いやいや、なんでそれで2着にれるんだ……。

続いて向かったのは門別のブリーダーズゴールドカップJpn。前走で相手に僅差の2着ということで、限定戦となったこのレース彼女初めての1番人気(2.4倍)に支持された。
しかし今回も2枠2番からハナを切れなかったテリオスベルは、降り続くたまりの浮く不良馬場のためか向こう正面で捲っていく展開にも持ち込めず(あるいはを被らなかったので控えたか)、中団から3コーナー前でめに押し上げていく策に出る。しかし直線では先に抜け出したグランブリッジと、追い込んできたプリティチャンスに突き放されての3着

初戦は大井レディスプレリュードJpnへ。かしわ記念を勝った4連勝中の女王ショウナンナデシコが圧倒的1番人気(1.4倍)で、テリオスベルは評価を落として4番人気(9.1倍)。
そしてテリオスベルはスタート直後、隣のと接触して後退、最後方からレースとなってしまう。1コーナーでは12頭立てのドンケツ。どうする? そんなの一択捲るしかねえ! 2コーナーからグイグイ押し上げていき、向こう正面で外からどんどん上がって行くテリオスベル。ハナを切って逃げショウナンナデシコをあっという間に追い越して先頭へ。3コーナーから後続を引き連れて直線へ向かう。
直線で一度は内からショウナンナデシコにかわされ、さらに外からプリティチャンスに差し切られたが、最後は乱ペースで力尽きたショウナンナデシコを差し返して2着
今回もコーナー通過順は[12-10-1-1]ショウナンナデシコ銀行の破綻で「レースを壊しやがって」と怒る馬券師もいたが、いやいや、これが彼女レーススタイルなのである。沈んだならともかく、ナデシコに先着して2着に残して何の文句を言われる筋合いがあろうか。

というわけで迎えた大一番・盛岡JBCレディスクラシックJpnⅠ)。相変わらずショウナンナデシコが断然の1番人気(1.7倍)で、テリオスベルは13.7倍の5番人気。隣にロケットスタート逃げサルサディオーネがいることもあり、「テリオスベルがどこで捲ってくるか」が展開予想のひとつのポイントとなった。
レースが始まり、隣のサルサディオーネロケットスタートにあっという間に置いて行かれてやっぱり後方からとなったテリオスベル。同じ逃げ同士なのに笑えるほどのダッシュ力の差である。
そのままサルサディオーネがいつもより緩いペース逃げショウナンナデシコはその後ろ、横でヴァレーデラルナががっちりとマークする形。向こう正面に入ってテリオスベルはもちろん捲って上がって行く。3コーナー前で先頭に取り付き、4コーナーサルサディオーネが沈んで、ヴァレーデラルナと並んで直線へ。結局そこからヴァレーデラルナに振り切られ、さらに外から後続勢にもまれて6着。コーナー通過順は[9-7-2-1]
ちなみに結果として直線ではショウナンナデシコの進路をブロックする位置となって、ナデシコは内に突っ込まざるを得ず伸びあぐねて3着に敗れた。

年内ラスト船橋クイーン賞Jpnへ。3戦連続でショウナンナデシコグランブリッジと一緒のレースとなった。その2頭が人気を分け合う中、テリオスベルは5.1倍の3番人気
さて今回のテリオスベルは大外8枠14番。これなら前に邪魔はなし、控えて向こう正面で捲る必要はい。出に押して押して前へ向かい、2コーナー入口でショウナンナデシコをかわすと、向こう正面で先頭に立つ。これでまたしてもペースを乱されたのがショウナンナデシコ。テリオスベルの乱ペースに3コーナー前でもうついていけなくなり後退していく。それをかわしてグランブリッジが追いかけてきたが、気分良く逃げたテリオスベルは直線も々と押し切り、2身差で逃げ切り勝ち。待望の重賞初制覇を飾った。
なお、このレースコーナー通過順は[1-1-1-1]。わあ、普通逃げみたいだあ。

かくして3戦続けてテリオスベルが捲りナデシコ銀行を破綻させ、ショウナンナデシコファンからは「天敵」と怖れられることになった。
デビュー33年、50歳の江田照男2019年函館スプリントステークスカイザーメランジェ)以来3年ぶりの重賞制覇。交流重賞シャドウスケイプの2004年クラスターカップ以来、実に18年ぶりの勝利となった。

6歳: 連闘だってJpnⅠだってみんなみんな捲っていくんだ

明けて6歳も現役続行し、大井ではラスト開催となるTCK女王盃Jpnから始動。今回はナデシコはいないがグランブリッジはまた一緒。ヴァレーデラルナとプリティチャンスも出てきたため、7頭立ての4番人気
今回もスタートから江田照男がビシバを振るうにもかかわらず、を被ったためか結局スタートは最後方。そこで外に出してを入れ、1コーナー一気に前をかわして先頭へ。そのまま後続を引き連れて逃げたが、直線では人気3頭にかわされてグランブリッジ川田将雅)の4着。7頭全て人気順通りという決着となった。
ちなみに今回も記録上のコーナー通過順は[1-1-1-1]データを見るだけでなく、ちゃんと映像を見ないとレースぶりはわからないということを教えてくれるテリオスベルである。

続いては、なんと連闘川崎記念JpnⅠ)に参戦。レースぶりが破天荒ならローテも破天荒である。テーオーケインズウシュバテソーロの2強対決ムードの中、紅一点のテリオスベルは10頭立てのうち50.2倍の7番人気。しかし連闘だろうが相手のGⅠ級だろうがテリオスベルと江田照男のやることは変わらない。その捲り戦法を経験していない一線級の相手に、またしても彼女レースを引っかき回す。
スタートダッシュではもちろんの先行とは勝負になるはずもなく、差しウシュバテソーロと同じような位置からスタートしたテリオスベル。いつも通り最初のコーナーから捲りにかかり、ホームストレッチ逃げライトウォーリアら先行集団を捕らえる。これに釣られて見事に掛かってしまったのが4番人気ノットゥルノ。固まった先行集団の隊列が崩れ、さらに3番人気ペイシャエス込みに後退していき、この2頭のレースはここで終了してしまう。
隊列をかき乱して先頭に立ったテリオスベルはそのままライトウォーリアを引き連れて4コーナーへ。後ろにつけていたテーオーケインズ松山弘平は、こんな捲りをしたテリオスベルは垂れて内は前が塞がると見て、ライトウォーリアの外に出していく。ところがテリオスベルは垂れず、むしろライトウォーリアが膨らんで、そのいたスペースに突っ込んで来たのがウシュバテソーロ! 勝負を分ける松山騎手の判断ミスを誘ったテリオスベルは、直線で2強に置いて行かれ、追い込んできたニューモニュメントにもかわされたものの、あわや馬券圏内の4着にり込んでみせた。
ちなみに川崎記念掲示板に載ったのは2016年アムールブリエ(4着)以来。1998年に統一GⅠ格付けされて以降では5頭(6回)である。
なお、今回も記録上のコーナー通過順は[1-1-1-1]。ちゃんと映像を見ないと(以下略)。

続いては中3週で3月エンプレス杯Jpn。9歳の女傑サルサディオーネ引退レースだが、人気はやはり4歳2強のグランブリッジヴァレーデラルナに集まり、テリオスベルはその2頭に次ぐ3番人気
今回も隣のからサルサディオーネロケットスタートハナを切り、当然逃げるどころかスタートで前につけることもままならないテリオスベルは、もちろん外に出して最初のコーナーで捲っていく。ホームストレッチサルサディオーネに迫るも、これが最後のサルサディオーネは意地でもハナを譲らず、テリオスベルは少し離れた2番手での追走となった。直線でサルサディオーネを捕まえるが、外からグランブリッジ川田将雅)にかわされ、あとは突き放される一方。それでもり込んで、最後はヴァレーデラルナにもクビ差かわされたものの3着ハナを取りきれなかったことでペースを緩められず、江田騎手2100mずっと追い通しになってしまったが(注:江田騎手は51歳です)、人ともにタフりを見せ付けた。引退後のインタビューでは、江田騎手はこれを「一番疲れたレースとして一番の思い出レースに挙げている。なおコーナー通過順は[2-2-2-2]であった。

さらに中1週でダイオライト記念Jpnへ。ローテまでスタミナゴリ押しなのか……。グロリアムンディ、ペイシャエスメイショウフンジン人気を集め、テリオスベルは10.8倍の4番人気
今回も内の2枠2番なので当然のようにスタートでは押しても前に行けず。しかし先行勢がの深い内を避けたため、テリオスベルと江田照男は外に出さずそのまま内で捲りをかけ、ホームストレッチメイショウフンジンをかわして先頭へ。そのままついてきたメイショウフンジンアナザートゥルースを引き連れて逃げるが、3コーナー前から抜群の手応えで進出してきたグロリアムンディ(川田将雅)には4コーナーであっさりかわされ、あとは突き放される一方。それでもメイショウフンジンエルデュクラージュは振り切って、9身差もつけられたもののそのまま2着り込んだ。コーナー通過順は[1-1-1-1]
ちなみにダイオライト記念連対は交流初年度の1996年に勝ったホクトベガ以来27年ぶり馬券圏内も19年ぶりである。

続いては新装京都競馬場で初めて行われるダート重賞平安ステークスGⅢへ。1年ぶりの中央、帝王賞出走には勝利が必須なのだが、相棒江田照男が落負傷からの復帰が間に合わず、上は捲り逃げを編み出す前の3勝クラス時代に一度だけ騎乗経験がある古川吉洋となり、62.2倍の11番人気
6枠12番と久々に外を引けたが、出数発を入れてもやっぱりスタートでは前に行けず。外に持ち出して古川騎手がひたすらを入れて追い続けるも、いつものように捲っていくこともできず4コーナーで失速、あえなく最下位16着に撃沈。ちなみに1着はグロリアムンディ(川田将雅)。
中盤が全く緩まず最後の2Fが13秒台という特殊な消耗戦ラップになったので江田騎手であっても捲れたかどうかは疑問だが、スタート直後に外に持ち出すときに明らかに変なブレーキがかかってしまったことといい、ひたすらを入れまくる古川騎手とも手が合っていたとは言い難く、いずれにしても残念な結果に終わった。この惨敗が変に後を引かないといいのだが……。

というわけで帝王賞には出られず、昨年に続きマーキュリーカップJpnへ。事に上も江田照男に戻り、前走の悪を懸念した営は4週続けて調教で江田騎手に乗ってもらうなど、万全の立て直しをして臨んだ。4歳ウィルソンテソーロと前年覇者バーデンヴァイラーに次ぐ5.9倍の3番人気(4番人気メイショウフンジンと同オッズ)に支持される。
の44番から頑ってハナを取りに行こうとするが、ダッシュをつけてハナを奪うメイショウフンジンとは対照的に、やっぱりすぐに前が塞がりスタートでは中団の位置取りに。外がいていると見るや江田騎手はすっと外に出して行き、1コーナー前からビシビシを振るって外を捲っていくと、2コーナーハナを奪って逃げる体勢へ。
前走の悪は全くないと言わんばかりのいつも通りの捲り逃げレースを引っぱると、直線では残り200m前で勝ったウィルソンテソーロ川田将雅)にかわされたものの、その後は追いすがるメイショウフンジンを寄せ付けず、4着バーデンヴァイラーを突き放して2着コーナー通過順は[6-1-1-1]
ちなみに3着メイショウフンジン酒井騎手レースコメントで、勝ったウィルソンテソーロを差し置いてテリオスベルの話しかしていなかったexit。いかにテリオスベルの捲りによる乱ペースが他の逃げ先行営から警されているかというであろう。

続いても昨年同様、門別へ転戦してブリーダーズゴールドカップJpnへ。斤量が重くなるグランブリッジが回避したため、相手どころは関東オークスを勝ってきた3歳パライバトルマリンと、過去5回対戦して実は一度も先着できていない同期のプリティチャンス重賞初挑戦の4歳カラフルキューブといった面々。実績ではこの中で頭ひとつ抜けているが、結局1番人気はパライバトルマリンに譲り、2.6倍の2番人気となった。
さて、今回は8頭立ての6枠6番という待望の外である。ゲートが開いてスタートした直後から全力でを入れる江田照男に応え、すんなりハナを取りに行くテリオスベル。内ではパライバトルマリンハナを伺うが、それを制してあっさりホームストレッチハナを確定して逃げる態勢に突入する。そう、誤解なきよう今一度言っておくが、捲り逃げはあくまで二の脚がさすぎてハナを取れないがゆえの次善の策。すんなり逃げられるなら逃げ彼女にとってそれ以上のことはないのだ。
そのまま後ろを離してマイペース逃げたテリオスベルは、3コーナーからどんどん後続を突き放し、直線でも全く後ろを寄せ付けず、4身差で勝。コーナー通過順もちゃんと詐欺ではない[1-1-1-1]。3歳4歳のお嬢ちゃんたちに貫を見せ付けて重賞2勝を挙げた。江田照男騎手は34年にしてホッカイドウ競馬交流重賞勝利である。

JBCレディスクラシックの前戦となる10月レディスプレリュードJpnでは、グランブリッジヴァレーデラルナの4歳2強に、これが初対戦となる4歳の地方女王スピーディキック、さらにレパードSを蹴散らした3歳ライオットガールも参戦。そのままJBCレディスクラシックメンバーと言われても違和感のない好メンバーった。天敵川田将雅の騎乗するグランブリッジが1番人気、以下スピーディキックヴァレーデラルナと続き、ん中55番のテリオスベルは8.1倍の4番人気
前日に続き不良馬場となったレースは、今回も江田騎手はビシバシ出を入れるも行き脚がつかず後ろの方から。いつも通り外に出して2コーナーで捲っていくが、不良馬場でハイペースの展開になったことで向こう正面で逃げノーブルシルエットに並んだもののハナを確保しきれない。3コーナーでかわして先頭に立ち4コーナーで突き放しにかかるが、ハイペース前潰れの展開を後方から強襲してきたライオットガールグランブリッジ、そしてさらにその2頭を一気に差し切ったアーテルアストレアにあっという間にかわされて4着。馬場が締まってハイペースの流れになると捲るのが大変というのは解っていることなので、展開が向かない中でよくったというべきか。コーナー通過順は[5-2-1-1]

本番のJBCレディスクラシックJpnⅠ)では前走レディスプレリュードの17着が全員そのまま出走に加え、サマーチャンピオン南部杯を3着好走したレディバグ、前走シリウスS2着のアイコンテーラーらが参戦し、現役ダート女王決定戦に相応しいメンバーとなった。710番という外を引き、大井船橋・門別と同じに変わってパワー馬場になったこと、天敵川田将雅も不在と好条件も多いテリオスベルは1800は短いという懸念もあったものの、アイコンテーラーグランブリッジアーテルアストレアに次ぐ7.8倍の4番人気に支持される。
例によって江田騎手スタートから出を入れていくが、スタートダッシュ力の差はどうにもならず中団後方に。2コーナーから向こう正面にかけてもなかなか上がっていけず、3コーナーでようやく前のアイコンテーラーに追いついたが、かわしきれないまま直線であっさりと突き放され5着。しかも3コーナーの入口で斜行してノーブルシルエット(最下位12着)の笹川翼が立ち上がるほどの不利を与えてしまっており、降着や審議にはならなかったが江田騎手告と、ちょっと後味の悪いレースになってしまった。コーナー通過順は[8-8-2-2]

気を取り直して連覇をし、来年から2月開催になるクイーン賞Jpnへ。アイコンテーラーチャンピオンズカップへ向かい、グランブリッジも出てこなかったため、相手関係は3歳ライオットガールとパライバトルマリンとなり、この3頭で人気を分け合うことになった。他が54kg以下の中、トップハンデ56.5kgを背負うことになったが、大外811番を引いたこともあり、最終的に2.5倍の1番人気(前年のBGC以来、生涯2度)に支持された。
しかしレース斤量いたのもあったかもしれないが、テンが昨年よりもハイペースになり、テリオスベルのダッシュ力では出をビシバシしてもなかなか厳しい流れ。船橋の長い1コーナーまでの直線の間でもハナ争いには加われず、2コーナーを越えて向こう正面でようやくパライバトルマリンを捕まえ、2頭でレースを引っぱる形になった。それでも直線に入ってパライバトルマリン叩き合いの末振り落としたが、好位から追走してきたライオットガールにあっさりかわされて2着レース史上初の連覇はならなかった。コーナー通過順は[4-2-2-2]
レース後江田騎手「追い通しで疲れた。スタートしての行き足もないし、中で楽に行く足があればいいけど…」とかなり疲労困憊を感じさせるコメントを残した。惨敗したようなコメントだけど2着です。

これで年内は終了……かと思いきや、年内11戦として12月21日名古屋グランプリJpnに参戦。このところ勝ちきれないレースが続くグランブリッジ、前走浦和記念を勝ったディクテオン人気を分け合い、次いでミトノオーまでが抜けた三強というオッズの中、最内の11番を引いてしまったテリオスベルはメイショウフンジンに次いで13.7倍の5番人気
レースミトノオー浦和の3歳マテリアルガール、そしてメイショウフンジンが3頭で競り合ってテンからどう見てもハイペースの流れ。毎度の出とともにスタートしたテリオスベルは、他の深い内を避けたことで進路を塞がれることなく、押して押してグランブリッジの後ろの5番手でスタートする。前のペースが緩まず2コーナーでもまだ5番手だったが、前が離れてを被らない位置だったことや外への進路をグランブリッジブロックされていたもあってか、江田照男も強引にめに捲ることはせず、マテリアルガールくも向こう正面で力尽きるとともに、そのままの深いインを通って進出開始。ミトノオーメイショウフンジンをまとめて3コーナーでかわして先頭に立ったが、追いかけてきたグランブリッジと、後方から捲ってきたディクテオン人気2頭が4コーナーで迫る。そのままあっさりディクテオンにかわされ、直線でグランブリッジにも振り落とされたが、それ以上後続は寄せ付けず3着
なお、記録上のコーナー通過順は[4-3-2]これはもう捲り逃げというより普通捲りでは? そして地方競馬ファン「なんで名古屋で内を回して3着に残るんだコイツ…」と改めてテリオスベルの常識外れの走りにおののいていた。

12月29日東京大賞典にも登録しており、TCK女王盃川崎記念に続いて連闘で出走するのかと注されていたが、さすがにこちらは名古屋グランプリ当日に回避が決定。というわけで年内はこれで終了。重賞を11戦して[1-3-2-5]、掲示板を外したのは江田照男が乗れなかった平安Sのみという結果だけ見れば極めて堅実タフな走りぶりと、その捲り逃げ戦法のインパクトで、稀代のおもしれー女個性として競馬ファンに強な印を残した1年であった。

7歳: 捲って逃げるよ最後まで

田島厩舎のブログexitによると、2024年引退・繁殖入りの予定とのことで、繁殖シーズンに間に合わせることを考えると、2月クイーン賞か、引き延ばしても3月上旬のダイオライト記念のどちらかがラストランとなることが見込まれた。

そんなわけで7歳を迎えたテリオスベルは、2月開催になったクイーン賞Jpnへ。10頭立ての78番という外を引けたが、2ヶ前と同じくトップハンデタイの56.5kgを背負うことになり、ライオットガールアーテルアストレア、そして神奈川記念2着のキャリックアリードに次いで5.8倍の4番人気
レースは例によってスタートから江田照男がグイグイ押すも後方から。もちろんビシバシと出を入れ、ホームストレッチなりに外からぐいぐい押し上げていくと、2コーナーであっさり先頭を確保。テリオスベルとしてはスムーズに、息を入れつつマイペース逃げる展開に持ち込んだ。3コーナーから同斤量アーテルアストレアが迫ってくるのに対し、直線でも残り100mまで内でりにりにり倒したが、最後は体を離したアーテルアストレアに差し切られ、1身半差の2着。しかし54kgの3着キャリックアリードは5身突き放し、スムーズ逃げられればまだまだ重賞勝ち負けの実力を見せた。コーナー通過順はギリギリ詐欺じゃない[1-1-1-1]

厩舎ブログexitによると当初はこのクイーン賞引退予定だったのだそうだが、惜しくも有終の美を飾れなかったので、協議中の結果ダイオライト記念Jpnへ向かうことに。新鋭セラフィックコール重賞連勝中のディクテオン、堅実な遅咲きハギノアレグリアスとの好メンバー人気を分け合う中、逃げの強がいないこともあって、ん中の66番テリオスベルはこの三強に次ぐ7.2倍の4番人気に支持された。
レースは普段にべたらかなりの好スタートでわりとすんなり5番手につける。外のアナザートゥルースが内に寄せていくのに合わせて外に出し、グイグイ押していつも通り最初のコーナーから進出開始。ホームストレッチで後ろを離して逃げエルデュクラージュを捕まえると、今日も行ったテリオスベル!個性全開の先頭!」実況とともに1コーナー前で先頭へ。そのままエルデュクラージュを引き連れて逃げる。少し離れた3番手のハギノアレグリアスまでが大きく後ろを離して進む展開となり、3コーナー前でくもエルデュクラージュが脱落するとともに4番手にいたセラフィックコールと後ろにいたディクテオンが進出してくるが、テリオスベルはそのまま単騎で逃げ込みを図る。残り200mでセラフィックコールに捕まり4身ちぎられたが、ハギノアレグリアスはそのまま振り切り、ディクテオンは全く寄せ付けず2着り込んだ。
ダイオライト記念2年連続連対は交流重賞になってから史上初。これで船橋では5戦して[1-4-0-0]の全連対。そしてコーナー通過順は誇り高き[1-1-1-1]詐欺。これこそがテリオスベルである。

そしてレース翌日、これをラストランとしての現役引退を発表。3月14日に登録抹消され、故郷の野坂牧場で繁殖入りとなった。田島師は「本当は昨年いっぱいで引退する予定でしたが、オーナーと話し合って今年はクイーン賞ダイオライト記念の2戦を使うことになりました。最近ではしいぐらいの個性で、本当にタフで頑ってくれたと思います」と語った。

通算41戦7勝[7-8-3-23]。うち、重賞戦績18戦2勝[2-7-3-6]。惨敗はほぼ条件時代のみで、オープン入りしてからの19戦で掲示板を外したのは2回だけ。大きな怪もなくタフに現役生活を走り抜いた。生涯獲得賞金2億5193万円は、引退時点でアカイイトファインルージュを上回り、キズナ産駒の中ではソングラインディープボンドバスラットレオンに次ぐ4位。田島厩舎の管理では堂々のトップであった。

現役時代の総評: 机上の空論を実現した"ステージギミック" 

逃げを見て馬券を買い、そのが出遅れて逃げられず、見せ場なく撃沈したとき、「なんで強引にでも逃げないんだよ!」と思ったことはないだろうか?
逃げ逃げなければ持ち味を出せないのに、なぜ騎手はそうしないのか。答えは単純、そんなことをしたら序盤でスタミナを使い果たしてしまい、ほぼ確実に沈むからである。
故に、「スタート逃げられない逃げ」というのは競馬常識からはほぼ成立しない。前からめ先頭で押し切りを得意としたタップダンスシチーのような例はあるが、それもあくまで先行できるからこそ。後方でのスタートから捲って先頭に立つというのは、2018年大阪杯スワーヴリチャードのようなペース読み切った奇襲か、2021年ジャパンカップキセキのような強引な暴走のどちらかだし、重賞レベル普通はそんな戦法は通用しない。だからこそ2018年大阪杯ミルコ・デムーロは「神騎乗」と讃えられるのだし、「強引にでも逃げればいいのに」というのは、本来机上の空論なのだ。

そんな競馬常識を一蹴し、机上の空論現実の戦法にしたのが、テリオスベルと江田照男だった。

スタートダッシュ力が絶望的にさすぎて逃げたいのに逃げられないという、逃げとしては致命的すぎて「それはもう逃げとは言わないのでは?」という弱点を、条件時代の模索を経て、尽蔵のスタミナゴリ押す「捲り逃げ」という戦法に変えてレースを引っかき回し続けたテリオスベル。
その捲り逃げ戦法がおなじみのものとなると、彼女が捲ってハナを取りに行くタイミングで観客からも大きな歓が上がるようになり、稀代の個性として人気を博すことになった。
もっとも営としては2022年クイーン賞2023年ブリーダーズゴールドカップのように、外から普通に(?)逃げたいというのが本音だったようだが……。なんで内ばっかり引いたんだろう?

展開的には隊列が固まりペースが緩むタイミングで捲ってくるため、この捲りで自分のリズムを崩してしまうは多い。テリオスベル自身も途中で息は入れるが後続に脚を使わせる消耗戦の方が本領であるため、結果としてテリオスベルの出るレースは大きな着差がつきやすい。特に逃げ・先行にとっては天敵と言ってもいい存在で、何度も戦って悉く勝ちパターンを潰されたショウナンナデシコメイショウフンジンは「テリオスベル被害者の会」として語られた。中団後方待機のであっても、テリオスベルがもっと後ろからのスタートになることがあるので油断はできない。
なのでテリオスベルの出るレースでは、他の「いかにテリオスベルの捲りを気にせず自分のレースすることができるか」が重要になる。その上でテリオスベル自身は放っておいたら残るので、彼女を捕まえにいくタイミングを見誤るとそのまま振り切られることになってしまう。

馬券師にとっては、どのレースでもテリオスベルが出走するというだけで買いが「テリオスベルに対応できるのか」が重大な焦点となり、ついた渾名が「ステージギミック」、またの名を「テリオスベル検定」。
その上で終わってみれば(固い決着が多い交流重賞ということを差し引いても)ガチガチに実力通りの結果になるレースが多く、「テリオスベルに勝てるのは本当に強い」とも言われた。

実際、テリオスベルの引退々、2024年川崎記念は前年テリオスベルに捲られて5着だった逃げライトウォーリアグランブリッジアイコンテーラーを振り切ってド根性で逃げ切り勝ち。
さらに翌日の兵庫女王盃では、それまで4戦続けてテリオスベルと同じレースを走っていたライオットガールがこれまた逃げ切り勝ち。上の岩田望来勝利騎手インタビューで初めての逃げを打ったことについてかれて「いつも、行けるんですけど、テリオスベルという強いがいるので、いつも番手からになって……」と発言、周囲からは笑いが上がった。
テリオスベルの存在が他の逃げ・先行にとっていかに厄介だったのかが改めて浮き彫りになり、テリオスベルのファンのみならず馬券師の間でも「テリオスベルロス」が話題になった。

競馬常識を蹴っ飛ばすトンデモ戦法でダート戦線を沸かせ続け、江田照男をして「たくさんの馬に騎乗してきたけど、その中でも1番の個性派ですexit」と言わせしめたテリオスベル。レースを引っかき回すだけ引っかき回して自分はしっかり馬券圏内に残るので、最初の頃こそ怒る馬券師もいたが、これが彼女勝利のためのスタイルだということが広まるとそんなもなくなった。
これだけ個性的なレースぶりでありながら、ピンかパーの成績ではなく、ほぼ毎のようなタフな出走ローテをこなして、安定して馬券内、掲示板内に残り続けるその姿は、トンチキレーススタイルとは裏の「一生懸命な頑り屋さん」という印ファンに与えた。実際、田島く普段から「非常にで、走ることが好き」なだったという。
上が男・江田照男というのも元より彼女の魅力のひとつではあったが、平安Sで「江田照男でないとテコでも動かない」ことが明確になると、もはや唯二のコンビであることを疑う者はなかった。レース後は常に荒れていることで有名なnetkeiba.com掲示板ですら、レースのたびに彼女上をねぎらうあたたかいコメントで溢れていたことが、テリオスベルと江田照男コンビされぶりを物語っている。

江田騎手く、「この『走る!』って思ったこと一度もないんだよなぁ……」調教で動くわけでもないし、逃げなのに二の脚がなさすぎて逃げられない。捲るにしてもどこでハナに立てるかもスタートしてみないとわからない。ハナに立てなければレース中ずっと追い通し。強引に逃げれる尽蔵のスタミナの持ちということに気付かなければ、田島師も「1勝クラスで終わっていたかもしれない」と語る。
そんな彼女を、競馬常識に囚われないスタイル重賞2勝、馬券圏内の常連に導いた江田照男とのコンビは、まさしく競馬史に残る名コンビだったと言えるのではないだろうか。

柱だけでは決してその魅力は伝わらない、他に例えるのないような稀代の個性レースを見なければわからないその魅力を、ファンはこれからも語り継いでいくだろう。

引退後

事に野坂牧場で繁殖入りしたテリオスベル、初年度のお相手はなんと新種牡馬タイトルホルダー逃げ同士のロマン配合として、繁殖入り時点から(半ば冗談交じりで)期待していたファンが多かったため、11月22日に配合が判明するとSNSのテリオスベルファンお祭り騒ぎになった。どちらもスタミナお化けで知られた逃げの2頭でありながら、芝でのテンの速さで知られたタイトルホルダーダートでのテンの遅さで知られたテリオスベルという対極のタイプでもあり、果たしてどんなが産まれるのか、楽しみにしたいところである。

余談

血統表

キズナ
2010 青鹿毛
ディープインパクト
2002 鹿毛
*サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
*ウインドインハーヘア Alzao
Burghclere
*キャットイル
1990 鹿毛
Storm Cat Storm Bird
Terlingua
Pacific Princess Damascus
Fiji
アーリースプリン
2006 黒鹿毛
FNo.13-c
*クロフネ
1998 芦毛
*フレンチデピュティ Deputy Minister
Mitterand
*ブルーアヴェニュー Classic Go Go
Eliza Blue
スプリングチケット
1997 黒鹿毛
*トニービン *カンパラ
Severn Bridge
カズミハルコマ マルゼンスキー
センシユータカラ

クロス: 5代内アウトブリード

関連動画

出走した全重賞18戦。引退後にこの記事でテリオスベルを知った人は是非レース映像をご覧ください。
また、引退に際してYouTube東スポ競馬チャンネル関係者ロングインタビューexit(48分!)が開されているので、そちらも必見。

関連リンク

関連項目

この記事を編集する
関連記事

親記事

子記事

  • なし

兄弟記事

掲示板

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

急上昇ワード改

最終更新:2025/01/02(木) 07:00

ほめられた記事

最終更新:2025/01/02(木) 07:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP