THE KING OF FIGHTERS '94とは、SNKより発売された対戦型格闘ゲームである。
概要
後に長く続くこととなる、KOFシリーズの記念すべき第一作目。
1994年8月にアーケード版がMVS(ネオジオ/NEOGEO)にて稼動開始。
家庭用ネオジオ版は同年の10月に発売。ネオジオCD版は11月に発売。
本作品のために用意されたキャラクターに加え、当時SNKの人気格闘ゲームだった、餓狼伝説シリーズや龍虎の拳シリーズの人気キャラクター、サイコソルジャーや怒といった旧作からも主人公達が参戦するという、多くのSNKファンが待ち望んでいた作品であり、リリース前から話題沸騰していた作品である。
ただし企画当初はドリームマッチ構想ではなく、完全新規キャラクターのみによる世界格闘大会というものだった。本作にのみ各代表国の枠組みがあることや、アメリカンスポーツチームはその名残りである。
ドリームマッチ構想の前身的なものとして、過去のSNKの作品では餓狼伝説スペシャルにて「一本も取られずに全員倒すと、龍虎の拳の主人公、リョウ・サカザキが出てくる」という演出があり、龍虎の拳2では「一本も取られずに全員倒すと、餓狼伝説シリーズのボス、ギース・ハワードが出てくる」という演出があった。
移植作
本作は稼働した1994年の9月にネオジオCDが発売されており、本作の家庭用移植は同機種のキラータイトルとしての側面も強かった。この頃のSNKは他機種への移植の参入に消極的で、自社作品を自社ハードで販売しイニシアチブを取ろうとしていた。
しかし、ネオジオCDの仕様をめぐり相次いだ販売不振により、その構想は頓挫し、次第にネオジオの作品は他機種に移植されることとなった。しかし、本作はネオジオCDの発売に合わせたタイトルだったという時期的な都合や、当時のKOFシリーズが毎年発売され新作が常に優先される状況だった事もあって、結局旧SNK時代には他機種への移植はされておらず、長らく家庭用移植は家庭用ネオジオ版とネオジオCD版のみとなっていた。
発売から10年が経過し、旧SNKが倒産した後の2004年に、KOF10周年として本作をリメイクしたPS2用ソフト「KOF'94 RE-BOUT」が発売されている。この作品では旧作の94もベタ移植されており、久々の移植となった。その後は2007年にWiiのバーチャルコンソールで配信。前述の理由もあり、単体での他社ハードへの移植としては実はこれが初めてである。
2009年には、PSPで発売された「SNK ARCADE CLASSICS Vol.1」の中に収録される形で登場し、2010年に発売された「THE KING OF FIGHTERS PORTABLE'94〜'98」にも収録されている。2011年には、PC向けゲームソフト配信サービスのProjectEGGにて配信されている。
近年ではハムスター販売のアケアカNEOGEOでも配信されている。またNEOGEO miniの収録タイトルにもなっている。
ストーリー
1994年、謎の差出人「R」からキング・オブ・ファイターズの招待状を受け取った世界中の格闘家達。一体「R」とは何者なのだろうか? 疑惑と期待の中、新たな対戦方式のもと、強力なチームを結成し始めた歴戦のスーパースター達。歴史に残る顔ぶれによる夢の祭典が始まろうとしていた。
ゲームシステム
勝ち抜き式3on3のチーム戦で対戦が行われる。「チーム戦」を初めて採用した格闘ゲームとされる。
チームエディットは出来ず、完全固定となっていた。またチーム名は前述の通り本作のみ「どこかの国の代表チーム」という位置付けになっており「日本チーム」「アメリカチーム」等といった呼び方をされていた。(続編「KOF95」以降はこの設定はなくなった。)
共通行動の「攻撃避け」「避け攻撃」「ふっとばし攻撃」は餓狼伝説のラインシステム、「ゲージ溜め」「挑発」は龍虎の拳の気力ゲージを元にしている。「体力一定以下」or「ゲージがMAX」という超必殺技の使用条件は両シリーズから採用している。
ゲームバランスは非常に悪く、特に格ゲー黎明期特有の気絶値の低さ、その割に小足連打が効きすぎる、アンディの「餓狼伝説2」を彷彿とさせる高性能さ、大門や怒チームによる永久投げの存在など、理不尽なコンボ・テクニックが多数存在し、キャラクター・チームごとの性能差も激しい。
しかしドリームマッチという話題性もあり、また「それまでの他の格ゲーと異なり1コインで最悪3ラウンド遊べる」という仕様から、当時出回っていた子供向けのリース用MVS筐体を利用していた当時の児童層やライトユーザーからも支持を受けたとされ、大味なゲーム性をあまり感じさせない作品となっていた。
登場人物
日本チーム:日本最強チーム | ||
---|---|---|
草薙京 | 二階堂紅丸 | 大門五郎 |
イタリアチーム:餓狼伝説チーム | ||
テリー・ボガード | アンディ・ボガード | ジョー・ヒガシ |
メキシコチーム:龍虎の拳チーム | ||
リョウ・サカザキ | ロバート・ガルシア | タクマ・サカザキ |
イギリスチーム:女性格闘家チーム | ||
不知火舞 | キング | ユリ・サカザキ |
ブラジルチーム:怒チーム | ||
ハイデルン | ラルフ | クラーク |
中国チーム:サイコソルジャーチーム | ||
麻宮アテナ | 椎拳崇 | 鎮元斎 |
韓国チーム:キムの教育してやるチーム | ||
キム・カッファン | チャン・コーハン | チョイ・ボンゲ |
アメリカチーム:アメリカンスポーツチーム | ||
ヘビィ・D! | ラッキー・グローバー | ブライアン・バトラー |
ボス | ||
ルガール・バーンシュタイン | ||
RE-BOUT追加キャラクター | ||
草薙柴舟 |
CAPCOMへの嫌がらせ?
当時の旧SNKの格闘ゲーム業界のライバルとして「ストリートファイターⅡシリーズ」が挙げられていたが、それを意識していると思わせる演出がある。
プレイヤーがルガールと対峙した時、ルガールは自分が倒した格闘家達を、剥製にしてコレクションとして沢山並べていたのだが、その中に「ストⅡ」のキャラクターにソックリな剥製が数体あるのだ。
かつて初代「ストリートファイター」を制作したCAPCOMを退社した社員達が揃いも揃って本社が同じ大阪にあるSNKに入社し「餓狼伝説」を作り上げ、SNKを格闘ゲームメーカーとして有名にしたことも含め、これが「仲が悪いことの裏返しではないか?」とする推察を呼んだ。
しかしこれは一部の勝手な推察にすぎず、実際にSNKとCAPCOMが不仲であるといった事実はない。
その証拠に、まずSNKとCAPCOMは同じ在阪企業であり、前述の通り社員間の交流も盛んであったとされ、2011年には小野義徳プロデューサーがインタビューの中で「結構色々なつながりがあって、本当に仲が良かったのです」と話している(但しSNKの倒産及び再建以降は、お互いの社員も変わり、あまり交流がないとも語っている)。更に旧SNKも、かつての公式HPのパートナーシップ企業には、CAPCOMのリンクが貼られていた。
また「ストリートファイターZERO」シリーズ以降に登場する、「龍虎の拳」のパロディキャラクターであるダンも、それを裏付ける存在であり、特に「MARVEL SUPER HEROES VS. STREET FIGHTER」のダンの個別エンディングなどを見れば、最早そのあまりのパロディっぷりには悪意がないことは明白である。
そして極めつけには、お互いに「CAPCOM VS. SNK」「SNK VS. CAPCOM」の発売にまで至っている。
確かに当時のCAPCOMは、同業であるデータイーストの「ファイターズヒストリー」に関して裁判を起こした(1994年末に和解)こともあったが、これは「6ボタン起訴」と言われたり、「ストⅡの内部データを盗用した(実際システムエフェクト関連が酷似している)」と言われるなど、確固たる確執があった訳で、一方でSNKとは社内交流が盛んだった事も含め確執のような事態には発展していない。それどころか、むしろ在阪のゆるい関係の中で、お互いを意識し合う、むしろ良い関係だったとさえ言えよう。
したがって、本作の「剥製が並ぶ演出」も、あくまで古き良き時代のゲームメーカーならではのパロディと捉えるのが妥当だと言える。
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関連項目
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