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『美味しんぼ』(おいしんぼ)とは、1983年から2014年12月まで続く(完結したわけではなく2014年12月以降は後述の理由により一応休載という扱いではある)食をテーマにした漫画、アニメ、ドラマである。漫画の作者は雁屋哲(原作)、花咲アキラ(作画)のコンビである。
概要
東西新聞社に勤める山岡士郎と栗田ゆう子の2人が「究極のメニュー」を追い求めて奮闘し、時には「至高のメニュー」を掲げる士郎の父・海原雄山と対決する。
東西新聞社創立100周年事業として社主の大原が「究極のメニュー」の企画を提唱、文化部の社員全員に担当者を決めるための味覚試験を実施する。この試験に合格したのが士郎とゆう子の2人だった。後に販売部数首位を争う帝都新聞社が海原雄山を迎えて「至高のメニュー」企画を開始。週刊タイムを立会人とした対決が度々行われることとなった。なお、東西新聞は朝日新聞が、帝都新聞は読売新聞がモデルとなっており、連載30周年となる2013年にはリアル美味しんぼ企画として両紙で対決企画が行われた。なお東西新聞本社はセキュリティが非常に甘く、社外の人間が平然と文化部のオフィスまでやってくる。
主人公・士郎の父である海原雄山は、士郎と長期に渡り確執の関係をとっていた。初期では厳格かつ時折見せるマジキチ部分もあったが金上との対決による共同戦線により徐々に関係が和らぎ、それが文字通り正しいツンデレの姿となったと言われている。(栗原と山岡の結婚以降はそれが顕著になる。)雄山はニコニコ動画に限らず、本作一の人気キャラクターである。
グルメ漫画ブームの中心の一つとなった作品であり、単行本100巻を超す長期連載となっている。
普通、料理漫画と言えば主人公が料理をする漫画が主だったがこの漫画は主人公が料理するのみならず、美味しい料理を食べる・追求するだけという新たな手法を導入し、それまでのグルメ漫画の常識を破った。アニメ・実写ドラマなど何度も作られ一時代を築いた。反面、マジメかと思いきやギャグのような展開も出て来る為、漫画やアニメなどでパロディのネタにされやすい(特に究極と至高の流れあたりが顕著)。
その一方で栄養学・衛生学・その他の学問の科学的見解から見れば誤った描写が散見される点は注意が必要である。後の項で述べるが、作中での扱いに対して関連団体などから編集部に苦情が入ったことも複数回あり、かつては作中においてあのマイクロソフトのWindows95をコケにして、マイクロソフトが激怒し広告を引き上げる事態になった事もある(作者がマッキントッシュ愛好家)。
また、作品内やブログで披露されている作者の政治的主張・歴史認識については、中国・韓国に肩入れする内容が多く、異論・異説が唱えられている説を作中で史実として言及することがある。ただし、反日活動、あるいはそれに類する活動なら何でも賛成かというとそういうわけでもなく、捕鯨に反対する団体を批判的に描いたこともある。
そして、東日本大震災・福島第一原発事故を元に話を描いた所、その内容があまりに酷かった事を受けて、出版社であるスピリッツに多方面から批判が殺到し、2014年12月より一時休載されている。(その後10年近くに渡って休載状態が続いている。)
タイトルの美味しんぼは作者の雁屋哲と当時の編集が作った造語である。企画当初タイトルに案が浮かばなかった雁屋はタイトルを編集に付けさせようとしたが、上がってきた案にも納得がいかず結局自分で考えることになる。そこで、美味と食いしん坊を組み合わせて「美味しいものだけを食べたがる食いしん坊」という意味の「美味しん坊」を提案したところ、最後の坊が言葉的に重いので「美味しんぼ」にしてはどうかという編集の再提案を受けて決定している。
また文庫版1巻のあとがきで雁屋が語ったところによると、毎回作画の花咲に送っている原稿は1回分の適量と言われる分の3倍以上になっているという。漫画で吹き出しや台詞が多くを占める事態になってしまうことがあるのはこれが原因。本人も自分の言いたいことだけ書いて作画に丸投げするのは職業作家としてあるまじきことだと反省しており、完成した漫画を見て毎度学習はするものの適量に原稿を抑えることはできないらしい。
作中解釈の問題点
作者の取材、知識不足により、明らかな間違いが描写されることがあり、たびたび専門家から批判や指摘を受けている。
以下に一例を挙げる。
- 離乳食に蜂蜜と鶏卵を与える
- 乳児がハチミツを摂取すると乳児ボツリヌス症を引き起こす危険があり、厚生省は「与えてはいけない」と通達している。命にも関わるためか、このエピソードは単行本には収録されなかった。
- ホタルイカを生食する
- 作中にホタルイカを生食するという描写があるが、食中毒を起こす危険性があり、生食は控えるべきである。
- 発癌性
- 発癌性物質の量を問題とせず、ただ単に発癌性のある・なしで物事を語っている表記が多い。実際にはどんな食べ物でも多量に摂取すると発癌性があると考えて問題ない。
- 農薬と無農薬
- 「無農薬野菜が農薬を使用した野菜よりも安全で味もいい」と作中で度々言われている。美味しんぼの偏見の中では知名度があるためか、漫画『コンシェルジュ』にて美味しんぼを皮肉ったエピソードが登場し、植物は害虫から自身の守るために自ら農薬に近い成分を自己生成することができる。なので、実は無農薬野菜の天然農薬は農薬使用のものよりも比べ物にならないほど多い。という描写がなされた。しかし数値的にはどちらも取るに足らないレベルであり、農薬野菜だけを攻撃するのはお門違いである。無農薬野菜には虫害が起こると、猛毒のカビが発生する。この事実も作品では全く無視されており、農薬の危険だけを謳っている。
作中では「虫も食べない野菜が旨いわけがない!」と語られているが、当たり前の話だが、虫と人間は全く違う生き物である。また野菜の栄養が減ったのは農薬のせいだと全く根拠のないナンセンスな理論を展開している。さらに作者は農薬と除草剤を別けて呼んでいる。もちろん除草剤は農薬の一種である。 - 添加物の毒性
- とある回で添加物の亜硝酸塩を危険だと表現されているが、野菜などから摂取された硝酸塩は消化の過程で亜硝酸塩に変化する。これは科学的な事実であり、添加物の量とは比較にならないほど大量に摂取することになる。動物実験ではアミンと反応し、発癌性物質であるニトロソアミンを生成することが分かっているが、人体実験では確証が得られておらず、危険性はないとJECFAが見解を出している。
これに限らず、美味しんぼ作中では何かと食品添加物批判がなされることがある。 - キュウリ
- 「本物のキュウリは曲がって育つものだが、見た目のために無理やりまっすぐに伸ばしている。これではおいしいはずがない。曲がったキュウリこそホンモノだ」というナンセンスな理論を展開しているが、そもそも品種改良をしていないきゅうりの原種は不味くて食えたものではない。
- 放射能の影響で鼻血
- 山岡達が福島原子力発電所を見学して戻った際、鼻血が出る、カラダがダルくなるなるなどの症状を訴えるが、政府の見解によると原発事故により放出された放射線物質に起因する直接的な健康被害が確認された例はない。
- そもそも、鼻血が出るほどの放射能を浴びていたなら、山岡たちは既に死んでいるはずである。長く連載の続いた美味しんぼが長期休載する原因にもなった。
- ↓鼻血問題について解説している動画
主な登場人物
- 山岡士郎 (声優:井上和彦)
- 主人公。ニコニコ大百科にある当該記事を参照。究極のツンデレ・・・というか父譲りである。
- 栗田ゆう子 (声優:荘真由美)
- 一応メインヒロイン。後に士郎の妻となる(が、夫婦なのに旦那を「山岡さん」と呼ぶなど不思議な場面もある、これは同じ部署に同姓がいると電話応対などで紛らわしいためで、本人も仕事では旧姓を使っている)。当初は文化部に配属されたばかりの新入社員だったが究極のメニュー担当に抜擢されて士郎に付き合っているうちに成長したのか、今や海原雄山をも操る強かさを身に着けた。シャッキリポンに代表される名言から、ネタキャラ扱いされることが多い。初期の方がかわいい。
- 谷村秀夫(声優:嶋俊介)
- 東西新聞社文化部部長→文化部長兼編集局次長→107巻より文化部長兼編集局長。口ひげがトレードマークのヒゲダンディーなおじさまで、温和で器が大きく滅多に感情的にならない。そして、大原や小泉と違って公私混同をしない唯一の上司であり、50巻「黒いマスコミ王」で金上に東西新聞社を乗っ取られそうになったときでも士郎や大原達を助けた。それ故に、上層部や部下から厚い信頼を得ており、士郎が激昂した時でも彼には心を開く。究極のメニューの企画が立ち上がった時点で士郎の素性を知っていた。
- 富井富雄 (声優:加藤治)
- 東西新聞社文化部副部長→107巻より文化部部長代理(実質部長)。絵に描いたようなおっちょこちょいキャラで、ネタキャラにされやすい。しかし、その描写には成人としての道徳観が全く無い。おまけに極度の酒乱であるが故に、この様な人間が部のナンバー2という地位にいるのは大いに疑問の余地があるといえよう。事実、花の三人組にも稀に疎まれる描写があり、酒に酔って暴れたが故に幾度と無く昇進が見送られた人物。しかし一応部下思いでもありノリがいいので、文化部には欠かせない人物である。
- 荒川絹江(声優:水原リン)
- ゆう子の同僚で文化部花の三人組の一人。旧姓は田畑。長らくキャリアウーマンを貫いていたが、写真家の荒川精作と惹かれあう関係になり結婚。結婚披露宴は究極のメニューの題材となった。元スケバンで、その歴史は少なくとも姪の代まで受け継がれている。叔母にもてき屋の姐がいるなど親類関係はなかなか濃い。107巻より文化部副部長。
- 三谷典子(声優:佐久間レイ)
- ゆう子の同僚で文化部花の三人組の一人。彼女単独で「文化部の花」と呼ばれることも。旧姓は花村。旅行先で助けられた縁で三谷直吉と知り合い結婚する。
- 大原大蔵社主(声優:阪修)
- 東西新聞社の社主(トップ)で、究極のメニュー発案者。京都出身。何故かいつも和服姿であり、普段着のシーンは全く無い。最初は人格者だったにも関わらずだんだん子供じみた人間に・・・初期の威光はもはや無い。帝都新聞社の社長嶺山知一とはよく喧嘩する。
- 小泉鏡一編集局長(声優:加藤精三)
- 初登場時こそ大原に喧嘩を売り続けて出世した人物だったがその次の話から社主にゴマをする局長になり、取締役兼編集局長を経て、107巻より正式に編集部代表取締役に。入社してすぐに欧米に20年近く出されていたようで、大原とは対立していた・・・が、何故か今やあんな変わりように・・・初期の威光はもはや無い。
- 海原雄山 (声優:大塚周夫)
- ニコニコ大百科にある当該記事を参照。至高のツンデレ。このあらいを作ったのは誰だぁっ!
- 唐山陶人(声優:富田耕生)
- 人間国宝の陶芸家で海原雄山の陶芸の師匠。雄山が頭の上がらない唯一の人物。その縁で士郎を孫のように扱っており、親子の確執が生まれてから士郎は陶人の家で暮らしていた。究極対至高の審査員も務める。北大路魯山人の弟子でもある。
- 京極万太郎(声優:渡部猛)
- 京都の商人で富豪の美食倶楽部会員。土佐の貧乏な村育ちで米相場の儲けを元手に今の地位と財を築き上げた。所蔵するルノワールの絵画を東西新聞社主催の美術展に貸し出す際の接待が原因で士郎らと知り合い、再度岡星にて接待をやり直して以降士郎らの理解者となる。究極対至高の審査員の一人。作中で最初に士郎の素性を見破った。初登場時の接待はFC版ゲームの題材の一つとなったが、原作とは異なり士郎らが直接故郷の土佐まで取材に行っている。
- 板山秀司 (声優:辻村真人)
- 栄商流通グループの総帥で、銀座に百貨店のニュー・ギンザ・デパートを持つ。裸一貫から今の地位まで上り詰め、幼いころからがむしゃらに働いていたため自身に教養がないことをコンプレックスにしている。百貨店オープンの際に士郎と一度対立したが野菜の鮮度について説かれたことをきっかけに理解者となる。
- 周懐徳(声優:小林修)
- 横浜に住む貿易商で在日華僑の重鎮。中華街で士郎と料理店の対立を収めたことをきっかけに知り合う。横浜中華街の指導者的存在であり、自身も優秀な料理人で周囲からは尊敬の念を込め周大人と呼ばれている。中国の陳国家副主席とは幼馴染の関係。
- 角丸豊助(声優:島香裕)
- 民自党幹事長で後に副総理となる。政治家嫌いの海原雄山が美食倶楽部に自ら招く数少ない人物。記者会見の場に居合わせた士郎が食べていた郷土料理がきっかけで知り合い、一般的な政治記者と違う彼の振る舞いを見て気に入る。政治的に重要な会議に士郎を同席させることもある。
- 辰さん(声優:野本礼三)
- 銀座界隈を根城にする浮浪者(ホームレス)。特に生活に困窮しているわけではなく、人間関係がこじれた漂白型。銀座の料理屋の清掃活動を行っており、その際に各店の賄いや残り物をもらって日々食べている影響で普通の人より舌が肥えている。料理屋の裏事情にも詳しく、京極の接待先として岡星を紹介したのも彼。
- 岡星精一 (声優:若本規夫)
- 和風料理店「岡星」の主人。士郎が岡星で京極の接待をして以降協力者となり、究極のメニュー調理担当になる。
- 岡星良三 (声優:関俊彦)
- 精一の弟で美食倶楽部の料理人。最初は幾度と無く雄山の逆鱗に触れていたが、今では美食倶楽部随一の料理人に成長し、至高のメニューを任せられる程になった。
ゲーム
アドベンチャーゲームのファミコン版、レシピ集のニンテンドーDS版などが発売されている。ファミコン版は唐突に謎の呪文を唱え出したり、突然理不尽なゲームオーバーに見舞われるなど、プレイヤーを唖然とさせるネタが多い。一部改変はあるものの大筋のストーリーは原作準拠である。ゲームセンターCXでも有野の挑戦の題材となったがクリア自体は選択肢総当たりで簡単に達成できるため、ゲームオーバーコンプリートが追加目標として課された。
アーケードゲームの『三国志大戦3』では、SEGAとビッグコミックスピリッツのコラボレーションにより、士郎(孫策)・雄山(孫堅)それぞれに扮したカードが作られた。計略名もお互いのメニューから「究極の大号令」「至高の大号令」となっている。ボイスはアニメの人とは別。
関連動画
アニメOP
MAD
ユーザーによる補完が繰り返されて堂々と全話アップされていたが、2008年6月1日に大量削除があったと思われる(当たり前)。MAD作品も巻き添えで消されてしまったため、美味しんぼ関係の動画は一気に減ってしまった。
ゲーム
同人ゲーム
関連静画
静画においては、本家である美味しんぼを描いたイラストは少なく、パロディや元のコマなどを使用したコラージュなどの方が多い。
パロディ作品
関連項目
- 漫画作品一覧
- アニメ作品一覧
- ニコニコ大百科に記事のある美味しんぼのキャラクター
- ツンデレ
- 美味しんぼDM
- これに比べると山岡さんの鮎はカスや
- いいかい学生さん
- シャッキリポン
- 骨のない魚
- ビッグコミックスピリッツ
関連リンク
- 【動画サイト】
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