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概要
空手家の手刀は、岩のような自然石をも真っ二つに斬り割き、人を殺す暴れ牛や熊をも仕留める。空手家が異種格闘技大会に出場すると勝つこともある。K-1等で分が悪いのは主催者の通達により発揮できる力が制限されているからかもしれない。
日本だけでなく世界中で打撃系格闘技として圧倒的な知名度をほこっており、漫画、アニメ、映画などに頻繁に空手家が登場する。
歴史
琉球王国と呼ばれた頃の沖縄を発祥とする古武術である『手（ティー）』がその源流であり、伝来の経緯を辿っていくと、古くはインドの古武術であるカラリパヤットを源流に持つとされている。当時の沖縄はアジア諸国の貿易拠点であったことから、本土日本の武術をはじめ中国拳法や東南アジアの武術の影響も受け、唐手（トゥーディ）と呼ばれるようになっていったと言われている。
これが明治時代に日本本土に伝わり唐手（からて）と呼ばれるようになり、後に松濤館流空手の流祖とみなされている船越義珍が師範を務める慶應義塾大学唐手研究会よって、仏教の般若心経における色即是空の思想『空(くう)』の概念から取って“空手”と表記されるようになった(表記自体は花城長茂が明治38年[1905年]よりすでに使用していたが、東京で公式に空手表記に改められ機関誌で発表されたことによって急速に空手表記が広まっていった)。
これに先立ち唐手研究会の幹事たちは、日本禅宗の一つ臨済宗の中興の祖である「白隠慧鶴」禅師の子孫である「曉道慧訓」管長のいる鎌倉の円覚寺に招かれ、般若心経の講義を受けた後に
空手という名称は、唐手術と呼ぶ従来の表現と少しも対立するものではなく、むしろ、それを包摂しつつ無限に展開することを意味するものである。
という趣旨の講話を受けた。船越師範も曉道慧訓師の前に参禅し、その指導の下で『唐手』を『空手』と改めたという。
特徴
現在では拳足による打撃を中心とした武術と認識されているが、元々は投げ技や極め技、武器術も存在する総合的な武術であり、中には武術としての空手のあり方を重んじて技を継承している流派もある。よく中国拳法の武器と誤解される釵・ヌンチャク・トンファーなどは、実は全て空手で使われる武器で、その他に棒術も存在する。また、武士として薩摩に渡った琉球王国の武術家である松村宗棍が、現地で免許皆伝まで極めて持ち帰った示現流剣術も武器術に含まれており、この経緯から空手には示現流と同様の独特な掛け声が存在する。
流派
空手は流派が多い。恐ろしく多い。あまりにも多すぎるおまけに試合ルールが流派ごとに違う。統一ルールが無い故にオリンピック種目になれなかったとも、オリンピック種目にならなくてすんだとも言われている。まあJUDOとかテコンドーとか色々あるからどっちの気持ちも分からんでもない。
首里手、那覇手、泊手
源流である沖縄の琉球古武術『手（てぃ）』は大別して三通りに分けられることが多い。これが『首里手』『那覇手』『泊手』である。手には流派という概念がなく、師から弟子へ一対一で伝承され、また師の紹介で別の師に付いて修行したりといった稽古スタイルを取っていたと伝えられる。しかし地域ごとに特色というのは出る物で、それぞれの地域名にしたがってこのように分類された。もっとも、明治時代以前にはあまり用いられなかったという意見もある。
技法の特徴として、首里手は主に中国北派拳法の、那覇手は主に南派拳法の影響を受けたとされる。泊手は首里手と大差ないそうな。ひどく大雑把に言うなら、首里手の戦闘思想は寸止め試合に、那覇手の戦闘思想はフルコン試合に受け継がれている。
伝統派空手
大抵は全空連に加盟し、寸止めルールを採用している本土の流派のことを指す。所謂本土四大流派（松濤館流、剛柔流、糸東流、和道流）が有名である。
フルコンタクト空手
直接打撃制ルールを採用している流派を指す。極真会館やその分派が主流だが、極真系以外でも直接打撃ルールを採用している流派はある。一般的にフルコンタクト空手(通称フルコン)は顔面無しの直接打撃の種目を指す。直接打撃性の追求からボクシンググローブをはめて試合を行うグローブ空手や総合格闘技に近い形式の空道など、多くの流派や種目がある。
防具空手
防具着用による直接打撃制ルールを採用している流派を指す。『硬式空手』はこの中でもある特定のルールをもった物を指す、らしい。直接打撃制ルールなので広義ではフルコンタクト空手に含まれるが、防具空手の試合の多くはポイント制で行われている。安全性を重視しており、相手を倒しきる(ノックアウト制)フルコンタクト系とは毛色が違う。
古流空手
古伝を墨守している流儀を指す。昔ながらの鍛錬法や型、また武器術を伝承していることもある。沖縄三大流派（上地流、沖縄剛柔流、小林流）はここに入ると思われる。
糸州十訓
糸州十訓とは、糸州安恒によって説かれた空手の修行心得である。当時の世相を強く反映しているが、現代に通じる要素も多いので、大雑把に現代語訳してみる。間違ってたら指摘よろしくお願いします。
前文略
一 空手は体を鍛えるだけではなく、君親のために命を捨てられる忠義の士を育てる道である。他人を傷つけることは本義ではない。
二 空手は逞しい肉体を作り、手足を武器とする術であるため、自然と勇気を育てることになる。小学生の頃からやらせれば、兵隊にとられたとき役に立ち、延いては軍人国家の礎となりえる。
三 空手は一朝一夕には習得できないが、毎日一、二時間も練習すれば、三、四年で熟達する者も出てくるだろう。
四 空手では拳や足が重要なので、常に巻藁にて充分練習し、肩を下げ、肺を開き、強くカを取り、又、足も強く踏み付け丹田に気を沈めて、練習すること。回数も片手に一、二百回程も突くこと。
五 唐手の立ち方は、腰を真っ直ぐに立て、肩を下げ、カを取り、足に力を入り踏み立て、丹田に気を沈め、上下引き合わせる様に凝り固めること。
六 空手の型は何度も練習し、技の要点を師に確認し、どうやって使うかを常に考えて練習すること。
七 型をやる際は、今やっている内容が体を鍛える物であるか、技術を習得するための物かを確認してから稽古すべし。
八 空手を練習する際は、戦場に出たつもりで目をいからし、肩を下げ、体を堅め、又、受けたり突きたりする時も実際に敵の攻撃を受け、敵に当てるつもりで練習すること。
九 空手の練習は貧弱な者が無理をすると体を壊す。注意すること。
十 空手の達人は昔から長寿な者が多い。空手は体に良いので、小学校の体育で広く国民に普及させれば、いずれ十人に勝つものも出てくるだろう。
後文略
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