海南島(ハイナンタオ)とは、中華人民共和国南端に位置する島である。別名、瓊州(琼州)。
概要
面積は約33,210km2(台湾の九割余)で、北岸は雷州半島に近接している。人口は867万人(2010年)で、観光業が盛んなため「中国のハワイ」とも呼ばれる。島では海南語(海南話; 瓊語)と呼ばれる方言が大多数の人々によって使用されており、その話者は島民の八割近くに達する。 海南語の他にも粵語、黎語が使われている。島内最大の都市は雷州半島対岸に位置する海口市で人口約204万人(2010)。
現在、海南島と雷州半島を結ぶ「瓊州海峡大橋」の建設計画が進んでおり、着工準備が始まっている。瓊州海峡は中国3大海峡の1つで、最狭部分でも幅が約19kmあり自然条件も厳しく、工事は難工極まるものと予想される。
海南料理と呼ばれる風土料理があり、中でも同島発祥海南鶏飯が有名。日本や米国でも海南風チキンライス(Hainanese Chicken Rice)として知られ、また海南島出身の華僑達がインドシナ一帯にこの料理を普及させたため、中国国内のみならずマレーシアやシンガポールでも同種の料理が名物として提供されている。
歴史
旧石器時代の遺跡から約一万年前には人が住んでいた事が知られている。
中国の史書に現れるのは戦国秦からで、始皇帝時代に統治下にあり流刑地・左遷先として使われていた。三国時代においては呉に服属しており、『魏志倭人伝』にも海南島民に関する記述が残されている※1。
原住民は黎族を中心とする少数民族だが漢民族との接触以後は大陸での戦火を逃れて流亡してきた人々が定住していく。海南島の先住民族は台湾の先住民族と系統的に近く、近年の研究では、両者の間に約8割共通のDNAがあることが分かっている。また台湾語と海南語は共に閩語に属する言語で、互いに通ずる部分も多い。
※1 魏志倭人伝 「中央貫頭衣之種禾稻紵麻蠶桑緝績出細紵縑綿其地無牛馬虎豹羊鵲兵用矛楯木弓木弓短下長上竹箭或鐵鏃或骨鏃所有無與儋耳朱崖同」(儋耳朱崖は古代にあった海南島の地名)
1939年2月10日に日本軍は海南島に奇襲上陸し島を占領。以後敗戦までの約7年間その軍政下に置かれる事になる。
1988年には広東省から海南島及び周辺諸島が分離し、海南省となる。同時に省全域が経済特区に指定された事で本土からの移民が相次ぎ、漢族の人口割合が多数を占めるようになる。
自然
海南島は豊富な自然と独自の生態系で知られる。島全体が海洋性モンスーン気候に属しているが、北部が亜熱帯気候、南部が熱帯気候に属している。北部一帯は平野が広がっているのに対し、南部は山岳地帯になっている。
最高峰は五指山で、標高1,840mとそこまで高くないが、1000mを超える山峰が81あるなど全体的に小高い山々が南西部一帯に連なっている。
天然資源にも恵まれており、鉄鉱石・錫・タングステン・金・水晶等が産出する。
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