日本国憲法第50条とは、日本国憲法第4章(国会)に存在する条文である。
概要
日本国憲法第50条は、国会議員の「不逮捕特権」を以下の通り規定している。[1]
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
中世ヨーロッパでは王が、ナチス時代のドイツではヒトラー内閣が議員を不当に逮捕監禁し、その職務執行を妨害した[2]。本条はこれらの反省に鑑み、行政権が国会議員を不当逮捕できないようにしたものである。
解釈
「会期中逮捕されず」とは
本条の「逮捕」とは、単に逮捕されないだけで、訴追は受ける[3]。外国憲法においては訴追されないものもある。参議院の緊急集会は会期中ではないが、会期中に準じて不逮捕特権が及ぶ(国会法第100条)。
「法律の定める場合」とは
本条を受け、国会法には以下の規定がある。
国会法第33条 各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。
国会法第34条 各議院の議員の逮捕につきその院の許諾を求めるには、内閣は、所轄裁判所又は裁判官が令状を発する前に内閣へ提出した要求書の受理後速かに、その要求書の写を添えて、これを求めなければならない。
すなわち、コニャックを10杯呑んで、「おっぱいを揉みたい」「私は逮捕されない」などと不規則発言を繰り返す国会議員を、一般人が院外において刑事訴訟法213条に基づき現行犯逮捕することは差し支えない。
なお、国会法第34条による許諾は無条件でなければならず、期限付逮捕許諾は認められない[4]。
関連項目
日本国憲法 | |
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第2章 戦争の放棄 | 9 |
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第4章 国会 | 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 |
第5章 内閣 | 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 |
第6章 司法 | 76 77 78 79 80 81 82 |
第7章 財政 | 83 84 85 86 87 88 89 90 91 |
第8章 地方自治 | 92 93 94 95 |
第9章 改正 | 96 |
第10章 最高法規 | 97 98 99 |
第11章 補則 | 100 101 102 103 |
脚注
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