概要
現在でも全国のJRのローカル線で多く活躍している気動車である。
北はJR北海道から南はJR九州まで、JR東海以外のJR旅客全社が保有している稀有な形式でもある。JR東海で全廃となった2016年3月まではJR旅客全社が保有していた。
キハ40を中心に以下の派生形式がある。
それぞれに極寒地(北海道)向け、寒冷地向け、暖地向けで番台区分されている。エンジンは元々220psのものが1基付いていたが、あまりにも非力であるために本州以南の大部分、および北海道所属車の一部がエンジンを交換されている。
登場時、首都圏色と呼ばれる朱一色(別名タラコ色)の塗装だったが、JRになってから地区ごとにオリジナル色に塗られるようになった。また、最近はもとの朱一色に塗り戻される車両も出てきている。
一方、最近では元に戻せる先輩車両たちがすっかり廃車されちゃったために、なぜか過去に塗装されたことのない朱とクリーム色の国鉄一般色に塗装された車両が、JR東海の紀勢本線とJR東日本の烏山線・それから岡山地区にそれぞれ登場している。
そもそもこのキハ40系は、1977年にそれまでの一般形気動車の主力であったキハ17などのキハ10系の老朽置き換えのために誕生した。車体は、以前に近郊形気動車として誕生していたキハ23系及びキハ45系のデザインコンセプトとキハ66系の構造を元に部品共通化を図りつつの設計となった(ゆえに、キハ47形は一見するとキハ23・45系のシートピッチ改善車であるかのように見える)。エンジンは、戦前の基本設計ながら標準化による機器統一のメリットを優先して作られ続けてきた180馬力のDMH17系エンジンに代わり、DMF15系エンジンが採用された。これは、キハ181系などに採用されたDML30系エンジンと平行して開発されたものの、一旦走行用エンジンとしてはボツとなり、そのキハ181系の冷暖房発電用として日陰者暮らしをしていたエンジンである。
180馬力から220馬力となったことにより、従来より走行性能は向上するはずであった。しかし、当時は国鉄は赤字による末期状態であり、上層部と現場の労使関係も最悪の状況にあった。そのような中で、性能向上や効率上昇よりもひたすら安全性と現場での運用・保守・整備の利便性が追求されてしまい、必要以上に大ぶりで重厚な車体となってしまった。こうして、従来の形式に比べて接客面でいくばくかの改善は見られたものの、性能的には大して進歩せず、当時の国鉄ローカル線が自動車やバスといったライバルに劣る状況を覆すことが出来なかった。これが、JR化後に下記のような大きな改造の流行に繋がっていくのである。
改造
デッキ付き、非冷房、低出力エンジンなどといった問題を抱えていたため、エンジンは先に述べたように交換、冷房もインバータークーラーからバス用クーラーなどで設置された。しかし寒冷地には未だ非冷房の車両も一部残っている。
ワンマン運転を行うためにデッキの撤去、電光表示機、ワンマン表示灯、半自動ドアボタン設置などが行われた車両も多い。JR西日本では、103系のN40体質改善のような体質改善工事が行われており、窓枠、雨樋などが交換、撤去されている。JR東日本でも、座席の3列化あるいはロングシート化、貫通路の拡大などの改造を一部の車両に行っている。
第三セクター路線の会津鉄道に譲渡され、展望車に改造された変り種もいる(AT-401形)。
キハ47を両運化したキハ41(西)、キハ40を急行用に改造したキハ400(北、大半が再改造され、お座敷車の3両のみ残存)、エンジン換装による改番を行ったキハ140、147(九)などといった改番を含む大改造も行われている。
リゾートトレイン(ジョイフルトレイン)の種車として改造された車両も少なからずあり、キハ58系の10年ほど前の姿(急行用とローカル普通列車用での差はあるものの)を思い出すファンも多分いるであろう。後15年程したら今のキハ58のような残存率に・・・ガクブル(この段落の解説は2010年編集時点での話です。2024年時点で、JR西日本とJR九州以外の残存率は当時のキハ58並である・・・デッキ無しでエンジン換装車ばかりなのでなんとかなってるが)
今や貴重な国鉄型。後悔しないよう、興味があるなら今のうちに、マナーを守り「乗って」「撮って」おこう!
キハ400系
上記でも紹介されたキハ400だが、誕生の経緯は1980年代後半に遡る。
これまで急行列車として活躍してきたキハ56系は老朽化が進行、時代遅れのボックスシートに非冷房だったので、リクライニングシートで冷房付きの14系客車に置き換えたが、いくら設備が良くなったと言っても気動車列車から客車列車への時代の逆行にような所要時間の増加は高速バスへの対抗には圧倒的に不利で、速くて快適な車両が必要だった。が、この頃JR北海道はジョイフルトレインや新型電車の開発で大忙しで、一介の急行列車にそこまでリソースを割けなかった。そこでローカル線の廃止が相次ぎ暇そうだったキハ40系を改造し1988年に誕生した。見た目は大きく変わっていないが
ただ単に急行用の接客設備にしたわけではなく、
といった高性能化も行っており、車体重量のハンデはあるものの、出力だけならそこらの民営化後気動車とタメを張れる程である。(津山線の急行つやまや快速ことぶきがこのアコモデーションだったらなぁ・・・)
両運転台のがキハ400形で片運転台のがキハ480形である。(近郊型みたいなドア配置のキハ470形は存在しない。そもそも北海道にキハ47形は在籍していなかった。)
急行「宗谷」「天北」としてデビューするものの、天北線廃止により、半年で「天北」は廃止、その後、1991年に急行「利尻」92年に同「サロベツ」として走ることになった。
これにより速度と居住性が上がり、機回しの必要もなくなった。
繁忙期はキハ56やお座敷車両をつなぎ、万事屋の様な仕事ぶりを見せた。後にお座敷車両に改造されたキハ400系も誕生する。こちらは
となかなかの設備である。
なおこれに関連し車両が足りなくなったのでキハ183系の中間車をキハ400系に差し込んだ。
その後2000年に宗谷本線の急行が全て特急「宗谷」「サロベツ」に格上げされ、宗谷本線急行列車としての仕事を失うも、大半はロングシート化されて札沼線の朝ラッシュ運用を担う事になった。2012年の電化後はミャンマーに輸出されたり、苗穂工場での入れ替えに使ったりした。お座敷車両は残ったが、2016年に全廃された。
ニコニコ動画に記事のある改造車一覧
廃車
JR北海道で、急行用に改造されたキハ400(4両)、JR九州において濁流に流されてしまった車両(2両)などの特殊な例、事故廃車以外にJR東日本、JR西日本(主にキハ48)、JR四国(キハ47)などのその会社にとって使い勝手の悪い車両に廃車が発生している。
JR東海ではキハ25形への置き換えによって廃車が進行し、2016年3月26日のダイヤ改正をもって全車両が引退した。これによってJR東海から国鉄型気動車が消滅した。
2018年現在では、いよいよ北海道と東日本でも本格的な置き換えのために新型の電気式ハイブリッドディーゼルカーが誕生しつつあり、消滅へのカウントダウンが始まっている。
2021年現在となり、北海道では電気式ディーゼルカーH100形、東日本では蓄電池式電車EV-E301系およびEV-E801系電車とGVE-400系電気式ディーゼルカーを投入。さらに、JR九州は蓄電池式電車BEC819系とYC1系電気式ディーゼルカーの投入が始まっている。JR西日本も電気式ディーゼルカーDEC700形を試作しており、こちらは本格投入はまだ先と見られるが、JR西日本管内でさえも置き換えの動きが見られるようになった。(DEC700とか、減便などによって既にキハ48形以外でも廃車が出ている)JR四国でも電気式気動車が導入されるとか・・・東日本管内ではついに改造車を除く一般形は全車引退となり、一部は小湊鉄道や錦川鉄道、北条鉄道へ譲渡されている。(譲渡の理由としては頑丈な車体であることと登場時非力だったこともあって民営化後エンジンを載せ替えたことで古い割に状態の良い車両が多かったためと思われる。)
関連動画
キハ40系を解説した動画
JR北海道所属車(第三セクター化後も含む)
一般型
改造車
JR東日本所属車(一般型は全車引退)
一般型
改造車
JR東海所属車(全車引退)
JR東海所属時
海外譲渡
JR西日本所属車
一般型
改造車
JR四国所属車
一般型
改造車
JR九州所属車
一般型
改造車
その他譲渡車
関連項目
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