概要
各地区の古い気動車を置き換え、サービスアップをはかるべく登場したJR東日本の気動車。 当初、キハ100系は車体が16メートルの一般タイプ、キハ110系は車体が20メートルの急行タイプとしてそれぞれ製造されたが、のちにキハ110は一般タイプとしても投入されるようになったという経緯がある。
キハ110形(両運転台車)、キハ111形(片運転台車・トイレ付き)、キハ112形(片運転台車・トイレ無し)のタイプがあり、番台によって以下の区分に分けられる。
0番台
1990年より登場。釜石線、山田線で運用される急行「陸中」のち快速「はまゆり」、気仙沼線快速「南三陸」などの優等列車や普通列車で使われる。
急行で使われることを前提にした作りで、回転式リクライニングシートを使っている。
100番台・150番台・200番台
1991年より登場。一番スタンダードなタイプで、東北・信越・関東地区の多くの線区に投入された。200番台からはドアをプラグドアから引き戸に変更。
キハ100系、キハ110系の多くは車両が白と抹茶色で塗られたタイプだが、1998年より陸羽西線、陸羽東線に投入された車両は「奥の細道」のロゴ等、独特のカラーリングである。
300番台
秋田新幹線の工事に伴い、一時期秋田方面への代替措置として、北上─秋田で特急「秋田リレー号」として運用するために作られた車両。
薄紫色をベースにグレーとすみれ色のラインとE3系R編成と同じ塗装を身に纏い、先頭車の前面には秋田で毎年8月上旬に開催されている東方三大祭り「竿燈」をイメージしたロゴマークが入った。
秋田新幹線開業後は200番台に改番の上塗色や内装を変更され、飯山線など信越地区に転属された。また車内のリクライニングシートは横須賀線・総武快速線E217系のグリーン車に転用されている。
ジョイフルトレイン
700番台・TOHOKU EMOTION
八戸線ジョイフルトレイン「TOHOKU EMOTION」専用車両として0番台2両と100番台1両を改造して製作された。全車八戸運輸区所属。この車両は「新しい東北を発見・体験」をコンセプトに、「移動するレストラン」として運転されている、パッケージツアー専用編成である。
1号車キハ111-701(元盛岡車両センター所属キハ111-2):コンパートメントカー(定員4人部屋×7室=28名)
2号車キクシ112-701(元盛岡車両センター所属キハ112-2):ライブキッチンスペース 調理の様子を目の前で楽しめる
3号車キハ110-701(元小海線営業所所属キハ110-105):オープンダイニングスペース(定員20名)
外観デザインは「KEN OKUYAMA DESIGN(代表:奥山清行)」が担当。東北の伝統工芸をモチーフにした内装に改められた。
肝心なメニューも往路と復路で異なり、往路では東北地方の食材をふんだんに盛り込んだフレンチが、復路では盛岡のJR系ホテルがこの車両の為に作られたオリジナルスイーツが振る舞われる。
200番台・おいこっと
飯山線で運用されている300番台からの編入改造車のうち2両を、北陸新幹線延伸開業を控えた2014年に、ジョイフルトレイン「おいこっと」に再改造した。全車長野総合車両センター所属。こちらは再改造に伴う改番は行われず、編入改造時の車番が維持されている。
1両目キハ110-235(元南秋田運転所所属キハ110-313):アイボリー基調
2両目キハ110-236(元南秋田運転所所属キハ110-314):えんじ基調
唱歌「故郷(ふるさと)」の歌詞に登場する「兎」などがアイコン化した側面と、ソファタイプのロングシートや、障子をイメージした柄のロールカーテンが採用され、"ふる里"をテーマにした装いに仕上げられた。この車両は観光列車だけではなく通常のローカル運用にも使用される為、吊革やワンマン運転関連機器類等は残された。
710番台・HIGH RAIL 1375
小海線ジョイフルトレイン「HIGH RAIL 1375」専用車両として、本系列の100番台とキハ100系0番台各1両が改造され、2017年より運行が開始された。小海線営業所に所属。「1375」は小海線清里駅 - 野辺山駅間に存在する日本国内普通鉄道最高地点の標高1375 mに由来する。
1号車キハ112-711(元小牛田運輸区所属キハ110-108):天文書籍コーナーと天井に星空を投影する半球形ドームを設置。天窓にしようという案もあったが法令違反となり断念した
2号車キハ103-711(元盛岡車両センター所属キハ100-29):物販カウンター付き
いずれも連結面寄りの運転台の使用を停止させた為、専用の形式が与えられた。
最後に・・・
JR黎明期の車両でデビューから月日が経ち、キハ58/キハ52は勿論キハ40系も引退し、この形式が一番古い世代の車両になりつつある。ハイブリッド車や電気式気動車が幅を効かせるようになり今後が気になる所である。2024年11月21日にはJR東日本のプレスリリースより、高崎・盛岡エリアにHB-E220系が導入される事が発表され、去就も近そうではある。
2024年7月にJR東日本はひたちなか海浜鉄道にキハ100形3両の譲渡契約を締結し、10月24日にキハ100-41がJR東日本からひたちなか海浜鉄道へ陸送された。
関連項目
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