ついにメジャーリーグが開幕した。アメリカでは新型コロナウイルスが猛威をふるい続けるため、シーズンは通常の半分以下となる60試合、少なくとも当初は無観客、と異例づくしである。そんな中、アメリカの専門家やファンが最も注目していることの一つが、2年ぶりとなる大谷翔平の二刀流だ。大谷は開幕戦で初打席初安打を記録する一方、投手として初先発した7月26日のアスレチックス戦は1死も奪えず5失点とかなり厳しいスタートになった。今季の大谷にどんな期待が寄せられているのか、米メディアで唯一の大谷番記者を務めていた日本人ジャーナリストが紹介する。【志村朋哉/在米ジャーナリスト】
◇「今季、最大の見どころ」
2018年、大谷がメジャー移籍直後にいきなり見せた投打での活躍は、米球界に衝撃を与えた。
現代野球では不可能と言われていた二刀流を、短期間ながらやってのけたのだから。しかも、投打の両方でオールスター級だと証明した。
「世界一の野球選手になれる可能性を持っている」とまで米野球専門雑誌ベースボール・アメリカのカイル・グレーザー記者に言わしめた。今やアメリカにも大谷の実力を疑う者はいない。
しかし、その限りないポテンシャルを阻んできたのがけがである。
160キロ以上の速球を支えてきた右ひじ靱帯(じんたい)の損傷で、投手としては2年もの離脱を余儀なくされた。昨年は、シーズン終盤に左膝の分裂膝蓋(しつがい)骨に対する手術を行った。
万全の状態でシーズンを通してプレーできたら、一体どれだけの成績を残すのか。既に多くの米メディア記者が、大谷を今シーズン最も注目すべき選手として取り上げている。
今のところ、エンゼルスは、1年目と同じように大谷を起用する予定だ。火曜日から金曜日は指名打者としてスタメン出場。日曜日に先発登板し、前後の土曜日と月曜日は休む。
本人も自覚しているようだが、メジャーで二刀流が広まるかどうかは、大谷の活躍次第とも言われる。
「大谷は今シーズンの最大の見どころ」と地元紙オレンジ・カウンティ・レジスターでエンゼルスの番記者を務めるジェフ・フレッチャーは話す。「2018年のように、投打で平均以上の活躍ができたら、またみんなビックリするはず。とんでもないことだからね」
ここまでアメリカを魅了する大谷の二刀流がアメリカでどう評価されているのか、投打に分けて振り返ってみよう。
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