垂直落下式サミング

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックスの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.0
ガーディアンズは、世界的にはMCUのなかでも指折りの人気作なのだろうけれど、ずっと「普通に好き」くらいの距離感を保っている。
批評的にも高評価だったブラックパンサーも別に言う程だったし、あろうことかエンドゲームやノーウェイホームで熱が冷めるような人間なので、あんまアテになんない感覚を持ち合わせているっぽい。
さておき、キャラクターたちの造形は、ジェームズ・ガン監督の実体験に基づいているらしい。だとしたら、心配になるってレベルで毒い父親の実像への解像度が高めで困る。
カートラッセルのエゴというキャラクターは、ホントにスゴいですね。宇宙的な存在であるはずなのに、コイツのクソみたいな俗物っぽさにゾクッとする。
育児なんかまったく関わってこなかった人が、大人になった子供の良識につけこんで、まっ家族やし!これまでのことは不問でヨロシクな!と、平気な顔でスルリとこちらの人生に入り込んできて父親ヅラしてくる気持ち悪さ…。無理だったなー。
自分がそうだからかもだけど、父親とうまくいってない系やっぱ苦手。身内からすると厄介なのに、社会的な評価が高くてそれなりの立場があり、外面はとても良さそうなのが腹立つんだよな。
養父ヨンドウは、コイツはコイツで暴力オヤジではあるんだけれど、一応は善玉の素養をみせたうえで大活躍。この宇宙では血縁ではない結び付きこそが肯定されるのだなあ…と。
子供に無関心系を過剰に敵視するわりには、ワシの言うこときけー!バシーン!みたいな昔ながらの家父長タイプには、そこまで嫌悪感を抱かないっぽい。
僕の目には、星一徹みたいなタイプは、そんなに悪い感じにみえないのです。むしろ「かまってくれる父親」にみえてしまう。反対に、エヴァに乗れ乗れ言うくせに乗っても褒めてくれないのをみたりすると、心がウッ…となる。闇ですね。
ヨンドゥのメリーポピンズのところは、とてもいいですね。息子は父親を許すことで、その大きな背中を越えていく。自分の中にある黒いものが浄化された気がした。