地下鉄とは (チカテツとは) [単語記事]

地下鉄とは、主に地下において運行されている鉄道である。
英語圏では2種類の呼称があり、主にアメリカ系英語圏ではSubway、イギリス系英語圏ではUndergroundを使う。

概要

地下にトンネルを掘り、その中に線路を敷設し鉄道を運行する。路線の大部分は駅を含め地下に存在し、乗車には地上から階段やエレベーターでホームまで降りなければならない。閉鎖的な状態が精神的にダメな者も居るという。

既に開発が進んだ都市部において、地上の構造物に影響をされず開通させられるメリットがある。電車で運行される列車の最高速度は45～70km/h程度と一般の鉄道より遅いが、輸送力は道路交通を遙かに凌ぐ。また天候に全く左右されないため、定時性だけでなく運転見合わせのリスクも極めて低い。

日本において地下鉄が開通しているのはいずれも大都市圏で、これはトンネルの掘削といった設備投資に莫大な金額がかかるためと考えられる。（一説によれば、地下鉄を1km建設するのに300億円程かかるといわれている。）
他に、地盤が地下を掘るのに適していないという理由が存在する場合もある。

歴史

地下鉄が生まれたのは19世紀のロンドンである。
蒸気機関車が牽引する客車列車をそのまま地下で走らせる…といった方式で、乗客は煙に相当悩まされたらしい。
これではいけないとその後電化したはいいものの、今度は窓が一切付いていない謎仕様の客車が導入された。
（設計者曰く、「地下走るんだし、景色も見えないから窓いらないでしょ？」だったそうなのだが…。）
当然の事ながら乗客からクレームが付き、次から導入された車両はちゃんと窓が付いていたそうである。
この他の詳細に関しては「イギリスの鉄道」のロンドン地下鉄の項を参照のこと。

その後、日本で本格的に地下鉄が導入されたのは、1927年 12月30日に東京地下鉄道（現在の東京地下鉄の前身）が運行を開始した浅草駅と上野駅の区間であり、現在は東京地下鉄銀座線の一部区間となっている。

日本の地下鉄

大事なことなので二回言うが、トンネル掘削等の工事には莫大な建設費が掛かる。これを民間企業が主体で行うには無理があるため、建設・運営は公営に依存せざるを得ない。結果、国内の地下鉄事業者には地方自治体が名を連ねている。

しかし、地下鉄の建設費を借りた先が拙かった当時としても高金利な政府系の融資資金（地方向け財政投融資資金・簡易生命保険資金自治体融資・公営企業金融公庫資金）で賄うしかなかった為（国の補助制度はあるものの、補助対象経費の35%（実質補助率となると25.2%）しか補助金が出ない。残額は全て地下鉄事業者及び自治体の借金である。）開業後の赤字と路線の建設費償還に四苦八苦する地下鉄事業者が多発し（年間予算のほぼ半分を債務償還に当てていた地下鉄事業者もあったほどである）経営健全化計画を立て融資を受けた資金の特例繰上償還（かかる利息の免除）や、低利率の借換債への借り換えを行うなど、経営の健全化に躍起になっている。

ちなみに、建設費の融資元の一つである地方公共団体金融機構（前述の公営企業金融公庫の後身）における高速鉄道事業融資の債務残高は、約1兆3059億円（平成25年 3月末現在）。
これに財投資金･簡保融資分を合計すると債務残高はこの3倍以上に膨れ上がる。まず以って莫大な金額である。
（地下鉄建設にかかる費用の借入れにあたってはこの3つの融資元から借り入れるのが通例であった。現在ではこれらの融資元以外に民間銀行からの借り入れや市場公募債の発行等により資金を調達している。）

東京地下鉄（東京メトロ）も前身は特殊法人・営団として新規路線を掘りまくっていた。

ちなみに太宰治は人間失格という本で地下鉄の事を「地下の車に乗ったほうが風がわりで面白い遊びだ」と言っていたが、執筆者の感想から言わせてもらうと、地下鉄は車輌と駅設備以外あまりおもしろくない。走っている時はトンネルばっかりで楽しくないと思う。

ちなみに

日本の地下鉄は正式名称に「高速鉄道」、もしくは運営する場合の事業名に「高速電車事業」、「高速鉄道事業」と名乗るものが多い。
これは都市計画法の第十一条（都市施設）の中で都市計画を持つその自治体が整備できる施設の中に「都市高速鉄道」と挙げられているためである。
さらにちなむと、何と比較して「高速」かといえば、路面電車（もっと言えば馬車鉄道）よりも高速なもの、という定義が正しいらしい。

自治体が運営する地下鉄

事業者	総延長	総駅数	路線名（区間）		駅数	延長	備考
札幌市営地下鉄（札幌市交通局）	48.0km	46駅	南北線（麻生～真駒内）		16駅	14.3km
			東西線（宮の沢～新さっぽろ）		19駅	20.1km	ワンマン運転
			東豊線（栄町～福住）		14駅	13.6km
仙台市営地下鉄（仙台市交通局）	28.7km	29駅	南北線（泉中央～富沢）		17駅	14.8km	ワンマン運転
			東西線（八木山動物公園～荒井）		13駅	13.9km	ワンマン運転
都営地下鉄（東京都交通局）	109.0km	98駅	浅草線（西馬込～押上）		20駅	18.3km	「エアポート快特」を運行している京急線・京成線と直通運転
			三田線（目黒～西高島平）		27駅	26.5km	ワンマン運転目黒～白金高輪(2.3km)は、東京メトロ南北線の線路を走行東急目黒線と直通運転
			新宿線（新宿～本八幡）		21駅	23.5km	「急行」を運行している京王線・相模原線と直通運転
			大江戸線	放射部（都庁前～光が丘）	38駅	12.9km	ワンマン運転
				環状部（都庁前～両国～都庁前）		27.8km
横浜市営地下鉄（横浜市交通局）	53.5km	40駅	ブルーライン	1号線（湘南台～関内）	17駅	19.7km	「快速」を運行している一体的に運行しているワンマン運転
				3号線（関内～あざみ野）	16駅	20.7km
			グリーンライン（日吉～中山）		10駅	13.1km	ワンマン運転
名古屋市営地下鉄（名古屋市交通局）	93.2km	87駅	東山線（高畑～藤が丘）		22駅	20.6km
			名城線（金山～大曽根～八事～金山）		28駅	26.4km	環状運転
			名港線（金山～名古屋港）		7駅	6.0km	名城線と直通運転
			鶴舞線（上小田井～赤池）		20駅	20.4km	名鉄犬山線・豊田線と直通運転
			桜通線（中村区役所～徳重）		21駅	19.0km	ワンマン運転
			上飯田線（上飯田～平安通）		2駅	0.8km	ワンマン運転名鉄小牧線と直通運転
京都市営地下鉄（京都市交通局）	31.2km	31駅	烏丸線（国際会館～竹田）		15駅	13.7km	近鉄京都線と直通運転
			東西線（六地蔵～太秦天神川）		17駅	17.5km	京阪京津線と直通運転
神戸市営地下鉄（神戸市交通局）	30.6km	25駅	西神・山手線	西神延伸線（名谷～西神中央）	6駅	9.4km	一体的に運行している北神線は旧北神急行で2020年に市営化
				西神線（名谷～新長田）	4駅	5.7km
				山手線（新長田～新神戸）	8駅	7.6km
			北神線（新神戸～谷上）		2駅	7.5km
			海岸線（三宮・花時計前～新長田）		10駅	7.9km	ワンマン運転
福岡市地下鉄（福岡市交通局）	29.8km	35駅	空港線（姪浜～福岡空港）		13駅	13.1km	ワンマン運転 JR 筑肥線と直通運転
			箱崎線（中州川端～貝塚）		7駅	4.7km	空港線と直通運転ワンマン運転
			七隈線（橋本～博多）		18駅	13.6km	ワンマン運転

公的資本会社・第三セクターが運営する地下鉄

事業者	総延長	総駅数	路線名		駅数	延長	備考
東京メトロ（東京地下鉄）	195.1km	141駅	銀座線（浅草～渋谷）		19駅	14.3km
			丸ノ内線	本線（池袋～荻窪）	25駅	24.2km	ワンマン運転
			丸ノ内線	方南町支線（中野坂上～方南町）	4駅	3.2km	ワンマン運転
			日比谷線（北千住～中目黒）		21駅	20.3km	東武スカイツリーライン・東武伊勢崎線と直通運転
			東西線（中野～西船橋）		23駅	30.8km	「快速」「通勤快速」を運行している JR 中央・総武線各駅停車・東葉高速線と直通運転
			千代田線	本線（綾瀬～代々木上原）	19駅	21.9km	小田急小田原線・多摩線・JR 常磐線各駅停車と直通運転
			千代田線	北綾瀬支線（綾瀬～北綾瀬）	2駅	2.1km	ワンマン運転
			有楽町線（和光市～新木場）		24駅	28.3km	東武東上線・西武有楽町線・池袋線と直通運転
			半蔵門線（渋谷～押上）		14駅	16.8km	東急田園都市線・東武スカイツリーライン・伊勢崎線・東武日光線と直通運転
			南北線（目黒～赤羽岩淵）		19駅	21.3km	ワンマン運転東急目黒線・新横浜線・埼玉高速鉄道線と直通運転
			副都心線（小竹向原～渋谷）		16駅	11.9km	ワンマン運転「急行」「通勤急行」を運行している有楽町線（和光市～小竹向原）と線路を共有している東武東上線・西武有楽町線・池袋線・東急東横線・みなとみらい線・新横浜線・相鉄線と直通運転
埼玉高速鉄道	14.6km	8駅	埼玉高速鉄道線（埼玉スタジアム線）（赤羽岩淵～浦和美園）		8駅	14.6km	ワンマン運転東京メトロ南北線・東急目黒線・新横浜線と直通運転
東京臨海高速鉄道	12.2km	8駅	りんかい線（新木場～大崎）		8駅	12.2km	JR 埼京線・川越線と直通運転
横浜高速鉄道	4.1km	6駅	みなとみらい21線（みなとみらい線）（横浜～元町・中華街）		6駅	4.1km	「特急」「通勤特急」「急行」を運行している東急東横線・東京メトロ副都心線・東武東上線・西武有楽町線・池袋線と直通運転
OsakaMetro （大阪市高速電気軌道）	153.0km	100 駅	御堂筋線（江坂～中百舌鳥）		20駅	24.5km	北大阪急行電鉄南北線と直通運転
			谷町線（大日～八尾南）		26駅	28.1km
			四つ橋線（西梅田～住之江公園）		11駅	11.4km
			中央線（ゆめはんな）（夢洲～長田）		15駅	17.9km	近鉄けいはんな線と直通運転
			千日前線（野田阪神～南巽）		14駅	12.6km
			堺筋線（天神橋筋六丁目～天下茶屋）		10駅	8.5km	阪急千里線・京都本線と直通運転
			長堀鶴見緑地線（大正～門真南）		17駅	15.0km	ワンマン運転
			今里筋線（井高野～今里）		11駅	11.9km	ワンマン運転
			敷津長吉線（住之江公園～喜連瓜破）		未定	23.1km	計画中
神戸高速鉄道	7.6km	10駅	東西線	阪神神戸高速線（西代～元町）	7駅	5.0km	「直通特急」「S特急」「山陽特急」が快速運転を行う新開地～高速神戸(0.6km)は重複区間阪神本線・阪急神戸本線・山陽電鉄本線と直通運転
			東西線	阪急神戸高速線（新開地～三宮）	4駅	2.8km
			南北線	神戸電鉄神戸高速線（新開地～湊川）	2駅	0.4km	神戸電鉄有馬線・粟生線・三田線と直通運転
広島高速交通	0.3km	2駅	広島新交通1号線（アストラムライン）（本通～県庁前）		2駅	0.3km	地下鉄区間のみ総延長は18.4km 駅数は21駅