ハスター 単語

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ハスター

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ハスター(Hastur)とは、現在ではクトゥルフ神話における旧支配者に数えられる神性である。
ハストゥールとも。

「名状しがたきもの(The Unspeakable One)」
「名づけられざるもの(Him Who is not to be Named)」
「邪悪の皇太子Prince of Evil)」

曖昧さ回避

概要

初出はアンブローズ・ビアスの短編『羊飼いハイタexit』(1891年)。
本作では飼いの神で、洪水から都市を守り、主人公ハイタの危機を救う善き神として描かれている。

その後、ロバートチェンバースは『衣の王』(1895年)を発表。ビアスの著作から「カルコサ」「ハリ」「ハスター」などの固有名詞を借用した怪奇小説集である。
ただし作中ではハスターが何であるかは具体的に言及されておらず、神格というよりは地名である可性もある。
この他にも同作者の短編『イス令嬢』の登場人物に、「ハスター」の名を持つの男がいる。

その後、チェンバースの『衣の王』を読んだラヴクラフト『闇に囁くものでハスターや黄の印に言及し、クトゥルフ神話体系に関連付けて考えられるようになった。

今日々がイメージするハスター像はオーガスト・ダーレスによってクトゥルフ神話に組み込まれ、属性を持つ旧支配者グレートオールド・ワン定義づけられたものである。チェンバースが描写した『衣の王』は、その化身として設定された。

余談だが、ダーレスは特に初期においてハスターを中心に小説を執筆しており、またジャンル名を「ハスター神話」にしてはどうかと提案したようであるが、これは却下されている。

こういった背景からハスターを取り扱った作品は較的多く、クトゥルフとハスターはクトゥルフ神話体系の中でも代表的な旧支配者として扱われることが多い。

ヨグ=ソトースの息子にしてシュブ=ニグラスの夫とも。またヴルトゥームとは兄弟とされる。
クトゥルフとは敵対関係にあり、クトゥルフおよびその信奉者と敵対する者には「敵の敵は味方」とばかりに顔を突っ込む助力する場合がある。ただし作品によっては直接の戦闘力は然程でもないようで、「旧神の印」を突き付けられて速攻で宇宙逃げていたりする。また、ハスターも当然ながら人類にとっては危険な側面が強い点は留意する必要がある。

おうし座に位置するヒアデス団、ならびアルデバランと関連づけられ、ヒアデス団の古代都市ルコサから程近い「ハリ」に座を占める(ハリには後ろ姿タコのように見える生物が潜んでおり、ハスターとの関連があると考えられている)。旧神と戦って敗れ、閉されているとも。
また禁断の知識を所蔵する図書館があるセラエノ、およびプレアデス団も、ハスターの版図にあるとされる。

姿形は不明。には見えないとも、触手を持つ大トカゲとも、タコのような巨大生物とも。

オーガスト・ダーレス小説破風の窓』にはレンガラスを通してそのような姿の怪物撃している。
また、オーガスト・ダーレス小説ハスターの帰還』では、ハスターが契約を結んだ人間憑依するという場面がある。その際に犠牲者の身体に「全身が風船のように膨らんで四肢が肥大化、鱗に覆われ、がなくなりグニャグニャになる」という凄まじい変容をもたらした。この変容は永続的なもので、犠牲者は元に戻る事がない。

属としてバイアクヘー(ビヤーキー)が知られており、奉仕されているという。更にその上位にはイタクァロイガーツァールなどの旧支配者が存在する。

またハスターの崇拝は地球ではポピュラーな方であり、有名なのはツァールロイガーを崇拝するスン高原都アラオザルに棲むチョー=チョー人がハスターを崇拝しているといわれている。人類によっても崇拝され崇拝者が呼んでいる呼称「名づけざられしもの」は、ハスターの呼称である「名状し難きもの」から来ているのではないかと推測されている。

ハスターの教団は〈黄色の印〉という狂気と邪悪を意識下に収束させる印章を用いている。印を見た者はがゆがみ正気を破壊されるという。衣の王やハスターの恐ろしいにとり憑かれ、その悪夢発狂してを認識できなくなるまで続くといわれている。

ラノベ這いよれ!ニャル子さん」の登場キャラクターハス太くんの種族名でもある。

化身

  • 衣の王(King in Yellow
    ボロ布めいた黄色い衣をい、仮面をつけている。実は衣に見えるのは皮膚。
    黄の印と呼ばれる縞瑪瑙のブローチを持つ者の許を訪れ、を食らって連れ去るという。この忌まわしいブローチはどうあっても手放す事が出来ない。
    同名の書物『衣の王』は、彼を讃える美しくも恐ろしい言葉で埋め尽くされた劇。素材不明の黄色い皮革で装丁されたこの本を読んだ者は狂気に誘われ、ことに第二部まで読んだ者には悲惨な運命が待ち受けている。
    トッド・キングリア小説ファン・グラーフの絵」には、衣の王を描いた絵画『王』が登場。嘆き悲しむ人々が描かれた絵を見たものは絶望に捕らわれ、最後に絵の中央に描かれた衣の王をにし、自ら命を絶つ。

  • エメラルドラマEmerald Lama
    きらめく緑色ローブに身を包み、額に第三ののような宝石を持つ、者の如き男。不可視の力で浮遊している。かつてはチベットで信仰され、その名で呼ばれるようになった。
    神秘の探者の前に現れ、宇宙の真理に関する知識を披露して助力する……と見せかけ、相手を破滅へと導く恐るべき存在。積極的・物理的に攻撃するのではなく、犠牲者が知的好奇心から自滅するよう仕向け、生きたままミイラに変えてしまう。

  • 彼方より来たりて饗宴をるもの(Feaster from Afar)
    ジョセフ・P・ブレナンの同名の小説に登場する、おぞましい化身。触手を犠牲者の頭に触手を突き刺し、を吸い取る。

  • 琥珀の長(Amber Elder)
    人間のような姿をしており、一説には人間憑依しているとされる。不幸をもたらす予言者として活動したり、相応しいものに叡智を伝えたりしているという。恐ろしいことの前触れとして現れることもあり、彼の者は災厄の阻止のために情報を渡すこともあるとされるが、彼と彼の者には通常隠された情報があるという。
    ハスターの使者としての側面が強く、カルコサにはいない模様。

  • 略奪するもの(Ravening One)
    ハスターの怒りや憎悪といった側面の体現であるとされ、ハスターの敵対者を殺するという。一時的にであれば従属させることも可なようだが、当然相応の危険が伴う。また、周囲に恐怖の感情を振りまくともされる。

  • テツチャプトル (Tezchaptl)
    クトゥルフ神話TRPGシナリオ悪魔ロックスター』内で設定された書物”ターナー写本”に”テツチャプトルのチャイム”というアイテム呪文として間接的に言及される存在。ハスターのマヤ神話における名前らしい。このシナリオは『クトゥルフ・ナウ』(絶版)に収録された。CoCにおけるハスター関連の呪文音楽系が妙に多いのはだいたいこのシナリオのせい。今のところCoC世界以外のメディア輸出された事例はないようだ。

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