イタカ(Ithaqua)とは、クトゥルフ神話大系に登場する架空の神性(旧支配者)である。
イタクァとも発音し、「風に乗りて歩むもの(The Thing That Walked on the Wind)」の称号で呼ばれる。
初出はオーガスト・ダーレスの小説「風に乗りて歩むもの」。
ハスターの上位の眷属にして、大気(風)を象徴しているとされる。
その姿は人間にも似ているが途轍もなく巨大で、鮮紅色に燃える目を持ち、足には水かきがあるとされる。
カナダの先住民によれば、イタカは夜に徘徊し、風に乗って目にもとまらぬ速さで顕現する。イタカが顕現する際には雷が鳴って猛烈な吹雪となり、翌日には雪原で巨大な足跡に遭遇する事があるという。その歩幅は800mにも及ぶ。
イタカに遭遇した人間は風に巻き上げられて空へと飛ばされ、そのまま外宇宙の遥かな深淵の旅に付き合わされる。一説にはイタカの主・ハスターが坐す、カルコサの黒きハリ湖まで連れていかれるとも。
数ヶ月にも及ぶ旅の後に彼らはようやく地上に戻されるが、イタカは特に気遣うでもなく遥か上空から彼らを放り捨てる為、そのまま地表に叩きつけられて死ぬ事がほとんど。運よく死ななかった場合でも、犠牲者は高高度の冷気によって身体が凍てつき、地上の温かさに耐えられずに程なく死亡する。
すなわち、どうあがいても絶望。イタカに連れ去られる人間は後を絶たず、往々にして失踪事件として扱われている。
邪悪な小人族のチョー・チョー人によって礼拝される他、カナダでは雪の怪物・ウェンディゴとして崇拝されている。
また「凍れる炎」と呼ばれる旧支配者、アフーム=ザーや、毛むくじゃらの多腕の怪物、グノフ=ケーとの関連が示唆されている。
クトゥルフ神話TRPGにおいて、基本ルールブックに所収のシナリオ「ストラフトン山の火」にイタカが登場している。こちらで馴染みがある人もいるかも知れない。
また北米の民俗や風土に合致した神性である為か、ケイオシアム社からイタカのアンソロジーが出るほど人気がある。
ブライアン・ラムレイは「タイタス・クロウ・サーガ」の「風神の邪教」において、イタカを信奉するカルトとの熱い戦いを描いており、ホラーというよりは冒険ファンタジーとなっている。
なおこれは主人公(とヒロイン)が特別だからこそ出来る事である。決して真似をしないように。
イタカは北極圏やその付近でよく遭遇されるといわれる神性である。
カナダのトロントでは「風に乗りて歩むものの秘密教団」というものが存在し、イタカの教団である。
そのほかに崇拝している者たちはまれだといわれているが、シベリアやアラスカでは自分たちの住処が襲われることのないように生贄を捧げるということがあるといわれている。またはるかなボレアの世界では広く崇拝されている。
登場作品:『イタカ/Ithaqua』-オーガスト・ダーレス
:『風に乗りて歩むもの/The Thing that Warked on the Wind』ーオーガスト・ダーレス
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最終更新:2024/12/20(金) 19:00
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