みなみじゅうじ座とは (ミナミジュウジザとは) [単語記事]

みなみじゅうじ座とは、全天88星座の1つである。

南十字星、サザンクロスなどともいわれる、南天を代表する星座である。

概要

広さが68平方度で、全天で最も小さい星座である。しかし、1等星2つと2等星1つの明るい星々はよく目立つ。

α 星はアクルックス、β 星はミモザ(ベクルックス)で、ともに1等星。γ 星は2等星のガクルックスである。

このαとγの間隔をα方向に約4.5倍することで、天の南極を知ることができる。ただし、現在は南極星は存在しない。
また、みなみじゅうじ座を用いて天の南極を測る際、ニセ十字の存在に注意しなければならない。詳しくは当該記事参照。

α：アクルックス(Acrux)
- 青白く輝く1等星で、十字架の下にあたる。1等星では最も南にある。
  名前はアルファのア(A)と星座名のクルックス(Crux)を組み合わせただけである。
β：ミモザ(Mimosa)
- こちらも青白く輝く1等星で、十字架の左側にある。
  長らくベクルックスという通称で呼ばれていたが、2016年に植物由来の「ミモザ」が正式な固有名となった。
γ：ガクルックス(Gacrux)
- 2等星で、南十字星唯一の赤色巨星。十字架の上にあたる。
  名前はガンマのガ(Ga)とクルックス(Crux)から。
δ：イマイ(Imai)
- 青白い3等星。アクルックス、べクルックスに倣ってガクルックスと呼ばれていた。
  2018年に、エチオピアのムルシ族が名付けた「イマイ」が正式な固有名となった。
ε：ギナン(Ginan)
- 2017年に、オーストラリア先住民の神話に登場する「歌の虫」から名付けられた。
  オセアニアの国々の国旗には、この星を含めた南十字星が描かれているものもある。

NGC 4755 散開星団
- 赤色超巨星を中心に、青白い若い星が多数取り囲んでいる。
  その美しく輝く姿ゆえに、宝石箱(Jewel Box)とも呼ばれる。
Cald well 99 暗黒星雲
- 通称「コールサック(石炭袋)」。天の川上にあるので肉眼でも観測できる。
  コールサックの名は、その形が石炭袋に似ていたことに由来するとされる。

かつてはケンタウルス座の一部として見られていた。古代の地中海でも観測できたが、やはり独立した星座とはみなしていなかった。

初めてみなみじゅうじ座を設定したのは、ネーデルラントの天文学者ペトルス・プランシウスである。
彼は、南半球を航海する者に観測を依頼し、1613年にみなみじゅうじ座を含む8星座をアムステルダムで発表した。