オロチとは、SNKの格闘ゲーム『THE KING OF FIGHTERS』シリーズに登場するキャラクターである。
『'97』の最終ボス。『KOF'98UM』でも最終ボスの一人として登場する。
概要
「地球意思」と呼ばれる思念の集まり。正体は地球上の万物が持つ精神力から成る力の塊。
元々は自然を守り生物に恵みや苦難を与える神に等しい存在だったが、進化した人間が傲慢になり自然を破壊するようになると人類に対して様々な祟りを起こすようになった。惑星そのものの意思という立場上、人間の価値観(いわゆる善や悪)に当てはめることの出来ない存在であるが、人の負の感情を操り人の世を混乱に陥れる人類の敵として扱われる。
力としてのオロチは「暗黒パワー」「オロチの力」と呼ばれる。オロチ自身の他後述のオロチ一族や、オロチと契約を交わした八神一族、オロチの力を注入したルガールもこれを操る。使い手の精神力によって高まるが、力をコントロールするためには莫大な精神力を要する。また、本来オロチと敵対関係にある人類はこの力を使う度に体を蝕まれてしまう。
肉体を持たないためこの世に顕現する際には“触媒”を用いる。『'97』ではオロチ四天王クリスに乗り移り成長したクリスのような姿で顕現した(当初は「素っ裸のクリスが光る玉を手に持って闘う」デザインだったそうな)。無論、この姿が肉眼で視認できる「オロチの真の姿」というわけではなく、憑依する触媒によってその姿は変わるのである。他人の思考を読み取る能力を持ち、行動パターンを瞬時に把握する。感情は存在せず、無慈悲に裁きを下す様は殺戮機械のようである。
練り込まれた設定と神秘的な雰囲気からKOFのボスキャラクターの中でも特に人気が高い。
オロチ一族
オロチに魅入られ、暗黒パワーを操る者たちで構成された共同体。見た目は人間だが実態は人外の怪物であり、特徴として爬虫類のように瞳孔が縦に割れている。また残虐性が高く破壊的な行動を好み、オロチの意志を受け継ぐ彼らもまた人類の敵である。
人とオロチ両方の血を引く者は多くの場合体を蝕まれ、特にオロチの血を色濃く受け継ぐ者は「血の暴走」と呼ばれる拒絶反応に苦しむ。オロチ一族の内、能力に長けた8人をオロチ八傑集、ヤマタノオロチと呼ぶ。八傑集は血筋ではなく転生を繰り返しながら力と意志を受け継ぐ。
八傑集の内特に力が強く自然現象を操る力を持つ4人を四天王と呼ぶ。ちなみに四天王の技名は日本語を無理矢理キリル文字で表記した「オロチ語」で表記される。Wikipediaで「オロチ語」を検索すると理由が判るかも知れない。
歴史上オロチのような地球意思に仕える種族は西欧を中心にもう一つ、幅を広げれば十数個存在する。オロチ一族と並ぶもう一つの種族はかつて「悪魔」と呼ばれ畏れられたが、人類との長きに渡る戦いで西暦600年頃にはほぼ姿を消している。
ストーリー
オロチ編
1800年前に草薙・八尺瓊(後の八神)・八咫の3つの一族、後の世に言う三種の神器により八傑集もろとも封印されるが、660年前にオロチの力に焦がれ八傑集の封印を解いた八尺瓊を利用し、力を与え草薙と敵対させた。結局八神となった八尺瓊と草薙の決着はつかずに八咫が守っていたオロチ本体の封印も解けず(八咫は草薙、八神を争わせる事で自分たちを表舞台に引きずり出そうとしているオロチ一族の真の狙いを見抜き、両家に対し中立、不干渉の立場をとった)、八傑集を始めとしたオロチ一族は長らく姿を消していたが、力を欲したルガールのオロチ一族への接近を経て四天王ゲーニッツが八咫の血を引く神楽マキを殺害しオロチの魂を解放、『'97』で四天王七枷社・シェルミー・クリスの手によって復活を遂げるも、直後に三種の神器の血を引く草薙京・八神庵・神楽ちづるにより封印される。オロチ復活の過程で八傑集の転生体は山崎竜二を除き死亡し封印された。
なお、オロチの完全覚醒にはクシナダと呼ばれる女性(日本書紀の奇稲田姫がモチーフ)を生贄に捧げることが必要不可欠であった。しかし1800年前では三神器によって生贄の儀式を阻止され、オロチはその力を発揮できずに封印されている。『'97』では草薙京の彼女「ユキ」がクシナダの生まれ変わりであり社ら残りの四天王はオロチ復活最大のカギとして彼女を手中に収めるべく暗躍していた。だがこれも京達によって未然に防がれ1800年前と同じ結果をたどる事となった。
アッシュ編
アッシュ編では、かつて滅び去った西欧の地球意思に仕える種族が時間を超えて現代に現れ、オロチの力を利用しようと目論み暗躍する。人間の研究者により、彼らには「遥けし彼の地より出づる者」の呼称がつけられた。
『2003』では彼らの一員である無界と牡丹の手により封印が解き放たれ、『XI』では徐々に復活の兆しを見せる。さらに『XIII』では八傑集の2人マチュアとバイスが蘇っている。もっともこの2人は死ぬ前にオロチを裏切って庵についており、オロチの復活よりもオロチの力を奪われないことが目的のようだ。
現行シリーズ
『XIV』では負の魂の融合体「ウェイカム」により取り込まれ顕現させられるが、触媒のない状態で藻掻いていたところを三種の神器によって消し去られた。マチュアとバイスは健在だが、庵を特に妨害していない。
次作『xv』ではウェイカムことバースの影響で社、シェルミー、クリスの三人が復活。またオロチ一族とは別の「ナニカ」がオロチの封印に干渉し始めた事を切っ掛けに神楽ちづるの要請で三種の神器チームが結成された。
社達もKOFに参加するが(復活したてでオロチ四天王としての力は使えない事もあって)今回はオロチの復活よりも自分達を蘇えらせた者の正体とその理由を探ることを優先している模様。
性能
ほぼノーモーションで画面を縦断する飛び道具「火柱を起こす」、多段ヒットで攻撃判定が巨大な飛び道具「衝撃波を出す」、モーションが無い跳ね返し技「相手の飛び道具を跳ね返す」、全画面判定で威力が非常に高い超必殺技「画面全体に光を浴びせる」と必殺技の全てが高性能で、加えて『'98UM』では全ての地上通常技にキャンセルがかかる。
そんなオロチだが『'97』のCPUのアルゴリズムは非常に弱い。CPUは強いがプレイヤーが使うと弱いと言われる前年のゲーニッツとは対照的である。これはストーリーを楽しませるために意図的に弱くされているため。一応設定上も復活が不完全だったので弱かったと理由付けされている。
関連動画
関連項目
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