稲船敬二とは、日本のゲームクリエイター、キャラクターデザイナー。
元カプコン常務執行役員・ダレット代表取締役社長であり、退社後は自ら設立した株式会社コンセプトと株式会社インターセプトの代表取締役である。
自身のBlogなどでは「INAFKING」という名前を使うことが多い。
概要
カプコンに所属し、『ロックマン』シリーズや『鬼武者』シリーズを手がけたことで知られる。特に『ロックマン』シリーズは初代からイラストレーター・キャラクターデザイナーとして携わっていた。シリーズ後期にはプロデューサーとして全体を仕切った形で関わるようになり、「ロックマンDASH」「ロックマンエグゼ」などを生み出している。
「ロックマン」や「鬼武者」といった良作を手掛けたことから、カプコンを代表するゲームクリエイターとして認知されている。一方、「現代は日本市場よりも世界市場(≒北米市場)を重視しなければならない」として自身がプロデュースするタイトルを外注に出したり、「どんな判断だ」に代表される発言などから物議を醸すことも。
自身の趣向を強く出すきらいがあり、自らプロデュースした「ロックマンX4」ではエックスよりもゼロを主人公ポジションに置いたり、「ロックマンゼロ」ではとうとうゼロを主役にし、逆にエックスが敵役のポジションになった。(元々ゼロはXシリーズの主役のつもりで稲船がデザインしたキャラであり、その為であろうと推測される)
2006年、カプコンがオンラインゲーム界に進出するための足掛かりとして株式会社ダレットを設立、その社長職として稲船が就任した。
その後、2010年10月いっぱいでダレットの社長職を辞任。並びに、カプコンを退社した。
なお、プロデュースが予定されていた「ロックマンDASH3」、「メガマンユニバース」など、開発途中の作品に関しては全て不参加処分となった。開発終了までの参加を上層部に打診したが断られたとの事。のちに全ての作品が開発中止になっており、上層部の意向に反して強引に開発を継続していたことが伺える。
今後の動向について本人は『ゲームに限らずいろんなクリエイティブな活動をしたい』としている。
カプコン退社理由
退社をブログで表明した直後に掲載された4gamer.netでのインタビューでは、
「カプコンで仕事をしていきたいが、事実上、もう仕事が出来ない状態になった」
「カプコンという会社と、進んで行く道が変わってしまった」
もっともっと。もっと面白いものを,もっとキレイなものを,と人間の欲望は上がっていきますよね。これは当然のことだし,別に悪いことではありません。
でもそこに問題が発生しました。ユーザーさんの「もっと」と,クリエイターの「もっと」が,大きくズレてきてしまったんです。
最初のうちはね,いいんですよ。ユーザーさんの「もっと」と,クリエイターの「もっと」は,クリエイターのほうが上を走っていて,お互いが同じ傾斜角度で上がるグラフになってました。
でも,それがあるときを境に,ユーザーさんの「もっと」が上回ってしまったんです。ユーザーさんの「もっと」が,以前とは比較にならない速度で上がったせいなのか,クリエイター側がサボって傾斜がゆるやかになってしまったせいなのか,そこまでは僕には分かりません。でも抜かれてしまってもう追いつけないところまで行きつつあるのは事実だと思います。
と話している。
ゲームシリーズのブランド力をその内容や質よりも優先する企業体質や、パブリッシャ優位・デベロッパへの下請け根性の強要という日本ゲーム界共通の状況、 さらには「どん判」にも通じる膨れ上がるゲーム開発費用に対して低すぎる売り上げ意識など、多くの問題がゲーム業界に鬱積しており、特にカプコンの経営体質がその最たるものであったようで、そこが稲船にとっては不満だったようだ。
また彼が退社する際、マネージャーなどの上役(経営者側)は一切引き止めなかったという。元々独立の気があったためにこういう態度を取ったものと思われる。詳しくは当該記事を参照。
が、一方で、元スクウェアのサウンドコンポーザーで、現在は同人音楽界でも活躍する菊田裕樹氏は、ツイッターで稲船の辞任についてこう発言している。
公の場で言えるようなことは何もありませんが、時間も予算も人材も揃っていて、なお失敗するからには、それなりの理由がある、ということです。
しかし、菊田氏は同ツィッターにおいて外部の扱いで人員や予算など一切知らされる立場になかったことを暴露される。
よって上記の発言も伝聞による情報に独自の解釈を加えたことと考えざるを得ず、辞任の真の原因が何なのかはわからない。
また、これによると本人の独立志向の他に、カプコン創業者(社長)の人事におけるワンマン体質と、カプコンの体質すなわち
日本のゲームはかつて世界を制覇した。なのに、頑張ったクリエーターは報われない。一生懸命働くだけ損なんです。カプコンのようなパブリッシャーが、どんなに実力のあるデベロッパーでも下請け扱いして、裏切るようにロイヤリティーを値切る。夢がないから、ジリ貧になった。
ためにカプコンを退社した、と発言している。上述インタビューと一致する部分はあるものの、その真相はやはり不明。
(なお「売れるまでクリエイターを湯水のように使い、売れたら社長一族で固める」というカプコンの体質は各方面で有名である。)
余談だが、稲船退社後その後釜に座ったのが、問題児として有名な小林裕幸である。どんな判断だ。
カプコン退社後
- 株式会社comceptと株式会社インターセプトを設立し代表取締役を務める。ソーシャルゲーム「Dr★モモの島(仮)」「J.J.ROCKETS(仮)」やPSP用乙女ゲー「バクダンハンダン」の開発に取り組んでいる。
- 2011年に発売されたPS3用RPG「超次元ゲイム ネプテューヌmk2」では武器(クリエイターソード稲船)として登場。
- comceptは2017年にレベルファイブの傘下に入り、LEVEL5 comceptとして活動していたが稲船は2024年にcomceptを退職、同年ロケットスタジオの執行役員になっている。[1]
主な作品
関連動画
関連生放送
関連項目
脚注
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